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07:朝と夜の世界
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新しい部屋は宇宙をモチーフにしているようだった。
「本当にあいつが彼氏なのかよ?」
謎解きとは全然関係ないことを瑞希が言い出した。
「と、突然何?」
内心バクバクしながら、冷静に返事をする。
「あいつ絶対女にだらしないタイプだろ。騙されてんだよ。莉衣はバカだからな」
「奏斗くんはそんな人じゃないもん。奏斗くんはすごく優秀だし優しいし、学校でもみんなの人気者なんだから」
「だったらなおさら、そんなヤツが莉衣と付き合うはずないだろ」
そんなことはわたしが一番分かってる。
奏斗くんがわたしにつき合ってくれてるのは、本物の恋人関係じゃないから。
奏斗くんは優しいから、わたしが負い目を感じなくていいように本当の恋人のように扱ってくれるけど、わたしたちは本物の恋人同士じゃない。
わたしは奏斗くんのメイドで、奏斗くんはわたしを助けてくれた人。
……ううん。それだけじゃない、今日もこうして助けてくれてる人。
「わたしはね、奏斗くんのことが大好きで……とっても大切なの。だから瑞希にだって悪く言われたくない」
「だーかーらー、莉衣のことだましてそう思わせてるだけだっつってんだよ! ここまでシンプルに伝えても理解できねぇのかよ。おまえのその頭は髪伸ばすためだけについてんのかっ?」
「今日会ったばっかの瑞希には分からないよ! でもお願いだから、奏斗くんのことをこれ以上悪く言わないで」
瑞希が奏斗くんの良さを理解できないのはもう仕方がない。それは諦めるけど、奏斗くんの悪口は言われたくない。
「瑞希だって春姫ちゃんのことをけなされたら嫌でしょ?」
「……さぁな。あーあ、なんかシラけたわ」
瑞希から話を振ったくせに、さっさと部屋の観察に戻ってしまう。
そう言えば、この部屋で何をすればいいんだろう?
「朝と夜の世界を作るんだよね……」
朝と夜っていうのはこのリストバンドのこと。これを何すれば……?
周囲を見渡しても宇宙っぽい壁と地球の描かれた床があるくらい。
……地球?
「あ!」
「なんだよ、分かったのか?」
「ちょっと試してみたいことがあるの。こっちに来て、そこに立って」
地球の描かれている床に立ってもらい、わたしもその隣に立つ。
「ここでリストバンドを掲げて」
太陽と月の両方を地球の上に掲げると、地球に朝と夜が現れたことになる……はず。
「……何も起きねぇじゃん」
「…………」
もしかして違った?
そんな疑問が頭に浮かんだと同時に、部屋の天井が夜と朝の半々に塗り替わる。
「あ、合ってた~」
間違えたかと思って焦っちゃったじゃん。
「単純すぎるだろ。こんなの謎解きでもなんでもねーよ」
瑞希はなんだか悔しそう。クリアできたんだからなんでもいいと思うんだけどね。
「鍵開いたみたいだし、先に進もうよ。もしかしたら奏斗くんたちの方が先にクリアしてるかもしれないよ」
早く奏斗くんに会いたいな。
「……」
……あれ? わたし、今なんて思った……?
奏斗くんに会いたいって……。
どうしよう。いつの間にかこんなにも奏斗くんを頼りにしてたんだ。
わたし……どうしたらいいんだろう。
「おい、さっさと歩けって」
「あ……うん」
「ぼーっとしてるところ変わってねぇな」
瑞希がなんか話しかけてくるけど、頭に入って来ない。
そうこうしてるうちにまた部屋が現れる。
「二人とも、遅かったねー!」
春姫ちゃんがこっちに手を振っていた。
奏斗くんと春姫ちゃんの方が先に到着していたらしい。
「莉衣!」
奏斗くんがこちらに駆け寄ってきた。
「奏斗くん……どうしたの、そんなに慌てて」
「莉衣たちが遅かったから心配してたんだ。あいつに変なことされなかったか?」
「へーき、へーき」
わたしは何気なく答えたけど、瑞希としては聞き逃せなかったらしい。
「顔合わせるたびに喧嘩売ってくんのやめろよな」
「こっちだっておまえみたいなのじゃなければ、もう少し丁寧な態度だったつーの」
「奏斗くんは心配性なんだね。学校だとそんな感じじゃなかったから、ちょっと意外かも」
学校での奏斗くんは話題の中心ではあるけど、誰かをそんなに心配してる姿は見なかった。
「うーん? なーんか、ちょっと気になるなぁ」
「どうかしたの? 春姫ちゃん」
春姫ちゃんが難しい顔をしてわたしに近づいて来る。
「さっき奏斗くんと一緒にいたときにも感じたんだけど、莉衣ちゃん達ってさ……」
「?」
なんだろう?
