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大学内だったので、取り敢えず学食のテーブル席で話を聞いてみる事になった。
「俺、飲み物買ってくるけど何がいい?」と茶髪の敦志。
「私チーズケーキとコーヒーお願いしまーす」と朋奈。
「俺アイスコーヒー」と黒髪の律。「あ、わたし一緒に行きます。」と沙里。
「それじゃあ沙里ちゃん、一緒に来て。」
「はい」
※ ※ ※ ※ ※
隣に立つ敦志は、見れば見る程イケメンだし、朋奈の好みにドはまりのワンコ系の気のきく男子に思える。
(絶対朋奈が好きなタイプだよね…?)そんな考え事をしながら食券券売機の所へ来ると敦志が気を回して話し掛けてきた。
「ついて来てくれたのって、もしかして遠慮してる?それかメニュー見ないと決められないとか?」
「両方…ですかね?それに、朋奈、チーズケーキがなかった時はチョコ系だから、わたしが行かないと。」
「あはは、何でもわかり合ってるんだ?ひょっとして幼馴染み?」
「はい、幼稚園から一緒なんです。お二人は大学で知り合ったんですか?」
「そうだよ。あっ、チーズケーキあったね?沙里ちゃんも何かケーキ食べなよ。」
「はい、あ、わたしアイスが好きなので、プリンアラモードにします。あと、アイスコーヒーを。」
「OK。」
─────
敦志がトレーを持って二人でテーブルへ戻ると、席にいた律と朋奈は親しそうな様子でおしゃべりしていた。
「お待たせ。」
「お、サンキュ」「ありがとう。いくらですか?」
「今日は俺の奢り。えらそうに言うような金額じゃないけどね」
「「ありがとうございます。(ご馳走になります。)」」
沙里はさっき二人の時にも言ったが、もう一度、朋奈と一緒にお礼を言った。
※ ※ ※ ※ ※
「それで、まずサークルの話なんだけどね、夏はテニス、冬はスキー&スノボのサークルで名前は“ポラリス“っていうんだ。」
「ふーん、テニスとスキーですかぁ。わりとベタですね。」
「まあな、敦志の話に補足すると、テニスは週二回、火曜と金曜にコートを借りて練習している。練習の後、飲みに行く事もあるな。スキーとスノボは、泊まりで年一、二回合宿に行くだけだな。」
「一応ちゃんと練習してるんですね?」
「一応な?名前だけのチャラい飲みサーではないから。」
「沙里、どうする?」
朋奈は沙里が応えるとは思わなかったが、そう振ってから続けて自分で質問した。
「すぐ返事しなきゃ駄目ですか?私達、中学の時は部活で軟式テニスをやってたんですけど、硬式はラケットも持ってないし、やった事もなくて。それに、スキーだと、2、3回やった事がある位ですけど。」
この問いにも律が応えた。
「いや、サークルの返事は急がないが?それに、体験ならラケットも貸すから。スキーとスノボは初心者でもいいし。」
その続きは敦志が話し始めた。
「入部はともかく、一度体験に来てみれば?今日は木曜日だから明日とかにさ。
で、その前に、おれ達とID交換してくれないかな。サークルに入らなくても、4人で会いたいし、話したいし、遊びたいんだけど。つまり、グループ交際したいって思ってる。」
朋奈と沙里は顔を見合わせた。
恐らく敦志を気に入ったであろう朋奈に、俺様っぽい律が気になる沙里。
もしかしたら、律は朋奈狙いで、敦志は沙里を気に入っている可能性はあるが、“4人で交際“なら……。付き合いたいっていう訳でもないみたいだし……。
これは、もしかして“願ったり叶ったり“な提案なのでは?と、お互いの目を見てわかった。
「私はいいですよ。楽しそうだし。沙里もいいよね?」
「うん、わたしも4人でなら…朋奈と一緒なら。」
「じゃ、取り敢えずID交換な。」
「ふるふるで交換します?」
「そうだな、その後名前をもう一度送ればいいだろ。」
それぞれ登録が済んで、メッセージを送りあった。
「渡辺先輩はさっき沙里と何か話しましたか?」
「敦志でいいよ。沙里ちゃんからは幼馴染みだって聞いたよ?朋奈ちゃんは、待ってる間、律と何か話したの?」
「一応先輩だし、敦志先輩って呼ぼうかな。律先輩には私も沙里とは幼馴染みだって話しましたけど。」
