機械の神と救世主

ローランシア

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第二章 始まりとやり直し

027 さやかとレティシア

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「それでその後すぐに先生が来て大騒ぎになって自宅謹慎になったの」
「やっぱ大騒ぎになるよなぁ。で、具体的にはどうなったんだ?」
「事情説明したよ、私がされてきた事とか全部言った。 痣ができるくらい強く蹴られたりしてたしね」
「痣……!? 怪我したのか…………!?」
「うん、ふとももに痣出来てる……」
「さやか? 元の世界戻ったらにーちゃんに誰にやられたのか教えろ」
「いいよ、もうそいつら学校退学になったし。それより……あのさ、ごめん…………。おにーちゃんに買ってもらったリュック「大切に使うね」って約束したけど、ビリビリに破かれちゃった……」

 さやかが涙を貯めながら俯き涙声で言う

「……気にすんな。元の世界戻ったらにーちゃんがまた新しいリュック買ってやる」
 さやかの頭を撫でながら慰める

「……うん。ありがと…………」
「……さやか、元の世界戻った時な? またなんかされたら我慢せずにすぐ俺に言え? にーちゃんが絶対になんとかしてやるから」
「うん……。わかった…………」
「約束だぞ?」
「うん。約束する」
「ん、よし。……怪我したんだろ? にーちゃんにちょっと怪我した所見せてみろ」
「えっ? ……こ、ここじゃ恥ずかしいっていうか、あの…………、
 ふとももだしその……パンツ…………見えちゃうし……いくらおにーちゃんでもそれは恥ずかしいという……か……」

 さやかが顔を赤らめ両手でスカートを抑えてもじもじと恥ずかしりながら上目遣いでこちらをチラチラと見る

「えっ……? あ…………あ~……そ、そうか、ごめん。えっ……と……、じゃあ、……マキナ? 頼めるか?」
≪はいっ。さやかさんの怪我が見つかったら治癒しておきますね? マスター≫
「ああ、頼む。ありがとう、マキナ」
≪はいっ≫
「司様? 怪我をなさってるのなら私もお手伝いしますっ」
「いいの? レティシア。じゃあ……、お願いできるかな?」
「はいっ! もちろんっ」
「レティシア、ありがとう……助かるよ」
「いえっ! 私の力が司様のお役に立てるなら嬉しいですっ! うふふっ!」
≪じゃあ、さやかさん脱衣所へ行きましょう≫

 さやかたちが脱衣所に入っていき、俺は部屋の談話スペースのソファに腰かけ一息つく

 ……さやか。怪我どの程度なんだろ…………、さやかは辛い事があっても俺に心配させないようにって隠すから心配だ……

 15分ほど待つとさやかたちが出てくる

「おまたせー、おにーちゃん! マキナさんとレティシアさん凄いね!」

「お、おぉ。そうだ、マキナとレティシアは凄いんだ。……マキナ? レティシア? どうだった?」

 さやかたちが脱衣所から出てきたのでソファから立ち上がって容態を聞く

≪酷く蹴られたり殴られた跡があったので治癒しておきました≫
「酷かったです。腕や太ももが痣だらけで……」
「そ、そうか……。よかった…………。ありがとう……。マキナ、レティシ……ア……!」

 ドッ……
 そのレティシアの言葉にほっとし、ソファに腰を下ろす

「はぁ……そう、か…………。良かった……」
「ありがとうございましたっ! マキナさん! レティシアさん!」
「ふふふっ、司様の大切な妹様ですもの、お気になさらず、司様……」
≪どういたしましてっ、マスター!≫