「本当に付き合ってるの?」
「本当にあいつが彼氏なのかよ?」
謎解きとは全然関係ないことを瑞希が言い出した。
「と、突然何?」
内心バクバクしながら、冷静に返事をする。
「あいつ絶対女にだらしないタイプだろ。騙されてんだよ。莉衣はバカだからな」
「奏斗くんはそんな人じゃないもん。奏斗くんはすごく優秀だし優しいし、学校でもみんなの人気者なんだから」
「だったらなおさら、そんなヤツが莉衣と付き合うはずないだろ」
そんなことはわたしが一番分かってる。
奏斗くんがわたしにつき合ってくれてるのは、本物の恋人関係じゃないから。
奏斗くんは優しいから、わたしが負い目を感じなくていいように本当の恋人のように扱ってくれるけど、わたしたちは本物の恋人同士じゃない。
わたしは奏斗くんのメイドで、奏斗くんはわたしを助けてくれた人。
……ううん。それだけじゃない、今日もこうして助けてくれてる人。
「わたしはね、奏斗くんのことが大好きで……とっても大切なの。だから瑞希にだって悪く言われたくない」
「だーかーらー、莉衣のことだましてそう思わせてるだけだっつってんだよ! ここまでシンプルに伝えても理解できねぇのかよ。おまえのその頭は髪伸ばすためだけについてんのかっ?」
「今日会ったばっかの瑞希には分からないよ! でもお願いだから、奏斗くんのことをこれ以上悪く言わないで」
瑞希が奏斗くんの良さを理解できないのはもう仕方がない。それは諦めるけど、奏斗くんの悪口は言われたくない。
「瑞希だって春姫ちゃんのことをけなされたら嫌でしょ?」
「……さぁな。あーあ、なんかシラけたわ」
瑞希から話を振ったくせに、さっさと部屋の観察に戻ってしまう。
そう言えば、この部屋で何をすればいいんだろう?
「朝と夜の世界を作るんだよね……」
朝と夜っていうのはこのリストバンドのこと。これを何すれば……?
周囲を見渡しても宇宙っぽい壁と地球の描かれた床があるくらい。
……地球?
「あ!」
「なんだよ、分かったのか?」
「ちょっと試してみたいことがあるの。こっちに来て、そこに立って」
地球の描かれている床に立ってもらい、わたしもその隣に立つ。
「ここでリストバンドを掲げて」
太陽と月の両方を地球の上に掲げると、地球に朝と夜が現れたことになる……はず。
「……何も起きねぇじゃん」
「…………」
もしかして違った?
そんな疑問が頭に浮かんだと同時に、部屋の天井が夜と朝の半々に塗り替わる。
「あ、合ってた~」
間違えたかと思って焦っちゃったじゃん。
「単純すぎるだろ。こんなの謎解きでもなんでもねーよ」
瑞希はなんだか悔しそう。クリアできたんだからなんでもいいと思うんだけどね。
「鍵開いたみたいだし、先に進もうよ。もしかしたら奏斗くんたちの方が先にクリアしてるかもしれないよ」
早く奏斗くんに会いたいな。
「……」
……あれ? わたし、今なんて思った……?
奏斗くんに会いたいって……。
どうしよう。いつの間にかこんなにも奏斗くんを頼りにしてたんだ。
わたし……どうしたらいいんだろう。
「おい、さっさと歩けって」
「あ……うん」
「ぼーっとしてるところ変わってねぇな」
瑞希がなんか話しかけてくるけど、頭に入って来ない。
そうこうしてるうちにまた部屋が現れる。
「二人とも、遅かったねー!」
春姫ちゃんがこっちに手を振っていた。
奏斗くんと春姫ちゃんの方が先に到着していたらしい。
「莉衣!」
奏斗くんがこちらに駆け寄ってきた。
「奏斗くん……どうしたの、そんなに慌てて」
「莉衣たちが遅かったから心配してたんだ。あいつに変なことされなかったか?」
「へーき、へーき」
わたしは何気なく答えたけど、瑞希としては聞き逃せなかったらしい。
「顔合わせるたびに喧嘩売ってくんのやめろよな」
「こっちだっておまえみたいなのじゃなければ、もう少し丁寧な態度だったつーの」
「奏斗くんは心配性なんだね。学校だとそんな感じじゃなかったから、ちょっと意外かも」
学校での奏斗くんは話題の中心ではあるけど、誰かをそんなに心配してる姿は見なかった。
「うーん? なーんか、ちょっと気になるなぁ」
「どうかしたの? 春姫ちゃん」
春姫ちゃんが難しい顔をしてわたしに近づいて来る。
「さっき奏斗くんと一緒にいたときにも感じたんだけど、莉衣ちゃん達ってさ……」
「?」
なんだろう?
「本当に付き合ってるの?」
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