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第1章【女神様は笑わない】
7「尊死寸前ショッピング」
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「私、そんな服を持ってきていたんだな…?」
くるりと私が回ってみると、松邨さんが怪訝な顔をした。
私は今、ブラウンの薄手のニットの長袖トップスに、黒いビスチェ?みたいなのと明るめの色のジーンズパンツを履いている。靴は学校用のスニーカーだ。全体的に秋っぽくて季節にも合ってるし、そこまでクソダサいってわけではないと思うけど、安心はできない。
なんせ私の隣に並ぶ(であろう)人たちが全員アイドル級のイケオジだからだ。
「もしかして……変…ですか?」
恐る恐る聞いてみるも、松邨さんは「そう言う意味じゃない、似合ってるぞ」と首を傾げたまま言った。いやいやいや、似合ってるぞって顔してませんよ、とは言わないでおいた。
「いや…なんと言うか、もっと地味な感じになると思っていたんだが…素材の問題か?…センスか?私のセンスが悪いのか?」
松邨さんの厳しい?ファッションチェックを受けた後駐車場に向かうと、なんとそこには、…私服の河村さん達が車の周りに立っていた。
改めて身長高っ。スタイル良っ。顔良っ。何この集団、本当に警察官??三次元の警察官はみんな熱血系か小太りのオッサンだと思っていたのに。まぁ、小太りのオッサンも嫌いではないっちゃないけど…。
「おっ、来た!行こっかハルカちゃん!」
そう言う黒沼さんは、優しい黄色のパーカーに茶色のジャケット、紺のカーゴパンツを合わせたラフめなスタイルだ。可愛い……。ピンクの髪色も相まって優しい雰囲気だが、紺のカーゴパンツが引き締めてる感じがする。
隣の小野さんは黒いタートルネックに灰色のコートを着ていて、黒いズボンが一層足の細さを引き立てている。…え、足細過ぎない?私と同じくらいだよ!?まぁ、私の足が脂肪ついてるっていうのはあるけど…
また隣に目をやると、有坂さんは赤茶色の大きめな柄シャツに黒のゆるめのズボンを履いていて、…胸元が大きめに開いている。いや大きめって言ってもそこまでではないけどちょっと危ないんじゃないですかそれは??くらいの。…まぁ本人にそんなこと言える訳もなく、私が危ないので早めに目を逸らした。
私服姿が想像できない人No.1の河村さんの方にやっとの思いで目を向けると、白無地のTシャツ?にジャケットを羽織り、真ん中に線が入るタイプの黒いズボンを履いていた。なるほどね、そっち系ね。私服と制服あんまり変わらないタイプね。ふーん、好き。
相変わらずの凛とした吊り目だったけど、過去一番生き生きしているような気がした。もしかして、河村さんも楽しみなんだろうか、ショッピング。いやそんな訳はないか。
車を走らせてやっと着いたのは、近所のショッピングモール。と言っても、普段私があまり行かない方だ。今日は平日だし、きっと同級生にも鉢合わせないだろう。
平日のショッピングモールはいつもより空いてはいるものの、ぱらぱらと人が見える程度だ。土日に行くといつも混み合うフードコートすらガラ空き。まぁ当然っちゃ当然だけど、こんなに空いたショッピングモールは初めてなのでちょっとドキドキだ。
「晴香さん、どこか行きたい店はありますか?」
小野さんがスッと私にマップを差し出した。わぁ、何このデキる男。
「そうですね…とりあえず、洋服とか揃えた方がいいんじゃないでしょうか…?」
「俺、ハルカちゃんの服選びたい!」
……え。
「えっ、わ、私の服ですか…!?」
黒沼さんは既に、リーフレットを流し見て行きたい店を選び始めているようだ。
私の服を、選びたいだと。本当に何なんだこの大型犬は!!こっちがあんたの発言で一喜一憂してんの分かってんのか!!と頭の中で捲し立てる。きっと分かっていないんだろうな、この人は。
「…ま、お嬢ちゃんが行きたい店の目星つけとらんのやったら、黒沼に付き合うてやったらええんとちゃう?」
ノリノリの黒沼さんをよそに、どんまい、といった含みを持った声色で有坂さんが言った。あぁ、いつもこうなのねこの人たち……。結構仲良しになれたとは思ってるけど、実験終わりにちょこちょこ話したりするくらいで有坂さんたちの仕事してるところは見たことがない。まぁでも、…楽しそうだな。
