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出会い

私の決意

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ゆうきサイド

自らを淫魔と名乗る少年に、昨夜の浴室での出来事を尋ねられて、私は何も返事が出来ずにいる。

沈黙は肯定だ。何かあったか?確かにあった。

「気持ち、よかったですか?」

少年は嬉しそうに瞳を細めて鮮やかに微笑んだ。

頬が熱くなった。きっと顔が赤いはずだ。

「また、して欲しいですか?たくさんしてあげたいんです。ゆうきさんが嫌がることは絶対しませんから。とっても気持ち良くなるだけです。」

少年は私の両手に自分の両手を、そっと乗せて囁くように誘うように、そう言う。

「そ、そう言うことは、恋人とか夫婦とか好き合っている人同士がするんだよ。」

焦って、そう口走る。

「ぼくの事、嫌いですか?触られたら嫌でしたか?」

「そっそもそも、大人は子供と、そんな事したら犯罪なんだよ。警察に捕まっちゃうような事なんだよ。」

「ぼくが子供の姿なのは、生まれた時に魔力が足りなくて大人の姿になれなかったからなんです。ゆうきさんを、うんと可愛がってあげたら、きっとすぐ大人の姿になれます。それに、姿は子供だけれど、ぼくは淫魔です。人間のルールからは外れている存在です。だから…。」

乗せた手に少し力を込めて懇願するように少年は言い募る。

「君は良くても……私は、私には無理だよ。」

「そうですか。」

大きく息を吐いて、少年は両手を解放する。

「残念ですが仕方ありません。全て話すと決心したのです。そう言われる事も想定の範囲内です。」

諦めたように少年は小さく笑った。この笑みは年相応に見えた気がした。

「それでは、急いで他を探さねばなりません。この姿なので、暫くマトモな食事が難しそうなので。」

少年はベットを下りるとTシャツをスポッと脱いだ。全裸のお尻に手をかざしてお尻から生えた尻尾を消して、まだ濡れているはずの昨日のシャツと短パンの姿に一瞬で着替えた。

これも魔力なんだろう。自分の目で見なければ、絶対に信じられない。

「ゆうきさんのお陰で数日は消える事もないと思います。犯罪とはいえ少年を性の対象にする男性が何処かにいるはずです。そのあたりを狙って何とかしてみます。」

ゆうきは呆然と少年の言葉を聞いていた。

少年は綺麗な笑顔を見せて

「ありがとうございました。お世話になりました。ぼく、ゆうきさんが大好きです。いつか、大人になれたら一生懸命アプローチしますから食べさせて下さいね。」

などと言われてしまうと、この天使みたいな(実際には淫魔だが)少年が脂ぎった男に組み敷かれて涙を流しながら好き勝手に陵辱されている姿が想像されて何だか胸がチクチク痛む。心がガリガリ削られる。

それはーーー駄目。個人的に私が嫌だ。寝覚めが悪くて仕方ない。

「ちょっ……ちょっ……ちょっと待って。待って。そんなの………。」

駄目だよ、そう言おうとして、そんな言葉が少年にとって、却って迷惑なのだと気付き口を噤む。けれども、いくら考えても、この子が男達にオモチャみたいにされるのは許せないと思う。

「私………。君が………その、大人の男の人と、そんな風になるの……嫌みたい。でも、今、君に……その………色々されて、君を大人の姿にして、君に食べられるのも怖い。……自分でもわかってるんだけど、すごく勝手な事、言ってるよね。」

少年は部屋から出て行きかけて振り返ったまま、ニコニコしている。

「そう思ってもらえて嬉しいです。」

「ちっ、ちなみに何をどのくらいしたら君は大人の姿になれるの?さ、参考までに聞いていい?」

おそるおそる、ゆうきが尋ねる。

「ぼくも生まれたばかりですので、具体的にはそれほど、はっきり分かり兼ねます。そうですね。生まれたままの姿で一晩中、絡まりあって、ゆうきさんが数えるのも忘れるくらい天国を味わって、ドロドロのグチャグチャになってくれれば一発だと思いますが。」

「どうしてハードルが、そんなに高いの?!」

「高いですか?普通だと思うのですが。ぼくが子供の姿なのでできる事も限られますし、かなりソフトな内容になると思うのですが。」

「ひいいぃいー。」

もう、そんな声しかでない。ああでも、どうしよう。私はこの淫魔の少年が、そんなに嫌いではないようだ、と焦った頭の中で考える。むしろ、好きかもしれない。それは、彼が淫魔だから、そう言う能力を持っているからかもしれないけれど、魔を司る者にしては、何だか正直だし真面目な感じだし、誠実だと思う。今も私が困っていたら、すぐに出て行こうとしてくれる。

それは自分を騙す為にやってるようには、どうしても見えない。それこそ淫魔の手口なのかもしれないけれど。「出て行って。」と一言言えば彼は今すぐここから去ってしまう、そんな確信があった。

「ああ、それと、別にぼく、一度で大人にならなくてもいいんです。と言うか、男に後ろから犯されて生き永らえながら時間と人数を稼いで大人になるより、子供の姿のままでも、ゆうきさんのそばにいれるなら、ぼくはそっちが、ずっと幸せです。」

殺し文句だなぁ。流石、魔性の者と言うべきか。

「私も……君がいたら、淋しくないし、可愛いし………。」

昨日の今日で、こんな事、決めてしまって、私はどうかしている。頭の中で理性が小言を言っている。

「あの、ええっと……お手柔らかにお願いします?」

ああ、とうとう言ってしまった。淫魔の少年を拾ってしまうなんて一緒に暮らす事になるなんて。いつもの倍速でこれからの事を考えて頭を抱える。

「これから、末永く可愛がってあげますね!ものすごく嬉しいです。」

ギュッと少年がゆうきに抱き付いてきた。その身体をポスっと受け止める。暖かくて幸せな気持ちになる。もう、かなりヤラレててる。すっかり彼の掌の上でコロコロされてる感がするんだけど………まあ、いいか。

「まずは、君の名前を決めましょう。それから朝ごはんを食べなくちゃ。」

「名前は、ゆうきさんが決めて下さい。朝ごはんはキスが良いですか?可愛がって愛してあげて良いですか?指を使いますか?舌も使って良いですか?」

「そっちのご飯じゃなーーい。」

爽やかな朝に、私の声が響き渡った。


第1章  出会い  完
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