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一章 ルーファン・ルー
4 呪印
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俺の体はおかしい。
ようやくそれに気づいたのは、精通からさらに半年以上過ぎてからだった。
この時俺は、恥ずかしながら毎日オムツを履いて生活していた。
射精できるようになってからと言うもの、日増しに性欲が高まって、一日から数日に一回済ませていればとりあえず抑えられたムラムラが、毎日最低でも一回以上しておかないと抑えられなくなっていたんだ。
それだけならまだいいが、ムラムラしてくるとガマン汁、もとい、謎の透明な体液が尻から溢れ出してくるのである。
それをすぐ気付けたのは本当に幸いだった。
気付く前に誰かに見つかっていたらと思うと、ぞっとする。
最初はパンツを重ねて穿いたりして対処しようとしたが、それでも布では心もとなく、最終的に子供用のオムツで落ち着いた。
服の下を誰かに見られたら洒落にならないが、尻に染みを作っているのを見られるよりはマシだ。
この時は、自分の小さな体に心底感謝したものだ。
ただ、それだけでは万全にはならない。
なにせ、本命は漏れ出すガマン汁ではなく、毎日の性欲の処理のほうなのだから。
「あっ……!?」
自分の性欲に振り回されて悩んでいたある時、俺は何気なくめくれたシャツの下の自分の腹を見て思わず声が出てしまった。
俺の淫紋は、普段は臍の真下のあたり、1センチほどの小さな点の形をしている。
丁度パンツで隠せる場所で、見られてもさほど目立つものじゃない。
身体検査でも見つかることがなかったのがその証明だ。
その淫紋が、じわじわと広がって伸びていたのだ。
それは、いつも俺が自慰に耽っているときに見ている変化だった。
淫紋は、俺の性欲の昂ぶりに合わせて植物が茂るように姿を変え、上は臍を包む左右対称の流線模様、下は陰嚢と陰茎に絡みつくような枝分かれした曲線になる。
完全に広がると臍に赤いハートの模様が浮かび上がって、完成した模様はまるで一本の花か、翼を広げた小動物を連想させた。
自分の身体ながら、裸体に浮かぶその模様はなんとも魅惑的で、これからする快楽への期待も相まってうっとりとしたものだ。
だが、今までは俺がムラムラするのに合わせて淫紋は開いていくはずだった。
今のこれは違う。
何もしていないのに勝手に淫紋が拡がって、それに押されるようにしてムラムラとした感情が膨れ上がってくる。
この時になってようやく、俺は自分の体がこれのせいでおかしくなってるんじゃないかと気が付いたのだった。
今までなんともなかったそれが、『呪い』だったことを思い出したんだ。
性欲に浮つく頭の中とは裏腹に、さあっと血の気が引いていった。
(ど、どうしよう……)
頭の中の半分は、今すぐ性欲を処理しようと催促を始めている。
そんな考えに押し流されないように、必死に頭を回転させた。
(呪印……呪い……そうだ!)
呪いなら魔封じのお守りで封じ込めることが出来るのではないか?
そう思い至って、すぐさま購買部で呪詛封じのお守りを購入し、腹に当てた。
結果は的中だった。
魔除けをじっと押し当てていると淫紋はするするとしぼんでいって、数分経った頃には元の点に戻ったのである。
それに合わせて、処理もしてないのに性欲もすっきりと収まっていた。
ホッとしたのもつかの間、お守りを離した途端、またすぐに淫紋は広がり始めた。
(どうしよう、どうしよう、どうしよう……)
寮の自室で一人、自問する。
答えは何も思いつかない。
誰かに相談する? 誰に?
友人知人は駄目だ。
こんな恥ずかしい呪いの事を、それも、自分で自分にかけただなんて知られたら恥ずかしさで死んでしまう。
呪術医?
