ジンクス∞漁猫∞～君と僕の物語

03 歌われること

04

「旅行って……
　それ、ご両親は知っているの？」

　宮崎さんが当然の反応を示す。

「ううん。
　反対されるから内緒なんだ」

　美姫の答えに宮崎さんが驚く。

「ちょっとそれ、あとから問題にならない？
　貴方たちまだ高校生でしょう？」

　宮崎さんのいうことも最もだ。
　僕も宮崎さんの意見に賛成だ。
　高校生なのにふたりで旅行とかまだ早い。

「まぁ、あとでいっぱい怒られる覚悟はできているよ」

　美姫が、苦笑いを浮かべる。

「ま、そんなわけだ！
　あとのフォロー宜しくな！」

　護がそう言って豪快に笑う。

「フォローって言われても……」

　僕は、戸惑う。
　だって、それって一緒に泊まるってことだよね。
　もしかしたら、その……行為だってすることもある。
　ってか、もしかしたらそういう行為はもう済んでいるのかもしれない。
　そう思うと胸が切なくなった。

「お前も一緒に泊まったってことにしてくれ！
　頼む！」

　護が、手を合わせて僕に頼む。

「それだとその間、僕が外に出れないんじゃ……？」

　僕の意見に美姫が答える。

「引きこもって、お願い！」

「でも、ご飯とかは……？」

「……川名さん頼めるか？」

　護が川名さんの方を見る。

「頼むって何をですか？」

　川名さんも戸惑いの目で護の方を見ている。

「一の世話」

　護が白い歯をニッコリと見せる。

「……わかりました」

　川名さんがあっさりと承諾した。

「仕方がないわね」

　何故か宮崎さんも頷いた。

「え？宮崎さんも？」

「男一人女一人。
　何があるかわからないわ。
　私は、見張りにいかせてもらうわ」

「……そっか」

　僕は小さくうなずく。

「それにこう見えて私、料理もできるのよ？」

　宮崎さんが、腕をまくる。

「楽しみにしてるよ」

　僕の頭は少し痛くなった。
　って、当たり前か殴られたのだから……