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CASE:5 私も、たぶん……同じです
しおりを挟む翌朝、昨夜を思い出して顔を真っ赤にして起きる莉央と、少し寝不足そうだけど余裕の笑みを浮かべる慧。
「おはよう、白石」
「おは、ようございます……」
(ぅぅ……もう、今日一日まともに目合わせられないっ……)
会社に戻るも慧はいつも通り。何も変わらない態度が逆になんだかもどかしい。そして、無情にも時間だけは過ぎていき、あっという間に数週間がたった。
(最近、黒瀬さんとあんまり話せてない……気がする)
話しかけたいのに、忙しそうなタイミングばかりで。差し入れのお礼もろくにできないまま、距離だけが空いていくようで。
(やっぱり……私なんか、特別じゃなかったのかな)
あの夜の差し入れ。あれが本当にたまたまだったとしても……。
「私、嬉しかったのにな……」
鞄の中に忍ばせている、あの日のお菓子の包み紙。なぜか捨てられなくて、見るたびに胸がちくんと痛くなる。
(……避けられてる、のかな)
そんなことばかり考えて落ち込む日々が続いていたある日。夕方のオフィス。人もまばらになった頃、備品室でばったりと鉢合わせる2人。
「あ……黒瀬部長」
「白石……」
数秒の沈黙。でも、その時の慧の声は、少しだけ優しくて。莉央の目を、そっと見て言った。
「最近、避けてた……かもしれない。ごめん」
「……え?」
「なんか、自分でもよくわからなくて……でも、気づいたら目で追ってた……気になってたんだと思う」
莉央の心臓が跳ねた。
「……私も。たぶん……同じです」
目と目が合って、ふたりとも照れ笑い。それだけで、胸がいっぱいになった。
…………そして、ふたりの恋が、ゆっくりと動き出す。
To be continued
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