≪マスター……? さやかさんは本当にマスターの事大好きですよ? さっきの話で分かったでしょ?≫
「……ん…………。うん、そうだな……」
「さんざん今まで言ってたつもりなんだけどねー。軽く流してたよね」
「……悪い。正直、子供の「おにーちゃんと結婚するー」のノリだと思ってた…………」
「だよね? もうこの際思ってる事全部言うけど、私が事あるごとに好きだよって言っても全然気が付いてくれなくて……、
 今だ! とか思って言っても「にーちゃんも好きだぞー」って頭撫でるの……どうなの。
 いや、もうちょっと私の気持ちに向き合ってくれても良くない? って思うわけよ」
「それでさ? いきなりいなくなるし、やっと会えたと思ったらさ? なんか彼女出来てるし……「いっぷたさいせい」ってやつで、
 重婚オッケーだってわかって喜んだら喜んだで「待て、さやか」とか言って「変な目で見られるぞ?」とか言う?
 それは私の評価じゃなくておにーちゃんが私が周りから変な目で見られたくないっていうおにーちゃんのエゴでしょ?
 おにーちゃんが私の事を「好きじゃない」って「嫌いだ」って振るならわかるよ? それなら私も納得もできるし、諦めもつくよ。
 でも、私がおにーちゃんを好きだっていう事をそんなしょーもない事で否定しないで! 振るならちゃんと振ってよ……!
 私はおにーちゃん以外は正直どうでもいいの。私はおにーちゃんと一緒にいられるなら誰に白い目で見られても構わない。なんならこの世界で永住してもいい」

 さやかがいつの間にか涙を貯めながら震える声で言い切った後、数秒の沈黙が流れる

 俺は数秒瞑目し、真剣にこの想いに対して考えてみる
 さやかの気持ちに向き合うために頭を切り替え、口を開く

「……さやか」
「……」
「まず、謝らせてくれ。今までごめん……」
「ん……ぐすっ…………そうやってさぁ、すぐ謝るのズルいんだよ……。おにーちゃんは……ぁ……ぐすっ……」
「うん……ごめん…………」
「……さやか? 俺さ。今までさやかを「女」として見た事なくて「妹」として接してきたんだ」
「知ってるよ……そんなの、私が一番知ってるよ…………ぐすっ……」
「だから、いきなり「好きだ」とか「愛してる」なんて気持ちがない状態で言えないし言っちゃダメだと思うから、
 俺が言えるようになるまで待ってくれるか?」
「うん……待つ…………待つの得意だもん……」
「いつかは言えるように頑張るから……待っててくれな」
「うん……待つ」
「さやか……俺を好きになってくれてありがとう。大切にするよ」
「ふっ……やっと…………、やっとだぁ……やっとこっち見てくれた……ぁ……ぐ…すっ…うえぇぇぇっ」

 さやかが腕を首に回し抱きついてきたので頭を撫でながら背中を撫でてなだめる

「……さやか…………今までホントごめんな……。苦しませてごめん……な……」
「うんっ……うんっ…………」

 さやかが俺の顔の横で顔をグリグリ動かしながら泣き出す

 五分ほどさやかが泣き止むのを待つ、さやかに少し落ち着きが戻ったため話しかける

「それで……あの、さやか? その、きっかけって…………何か……ある? 俺惚れられるような事をした覚え……が……」
≪マスターレティシアさんの時も同じ事言ってましたねー≫
「は……? えっ…………!? お、おにーちゃん? あの……? もしかして無自覚なのっ!? 下心とかそういう打算的な物全くなしでやってたの!?」
≪マスターに女性関係で打算的な行動とかそんな器用な事ができるわけないです。
 それができる人ならさやかさんの気持ちにもっと早く気が付いてるはずです≫
「あ……そ、それもそうか…………。はぁぁぁ~~~~~……マジで……ぇ……? あれを天然でやってたのか……」
≪そうなんですよ。この人ね、無自覚に女を口説く天才なんです≫
「…………あぁ~~~…………。言われてみるとー……、納得できる事があ……る……。
 私の友達もいつの間にかおにーちゃんの事好きになってたしなぁ……」
「ええ! そんな事あったの!? いつ!? 俺さやかの友達に告白なんてされた事ないけど!?」
「小学校の時にね? 遥ちゃんっていたでしょ? 私の友達の……」
「……ああ~。あの茶髪ロングの可愛い感じの子な? うん、覚えてる覚えてる」
「しれっといつの間にかおにーちゃんの事好きになってて手紙渡してとか言ってきた」
「ええ? 俺そんなのもらってないけど?」
「そんなの貰ってなくて当然だよ。その場で私が手紙突っ返して絶交したもん」
「……え? あの、さやか…………? あの子が突然来なくなったのそれが原因……?」
「うん、そうだよ?」
 ケロっとした顔で言い放つさやか
「いつも「おにーちゃんは私の」って言ってたのにおにーちゃんに言い寄るあの子が悪い……」

