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第二章 始まりとやり直し
033 救世主と世界の救い方
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翌日────
自室
マキナ? ちょっと聞いていい?
≪はい?≫
マキナってさ、いろんな物作れるじゃん? 俺の手甲もそうだけど、くーちゃんもマキナが作ったんだろ?
≪はい≫
じゃあさ? ────────とか────────とか……こういう事はできる?
≪はい。可能ですが……何をするんですか?≫
おぉ! 出来るんだ? マキナはやっぱり凄いな! ……アルテミスの話を聞いてて思いついた事があってな?
≪アルテミスのさっきの話……?≫
二ィっと口角を上げる
≪あっ! マスターが悪い顔してるー! と言う事はー?≫
うん。そうだよ? 隠蔽して捏造するつもりだよ?
≪あははははっ! 出たぁ! マスターの得意技だっ≫
やってくれる? マキナちゃん
≪ふふっ。私がマスターのお願いを断った事あります?≫
いつもありがとう、マキナ
≪……お救いになるんですね? アルテミスさんも…………≫
……ああ。…………本人の返事次第だけどな、嫌だって言うかもしれないし……
≪そうですね……≫
何か必要な物ってある?
≪髪の毛が一本あれば……≫
髪の毛ね……
いつもアルテミスを座らせて食事を食べさせている椅子の周辺を探ると数本の長い髪の毛が見つかる
これでいいか?
≪はいっ≫
マキナに髪の毛を渡す
≪マスター……どうしてそこまでなさるんですか≫
……アレ見ちまったからな
≪……マスターは優しすぎますよ≫
アレ見たらさ……何とかしたいって思ったんだ
アルテミスを公の場に出せば間違いなく処刑されるだろう。……それじゃ余りにも救いが無さすぎるよ。
アルテミスの場合……同情できる部分が多分にあるからな…………
そういう連中を救えないのなら「救世主」なんて名乗れねーよ
あのアーレスって奴みたいに神器出してきたらもう問答無用でやるしかないけどな……
≪……できました≫
おぉ。さっすがマキナちゃん! 仕事が早い!
≪ふふふっ≫
マキナがアルテミスを次元の狭間から出し、椅子に座らせる
マキナ? 遮音と部屋の不可視化、それと部屋のロック頼む。それとアルテミスの脳を監視しておいくれ
≪はいっ≫
「……何か用か? 東条」
「ああ。いくつか話したい事があってな? お前元の世界に戻る方法知りたがってただろ?」
「まるで元の世界に戻る術を持ってる人を知っているような口ぶりだな」
「ああ、知ってる」
「ほっ! 本当か!?その人はどこに住んでいる! !?その人の名前は!?」
「お前の目の前にいる人物がそうだ」
「は……? お前…………が?」
「まぁ、正確にはマキナだけどな」
くるっとアルテミスがマキナの方へ顔を向ける
アルテミスの「この世界には救世主に関する本が存在しない」
つまり記録が残っていないという事を聞いた時、俺は以前マキナに聞いた事を思い出し、そこからある事を思いついた
あの人質救出に向かう際に聞いてみた事だった
────────────────────なーんて……まっさかねー…………! そんな事はいくらなんでもできな……
(次元の狭間経由で俺の元の世界に転移する)
そう、マキナは次元の扉を開き次元の狭間に入る事ができる。全ての空間に繋がっている次元の狭間だ
もしかしたらできるかもしれないと聞いてみた結果答えはYESだった。
元の世界に戻るためにも俺は強くならなくてはいけない
アルテミスの顔色が変わる
「ほ、本当か!?お前本当に元の世界へ戻る方法を知ってるのか!?」
≪知ってるというか。はい。できますね。ただ、今はできませんが≫
「今はできない……だと? どういうことだ…………!?」
「簡単に言うとな? 俺がまだ弱いから、神器であるマキナもパワーが出ないんだよ」
「……お前が弱い…………?」
「そ。でな? いつ破滅の王が街に攻めてくるかわからない状況じゃ修行もおちおちできやしないし。
俺自身もいつ殺されるか分かったもんじゃないだろ? 事実この間お前に殺されかけたわけだし」
「ああ……」
「だから、そういう意味でも世界が平和になってくれないと困るわけだ」
