美男美女4人でグループ交際をはじめました【注意】キャンパスですけど?~[R18]

栗原さとみ

文字の大きさ
1 / 6

はじまり(沙里視点)

しおりを挟む
「貴女のノートを踏んで汚してしまいました!すいません、だからどうか、罰として僕を貴女のヒールで踏みつけて下さい!!」

目の前の男は、少しだけ顔を赤くしてそう言って、わたしが落としたらしいノートを差し出した。

──わたし(沙里)は、「気にしないで」とだけ言って、自分のノートを男から受け取って、その場を立ち去った。

「……あぁっ。罰なんて言っても、やっぱりご褒美貰おうとしてるって気づかれるよな…。踏みつけて貰おうなんてムシのいい話か…。でも怒った顔も、美しぃ…」

──はぁ、なんか言ってる。それに、怒ってなんかいない。気にしないでって言ったのに。わたしはこういう顔なだけ。……やっぱりこの人もM男か。

わたしは背が高い。170㎝ある。色白なのに引き締まった身体(胸はかなり大きい方だと思う)。長い脚は細すぎず程良い感じだ。当然、可愛い乙女チックな服など全く似合わない。
それだけならまだしも、少しきつい大きな切れ長の目に、つけまつ毛でもエクステでもないのに長い長いまつ毛、口紅もつけていないのに赤過ぎる唇。

黒くクセひとつないストレートの髪は、ショートだと余計にキツく見える為、長く伸ばしている。

どう見ても男をかしずかせる女王様風の見た目。

その外見は、M男ばかりを呼び寄せるらしく、結構な数の告白を今まで受けてきたが、その全員がわたしの恋愛の対象外だ。
だってわたしはM女だから。
Mと言っても、暴力を振るわれるのは嫌で、俺様のグイグイ系の男に振り回されたいタイプのM。命令するのではなく、命令されたい性格。

そんなわたしには、ずっと仲のいい女友達がいる。
わたしの理想の見た目を持つ朋奈は、華奢な154㎝の身体に天使の顔立ちを持っている。大きな垂れ目は少し離れていて幼く見えるロリっ娘だ。朋奈のまつ毛もとても長いけど、くるんとして可愛らしい。茶色の猫っ毛の髪はボブにしてふわふわした印象だ。

同じ色白でも朋奈は小動物のように可愛い。ちょっと苛めてやりたいと思わせるんだろうな、と思う。
俺様で格好いい男によく迫られているのを見かける。
けれど、朋奈は必ず断る。
可愛らしい見た目の為、断っても断っても粘られて、仕方なくお試しで付き合っても、少しすると必ず別れてしまう。
「お前わがまま過ぎるだろ」
「わがままなのはそっちでしょ?!」
そんなやり取りがされる原因は、朋奈も振り回し系だからだ。

真逆の私達は、服装の好みも正反対だ。朋奈の買い物に付き合うと凄く可愛いショップに入る事が出来る。カシュクールのブラウスにフレアスカートを試着した朋奈を見た時は可愛い過ぎて叫びそうになった位だ。そういう服装が大好きなのに、わたしには絶対似合わないから、全く神様は不公平だ。
それでも、中身は引っ張っていくタイプの朋奈とは一緒にいるのが楽で、幼稚園からの長い付き合いがとうとう大学まで続く事になった。

大学に入ったばかりで、わたし達がつるんでいると、正反対の見た目のせいか、あまり声はかけられない。サークルの勧誘も二人の時はあまりない。

か弱そうでおとなしそうな朋奈を狙った俺様男は、キツそうなわたしがいなくなると現れる。わたしに邪魔されるとでも思っているのだろう。

わたしも、必ず一人でいる時に、告白(お願い?)される。きっと他の人にMだとバレたくないのだろう。

朋奈の話を聞いてみると、なんとも羨ましい物件ばかりが告白してきているようだ。
いいな…わたしなら喜んで付き合うのに。と、思う。

けれど、朋奈には逆に羨ましがられている。
「その人、言う事聞いてくれるワンコ系じゃない?!もったいなーい」

──それを言いたいのはわたしの方だ。告白されるタイプが正反対なのが本当に残念でならない。

「エッチの時とかも言う事聞いてくれそう。私、自分勝手な奴、ホント嫌なのよね~。」
「朋奈ってばやめて。聞こえちゃう」
「そっか、沙里、処女だもんね」
──朋奈………小声で言ってくれたけど、そっちの話自体をやめて欲しい。

「沙里と外見が逆だったらなぁ。喜んで付き合うのに。それに、そんなに大きい胸持ってて使わないなんてホント勿体ない。あ~、言う事聞いてくれる彼氏が欲しいよぉ」

朋奈は身体も小柄で胸も小振りだ。
わたしは性格が受け身なので、グイグイこられないと身体の関係にはなれないと思う。
だけど、無駄にエロい外見のせいで、「童貞を卒業させて下さい」系、お姉さんにもてあそばれたい系の男からはお誘いは多い。
無論、わたしに教えられる事など何もないので、告白(お願い)は断り続けている。彼氏いない歴=年齢の18年を更新中。
ちなみに、付き合った事もない。
もっと言えば、痴漢にあった事すらない。

話はそれたが、兎に角、朋奈と二人で歩いている時は、男から声をかけられる事はなかった。
今までは。

─────

入学して一週間ほどしたある日の午後、講義が終わって朋奈と二人で歩いているとサークルの勧誘なのか、二人の男がわたし達の目の前に立った。

「君たち1年生だよな?少し時間いいか?」

黒髪で一見俺様風なイケメンが声をかけてきた。背は180cmはあるようだ。
立ち位置は可愛い系の朋奈の前だ。たぶん、朋奈の外見が好みのタイプなんだろう。
わたしは、“いいな“と思った。だってわたしには絶対声を掛けてこないタイプだし……。

朋奈はわたしをチラっと見てから、話しかけてきた黒髪の男の隣に立つ、少し茶髪のもう一人のイケメンの方に目をやってから応えた。

「いいですけど、何か用?」

おとなしそうな朋奈の方が応えたからか、一瞬おや?っという顔をして二人の男は顔を見合せた。
なんとなく、わたしの正面に立っているせいか、茶髪の方はわたしを見ているような気もする。それに、いつもわたしに声を掛けてきそうな雰囲気の部類に見える。
黒髪の方より少しだけ背が低いが、177cmはあるだろう。5cmのヒールを履いたわたしより、ほんの少し高い位だから。

「俺達3年生でね、サークルの勧誘しようと思っていたら君たちが歩いていたのが見えてね。よかったら、コーヒーでも飲みながら話を聞いてくれないかな?」

今度は、わたしの目の前の茶髪イケメンが話し始めたので、困って朋奈を見ると、朋奈は嬉しそうにわたしを見て(私にまかせてと)目で訴えて、男二人に応えた。

「いいですよ。私は夏川朋奈。この子は鈴木沙里。二人とも文学部の1年よ。」

朋奈が茶髪の方を気に入ったのはすぐにわかった。すごく優しい話し方だったし、最初に話した俺様男とつるんでいる位だから、きっと朋奈の好みのタイプに間違いないだろう。
黒髪の俺様男の方は従順そうな朋奈の容姿を好きそうに見えるけど。

茶髪イケメンはにこっと笑って名前を返した。
「ありがとう。俺は渡辺敦志。経済学部の3年なんだ。」

黒髪イケメンも少し悪そうに笑って、名乗った。
「俺は、倉本律。同じく経済学部3年。よろしく。」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました

まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」 あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。 ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。 それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。 するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。 好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。 二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。

処理中です...