≪……マスターの妹さんですねー。今の「うん、そうだよ?」の言い方そっくりでしたよ≫
 そう、か……?
≪はい、そっくりです≫

「あとねぇ。去年、おにーちゃん私の中学校来たでしょ? 私の忘れ物届けに」
「……体操服か?」
「うん、そう。その時におにーちゃん女の子助けたでしょ? 女子のグループに囲まれて虐めてられてた女の子助けたでしょ?」
「え。助けた……? …………いや、それは覚えがない……」
「助けたみたいなのよ。それで、助けた後に「大丈夫か? 泣き顔なんとかしろ」って言って、
 手洗い場連れてって顔洗わせて「これ使え」ってハンカチ渡して「じゃあな」って去っていったらしいのよ」
「おぉ~、めちゃくちゃイケメンじゃん、そいつ。……人違いじゃね? 全く覚えがないぞ」
「……実はその子私の友達でね? おにーちゃんと一緒に映ってる私の携帯見せた事あって、私のおにーちゃんだって覚えてて、話してくれたの」
「いや……あったか? そんな事…………。人違いじゃね……?」
≪……今マスターの記憶の奥底を見てきました。ありましたよ。記憶≫
「マジで!? そんな本人すら覚えてない事引っ張り出してこれるの!?」
≪「忘れる」という事は「記憶の消去」ではなく「記憶の退避」ですからね。
 使わなくなった古い情報や重要度の高い情報はそうして記憶の奥底へ格納されるんです≫
「そういうもんなのか……。え、で? その女の子はその後大丈夫だったのか?」
「うん。大丈夫じゃないよ? さっきも言ったよね。そういうの全部ブチ切ってきたって」
「ブ、ブチ切ったって……」
「もうこの際だから言っちゃうけどさ? おにーちゃんの知らない所で、おにーちゃんのせいで色んな人が幸せを逃していってるよ?
 おにーちゃんのせいで色んな人が不幸になってるからね?」
「えっ!? 俺のせい!?」
「うん。だから、そのおにーちゃんの事を好きだって言ってた子たちも、
 私と同じように男子に告白されても「好きな人がいるから無理」って断ってるの。当然、私と同じようにイジメにあってた子もいる」
「……マジかよ」
「マジだよ。そこまで想像してなかったでしょ?」
「うん……はい」
≪あっ……それは…………、マスターのせいですね。はい≫
「でしょ?」
≪ええ。はい。間違いないです……≫
「うん。だからね? こうして異世界来て「いっぷたさいせい」って奴で重婚してもオッケーって国に来られたんなら、
 私だけでもおにーちゃんと結婚して幸せにならないと色々と報われないんだよ」
 さやかが仁王立ちで俺を見下ろしながら言い放つ

≪はい。ですねぇ……≫
「あの……これから頑張って幸せにするよ…………。さやかの事大事にするよ……」
「うん。してもらわなきゃ困るよ。今までおにーちゃんのせいで爆死した子達の屍の上に立ってるんだから、私」
「……はい。責任取ります」
「ん。よろしい」

「司様……? もしかして、あの時私の事「俺が君を守ってやる」って言ってくれたのは他意はなかったんですか」
「え? うん。ないよ? そのままの意味で言ったつもりだけど」

≪「「はぁ……」」≫

 三人のため息が綺麗にハモった!?

「……私…………あれで完全に司様に落とされました……」
≪ですよねー。普通にあの状況でああ言われたらちょっとは下心なり、自分に気持ちがあるとか思いますよねー≫
「はい。思いました。思いっきり……。あの後「あぁ。私の事好きになってくれたんだ」って内心舞い上がってました」
≪ですよねー≫
「えっ!? そうだったの!? あれだったの!? レティシアが俺に惚れたのってアレがきっかけなの!?」
「はい……。今すっごく恥ずかしいです…………、もうむしろ死にたいです……」
≪ですよねー、完全に告白と勘違いして舞い上がってグイグイ行ってその場の勢いでキスまでしましたもんねー……。私だったらもういっそ殺してって感じです≫
「だっ! ダメだって!? レティシア!? 俺には君が必要なんだ!」
「だって、司様は別に私の事が好きなわけじゃなかったんですよね……。
 ふふふ……司様が必要なのは「私」じゃなくて私の「治癒の力」ですよね…………」
 レティシアが虚ろな目で顔を伏せる