「そうか、そういう意味だったのか……」
「そういうことだ」
「しっ、しかし、その話が嘘か本当の事なのか証明が出来んだろう!?」
「そう言うと思ったよ。……マキナ?」
≪はいっ≫
ブォン……。アルテミスの前にモニターを出現させる
俺の高校の様子を映してくれるか
≪はい≫
「あ……ああぁ…………懐かしい……」
アルテミスが涙を流しながらモニターを眺めてる
≪こちらが現在の白石叶さんの様子です≫
教室の机に座り窓の外を見ている「白石 叶」の姿が映し出される
「かっ! 叶!?叶ぇっ!?っ! くっ……! 叶ぇっ…………!」
アルテミスがガタっと椅子を揺らし、ドッと上半身を机に体勢を崩しながら食い入るようにモニターを見る
「あぁ……あぁ、かなえ…………叶だ……! 間違いな……い……叶だ! ……叶が……いる……」
「これでわかってくれたかな。ついでだ、証拠に今日のニュースも映してやってくれ」
≪はいっ≫
プっ……と画面が切り替わりニュースが流れ始める
「あっ……叶…………!?……」
「────今日未明、高崎市で山火事があり……」
「一1月1四日火曜日の朝八時半になりました! 今日の天気は……」
「……これで確認しろ」
俺の携帯を開きモニターの横にへ並べてやる
「あぁ……確かに…………本当のようだな……」
「今日は甲子園球場で……」
「昨夜未明、京都市宮根川路上で男性の変死体が見つかり……」
「あぁ……あぁ…………あの世界だ……あの日常……だ……懐かしい……懐か……しい……」
「これで信じてくれたか? これが俺が世界を平和にする理由の一つだ」
「ああ……ああ!」
「……アルテミス。セレスティア王に嵌められて、お前は本当に辛い目に遭ったと思う。…………正直、同情するよ……。
だけど、それで道を誤ったとは言え、お前は自分の意志で暗殺を請け負っていたんだろう?」
「……ああ。そうだ。私は…………自分の意志で人を殺める仕事をしていた……それは間違いな……い……」
アルテミスは声を震わせながら答える
「罪は罰を受けて贖わなきゃいけない。これは、わかるな?」
「……ああ」
「……俺が今から「救世主」としてお前に罰を与える」
「……っ!?」
アルテミスの顔色が悪くなる。恐らく殺されると思っているはずだ
「マキナにお前のやって来た事を見せてもらったよ。
……お前の罪は裁判にかけられて、死刑になっただけで済む様なそんな甘いものじゃないはずだ」
「……ああ、そうだな。私は自分の私利私欲のために人を殺したんだ。罪は…………重いはずだ」
アルテミスが観念したように、目を瞑り話す
「……アルテミス。お前はこの世界の荒み具合を誰よりも知っているはずだ。
あのセレスティア王のように、人を傷つける事を喜んでやる人間はいる。
今この瞬間も誰かが理不尽な暴力に傷つけられているかもしれない」
「……それは、よくわかっているさ…………私が一番知っている……!」
「アルテミス。罰を宣告する────「俺に協力し世界を平和にする事」をお前の罰とする」
「なっ……?」
アルテミスがハトが拍子抜けのようなマヌケな顔をする
「もう一度言うぞ。俺と一緒にこの世界を平和にするのに協力しろ。
この世界を平和にしたら俺がお前を赦してやる。そして……俺が元の世界へ帰る時に一緒に元の世界へ戻してやる」
「だから……お前は、今日から、今から…………生まれ変わって「救世主」をやり直せ」
「……生まれ変わって「救世主」をやり直す…………?」
アルテミスは何を言ってるんだこいつは、と言ったような表情になる
「そうだ。これからお前は「救世主」として多くの人を救え。お前が自分を赦せるくらい、お前がこの世界を赦せるくらい救って救って、救いまくれ……。
それで、世界を平和にできた時、それでも世間が世界がお前を赦さなくて、お前自身が自分を赦せなくても、俺(救世主)がお前を赦してやる」
「ああ……! ああ…………! わかった! 協力させてくれ……!」
「そうか。お前を自由にする以上、俺はお前の行動に全責任を持たなきゃいけない。だから、少し条件を付けるが構わないな?」
「ああ……! どんな条件なんだ…………!?言ってくれ、東条……!」
「まず、チャンスは一回だ。マキナがお前の脳を二四時間常時見張るようにする。
少しでも妙な事を考えればその瞬間にマキナがお前の脳を爆破して殺すが構わないな?
