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8 惚れ薬被害者の会(仮)ルークス・ガルム男爵子息
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浮気男(将来)が浮気した事による相手有責の婚約破棄で相手の女(アリアナ嬢)にざまぁされる予定が、話が大きくなってしまった。
かと言って、知ったからにはそれを見逃すことはできない。有望株な男ばかり落としているなとは思っていたけれど、それがアリアナ嬢の魅力だというのならもはや引っかかる男が悪いけれど、惚れ薬のせいでそうなっていたのだとしたら……。
宮廷薬師団もそれなりな高官だ。実力、知識、そして魔力が求められる。薬は煎じて飲むよりも、魔力で薬剤に加工した方がはるかに効果が高い。
そんな宮廷薬師団の内情は秘されている。魔術師団にいたお祖母様も詳しいことは知らないと言っていた。
国には犯罪者に自白剤を使うことは許されている。が、惚れ薬。惚れ薬と聞いて欲しがるのは精々振り向いて欲しい人がいる若い男女くらいだろう。
そして、大抵のものはプラシーボ効果……つまりは思い込みで、惚れ薬だと思って飲ませたり食べさせたりするような積極的なアプローチによって相手が振り向いてくれる眉唾物らしい。アリサ調べだから間違いはない。
国としてこの薬品を開発した人に子爵位を与えて薬師団から追い出したのは、これだけの位と金をやるからもう大人しくしとけ、というのもあるだろうし、その知識で薬草を育てて国に役立てろ、という意味合いもあったことだろう。
だけど今、ちょうど今、同級生にこれだけの有望株が揃って、その子孫の娘が同じ学園に通っている……うん、もうこれは確実に『国を落とすぞ♡』という意思に感じられる。私が勘繰りすぎかと思ってお祖母様に相談したら「私なら……親に言われたら喜んでやるだろうねぇ。薬師団から追い出されるなんて、不名誉は晴らしたいしねぇ」などと言う。
いてもたってもいられなくなった私は、グレアム様には二度と私に差し入れをしない事と、アリアナ嬢……ヴィンセント家との惚れ薬のやりとりを二度としないことを誓わせて、そしたらランチ位はご一緒します、と言って鞭鞭飴のコンボで帰した。あの喜びようなら心配ないはずだ。
月曜の朝、普段より1時間早く学園に向かった。まだ生徒の姿はちらほらとしか見えないが、あの人は演習場で剣を振るっているはずだ。
そしたら、予想通りいた。赤い短髪の、鍛えられた締まった体つきの生徒。これからもっと背が伸びて胸も厚くなり、少し童顔気味の顔で女生徒の人気を掻っ攫う、ルークス・ガルム男爵子息。
「ごきげんよう。朝から精が出ますね」
笑って声をかけ、タオルを差し出す。薄汗をかいた彼は暫く呆けていたが、ありがとうと言って慌ててタオルを受け取った。
「えぇと、君は……」
「ニア、と申します。ユーリア伯爵家の娘です。ルークス様」
「私を知っているのですか?」
えぇ、前回の人生で後ろに手を捻りあげられましたので、とは脳内に留めて、私は彼に2つのお願い事をした。
奇妙だと思うだろうけれど、詳しいことはちゃんと説明するので、と。
私が考えたのは、惚れ薬被害者(未遂)の会を作ることだった。
グレアム様も一応入れておけば、私は浮気していると思われないだろう。
まずは朝っぱらから演習場で剣を振って一人でいる事の多いルークス様からだ。一番近づきやすくもあるはずだし。
とりあえずの勧誘と注意に成功すると、私は学園の聖堂に今度は足を向けた。
かと言って、知ったからにはそれを見逃すことはできない。有望株な男ばかり落としているなとは思っていたけれど、それがアリアナ嬢の魅力だというのならもはや引っかかる男が悪いけれど、惚れ薬のせいでそうなっていたのだとしたら……。
宮廷薬師団もそれなりな高官だ。実力、知識、そして魔力が求められる。薬は煎じて飲むよりも、魔力で薬剤に加工した方がはるかに効果が高い。
そんな宮廷薬師団の内情は秘されている。魔術師団にいたお祖母様も詳しいことは知らないと言っていた。
国には犯罪者に自白剤を使うことは許されている。が、惚れ薬。惚れ薬と聞いて欲しがるのは精々振り向いて欲しい人がいる若い男女くらいだろう。
そして、大抵のものはプラシーボ効果……つまりは思い込みで、惚れ薬だと思って飲ませたり食べさせたりするような積極的なアプローチによって相手が振り向いてくれる眉唾物らしい。アリサ調べだから間違いはない。
国としてこの薬品を開発した人に子爵位を与えて薬師団から追い出したのは、これだけの位と金をやるからもう大人しくしとけ、というのもあるだろうし、その知識で薬草を育てて国に役立てろ、という意味合いもあったことだろう。
だけど今、ちょうど今、同級生にこれだけの有望株が揃って、その子孫の娘が同じ学園に通っている……うん、もうこれは確実に『国を落とすぞ♡』という意思に感じられる。私が勘繰りすぎかと思ってお祖母様に相談したら「私なら……親に言われたら喜んでやるだろうねぇ。薬師団から追い出されるなんて、不名誉は晴らしたいしねぇ」などと言う。
いてもたってもいられなくなった私は、グレアム様には二度と私に差し入れをしない事と、アリアナ嬢……ヴィンセント家との惚れ薬のやりとりを二度としないことを誓わせて、そしたらランチ位はご一緒します、と言って鞭鞭飴のコンボで帰した。あの喜びようなら心配ないはずだ。
月曜の朝、普段より1時間早く学園に向かった。まだ生徒の姿はちらほらとしか見えないが、あの人は演習場で剣を振るっているはずだ。
そしたら、予想通りいた。赤い短髪の、鍛えられた締まった体つきの生徒。これからもっと背が伸びて胸も厚くなり、少し童顔気味の顔で女生徒の人気を掻っ攫う、ルークス・ガルム男爵子息。
「ごきげんよう。朝から精が出ますね」
笑って声をかけ、タオルを差し出す。薄汗をかいた彼は暫く呆けていたが、ありがとうと言って慌ててタオルを受け取った。
「えぇと、君は……」
「ニア、と申します。ユーリア伯爵家の娘です。ルークス様」
「私を知っているのですか?」
えぇ、前回の人生で後ろに手を捻りあげられましたので、とは脳内に留めて、私は彼に2つのお願い事をした。
奇妙だと思うだろうけれど、詳しいことはちゃんと説明するので、と。
私が考えたのは、惚れ薬被害者(未遂)の会を作ることだった。
グレアム様も一応入れておけば、私は浮気していると思われないだろう。
まずは朝っぱらから演習場で剣を振って一人でいる事の多いルークス様からだ。一番近づきやすくもあるはずだし。
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