「今はちゃんとレティシアの事好きだって!」
「……ホントですか?」
 レティシアが顔を上げジト目で見てくる

「ホントだよ。……いいか? レティシア? ちょっと考えてみて? レティシアは好きでもない相手にキス迫られてする?」
「……しないです」
「だろう? 俺だってそうだよ。本当に気持ちが全くなかったらさ? あの時体ひっこめるとかかわすとかするはずだろ。
 けどしなかったろ? レティシアのキス受け入れたじゃん?」
「……はい。私のキス受け入れてくれました」
「だろ? それが証拠だよ。俺はレティシアの事ちゃんと好きだよ」
「うふふふっ! そ! そうですよね! そうでした! ふふふふふっ」
 レティシアが俺のその言葉にパアアっと顔を明るくする
「そうだよ、レティシア……」

「レティシアさん? おにーちゃんがレティシアさんを口説いた時ってどんな感じだったんです?」
「……えっとですねー…………」

 チラとレティシアが俺の方を見る

≪ああ、私がお話しましょうか。本人からは言いづらいと思うので……≫
 ……マキナ? あのことは伏せて話してくれよ?
≪わかってますよ。マスター≫
 さやかにはこの世界のいざこざに関わって危険な目に遭ってほしくないからな……
≪ええ。でしょうね。大丈夫です。お任せください≫
 うん。頼む
≪はいっ≫
≪以前、レティシアさんが仕事で大失敗してどん底にいた事があるんですけどね?≫
「……はい。そうですね。大失敗しました…………どん底でした……」
「……はぁ、大失敗でどん底…………ですか」
≪ええ。どん底です。それで自責の念に押しつぶされて、もうわーわー泣いちゃって大変だったんですよ≫
「はい。わーわー泣きました……」
「泣いてるレティシアさんをマスターが見かねて「俺が君を守ってやる、だから仕事頑張れ。レティシア」って抱きしめながら励ましてですね≫
「ああ~~~……おにーちゃんが言いそうなセリフー…………。おにーちゃん困ってる人は見捨てるけど、弱ってる人は見過ごせないもんね……」
≪ええ。わかるでしょ? で、コロっといったんです≫

 ……あながちまちがっちゃいないところが怖いなぁ…………
≪でしょう?≫

「なるほど、納得しました」
「はい。コロッといきました……」
「いや、えぇ。まぁ……かいつまんで話してるだろうし、詳しい話は知らないけど。これを無自覚でやったの? おにーちゃん」
「まぁ……、そのまんまだなぁ…………」
≪はい。もはや才能でしょ? これを他意なくできるって≫
「ええ、私もそう思います。マキナさん……。こんなのほぼ100%落ちるテクじゃないですか…………」
≪ですよねー……。私最初マスターはレティシアさんが好きなのかな? って思ってたんですが真相聞いてびっくりで、
 心を見てみたんですが……ホントに下心的な他意が無くてもう一度びっくりしました≫

「おにーちゃん……? まだソフィアさんって人がいるんだよね?」
「ああ、いるよ。俺の太陽だ」
「太陽!? 太陽とまで言うの!?」
「ああ、太陽だぞ。ソフィアの笑顔見ただけで幸せな気持ちになるぞマジで。ソフィアの笑顔で光合成できるぞ俺」
「おにーちゃんがちょっと馬鹿になってる……!?」
≪もうホントベタ惚れですよ。お互いに……≫
「……私、司様に太陽なんて言ってもらった事ない…………」

 またレティシアがシュンとする

 あ、まずい! またレティシアが落ち込んだ!?
 ……よし

「……レティシア。ソフィアが俺の太陽なら、レティシアは俺のお月様だよ?」
「お月様……?」
「うん、そう。お月様。……レティシアは俺が怪我したら治してくれるだろ?」
「は、はい! それはもちろん何を差し置いても治します!」
「君は苦しみという闇にいる俺に光をくれるお月様だよ」
「……っ司様ぁっ」
 レティシアが俺の腕に抱きついてくる
 顔を肩に乗せゴロゴロと甘えてくる