それも駄目だ。
専門家に解析なんてされたらきっと呪いの内容までばれてしまう。
そうなれば、その検診結果は医者だけでなく家族にも連絡されるだろう。
絶対に駄目だ。
「うぅ……」
必死になって知恵を絞ってみても、いい手は浮かんでこなかった。
結局、俺はどうにかして肌身離さず魔除けを身に着け、卒業まで淫紋を抑え続けようと考えたのだった。
卒業して独り立ちした後で、どうにか解呪する方法を探し出すしかない。
それまでは、どうにかして魔封じを淫紋に当て続けなくては。
手を離したり、運動などでうっかり外れないような方法を考えなくては。
やがて俺の思考は解呪ではなく、どうやって魔封じを身に着けるかに変わって行った。
そして何とかうまい装着方法に辿り着くと、急に体が楽になった。
あれほど悩まされた性欲が、驚くほど大人しくなったのだ。
魔封じさえつけている状態なら、三日に一度くらいの処理で事足りるほどに。
半面、うっかり魔封じを失くしてしまうと、ものの数分足らずで頭の中がピンクに染まってしまうのだが。
もしもに備えてオムツをつけ、予備の魔封じを常備する。
学園生活最後の一年は、はっきり言って俺の人生の汚点でしかない。
自業自得だが。
しかしそれも、卒業までの辛抱だ。
それまで、誰にもバレなければ……
ようやくそれに気づいたのは、精通からさらに半年以上過ぎてからだった。
この時俺は、恥ずかしながら毎日オムツを履いて生活していた。
射精できるようになってからと言うもの、日増しに性欲が高まって、一日から数日に一回済ませていればとりあえず抑えられたムラムラが、毎日最低でも一回以上しておかないと抑えられなくなっていたんだ。
それだけならまだいいが、ムラムラしてくるとガマン汁、もとい、謎の透明な体液が尻から溢れ出してくるのである。
それをすぐ気付けたのは本当に幸いだった。
気付く前に誰かに見つかっていたらと思うと、ぞっとする。
最初はパンツを重ねて穿いたりして対処しようとしたが、それでも布では心もとなく、最終的に子供用のオムツで落ち着いた。
服の下を誰かに見られたら洒落にならないが、尻に染みを作っているのを見られるよりはマシだ。
この時は、自分の小さな体に心底感謝したものだ。
ただ、それだけでは万全にはならない。
なにせ、本命は漏れ出すガマン汁ではなく、毎日の性欲の処理のほうなのだから。
「あっ……!?」
自分の性欲に振り回されて悩んでいたある時、俺は何気なくめくれたシャツの下の自分の腹を見て思わず声が出てしまった。
俺の淫紋は、普段は臍の真下のあたり、1センチほどの小さな点の形をしている。
丁度パンツで隠せる場所で、見られてもさほど目立つものじゃない。
身体検査でも見つかることがなかったのがその証明だ。
その淫紋が、じわじわと広がって伸びていたのだ。
それは、いつも俺が自慰に耽っているときに見ている変化だった。
淫紋は、俺の性欲の昂ぶりに合わせて植物が茂るように姿を変え、上は臍を包む左右対称の流線模様、下は陰嚢と陰茎に絡みつくような枝分かれした曲線になる。
完全に広がると臍に赤いハートの模様が浮かび上がって、完成した模様はまるで一本の花か、翼を広げた小動物を連想させた。
自分の身体ながら、裸体に浮かぶその模様はなんとも魅惑的で、これからする快楽への期待も相まってうっとりとしたものだ。
だが、今までは俺がムラムラするのに合わせて淫紋は開いていくはずだった。
今のこれは違う。
何もしていないのに勝手に淫紋が拡がって、それに押されるようにしてムラムラとした感情が膨れ上がってくる。
この時になってようやく、俺は自分の体がこれのせいでおかしくなってるんじゃないかと気が付いたのだった。
今までなんともなかったそれが、『呪い』だったことを思い出したんだ。
性欲に浮つく頭の中とは裏腹に、さあっと血の気が引いていった。
(ど、どうしよう……)
頭の中の半分は、今すぐ性欲を処理しようと催促を始めている。
そんな考えに押し流されないように、必死に頭を回転させた。
(呪印……呪い……そうだ!)
呪いなら魔封じのお守りで封じ込めることが出来るのではないか?
そう思い至って、すぐさま購買部で呪詛封じのお守りを購入し、腹に当てた。
結果は的中だった。
魔除けをじっと押し当てていると淫紋はするするとしぼんでいって、数分経った頃には元の点に戻ったのである。
それに合わせて、処理もしてないのに性欲もすっきりと収まっていた。
ホッとしたのもつかの間、お守りを離した途端、またすぐに淫紋は広がり始めた。
(どうしよう、どうしよう、どうしよう……)
寮の自室で一人、自問する。
答えは何も思いつかない。
誰かに相談する? 誰に?
友人知人は駄目だ。
こんな恥ずかしい呪いの事を、それも、自分で自分にかけただなんて知られたら恥ずかしさで死んでしまう。
呪術医?
それも駄目だ。
専門家に解析なんてされたらきっと呪いの内容までばれてしまう。
そうなれば、その検診結果は医者だけでなく家族にも連絡されるだろう。
絶対に駄目だ。
「うぅ……」
必死になって知恵を絞ってみても、いい手は浮かんでこなかった。
結局、俺はどうにかして肌身離さず魔除けを身に着け、卒業まで淫紋を抑え続けようと考えたのだった。
卒業して独り立ちした後で、どうにか解呪する方法を探し出すしかない。
それまでは、どうにかして魔封じを淫紋に当て続けなくては。
手を離したり、運動などでうっかり外れないような方法を考えなくては。
やがて俺の思考は解呪ではなく、どうやって魔封じを身に着けるかに変わって行った。
そして何とかうまい装着方法に辿り着くと、急に体が楽になった。
あれほど悩まされた性欲が、驚くほど大人しくなったのだ。
魔封じさえつけている状態なら、三日に一度くらいの処理で事足りるほどに。
半面、うっかり魔封じを失くしてしまうと、ものの数分足らずで頭の中がピンクに染まってしまうのだが。
もしもに備えてオムツをつけ、予備の魔封じを常備する。
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