妨害のネックレスを付けた時のように一定時間妨害効果が発生した場合も自動で爆破されるようにしてあるからな?
あとマキナの監視ロボ一万羽と、この世界のどこまでも届く監視ロボにお前を常時監視させておくから逃げようなんて思うなよ。
俺がお前に殺されても爆発はするようにしてあるから妙な気は起こさない事だ」
「ああ、構わない! 私を信じられないのは当然だ。
私が何か良からぬことを考えた瞬間に殺してくれて構わない。元の世界に戻れるのなら私はお前に忠誠を誓う!」
「その言葉が聞きたかった。行動は常に俺かマキナと一緒に行動する事。トイレと風呂も今まで通りマキナと一緒だ。いいな?」
「ああ! わかった!」
「約束だぜ?」
「ああ、任せてくれ!」
ということだ、マキナ。頼む
≪はいっ≫
ピッ!
マキナがアルテミスの頭に向け手を赤に光らせる
≪これで脳に爆弾が着きました≫
マキナ? アルテミスの拘束を解いてやってくれ
≪はい。マスター≫
マキナがアルテミスのワイヤーを解き腕の拘束具も外す
「ふう……ずっと縛られていたから体が妙な感じだ…………」
アルテミスがプラプラと手や足を動かしながら体を見渡す
「そりゃな。マキナ?」
≪はいっ。アルテミスさん? マスターからのプレゼントですよ~≫
マキナがアルテミスの顔の傷や、全身の傷に緑色の光を当てる
「あ……? あぁ…………!?」
アルテミスが自分の顔をぺたぺたと触りながら感触を確かめる
アルテミスが元の美しい顔に戻る
「……」
俺は無言で机から鏡を持ってきて、アルテミスに鏡を見せる
「おぉ~。美人になったな。お前絶対そっちの方がいいよ」
「こ、これ……は、どういう…………事だ……魔法……か……?」
「そうだ。マキナのとっておきの魔法だ」
「治癒の神器を持つ者でも完全には火傷の痕は消せなかったのに……」
≪部屋に落ちてるアルテミスさんの毛髪から
毛髪のDNAを解析してアルテミスさんの皮膚を創り出し貼り付けました。
ですのでアルテミスさんの皮膚と言っても過言ではないです≫
「どうだ? 違和感とかないか? アルテミス」
「あ……あぁぁぁぁぁぁっ…………~~~~~~~~~~~っ!?」
両手で顔を伏せ、しゃがみ込み泣き出すアルテミス
「でだ、アルテミス。お前は救世主としても破滅の王の軍勢としても顔も名前も知られてる。
だから別人になってもらう必要がある。元の世界に戻るまでお前の顔を変えてももらう事になるが構わないな」
「ああ、構わない……! やってくれ!」
「よし。じゃあ、マキナ頼む」
≪はいっ。ついでに体型も変えておきます≫
ああ、頼む
マキナが再びアルテミスの顔に光を当てる
アルテミスの顔が変化し、元の顔とは違った顔付きになり、あどけなさを残す美女になる
俺と同じくらいの背丈でモデル顔負けの美貌とプロポーションを誇る一七~八歳くらいの黒髪ポニテの巨乳美女が誕生した
アルテミスに鏡を向けながら話しかける
「こ、これが。私……? 私なのか…………? これ……!?」
「そうだ、お前は今生まれ変わったんだ」
「私が、生まれ変わった……?」
「そうだ。お前は今生まれ変わったんだ。救世主をやり直すためにな」
「生まれ……っ! あっ…………あぁっ……! あああああああああああ~~~~~~~~~~っ」
アルテミスの激しい嗚咽と絶叫が俺の部屋に響く
「……っ! ああ…………! ありがとう……東……条……うっ、ぐすっ……う……うっ……」
再びアルテミスが顔を伏せ泣き出す
「……頑張れよ?」
アルテミスの背中にそっと手を置き声をかける
「ああ……! ああ! ありがとう…………!」
コンコン……!