「な……? お月様は綺麗だろ? レティシア…………」
「はいっ! 司様っ……私お月様ですっ…………! うふふふふっ」
「……レティシア? 今日の仕事はどうだったんだ?」
「そうだっ! 司様っ? 私今日警備隊の訓練でケガした人を八人治癒してきたんですよっ」
「おぉ! 今日は八人も助けたのか! 頑張ったなぁ! この調子で頑張るんだぞー? レティシア……」
 レティシアの頭を撫でながら褒める
「うふふふふっ! はいっ! 私もっともっと頑張って怪我してる人治しますっ!」
「ああ、頑張れレティシア!」
「はいっ! 司様っ! うふふふふっ! !」

 スリスリスリスリ……
 レティシアが俺に体をこすりつけながら返事をする

≪ほら……ほらね? これですよ…………。さやかさん……≫
「ええ、今客観的に見た事でわかりました。マキナさん……。私も覚えがありますよこれ。私の時は花でした」
≪私もこの間マスターとデートした時にされたんですがイチコロでした≫
「「ええっ!? マキナ様(さん)司様(おにーちゃん)とデートしたんですか!?」」
≪はい。しましたよ? ボーリング行って、レストランでご飯食べて、部屋でまったりして……≫
「何それ! おにーちゃん!? どういうことなの! 私おにーちゃんとデートなんてしたことないんだけど!」
「そりゃないだろうよ!? で、でも、一緒に遊びには何度も行ってるだろ……?」
「そういうことじゃない! うぅ~……、わかってるけどさぁ! なんか納得がいかないんだけど!」
「司様!? 恋人を差し置いてご自分の神器とデートってどういう事ですか! 私も司様とデートしたいです!」
「……はぁ? 何勝手な事言ってるんですか? デートは私の方が先ですからね! 私は八年も待ってたんですよ?」
「はい!? 私が勝手!? 後から来て横入りですか!? それはちょっと図々しいんじゃないんですか?」
「図々しい!? 私が!? なんで!? レティシアさんの方が図々しいでしょうが! 私が一番早かったんですよ!?
 レティシアさんこそ横入りしないでくださいよ! バーゲンの時のおばさんみたいに横からしゃしゃり出て来ないでください!」
「おばっ!? 私おばさんじゃないです! なぜ私が横入りになるんですか! それは兄妹として過ごした時間でしょう! 私のが方が先に司様に告白したのに!」
「いいえぇ? 男女の関係としての八年待ちですー」
「今さっきじゃないですか! 告白したの!」
「告白なんて八年も前に済ませましたー! ちゅーも8年前にすませましたー! 一緒にお風呂入ったこともありまーす」
「お風呂!? ……あぁ~~~。それは子供の頃でしょう? 子供は一緒にお風呂はいりますもんね!」
「違いますー。おにーちゃんは私の裸見て興奮して鼻血出しましたー。と言う事は女として認識したって事でしょ!」
「それはー……お風呂でのぼせたんじゃないですか?」
「違います! あの大量の鼻血は興奮したに違いないです!」
「だって、ねえ? 八年も前の話でしょう? と言う事はさやかさんは8歳ですよね……?
 ……フフッ。…………8歳の子供の体を見て司様が興奮するとは考えにくいんですけど……」
「あ!? 今私のおっぱい見ながら笑いましたね!? 私のおっぱいはこれからですから!」
「……なんですか? その十週打ち切りになりそうなおっぱい。途中で成長が止まりそうですね…………」
「十週打ち切り!? 人のおっぱいに10週打ち切りって言った!? ちゃんと成長してますから!」
「……私。14歳の頃すでにFカップありましたけど?」
「14でF!? ちょっと揉まれ過ぎのパコり過ぎなんじゃないですか!」
 さやか!? 女の子が「パコり過ぎ」とか言っちゃダメでしょ!?
「失礼な! 初めては15歳の時ですよ!」
 レティシア!? 女の子がそんな事暴露しちゃダメでしょ!?
「15!? はっや! どんだけ男に色目使ってるんですか!」
「ホホホ! 私モテますからー」
「私がモテないとでも!? 言っておきますけどねー! 週イチで告白に呼び出されたり、手紙もらったりしてますから!」
「別の世界の事なんてなんとでも言えますからねー。ちょっと信憑性に欠けるというか……」
「ねえ!? おにーちゃん!? 私元の世界でモテてたよね!?」
 ええ!? そこで俺に振る!?
「……そういうの、全然俺に話さなかっただろ」
「話してないけど! 何回かもらった手紙廊下に放置しておいたじゃん!? 手紙もって私の部屋に来た事何回かあるでしょ!」
「あぁ~……って、放置しておいたってアレ仕込みかよ!?」
「そうだよ! おにーちゃん焦るかなーって思って置いといたの! ほら!? ねっ!? 私モテますから!
 大体ね! レティシアさんみたいにロケットスタートして、最初から大きくなったおっぱいこそすぐに勢い無くなって打ち切りになるんですよ!」
「私のおっぱいが打ち切りですって!? 発射もしてなさそうな胸してるくせに!」
「私だって発射はちゃんとしてます! 勢いがないだけです! これでもDはありますよ!
 レティシアさんもうおっぱいの成長止まってるでしょ!? 打ち切られてる証拠じゃないですか! この打ち切りおっぱい!」
「打ち切られてませんー。ちょっと休止してるだけでーす。司様に揉まれたらまた大きくなりまーす。ていうかDはいくらなんでも盛り過ぎでしょ! せいぜいCでしょC!」
「残念でしたー。私着やせするんですー、ちゃんとDありますから! あとおにーちゃんには私の育乳手伝ってもらうんであなたに構う暇はありませーん!」
「ふっ……司様のお手を借りないと大きくできないんですかー? ご自分で努力しようとは思わないんですかー?」
「それは貴方も同じですよね!? 先におにーちゃんに揉まれたらとか言いだしたのあなたでしょうが!」
「私のはいちゃいちゃも含まれてますから! あなたのは「作業」でしょう? 工場の流れ作業と同じでしょ?
「はい、右乳来たー。はーい。一回揉んだー! はいっ行っといでー! はい。次、左乳ー」……こんな感じでしょ?」
「誰が流れ作業で乳揉まれますか! 私だって当然おにーちゃんとのいちゃいちゃが含まれてます! なーんで「自分だけは違う」って発想ができるかなぁ!」
「肝心なのは司様がどちらのおっぱいがお好きかって事が一番重要です! 司様? 司様はどっちのおっぱいがお好きですか?」
「おにーちゃん!? どっちのおっぱいが好きなの!」
「えぇ!? そこで俺に振る!?」