だいたいいつもの様子が察せられたところで、私たちは一つ目の店に向かいゆっくりと歩みを進めることにした。
そのとき、有坂さんに誰かが軽くぶつかった。私がそっちを振り向こうとすると、予測していたのか小野さんが肩に手を添え、私をぐっと抱き寄せた。
「あっ…す、すみません…」
「おう、悪いな」
「有坂、今の……」
四人が声を憚りながら目線を合わせた。
「な、何かありましたか?」
必死にドキドキを抑えながら四人の方を伺った。でも、有坂さんに何でもないと返され、その後は特に何もないままお店に行き着いた。
「さ……さすがに、この服は似合ってないんじゃないでしょうかねぇ…あと、着る機会もない……」
私が今着ているのは、シャツもスカートも黒沼さんが選んでくれた服だ。胸元に綺麗目なリボンがついたシャツに、タイトなスカート。言ってしまえば、カジュアルめな就活生みたいなスタイルだ。服に惹かれないかと言われると全然そんなことはないのだが、ただ本当に着る機会がなさそうだ。この先どんな頻度で実験があるのかもわかんないし…。
「えぇ~?めっちゃ似合ってるけどなぁ…和彦どう思う?」
「似合っていると思います。しかし晴香さんの言うとおり、こんなきちんとした服を着る場面があるかは。」
お世辞…じゃないと信じたい。
…似合ってるんだ、私。いつもは本当に、ごく普通の女の子が着るようなファッションで済ませていて、こういう少し背伸びした綺麗系やら、量産やらフェミニン強めな服やらには手を出したことがなかったけど。綺麗系似合うんだ、私。ふーん。
「似合っていて着られるなら買えばいい。金は上が出してくれる。この服、クレジットでお願いします。」
「はーい、お似合いですねー。トップスとスカート両方でよろしいでしょうか?包装などは……」
あまりにも自然に河村さんが買うものだから、一旦スルーして驚いた。
「そ、そんな、お金が勿体なくないですか!?」
「お嬢ちゃんはそんな事ぁ気にせんでええ、っちゅうことや。」
有坂さんが豪快に笑った。気にしなくていいって、そんなの無理でしょ…!!
くるりと私が回ってみると、松邨さんが怪訝な顔をした。
私は今、ブラウンの薄手のニットの長袖トップスに、黒いビスチェ?みたいなのと明るめの色のジーンズパンツを履いている。靴は学校用のスニーカーだ。全体的に秋っぽくて季節にも合ってるし、そこまでクソダサいってわけではないと思うけど、安心はできない。
なんせ私の隣に並ぶ(であろう)人たちが全員アイドル級のイケオジだからだ。
「もしかして……変…ですか?」
恐る恐る聞いてみるも、松邨さんは「そう言う意味じゃない、似合ってるぞ」と首を傾げたまま言った。いやいやいや、似合ってるぞって顔してませんよ、とは言わないでおいた。
「いや…なんと言うか、もっと地味な感じになると思っていたんだが…素材の問題か?…センスか?私のセンスが悪いのか?」
松邨さんの厳しい?ファッションチェックを受けた後駐車場に向かうと、なんとそこには、…私服の河村さん達が車の周りに立っていた。
改めて身長高っ。スタイル良っ。顔良っ。何この集団、本当に警察官??三次元の警察官はみんな熱血系か小太りのオッサンだと思っていたのに。まぁ、小太りのオッサンも嫌いではないっちゃないけど…。
「おっ、来た!行こっかハルカちゃん!」
そう言う黒沼さんは、優しい黄色のパーカーに茶色のジャケット、紺のカーゴパンツを合わせたラフめなスタイルだ。可愛い……。ピンクの髪色も相まって優しい雰囲気だが、紺のカーゴパンツが引き締めてる感じがする。
隣の小野さんは黒いタートルネックに灰色のコートを着ていて、黒いズボンが一層足の細さを引き立てている。…え、足細過ぎない?私と同じくらいだよ!?まぁ、私の足が脂肪ついてるっていうのはあるけど…
また隣に目をやると、有坂さんは赤茶色の大きめな柄シャツに黒のゆるめのズボンを履いていて、…胸元が大きめに開いている。いや大きめって言ってもそこまでではないけどちょっと危ないんじゃないですかそれは??くらいの。…まぁ本人にそんなこと言える訳もなく、私が危ないので早めに目を逸らした。