「司様ー……? いらっしゃいますか?」
マキナ? レティシアが来たみたいだ。開けて来てやってくれ
≪はいっ≫
てててててっ
マキナがドアのところまで行きレティシアを迎え入れる
≪どうぞ、レティシアさん≫
「ありがとうございますっ、マキナ様」
「レティシア? 入っておいでよ」
「はいっ。おじゃまします。……えっ…………!?ええええっ!?」
部屋に入って来たレティシアが、アルテミスの姿に驚き身構える
うん、そりゃ身構えるよね……だっておもいっきり黒マントだし…………
「つ、司様ぁ‥…? これは、一体…………」
レティシアが後ずさりしながら俺に聞いてくる
「ああ、紹介するよ。元破滅の王の軍勢のア……」
「はっ……? はぃぃぃぃぃ!?やっぱり破滅の王の軍勢の人ですよね!?この人」
がばっと壁に張り付くレティシア
俺が言い終わる前にレティシアが「破滅の王の軍勢」というキーワードに、
超反応し壁に背を張り付かせアルテミスをガン見する
まあ、こうなる……よなあ、普通
≪でも、レティシアさんも似たようなものですしねぇ……。立場的には何も変わらないですけどねー…………≫
それ……レティシアに言っちゃダメだよ? 絶対泣くから…………
≪はぁい≫
「ああ、ちょうどいい、レティシア? ちょっとお願いがあるんだけどいいかな……」
「は、はい……。な、なんでしょう?」
アルテミスをガン見しつつ、壁沿いにすり足でレティシアが俺に近寄ってくる
「こいつに服を貸してやってくれないかな? とりあえず黒マントはまずいから……」
「は……はい…………。司様がそうおっしゃるのなら……」
「……そんなに怯えなくても大丈夫だよ?」
「あの……本当にどういう事なんですか? これ…………。司様……」
「アルテミス? お友達が来たぞ」
「え……アルテミス…………さん……?」
「っ……!?」
アルテミスが顔を上げる
「おっ……お前っ…………! ……アポロン!?アポロンか!」
「その声……!?アルテミスさん…………!?アルテミスさんですよね!?」
レティシアがアルテミスに抱きつく
ひしっ……! ふたりが抱き合い泣き出す
「ああ……! 私だ…………! アポロン! お前無事だったんだな……! 急に行方不明になったから死んだと思っていた……ぞ……!」
「はいっ! 司様に救ってもらったんです! 私が何かで操られておかしくなって……!」
「そうか……! 無事だったのか…………そうか……!」
「……もしかして、アルテミスさんも司様に救ってもらったんですか…………?」
「……ああ。そうだな…………、そうだ……。私も、間違いを犯し……て……、東条に救ってもらったんだ……」
「よっ! よかったですねっ……! よかったですねっ…………! やっぱりアルテミスさんも司様に救っていただいたんですねっ……」
「ああ……ああ…………! そうだ……! お前も、良かった……な……!」
「そうか……アポロン…………! 東条……! ありがと……う……! 本当にありがとう……!」
「礼を言うのはまだ早いだろ。元の世界戻ってからにしろよ。これからガンガン手伝ってもらうからな? 覚悟しとけよ」
「ああ……! もちろんだ…………!」
「後、他の人には内緒な? 元破滅の軍勢にいたってわかったら大騒ぎになるから。レティシアの事も伏せてやってくれよ?」
「ああ! わかった! 絶対に口外しない!」
「レティシアも伏せてやってくれよ?」
「はいっ……はいっ…………! 司様っ……ありがとうございます……っ……」
「……アルテミス?」
「なんだ……? 東条…………ぐすっ」
「そのままアルテミス呼びはまずいから、別の名前で呼びたいんだがいいか」
「ああ、問題ない」
「じゃあ、何か希望の名前あるか? 本名も……避けたほうがいいだろうな」
「……私は、今生まれ変わったんだろう? 東条がつけてくれないか? 東条は今の私の産みの親のようなものだ」
「そうだ。お前は生まれ変わったんだ。うーん……名前、かぁ…………。……じゃあ「ガーベラ・セイクリッド」ってのはどうだ」
「……ああ。よい名だ…………、……何か名前に意味があるのか?」
「「ガーベラ」は花の名前だ。花言葉は「希望」だ。
