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カニカマ学園編
第12話「ユニークスキル」
しおりを挟むパープレアはコーニコリスに連行され、ベーゼは安眠を得ることが出来た。
そしてその翌日、ベーゼ達はいつも通り登校する。
「おはよう」
「うーっす」
「おはようございます。アドルフィネ」
「うむ、苦しゅうない」
アドルフィネは冗談気味に言う。ベーゼとケルブスは彼女を挟むように両隣に座る。
「おはよう! 今日も頑張ろう!」
今日も今日とてハツラツとしたレギウスが教室に入る。
「おーっすレギウス、元気だな」
「何事も活力は重要だ」
「暑苦しいわ」
「まぁ、そう言わないアドルフィネ」
「ケルブスが言うなら」
「しかし、君たちは仲がいいね。どうしてFクラスになったんだ?」
「リナレウスよ」
「あー……君も災難だね」
「そんなにリナレウスってのは酷いのか」
「ベーゼはここに来て日が浅いから知らなくて当然さ。リナレウスをはじめAクラスは酷いもんだよ。厄介極まりない奴らばかりさ。言っちゃあなんだけどFクラスの方が平和だよ」
「僕らとレギウスしかいないからね」
「最初はどんな荒くれ者だろうか心配だったけど杞憂だったよ」
「まぁ、そこのベーゼは粗相をたまにするわ。許してあげて」
「おいおいそりゃないぜ」
「なに構わないさ」
「そう言って貰えると嬉しいわ」
「はーい、おはようございます。今日の授業を始める前に紹介したい人がいます。どうぞー」
「お邪魔するわ」
コーニコリスに呼ばれたのはパープレアだ。教員の制服を着て、髪は後ろでまとめてポニーテールにしている。
「今日からFクラスの副担任となったパープレア先生です」
「よろしくお願いします」
「え?」
「あの?」
「パープレア!?」
「ん? 君たちの知り合いかい?」
「ええ、そんなところよ」
「これからパープレア先生には授業の補佐などをしてもらいます。魔法の実技に関しては私の代わりを務めさせてもらいます。それとベーゼ君」
「はい?」
「あなたは魔力を持たないので魔法の実技中は私とマンツーマンで戦闘訓練を行います」
「わかりました」
「結構です。それでは授業を始めます――」
カニカマ学園では午前中は国語や数学、魔法の座学を中心とした授業が行われ、午後は魔法の実技が行われる。魔力を持たない者は戦闘訓練になるのだがFクラスは教員がコーニコリスしかいなかったためベーゼは筋トレやランニングなどの基礎体力作りを行っていた。
今日からはパープレアが魔法を教えるため、コーニコリスが戦闘訓練に専念できるというわけになる。
はずだった――。
「――したがって、ここはこのようになります」
「あーーーーもう!! 見てらんない!」
実のところコーニコリスは根っからの天才肌というのもあり、授業の説明が凄まじく雑なのである。
ベーゼは転生前の知識があるためついて行けるし、ケルブスは地頭が良くコーニコリスの授業を受けなくても高得点が取れてしまう。
しかし、アドルフィネとレギウスは黙って授業を聞いてはいるものの、頭上によくハテナマークが浮かんでしまっているのだ。
「パープレア、どうしました?」
「その説明じゃ伝わるのはベーゼとケルブスだけよ。レギウスとアドルフィネに少し解説を入れてあげるわ」
アドルフィネとレギウスを隣同士に座らせて、解説を入れる。二人はつっかえがとれたような表情で問題を解き始める。
「昔から面倒見が良いのですよね」
「え、マジ?」
「私が学生時代の時なんて放課後友人達を集めてよく勉強見ていましたから。一体どうして呪いなんてかけたのでしょうね?」
「ちなみにコーニコリス先生も勉強を教えたりしたのですか?」
「頼まれたことありますよ。みなさんすぐに「わかりました! ありがとうございます!」と言って去ってしまったので人に物事を教えるのは向いていると思いますよ」
ベーゼとケルブスは顔を見合わせてため息をついて午前中をしのぐのであった。
昼食の後、訓練場に集まると魔法の実技が始まった。