「じゃあ、4人で親睦を深める為に、これから飲みに行こうか。それに、もう敬語はなしでいいからね。」
「はーい」
「取り敢えず出るぞ。」
─────
なんとなく、律と朋奈が並んで前を歩き、敦志と沙里がその後ろを歩いた。
「飲みに行くって言っても、ちょっと時間が早すぎるな。」
「私、まだ駅チカの遊ぶ場所とかまだよくわかんない。」
「幼馴染みだよな。地元ってどこ?」
「埼玉。律先輩は?」
「俺は群馬で、敦志が神奈川。皆そこそこ近いな。埼玉って実家から通ってんのか?一人暮らしか?」
「私達は一人暮らし。」
「それじゃ敦志だけ実家だな。最寄りは何駅だ?」
「私が百合ヶ丘駅で、沙里が新百合ヶ丘。」
「俺が経堂で敦志が登戸だから、皆近いな。」
後ろで話を聞いていた沙里が、「実家が登戸なんて、大学に近くていいですね。」と敦志に話し掛けた。
「だろ?でも、沙里ちゃん、敬語はなしだよ。」
「あ…!そうでした……じゃなくて、そうだった。」
「ははは、沙里ちゃん、見た目と中身のギャップが激しいってよく言われない?」
「それが……、キツい外見のせいか友達少なくって……」
てへっと苦笑いを浮かべる。
「それって“キツい“んじゃなくて、綺麗過ぎるからだよ。簡単に話し掛けちゃいけない位のチョー美人じゃん。」
「えぇ?敦志先輩達は簡単に声掛けてきたのに?」
「簡単な訳ないでしょ?沙里ちゃんは女優顔負けの絶世の美女だし、一緒にいる朋奈ちゃんまでめちゃくちゃ可愛いかったから、決死の覚悟で声掛けたんだからね?」
「決死の覚悟なんてうそうそ、先輩達二人ともイケメンだから、声掛けたら今まで百発百中だったんじゃない?」
振り返って朋奈が笑った。
「そうか?俺達から女に声掛けたの、こいつらが初めてだったからな。」
「律が色々うるさいから。」
「敦志だって相当だろ?」
「ふぅん?じゃ私達はクリアしてるってこと?──あー、ねぇ、そこでボウリングでもしない?」
「唐突だな、でもまぁいいか。そこ入るぞ?」
敦志と沙里は顔を見合わせて、こくんと頷いた。
((あの二人似てる……))
同時に同じ事を思っているとは知らずに、自分中心に動いている二人についていった。
(それに、朋奈ってば、すでに地が出てる……)
「俺、飲み物買ってくるけど何がいい?」と茶髪の敦志。
「私チーズケーキとコーヒーお願いしまーす」と朋奈。
「俺アイスコーヒー」と黒髪の律。「あ、わたし一緒に行きます。」と沙里。
「それじゃあ沙里ちゃん、一緒に来て。」
「はい」
※ ※ ※ ※ ※
隣に立つ敦志は、見れば見る程イケメンだし、朋奈の好みにドはまりのワンコ系の気のきく男子に思える。
(絶対朋奈が好きなタイプだよね…?)そんな考え事をしながら食券券売機の所へ来ると敦志が気を回して話し掛けてきた。
「ついて来てくれたのって、もしかして遠慮してる?それかメニュー見ないと決められないとか?」
「両方…ですかね?それに、朋奈、チーズケーキがなかった時はチョコ系だから、わたしが行かないと。」
「あはは、何でもわかり合ってるんだ?ひょっとして幼馴染み?」
「はい、幼稚園から一緒なんです。お二人は大学で知り合ったんですか?」
「そうだよ。あっ、チーズケーキあったね?沙里ちゃんも何かケーキ食べなよ。」
「はい、あ、わたしアイスが好きなので、プリンアラモードにします。あと、アイスコーヒーを。」
「OK。」
─────
敦志がトレーを持って二人でテーブルへ戻ると、席にいた律と朋奈は親しそうな様子でおしゃべりしていた。
「お待たせ。」
「お、サンキュ」「ありがとう。いくらですか?」
「今日は俺の奢り。えらそうに言うような金額じゃないけどね」
「「ありがとうございます。(ご馳走になります。)」」
沙里はさっき二人の時にも言ったが、もう一度、朋奈と一緒にお礼を言った。
※ ※ ※ ※ ※
「それで、まずサークルの話なんだけどね、夏はテニス、冬はスキー&スノボのサークルで名前は“ポラリス“っていうんだ。」
「ふーん、テニスとスキーですかぁ。わりとベタですね。」
「まあな、敦志の話に補足すると、テニスは週二回、火曜と金曜にコートを借りて練習している。練習の後、飲みに行く事もあるな。スキーとスノボは、泊まりで年一、二回合宿に行くだけだな。」
