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エルフの集落にて 出会い編
エルフの王子様
しおりを挟む「そういえばユリィ、さっきアイザさんのことをジルヴァって呼んでいたけど、どういうこと?。エルフは名前が二つあるのか?。」
ユリィに降ろしてくれるよう説得するのは無理だと早々に諦め、いつもより目線の高い景色を楽しんでいた。子供のように抱えられている恥ずかしい現状への現実逃避とも言う。
数十分程森のなかを進んだあたりで、ふとさっきアイザさんが違う名前で呼ばれていたことを思い出して、ユリィに質問する。
「凄いな、よく気がついた。カノは頭が良いのだな。」
「ふ、普通だよ…。」
この幼い子供相手のような態度で接せられるのはここずっと続いているが、毎度大変気恥ずかしくて仕方ない。恥ずかしさから顔を手で隠してもそれすら温かい目で見られてしまう。どうしろと言うんだ。
うぅ、本当に俺は大人なのに…。
道中幾ら言っても、彼らからしたら子供が背伸びしているようにしか見えないのだろう。余計に可愛がられてしまうから、もはや訂正するのを諦めつつある。
「カノの言う通りエルフは名を二つ持っている。表向きに名乗るものは晒し名と呼ばれており、同族以外の者には主にこちらを使うな。」
「じゃあユリィは、本当の名前じゃないんだ。」
「否、ユリイカが私の真名だ。」
「真名が、本当の名前って意味なのか…。ん?、でもさっきユリィが言った説明じゃ同族以外には晒し名を名乗るって言ったよね、俺はエルフじゃないけど?。」
「例外もあるのだ。」
「例外?。」
正面を向いて歩いていたユリィが、俺の方に顔を向けて言う。
「気に入った者であれば、エルフではない種族でも真名を名乗ってよいのだ。」
それはつまり、ユリィが俺のことを気に入っているということになるんですが…。
「とは言っても、初対面でいきなり明かすようなものでもありません。若様が真名を名乗られて、俺とイグは肝が冷えました…。」
「反省している。けれど、私は己の行いが間違っていたとは思わぬよ、この通りカノは良い子だ。」
「はぁ、それ結果論じゃないですか…あぁ、因みにイグは俺の真名だぞ。」
「ジルヴァさんとイグさん。」
「あぁ、好きなほうで呼んでくれていい。」
にかりと歯を見せて男らしく笑うゾンネさんことイグさん。イグさんは炎みたいな赤い髪をしていて、目は濃い黄色だ。
アイザさんことジルヴァさんは、グレーに近い銀色の髪で、目の色はイグさんと同じ。
二人共狩人のような服を着ている。
「二つも名前があってややこしくはないの?。」
「………私が生まれるよりもずっと昔に、エルフ族は一度滅ぶ寸前にまで追い込まれたことがある。その原因が他種族の者らにあったのだ。だから我々エルフは、基本的に他種族を嫌っておる。」
「あっ……そう、だったんだ。ごめん、無神経なこと聞いた。」
「構わぬ。私は経験してはいないから、だから皆よりも他種族に対して思うところは少ないのだ。」
「経験の有無は関係ありませんよ。集落では若様ぐらいです、積極的に他種族と交流を持とうとされるのは。」
「俺とジルヴァにも少なからず他種族に対する恨みつらみはあるからな。」
そうなのか…。
なのに、人間の俺がエルフたちの集落に行っても大丈夫なのかと心配になってきた。俺を招いたせいで、ユリィたちが反感を買わないといいけど…。
俺が俯いていることに気づいたユリィが、慰めるように笑顔で頭を撫でてくる。
「不安にさせてしまったな。心配しないで、カノのことは私が守るから。」
ユリィの言葉に無言で頷く。
「確かに最初は警戒されるだろうが、我らが貴き存在である若様に気に入られた人物だと知られれば、皆も受け入れてくれるはずだ。」
だからそんな顔するな、とイグさんも俺を気にかけて言ってくれる。それに続くように先頭を歩くジルヴァさんも口を開いた。
「ああ、王族の決めたことに否を申せる者はいない。」
「……………ちょっと待って、王族??。誰が?。」
「言っていなかったか?。私はエルフ族を束ねる長の息子なのだ。所謂、エルフの王子だ。」
王子様みたいだと言ったけど、まさか本当に本物の王子様だったとは…。驚きのあまり口がぽかんと開いたままになってしまう。
分かりやすい俺の様子が面白かったのか、上品にくすくすと笑ったユリィがふと顔を上げた。
「さぁ、着いたぞ。ここが我らの集落だ。」
~
異世界の歩き方、そのに!
人物詳細
真名(ユリイカ)晒し名(???)
朝露のような透き通った水色の髪は長髪で、高い位置で結んでいる。三つ編みの編み込みが入っている。
深い緑の葉に水が落ちた波紋のような不思議な色の瞳。
一人称は私。服の色は全体的に白く、布の広がる感じが特徴的な民族服。
水の妖精の祝福を受けている。
真名(イグ)晒し名(ゾンネ)
赤色の髪に濃い黄色の目。
髪は少し耳にかかる程度の長さ。
一件クールに見えるが実は熱い性格。魔法よりも剣や弓等の腕っ節に自信がある。
ユリイカに忠誠を捧げている。
炎の妖精の祝福を受けている。
真名(ジルヴァ)晒し名(アイザ)
銀色の髪に濃い黄色の目。
髪は肩にはかからないが、長めであり下で軽く結っている。
ツンとしたクールな性格、だが少し抜けているところがある(本人は隠しているつもりだが親しい者にはバレている)。筋力共に体力に自信はないが、魔法が得意。
ユリイカに忠誠を捧げている。
風の妖精の祝福を受けている。
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すごく面白いです!
続き楽しみにしてます☺️
これからどんな展開になるのか楽しみです!!応援してます📣📣