死ぬほど嫌いな上司と付き合いました

三宅スズ

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3.突然の好きだよ宣言!?

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俺の大型契約達成のお祝いとして、瀧本と二人で個室の居酒屋に来た。

まさかこんな日が来ようとは‥‥我ながら不思議で仕方がない。
でも、今から始まる瀧本とのサシ飲みが少し楽しみでもあった。
仕事サイボーグの瀧本。その人間的な部分も気になる。

「急遽決めたけど、良い感じの店じゃないっすか! 瀧本さん的にどうですか!」

「うん。良いセンスだと思うよ。皆川は、居酒屋にはよく行くの?」

「行きますよ! 俺、飲みながら人と話するの好きなんで! っていうか瀧本さん、初めて俺に質問もしてくれましたね!?」

「そうなのか?」

「そうですよ! 仕事の進捗以外のことを瀧本さんから聞かれたことないっすよ!マジで!なんだ、普通に話せますやん!」

「そうか。それは悪かったな。」

「あーいやいや、謝らなくていいですって! 今日は楽しく飲みながら話しましょうよ!」

瀧本は仕事のことしか興味ないと思っていたが、俺にプライベートな質問をしてきた。なんだよ、もっと前からそういうことを聞いてくれても良かったのに。

そこから始まる、瀧本の怒涛の質問攻め。


「皆川は、休日はどんな風に過ごしてるの?」

「俺の休日っすか! 友達と遊んだり、買い物したり、ラーメン屋巡ったりしてますよ~!」

ーーーーーー

「皆川はどんなファッションが好みなの?」

「ファッションですか! 俺は足元から見る派ですね!! 俺、スニーカーが好きなんですよ! だからスニーカーをベースにしたカジュアルな服装が好きっすね! 男女問わず、スニーカー×カジュアルの服装をしている人はめっちゃ好きです!!」

ーーーーーー

「皆川は付き合ってる人はいるの?」

「いないんですよぉ! マジで恋愛したいっすわぁ…! 良い子いないっすかね!?」


俺は気がついた。さっきから一方的に聞かれて答えてるだけだ。しかも、瀧本はめっちゃ聞いてくる。結構踏み込んだことも聞いてくる。でも、まぁいいや。話すのは好きだし。酒も進む。でも、あの瀧本がこんなに質問してくるとは。

瀧本の質問に答え続けながら、気付けば俺は中ジョッキを6杯ほど飲んでいた。
少し頭が痛くなる。さすがに酔ってきたようだ。

「皆川は、どういう告白のシチュエーションが好きなの?」

「シチュエーションですか‥‥って、ちょっとタンマ!! 俺ずっと質問に答えてるんですけど! しかも、さっきから恋愛系の質問多くないっすか? そんなに俺に興味あるんですか瀧本さん(笑)」

俺は冗談のつもりでそう言った。

「あるよ。興味。もっと皆川のこと知りたいし。」

「‥‥‥‥え?」

酔いが回ったせいで、変な幻聴でも聞こえたのか‥‥

「俺のこと、もっと知りたいって言いました?」

「言ったね。」

「‥‥‥なぜ‥?」

頭の中には疑問しかない。だってよく考えてみろ。あの瀧本だぞ!?「進捗は?」しか聞かないサイボーグだぞ!? まぁ今日は、こいつなりに気を使って、俺にいろんなことを聞いてくれてるのだろうけど、それは、サシ飲みの雰囲気を壊さない為であって、俺に興味があるからじゃないだろ。普通に考えたらそうだ。

「あの‥なんで俺のこともっと知りたいんすか‥? あっ!もしかして、やっと部下と仲良くしようとする気になったんですね瀧本さん! なんだ、じゃあ最初からそう言ってくださいよ!」