「一応ちゃんと練習してるんですね?」
「一応な?名前だけのチャラい飲みサーではないから。」
「沙里、どうする?」
朋奈は沙里が応えるとは思わなかったが、そう振ってから続けて自分で質問した。
「すぐ返事しなきゃ駄目ですか?私達、中学の時は部活で軟式テニスをやってたんですけど、硬式はラケットも持ってないし、やった事もなくて。それに、スキーだと、2、3回やった事がある位ですけど。」
この問いにも律が応えた。
「いや、サークルの返事は急がないが?それに、体験ならラケットも貸すから。スキーとスノボは初心者でもいいし。」
その続きは敦志が話し始めた。
「入部はともかく、一度体験に来てみれば?今日は木曜日だから明日とかにさ。
で、その前に、おれ達とID交換してくれないかな。サークルに入らなくても、4人で会いたいし、話したいし、遊びたいんだけど。つまり、グループ交際したいって思ってる。」
朋奈と沙里は顔を見合わせた。
恐らく敦志を気に入ったであろう朋奈に、俺様っぽい律が気になる沙里。
もしかしたら、律は朋奈狙いで、敦志は沙里を気に入っている可能性はあるが、“4人で交際“なら……。付き合いたいっていう訳でもないみたいだし……。
これは、もしかして“願ったり叶ったり“な提案なのでは?と、お互いの目を見てわかった。
「私はいいですよ。楽しそうだし。沙里もいいよね?」
「うん、わたしも4人でなら…朋奈と一緒なら。」
「じゃ、取り敢えずID交換な。」
「ふるふるで交換します?」
「そうだな、その後名前をもう一度送ればいいだろ。」
それぞれ登録が済んで、メッセージを送りあった。
「渡辺先輩はさっき沙里と何か話しましたか?」
「敦志でいいよ。沙里ちゃんからは幼馴染みだって聞いたよ?朋奈ちゃんは、待ってる間、律と何か話したの?」
「一応先輩だし、敦志先輩って呼ぼうかな。律先輩には私も沙里とは幼馴染みだって話しましたけど。」
「じゃあ、4人で親睦を深める為に、これから飲みに行こうか。それに、もう敬語はなしでいいからね。」
「はーい」
「取り敢えず出るぞ。」
─────
なんとなく、律と朋奈が並んで前を歩き、敦志と沙里がその後ろを歩いた。
「飲みに行くって言っても、ちょっと時間が早すぎるな。」
「私、まだ駅チカの遊ぶ場所とかまだよくわかんない。」
「幼馴染みだよな。地元ってどこ?」
「埼玉。律先輩は?」
「俺は群馬で、敦志が神奈川。皆そこそこ近いな。埼玉って実家から通ってんのか?一人暮らしか?」
「私達は一人暮らし。」
「それじゃ敦志だけ実家だな。最寄りは何駅だ?」
「私が百合ヶ丘駅で、沙里が新百合ヶ丘。」
「俺が経堂で敦志が登戸だから、皆近いな。」
後ろで話を聞いていた沙里が、「実家が登戸なんて、大学に近くていいですね。」と敦志に話し掛けた。
「だろ?でも、沙里ちゃん、敬語はなしだよ。」
「あ…!そうでした……じゃなくて、そうだった。」
「ははは、沙里ちゃん、見た目と中身のギャップが激しいってよく言われない?」
「それが……、キツい外見のせいか友達少なくって……」
てへっと苦笑いを浮かべる。
「それって“キツい“んじゃなくて、綺麗過ぎるからだよ。簡単に話し掛けちゃいけない位のチョー美人じゃん。」
「えぇ?敦志先輩達は簡単に声掛けてきたのに?」
「簡単な訳ないでしょ?沙里ちゃんは女優顔負けの絶世の美女だし、一緒にいる朋奈ちゃんまでめちゃくちゃ可愛いかったから、決死の覚悟で声掛けたんだからね?」
「決死の覚悟なんてうそうそ、先輩達二人ともイケメンだから、声掛けたら今まで百発百中だったんじゃない?」
振り返って朋奈が笑った。
「そうか?俺達から女に声掛けたの、こいつらが初めてだったからな。」
「律が色々うるさいから。」
「敦志だって相当だろ?」
「ふぅん?じゃ私達はクリアしてるってこと?──あー、ねぇ、そこでボウリングでもしない?」
「唐突だな、でもまぁいいか。そこ入るぞ?」
敦志と沙里は顔を見合わせて、こくんと頷いた。
((あの二人似てる……))
同時に同じ事を思っているとは知らずに、自分中心に動いている二人についていった。
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