「さて、今日は訓練を始める前にパープレアが鑑定を使えるそうなのでみなさんを鑑定してみましょう!」
「おー!」
「え、パープレア先生鑑定できるんですか!?」
「アドルフィネそれってすごいことなの?」
「もちろんよケルブス。カテゴリで言うなら上級魔法。更に言うと高等部の上の学士課程でも使えるのはほんの一握りよ」
「あー、だから鑑定料って意外に高いのか」
「ベーゼは一度受けたことがあるんだっけ?」
「母親と行く予定だったんだが……鑑定料の金をギャンブルで……」
「あー……」
「うん……」
ケルブスとアドルフィネはナトのことを容易に想像して疲れた顔をした。
「はーい、じゃあ誰からやります?」
「はい、俺がやります!」
レギウスがすぐに手を上げる。
「いいわよ、こっちに来なさい」
「お願いします!」
パープレアはA4ほどの茶色みが強い紙を持ってレギウスの背中にあてがうと魔力を操り始める。
紙が光った文字を浮かび上がらせるとすぐに黒くなり紙に焼き付く。
「出来たわ」
「ありがとうございます」
「次は、じゃあアドルフィネ来なさい」
アドルフィネが前に出るとベーゼたちは鑑定で浮かび上がった文字を読み始める。
「レギウスはどんな能力なんだい?」
「俺は……火属性の魔法に適性あり……ユニークスキル『限界超越』というのを持っているようだね。効果は努力で超えられない壁を越えることが出来る能力……うん、よくわからないな! しかしユニークスキルそのものが珍しいんだ。喜ぼうじゃないか」
「よかったなレギウス!」
レギウスは一拍の魔を置いてから笑顔を向けた。
「ああ、そうだな!」
「コホン、お取り込みのところ悪いけど次はケルブスよ」
「わかったよ」
ケルブスがパープレアのところへ足早に行った。
「それでアドルフィネはどうだった?」
「ふっふっふ、これを見なさい」
アドルフィネが鑑定書を見せつける。
「えーっと……全属性の魔法適性あり、ユニークスキル『マナブースト』全ての魔法を強化する能力か」
「ふっふっふ、これが私の力よ」
「アドルフィネも良かったじゃないか」
「ええ、もちろん」
「流石だねアドルフィネ」
「おかえりケルブス、どうだったの?」
「僕は風属性の魔法に適性があった。そして僕にもユニークスキルがあったよ。『継承』という名前で能力は強い思いを受け取ることで魔法や身体能力が向上するみたい」
「やったじゃねえかケルブス! てことは俺も!」
ベーゼは意気揚々とパープレアの前へ来る。
「鑑定するわよ」
「おう!」
パープレアは鑑定を終えるとベーゼに鑑定書を渡す前に紙の一部をちぎり取った。
「何してんだ?」
「あんたねえ、鑑定ってのは人間以外の種族だと紙に出ちゃうのよ。あとユニークスキルの詳細までは鑑定出来なかったわ。たぶん私の体はまだ五歳、完全な大人になっていないのよ」
「え、そうなの?」
「だから事故で千切れた事にしておくから種族が神なのを隠しなさいよ!」
「あー、忘れてた」
「忘れてんじゃないわよ! このおバカ!」
「悪かったって」
「はいそれじゃ、これ持って行きなさい」
鑑定書を受け取るとベーゼはクラスメイトのところへ戻る。
「どうだった?」
「俺も見てない」
「破けてるじゃない」
「パープレアが言うには大して重要でも無いってさ」
「まぁ、いいわ。どれどれ……」
「魔法適性なし、『誘虫灯』に『アラガミ』……おかしいな説明文が何も書いていない」
「パープレアも連続で鑑定をやるのが疲れたって」
「なるほどね」
ケルブスは手をポンと叩いて納得する。
「ユニークスキルを二つも持っているなんてすごいじゃない! よくわからないのが玉にキズね」
「素晴らしいじゃないか! おめでとうベーゼ」
「おう、ありがとうなレギウス! それにアドルフィネもケルブスも!」
「さて、みなさん自分の能力がわかったところで魔法の実技を始めましょうね。ベーゼ君は私と戦闘訓練です」
「「「「はーーーーい!!!!」」」」
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