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05 にょ
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病院から孤児院まで、そんなに離れてはいなかった。
だから、次の日もその次の日もお見舞いにいった。
「そんな毎日来なくてもいいよ……」
博くんは、照れくさそうに笑った。
でも、私は毎日会いたくなった。
港ちゃんは、今日は風邪でお見舞いはお休み。
今は、点滴を受けている。
「俺、明日手術なんだってさ……」
博くんが手を震わせながら私の手を握った。
「にょにょにょ」
手術って何?
私は、そう聞きたかったけど言葉に出来なかった。
「俺、怖い……」
「にょにょにょ」
「手術嫌だ!」
博くんはそう言うと、立ち上がって走り出した。
私も、博くんを追いかけた。
「瞳、ついて来てくれるのか?」
「にょにょ」
私は、『うん』とうなずいた。
博くんと一緒ならどこでもよかった……
博君は、私の手をぎゅっと握ると病院を出た。
私たちの小さな小さな冒険が始まるのだと、私の中で胸が高鳴った。
「俺、お母さんに会いたい」
「にょ?」
「俺のお母さん、死んでいないんだ……」
「にょにょにょ……」
「東京って場所にいるんだ……」
「にょーにょ?」
「だから、空港に行こう」
博くんは、私の手を引っ張った。
そして、私はそれに従った。
私たちは、お金を持っていなかった。
駅のホームで、私達は呆然と立っていた。
すると、博君は何かを思いついたかのように私の目を見て言った。
「いいか?
瞳、俺はあの人の後にこっそりとついて行くから……
お前は、あの人の後ろについていけ……」
それが、どういう意味かはわからない。
だけど私は、コクリとうなずいた。
だから、次の日もその次の日もお見舞いにいった。
「そんな毎日来なくてもいいよ……」
博くんは、照れくさそうに笑った。
でも、私は毎日会いたくなった。
港ちゃんは、今日は風邪でお見舞いはお休み。
今は、点滴を受けている。
「俺、明日手術なんだってさ……」
博くんが手を震わせながら私の手を握った。
「にょにょにょ」
手術って何?
私は、そう聞きたかったけど言葉に出来なかった。
「俺、怖い……」
「にょにょにょ」
「手術嫌だ!」
博くんはそう言うと、立ち上がって走り出した。
私も、博くんを追いかけた。
「瞳、ついて来てくれるのか?」
「にょにょ」
私は、『うん』とうなずいた。
博くんと一緒ならどこでもよかった……
博君は、私の手をぎゅっと握ると病院を出た。
私たちの小さな小さな冒険が始まるのだと、私の中で胸が高鳴った。
「俺、お母さんに会いたい」
「にょ?」
「俺のお母さん、死んでいないんだ……」
「にょにょにょ……」
「東京って場所にいるんだ……」
「にょーにょ?」
「だから、空港に行こう」
博くんは、私の手を引っ張った。
そして、私はそれに従った。
私たちは、お金を持っていなかった。
駅のホームで、私達は呆然と立っていた。
すると、博君は何かを思いついたかのように私の目を見て言った。
「いいか?
瞳、俺はあの人の後にこっそりとついて行くから……
お前は、あの人の後ろについていけ……」
それが、どういう意味かはわからない。
だけど私は、コクリとうなずいた。
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