私服姿が想像できない人No.1の河村さんの方にやっとの思いで目を向けると、白無地のTシャツ?にジャケットを羽織り、真ん中に線が入るタイプの黒いズボンを履いていた。なるほどね、そっち系ね。私服と制服あんまり変わらないタイプね。ふーん、好き。
相変わらずの凛とした吊り目だったけど、過去一番生き生きしているような気がした。もしかして、河村さんも楽しみなんだろうか、ショッピング。いやそんな訳はないか。
車を走らせてやっと着いたのは、近所のショッピングモール。と言っても、普段私があまり行かない方だ。今日は平日だし、きっと同級生にも鉢合わせないだろう。
平日のショッピングモールはいつもより空いてはいるものの、ぱらぱらと人が見える程度だ。土日に行くといつも混み合うフードコートすらガラ空き。まぁ当然っちゃ当然だけど、こんなに空いたショッピングモールは初めてなのでちょっとドキドキだ。
「晴香さん、どこか行きたい店はありますか?」
小野さんがスッと私にマップを差し出した。わぁ、何このデキる男。
「そうですね…とりあえず、洋服とか揃えた方がいいんじゃないでしょうか…?」
「俺、ハルカちゃんの服選びたい!」
……え。
「えっ、わ、私の服ですか…!?」
黒沼さんは既に、リーフレットを流し見て行きたい店を選び始めているようだ。
私の服を、選びたいだと。本当に何なんだこの大型犬は!!こっちがあんたの発言で一喜一憂してんの分かってんのか!!と頭の中で捲し立てる。きっと分かっていないんだろうな、この人は。
「…ま、お嬢ちゃんが行きたい店の目星つけとらんのやったら、黒沼に付き合うてやったらええんとちゃう?」
ノリノリの黒沼さんをよそに、どんまい、といった含みを持った声色で有坂さんが言った。あぁ、いつもこうなのねこの人たち……。結構仲良しになれたとは思ってるけど、実験終わりにちょこちょこ話したりするくらいで有坂さんたちの仕事してるところは見たことがない。まぁでも、…楽しそうだな。
だいたいいつもの様子が察せられたところで、私たちは一つ目の店に向かいゆっくりと歩みを進めることにした。
そのとき、有坂さんに誰かが軽くぶつかった。私がそっちを振り向こうとすると、予測していたのか小野さんが肩に手を添え、私をぐっと抱き寄せた。
「あっ…す、すみません…」
「おう、悪いな」
「有坂、今の……」
四人が声を憚りながら目線を合わせた。
「な、何かありましたか?」
必死にドキドキを抑えながら四人の方を伺った。でも、有坂さんに何でもないと返され、その後は特に何もないままお店に行き着いた。
「さ……さすがに、この服は似合ってないんじゃないでしょうかねぇ…あと、着る機会もない……」
私が今着ているのは、シャツもスカートも黒沼さんが選んでくれた服だ。胸元に綺麗目なリボンがついたシャツに、タイトなスカート。言ってしまえば、カジュアルめな就活生みたいなスタイルだ。服に惹かれないかと言われると全然そんなことはないのだが、ただ本当に着る機会がなさそうだ。この先どんな頻度で実験があるのかもわかんないし…。
「えぇ~?めっちゃ似合ってるけどなぁ…和彦どう思う?」
「似合っていると思います。しかし晴香さんの言うとおり、こんなきちんとした服を着る場面があるかは。」
お世辞…じゃないと信じたい。
…似合ってるんだ、私。いつもは本当に、ごく普通の女の子が着るようなファッションで済ませていて、こういう少し背伸びした綺麗系やら、量産やらフェミニン強めな服やらには手を出したことがなかったけど。綺麗系似合うんだ、私。ふーん。
「似合っていて着られるなら買えばいい。金は上が出してくれる。この服、クレジットでお願いします。」
「はーい、お似合いですねー。トップスとスカート両方でよろしいでしょうか?包装などは……」
あまりにも自然に河村さんが買うものだから、一旦スルーして驚いた。
「そ、そんな、お金が勿体なくないですか!?」
「お嬢ちゃんはそんな事ぁ気にせんでええ、っちゅうことや。」
有坂さんが豪快に笑った。気にしなくていいって、そんなの無理でしょ…!!
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