空と地上を繋ぐ者~竜に育てられた少年~

かげろう

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サイラス遺跡

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サイラス遺跡?俺の知識にはそんな遺跡は存在しない。公爵家の世継ぎとして、帝国中の知識を叩き込まれたが、その知識の中にはサイラス遺跡の名前は無い。

「この砂漠にそんな遺跡があったのですか?」

「アークス君は、ずっと山奥にいらっしゃったんですし、無理はないですね。」

「遺跡は10年前に出現しました。ここだけではありません、世界中に新たな遺跡が同時期に出現しています。」

「冒険者を始め、多くの挑戦者が挑みましたが、階層は深く強大な魔物も多く、踏破できた者は現れませんでした。」

「しかし、3年前SS級冒険者グレイ・フォレスターのパーティにより、東のハートクイン王国の遺跡が踏破されました。」

「そこで驚きの事実が分かったのです。」

遺跡の一番奥には上級魔族が巣くっており、その力はSS級の力を持って、何とか倒せた程強大であった事。重要なのは、魔族達が何か儀式を行う為に遺跡を地界の各地に作っており、何かを目論んでいる事だ。

何故遺跡の形を取ったのかは不明だし、世界各地に作る必要があったのか分からない事だらけである。だが魔族の目的は何であろうか。

(それにしても10年前か、、トレイルが襲撃されたのも10年前。どうりで知らない訳だ。)

「魔族を倒したら、その遺跡は機能を停止した様に崩壊を始めたそうです。冒険者パーティが転移方陣で脱出する頃には、入り口は無くなっていた。」

世界の列国が遺跡の調査を始め、分かった事実の積み重ねと推測を混ぜて、こう結論付けた。

〝遺跡は魔族が地界侵略を行う為の物であり、野放しにすれば魔族は遅からず地上に侵攻を始める。〟

「現在踏破された遺跡は5つです。世界には残り15の遺跡があります。」

「我が帝国では、1つの遺跡が踏破され、残りは4つあります。」

帝室の人間は、冒険者ギルドと共同で騎士団と冒険者混成の遺跡攻略部隊を作り、残り4つの遺跡攻略を目指しているそうだ。

「私達は第3皇子アストン兄上が部隊長を務める第2師団の一員として動いています。今回はサイラス遺跡の偵察を兼ねて、一個中隊を投入、上層階の魔物掃討とマップ作成を任務としています。」

何でも魔物は時折間引かないと、スタンピードと呼ばれる魔物の大量発生を招き遺跡から外に出て、周辺地域を荒らし回ってしまうそうだ。その間引きを兼ねて、今回クリスティナ皇女が中隊長として部隊を率いているそうだ。

「今日で中隊を投入して2日、そろそろ部隊が戻ってくるはずです。」

その時、背後から物凄い音が響き渡った。音が通り過ぎた後には、衝撃波と共に大量の砂が舞い上がり視界を塞ぐ。

「皇女殿下!ご無事ですか!?」

シュタイナー男爵と思われる声が響いている。他の冒険者や騎士と思われる者達も皇女の安否確認をしている。

「私は大丈夫です。アークス君は?」

「げほっ、けふっ、此方は大丈夫です。」

砂が大量に口に入った様で気持ち悪い。
あの爆発だ、何か起こったに違いない。

そう思った束の間、魔力感知に反応があった。爆発があった方角に、大きな魔力と幾つかの小さな魔力が急に現れた。

「皇女殿下!魔力反応です。ご用心を!」

とっさにアークスは声を上げて、身を守る姿勢を取る。魔剣に手を掛けつつ、最悪皇女だけでも守る為に防御術式を組む。

「何か来ます!」

その時夜が昼に変わった。
眩い光と共に炎が吹き荒れる。とっさに誰かが障壁を張った様だ。詠唱破棄したのだろう呪文の名前と共に、物理的な壁が目の前に広がり、炎と光を遮った。

光が退き、炎が消えさり、徐々に黒煙が晴れてくると。そこには何も無かった。壁を囲むように地面を抉った後が広がり、焦げた臭いが辺りに漂い始める。

よく見ると土がガラス化している。
物凄い熱量だ。それを防ぎ切った術師の力量も大した物だ。どうも取り巻きの女性騎士が展開した様である。状況判断と魔術のレベルは相当に高い。流石は皇女殿下の側近である。

彼女は額に大きな汗をかき、大きく息を吐いている。今のでかなり消耗した様だ。詠唱破棄は高難度な上、しかもあの術式、恐らく上級魔法である守護方陣。このレベルの障壁を詠唱破棄で唱えるのは、余程の高レベルか、もしくは代償が必要だ。

女性のイヤリングが割れる音が響く。恐らくイヤリングが魔宝具だったのだろう。宝具に溜め込んだ魔力を使いきり、イヤリングも役目を果たし終えた様だ。

「エリス!?」

ごふっと嫌な音と共に、エリスが血を吐き倒れる。

「ん?可笑しいですわね。まだ生きているですの?人間を殺すには十分な威力だったと思うのに」

奥から人影が現れた。
その手に何か持っている。首だ、、兜を付けており、恐らく偵察に行った兵隊の一人だろう。

土煙が消えていき、徐々に鮮明にその姿を表す人影が完全に顕になった時、その姿に衝撃が走った。

左右に銀色のツノを持ち、その瞳は血の様に赤い。妖艶な美女の様だが、その背にはツバサがあり、宙に浮かびながら此方を見下ろしている。

魔族、、、人類の敵の姿がそこにはあった。
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