 いや、それどんなセクハラだよ!?

「……どっちがっていうより、俺が一番好きなのはソフィアの胸だけど」
「そういえばおっぱいと言えばソフィア様がいました……!」
「えっ!? 何!? ソフィアさんってそんなにすごいおっぱいなの!?」
「ああ、すごいな」
「おにーちゃん、ソフィアさんってどんな人なの……?」
「どんな人って……、…………そうだなぁ、一言で表すなら……天使かな」
「太陽で天使!? その人ホントに人間なの!? 直接見て大丈夫……!?」
「じゃあ、エルトに帰って来たって報告もしなきゃいけないし、今から行くか。さやかの紹介も兼ねて陛下とソフィアのところ」
「へ、陛下? 陛下ってあの……王様?」
「そうだよ。この部屋はお城の一室を借りてるんだ」
「えええええ!? ここってお城の中なの!? おにーちゃんお城に住んでたの!?」
「そうだぞ、居候だけどな。お前にも部屋がもらえるように頼むから安心しろ」
「えっ? 私おにーちゃんと一緒の部屋でいいけど?」
「「≪それはダメ(です)≫」」
「あっ、それなら私が司様の部屋に移りますんで、さやかさんは私が借りてる部屋をどうぞ!」
「≪それもダメです!≫」
「まあ、部屋割りは決めてくれるだろ。行こうぜ。飯ももらわなきゃいけないしさ」
「えっ! ご飯も出るの!」
「そうだ、ありがたい事にな。ここの陛下が兄ちゃん達に衣食住を用意してくださったんだ」
「すごーい。なんだかテレビのVIP待遇みたい」
≪VIP待遇なのは間違いないですね≫

 そんな事を話しながら陛下とソフィアの所へ報告へ向かった

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