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ユウトVSモーノ
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なんとファントムマスターを封印したのは、クーソとアーホの先祖だったのか。なるほど、街ででかい顔が出来たのは、そういう理由もあったようだ。
だが先祖が今の子孫達を見たらどう思うか。おそらく草葉の陰で泣いているだろう。
「それではまずは少年・少女の部から始めます」
審判と思われる男性が声をあげると、リシャールは何処かへ行ってしまった。
リシャールはかなりの武の使い手だと言われている。
子供のお遊戯など興味がないという訳か。
「それでは第一試合⋯⋯まず最初の対戦はモーノくん」
神武祭は一番初めの試合ということもあり、観客からは大きな声援が飛び交う。
「主役のボクが一番最初の試合なんて。主催者はわかっていますね」
「ボクちゃんの栄光の道が今日この日から始まるのよ!」
モーノは観客の声に手を上げて答え、舞台へと向かう。
「げっ! いきなりあの偉そうな人ですか」
フローラは嫌そうに顔をしかめ、普段出さない声を上げていた。
「淑女が出す声じゃないぞ」
「す、すみません」
まあ気持ちはわかるけどな。早く敗退してあの親子にはこの会場から消えてほしいものだ。
「そしてモーノくんの相手は⋯⋯アンノウンくん」
俺は審判の言葉に従って席から立ち上がる。
「えっ?」
「これから俺の名前はアンノウンだ。ユウトの名前は伏せてくれ」
「わ、わかりました」
わざわざこの目立つ中で本名と顔を晒す必要はない。
俺は観客席から舞台へと向かう。
「あれはさっきの外套を被った怪しい子供? ボクちゃんの剣の錆になるといいわ」
さっきもモーノが同じセリフを言っていたが、少年・少女の部は大人の部と違って武器は木剣の使用が義務付けられている。だから万が一俺が斬られても、血は出ないので剣の錆になることはない。
「ふふ⋯⋯ボクの前にひれ伏すがいい」
俺は剣を構え、モーノと対峙する。
モーノは自分の勝利を疑わないようだ。その自信は戦う上で必要なものだが、自信を越えて過信しているように見える。
ここは年長者として、過信すると痛い目に合うと指導してやりたい所だが、今回はそのようなことをしている暇はない。
「それでは⋯⋯はじめ!」
審判が開始の合図をすると、モーノは猛然とこちらに迫ってきた。
「ボクの強さをここにいる奴らに見せつけてやる!」
どうやらモーノは、一瞬で勝負をつけるつもりのようだ。
だが悪いがその思惑に乗っかってやることはできない。
「死ね!」
威勢のいい声を上げて、モーノが上段から斬りつけてきた。
俺はその剣をかろうじてかわす。
「むぅ、ボクの剣を避けるとは偶然か? だけどまぐれは何度も続かないぞ」
そして今度は右に左にと連続で剣を繰り出してきたため、俺は何とか攻撃を避ける。
「くっ! 意外にやるじゃないか」
モーノも思っていたよりはやるな。ただの傍若無人のマザコンかと思ったがそれなりに努力はしているようだ。
だが今回は相手が悪かったな。
「いいわよ! ボクちゃんその調子でやってしまいなさい!」
「ど、どうしたんですか! いつものユ⋯⋯アンノウンさんの動きじゃないです!」
観客席からモーノの母親とフローラの声が聞こえてくる。
はたから見ると、モーノが押しているように見えるだろう。しかし実際はモーノごときの攻撃が俺を捉えることはない。
「はあはあ⋯⋯くそっ! はあはあ⋯⋯しぶとい奴だ」
モーノは剣を振りすぎて、既に息絶え絶えだ。
この程度の連続攻撃で疲れはてるとは。訓練が全く足りていない。もしフローラがこの程度で疲弊していたら、もっと過酷なメニューに変更する所だ。
「な、何だか寒気がします。これは何か悪いことが起きる前兆でしょうか」
フローラは勘がいいな。
生きる上で勘というのは必要なものだ。これからは鋭い勘を身につける訓練も施すか。
「ひぃっ! 今予感が確定した気が」
とりあえず今はフローラのことより、モーノとの決着をつけるか。
「いやあ」
俺は力ない声を上げてモーノに斬りかかる。
するとモーノは俺の剣を受け止め、つばぜり合いの形となった。
「そ、そのような攻撃をくらうものか」
逆にこの程度受け止めてもらわないと困る。俺は辛勝する形での勝利を望んでいるからな。
「うぅぅ⋯⋯腕がもう⋯⋯」
モーノは疲労で腕に力が入ってない。もう俺の剣を受け止める余力はないだろう。
「くそう⋯⋯これ以上は⋯⋯」
モーノの腕からスッと力が抜けたので、俺はそのままモーノの上に倒れ込む。
そしてもつれ込んだ隙に、左手で腹部目掛けて三発拳を放つ。
「ぐはっ!」
するとモーノは呻き声をあげ、呆気なく気絶してしまった。
フローラではないが、俺も権力や力を見せびらかす奴は嫌いなんでね。少し恨みを込めて強めに拳を放ったのだ。
これで観客には今の攻撃が見えていないはずだ。
そして俺は何が起きたのかわからない振りをしながら、慌てた様子で立ち上がる。
「あれ? どうなったの?」