そうか、仲良くしたかったのか。確かにこいつは会話がヘタクソだから、自分からは言いづらかったんだな。なんだ、人間らしい部分もあるじゃん。

「そうだね、皆川と仲良くしたいのもあるけど、俺は皆川のこと、好きだから。」

俺は瀧本が何を言っているのか分からなかった。

「いや‥‥あのですね‥‥部下として、瀧本さんに気に入っていただけるのは嬉しいですけど、今日初めて飲みに来たくらいで、俺と瀧本さん、仲良くないじゃないっすか!?」

だってそうだろ。職場で仕事のことしか話してなかったのに、俺の何が気に入ったんだこいつは。俺のプライベートなことも、今日初めてこいつに話したし。なんなら、俺の知りたい瀧本の情報はまだ何も聞けてない。本当に、変なやつだなぁ。

「違う違う。皆川のことが好きだっていうことね。」

「はぁ...まぁ嬉しいですけど… 俺の何が好きなんですか?」

「そうだね、まず、仕事を頑張っているところ。俺が思った以上に成長が早いし。皆川は俺の優秀な部下だしね。それから、明るくて元気なところもいいね。皆川のデカイ声でする挨拶は好きだよ。皆川の顔もいいなって思ってる。俺のタイプだし。皆川は、顔も性格も俺の好きなタイプなんだ。」

「なるほどっすね。だから俺のこと好きなんですね~」

俺のこと結構良く見てんのね、こいつ。なるほどね、だから俺のこと好きなんだ。はいはいはい。タイプねぇ~。

瀧本が淡々と話すのを普通に聞いていたが、冷静に考えると、瀧本がとんでもないことを言っていることに、時間差で気が付く。俺の受け取り方がおかしいのか?と思い、瀧本に確認する。


「………ん? えっと、瀧本さん? なんか、俺の顔も性格も好きとか言いました?」

「そうだね。事実だし。」

「つまり、どういうことでしょうか‥‥?」

「皆川のことを一人の男として見てるってことだよ。」

「一人の男‥‥?」

「そうそう。」

変わらず淡々と話す瀧本だが、俺はなんとなく、その言葉の意味を察して動揺する。

「えーっと‥‥一応聞きますけど、俺のこと恋愛対象として見てるってことですか‥?そういう意味じゃないっすよね‥‥?」

「そういう意味でいいよ。」


瀧本が何を言っているのか、頭では理解した。理解はしたけど‥‥マジかよ。本当にマジかよ。今はそれしか出てこない。

「そういうことだから。さっきの話の続きをしようか。皆川の好きな告白のシチュエーションは?」

「いやいやいやいやいや、待った待った、兄さんマジで言うとります!?」

普通に話を戻そうとする瀧本に、思わず変な口調でツッコんでしまった。

「あぁ、マジで言うとりますよ。」

あっ、瀧本が俺の口調に合わせて乗ってきた。そういうノリも出来るんだなぁ。って、今はそれじゃない。まぁそっちもビックリだけど!! さっきの発言はなんだったんだ。俺の事を恋愛対象だとかなんとか、こいつは正気なのか?

「それで、皆川の好きな告白のシチュエーションは?」

「どんだけ聞きたいんだよそれ!! それより、さっきの発言ですよ瀧本さん‥‥本当に俺のことを‥‥?」

「そうだね、そうだ、皆川が良ければこの後、家に来る?」

「なぜいきなりそうなるんすか!!!」

おかしいだろこいつ。そして、なぜこいつはこんな冷静でいられるんだ。俺にいきなり告白したみたいなもんだぞこれ‥‥!?

「うちにレアスニーカーもたくさんあるよ。スニーカー集めるのは俺も好きだからさ。」

「えっ!?そうなんすか! なんだ、それを早く言ってくださいよ~ レアスニーカー見たいっす!!」

正直、さっきの発言の真意が気になりすぎてヤバいけど、レアスニーカー‥‥見てぇ!!

酔っていたせいもあってか、正常な判断力が欠けていた俺。普通なら、嫌いな上司の家に行くわけないのだが、俺のレアスニ狂魂が唸ってしまった‥‥
居酒屋を後にして、俺は瀧本の家に行くことになるのであった。
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