【完結】王太子殿下に真実の愛だと見染められましたが、殿下に婚約者がいるのは周知の事実です

葉桜鹿乃

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15 そして数日、嫌がらせを受けています

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 皆さまご機嫌よう、ユーリカです。心の中でそうは言っては見るものの、私はあの生徒会室の事件以来、非常に陰湿な嫌がらせを受けている。

 泣いてるところをずっとバルティ様に宥めてもらっていました。これは合っています。

 場所? 生徒が誰でも通れる通路の、休憩用のソファです。生徒会室に用がある人が座って待つための。

 えぇえぇ、いました。山ほどの目撃者が。そして、取引の内容は間違ってなかった。

 バルティ様の熱狂的で奥ゆかしいファンの皆さんに、今、現在、数日に渡り嫌がらせを受けている。

 それがまた、こすい。ないことないこと言いふらし、傍目から見たら清い交際を同意の上でしているというのに。

 何故か私が殿下に婚約者がいると知りながら粉をかけ、フラれたところをバルティ様に泣き落としをかけて慰められていた。

 そんな噂をあっという間に全校生徒に行き渡らせ、私はクラスではぼっちだ。ひとりぼっちのぼっち。

 休み時間のたびにバルティ様やファリア嬢が顔を出し、仲良くしているというのに、噂の力はげにおそろしきもの。

 これを避けたかったから! バルティ様との取引に応じたのに!

 このまま行くとみんな揃って社交界デビュー、即ぼっち決定だ。嫁ぎ先探しどころじゃない。

 恨むぞ殿下。今はファリア嬢との関係修復に勤しんでいますが、私の事もどうかお忘れなく。

 いえ、愛とやらを向けられなくなったのは助かるんですけどね。顔があうたびに気不味そうに視線を外されると、噂の信憑性が城の基礎のようにしっかり裏付けされてしまうわけで。

 そこら辺なー! わかってる! まだ、殿下にそれを求めるのは酷だと!

 あの場にいた殿下を含めた4人はわかってる! 吹聴する気はない! あと今吹聴するのは物理的に無理!

 まぁ、授業は復習のために真面目に受けているし、教師陣は大人だからか殿下の未熟さには気付いていたようで(進言できないのが建前と本音の身分差の悲しいところですが)、私をハブったりしない。

 登校も休み時間もランチも生徒会も帰りもバルティ様は一緒にいてくれる。それが余計に火に油を注いでいるんですが。あの人嫌味眼鏡のあだ名とは正反対の不器用生真面目だからな、分かってない。

 好意を無碍にするのは本意じゃ無いし、何より、早々私は立ち直りが早いわけじゃなく。

 ファリア嬢も手を回してくれてるけれど、恋に盲目な奥ゆかしくて正体を掴めないご令嬢たちの尻尾は未だつかめず。

 はぁ……、虫除けとして役に立ってるみたいですし、私も虫(殿下)除けとしてバルティ様に支えられた御恩もあるし。

 あー、もー、どうしようかなぁ。身分的に私の上となると、同学年では殿下とバルティ様くらいで。身分は関係ないという建前でこう好き勝手されるのも、そろそろ腹も立ってきたし。

 全部殿下のせいだ! と、寝る前に枕を殴ったりもしますが、殿下の事情を知っていると責めるに責められない。

 そんな訳で私、いじめられています。

 神様、私なにか悪いことしましたか?
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