俺は辺りを見渡しながら地面に倒れたモードに目を向けた。
「も、もしかして僕が勝ったの?」
「ああ、君の勝ちだよ」
そして審判が勝利宣言をしたことで、俺とモーノの戦いに終止符が打たれるのであった。
だが先祖が今の子孫達を見たらどう思うか。おそらく草葉の陰で泣いているだろう。
「それではまずは少年・少女の部から始めます」
審判と思われる男性が声をあげると、リシャールは何処かへ行ってしまった。
リシャールはかなりの武の使い手だと言われている。
子供のお遊戯など興味がないという訳か。
「それでは第一試合⋯⋯まず最初の対戦はモーノくん」
神武祭は一番初めの試合ということもあり、観客からは大きな声援が飛び交う。
「主役のボクが一番最初の試合なんて。主催者はわかっていますね」
「ボクちゃんの栄光の道が今日この日から始まるのよ!」
モーノは観客の声に手を上げて答え、舞台へと向かう。
「げっ! いきなりあの偉そうな人ですか」
フローラは嫌そうに顔をしかめ、普段出さない声を上げていた。
「淑女が出す声じゃないぞ」
「す、すみません」
まあ気持ちはわかるけどな。早く敗退してあの親子にはこの会場から消えてほしいものだ。
「そしてモーノくんの相手は⋯⋯アンノウンくん」
俺は審判の言葉に従って席から立ち上がる。
「えっ?」
「これから俺の名前はアンノウンだ。ユウトの名前は伏せてくれ」
「わ、わかりました」
わざわざこの目立つ中で本名と顔を晒す必要はない。
俺は観客席から舞台へと向かう。
「あれはさっきの外套を被った怪しい子供? ボクちゃんの剣の錆になるといいわ」
さっきもモーノが同じセリフを言っていたが、少年・少女の部は大人の部と違って武器は木剣の使用が義務付けられている。だから万が一俺が斬られても、血は出ないので剣の錆になることはない。
「ふふ⋯⋯ボクの前にひれ伏すがいい」
俺は剣を構え、モーノと対峙する。
モーノは自分の勝利を疑わないようだ。その自信は戦う上で必要なものだが、自信を越えて過信しているように見える。
ここは年長者として、過信すると痛い目に合うと指導してやりたい所だが、今回はそのようなことをしている暇はない。
「それでは⋯⋯はじめ!」
審判が開始の合図をすると、モーノは猛然とこちらに迫ってきた。
「ボクの強さをここにいる奴らに見せつけてやる!」
どうやらモーノは、一瞬で勝負をつけるつもりのようだ。
だが悪いがその思惑に乗っかってやることはできない。
「死ね!」
威勢のいい声を上げて、モーノが上段から斬りつけてきた。
俺はその剣をかろうじてかわす。
「むぅ、ボクの剣を避けるとは偶然か? だけどまぐれは何度も続かないぞ」
そして今度は右に左にと連続で剣を繰り出してきたため、俺は何とか攻撃を避ける。
「くっ! 意外にやるじゃないか」
モーノも思っていたよりはやるな。ただの傍若無人のマザコンかと思ったがそれなりに努力はしているようだ。
だが今回は相手が悪かったな。
「いいわよ! ボクちゃんその調子でやってしまいなさい!」
「ど、どうしたんですか! いつものユ⋯⋯アンノウンさんの動きじゃないです!」
観客席からモーノの母親とフローラの声が聞こえてくる。
はたから見ると、モーノが押しているように見えるだろう。しかし実際はモーノごときの攻撃が俺を捉えることはない。
「はあはあ⋯⋯くそっ! はあはあ⋯⋯しぶとい奴だ」
モーノは剣を振りすぎて、既に息絶え絶えだ。
この程度の連続攻撃で疲れはてるとは。訓練が全く足りていない。もしフローラがこの程度で疲弊していたら、もっと過酷なメニューに変更する所だ。
「な、何だか寒気がします。これは何か悪いことが起きる前兆でしょうか」
フローラは勘がいいな。
生きる上で勘というのは必要なものだ。これからは鋭い勘を身につける訓練も施すか。
「ひぃっ! 今予感が確定した気が」
とりあえず今はフローラのことより、モーノとの決着をつけるか。
「いやあ」
俺は力ない声を上げてモーノに斬りかかる。
するとモーノは俺の剣を受け止め、つばぜり合いの形となった。
「そ、そのような攻撃をくらうものか」
逆にこの程度受け止めてもらわないと困る。俺は辛勝する形での勝利を望んでいるからな。
「うぅぅ⋯⋯腕がもう⋯⋯」
モーノは疲労で腕に力が入ってない。もう俺の剣を受け止める余力はないだろう。
「くそう⋯⋯これ以上は⋯⋯」
モーノの腕からスッと力が抜けたので、俺はそのままモーノの上に倒れ込む。
そしてもつれ込んだ隙に、左手で腹部目掛けて三発拳を放つ。
「ぐはっ!」
するとモーノは呻き声をあげ、呆気なく気絶してしまった。
フローラではないが、俺も権力や力を見せびらかす奴は嫌いなんでね。少し恨みを込めて強めに拳を放ったのだ。
これで観客には今の攻撃が見えていないはずだ。
そして俺は何が起きたのかわからない振りをしながら、慌てた様子で立ち上がる。
「あれ? どうなったの?」
俺は辺りを見渡しながら地面に倒れたモードに目を向けた。
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