「「セイクリッド」は「神秘的な」とか「宗教的な」って意味で一般的には使われるけど、「侵される事のない」って意味もあるんだ」
「……侵される事のない希望。か。良い名だ」
「お前が二度と間違わないようにって願いを込めてある」
「ああ! 任せてくれ……! 私は二度と間違わない…………!」
「じゃあ、よろしくお願いします、セイクリッドさん」
「……なぜ急に敬称をつけて敬語になるんだ」
「だって俺より年上じゃないですか、セイクリッドさん。最年長だろうし。敬意を払おうかと思って」
「私は最年長じゃない! それに敬語はやめてくれ!」
「……そうか? 最年長じゃないのか」
「そうだ! 私は最年長じゃない! 私はまだ一九歳だ! それを言うならアポロんっ……! !?」
「……ガーベラさん…………?」
レティシアがガーベラの口を塞ぐ
「……痛い痛い痛い!?アポロンっ!?そんなにつねったら痛い!?」
ガーベラがバタバタと手を振ってもがく
「そういえばレティシアの年齢知らないな……」
「司様と同い年ですよっ」
「あっ、やっぱりそうだよな? 初めて会った時に俺と同い年くらいだと思ったんだよ」
「はいっ」
「えっ……? はたっ…………」
「……そうですよね? ガーベラさん…………?」
「……はい…………じゅうななさい……、ですよ……ね……」
「そうです。私十七歳です」
「ああ、そうだ、ガーベラ? レティシアはもう「アポロン」じゃない。レティシアと呼んでくれ」
「わかった。レティシアだな」
「よろしくですっ! ガーベラさんっ」
「ああっ。これからよろしく頼む! レティシア! 東条! マキナ!」
「とりあえずさ? レティシアの服をガーベラに何着か貸してやってくんないかな?」
「はいっ! 部屋から取ってきたほうがいいですよね? たぶん」
「ああ、頼めるかな? レティシア」
「はいっ」
「マキナ? レティシアについて行って何着か服を次元の狭間に収納して持って来てくれ」
≪はいっ≫
レティシアが自分の部屋に服を取りに部屋から出ていく
十数分後……
マキナとレティシアが部屋から帰ってくる
「おじゃましますっ、司様っ」
「……っ」
「お、おかえり。じゃあ、アルテミスを脱衣所で着替えさせてくれる? レティシア、マキナ」
≪「はいっ」≫
少し経ってからマキナ達が脱衣所から出てくる
レティシアの服を着たガーベラが恥ずかしそうにもじもじしながらレティシアの影に隠れる
「ほら、ガーベラさんっ」
レティシアに肩を掴まれグイと前に押し出されるガーベラ
薄いピンクのフリルのついたドレス風の服を着ているガーベラ
「おぉー、見違えた。可愛いくなったじゃん……アルテ…………ガーベラ」
「……っ、そ、そうか…………!?」
「ああ。それなら誰が見てもお前だってわかんねえはずだ」
「……ああ、ついでに。声でバレるかもしれないから。声も変えていいか?」
「ああ、頼む」
「マキナ? 頼む」
「はいっ。じゃあ、マスターの好きなアニメキャラの声にしますねっ」
「えっ!?」
マキナがガーベラの喉に光を当てる
≪完了しましたっ≫
「……ど、どうだ? えっ? これ私の声…………?」
「……へぇ、司様はこういう可愛い感じの声が好きなんですね…………」
「レティシアの声も可愛いから大丈夫だよ! 何張り切って声高くしてアニメ声作ってんの!」
「だって……」
レティシアが口を尖らせて拗ねる
≪今のガーベラさんは見た目も声も全てマスターのドストライクなはずですよ。レティシアさん≫
マキナちゃん!?火のついた暖炉に爆竹投げ入れるような事言うのやめよっか!?
「こういう清楚な感じの見た目が司様のタイプですか……そうですよね、ソフィアさんお綺麗ですもんね?」
「……あの、レティシア?」
「はい、わかってますよ。司様の一番はソフィア様で、その次が私ですよね? …………」
うっわ、レティシアがめっちゃ不機嫌だ……。これあの洞窟の時より威圧感あるんだけど…………!
「俺はレティシアも大好きだよ!?」
「……本当ですか?」
「うん! レティシア可愛いし優しいし!」
「……」
あっ! ちょっと頬が緩んだ! 今だ! このまま押し切ろう!
「そういえば東条? 私はどこで寝ればいいんだろう? やはりいつも通りこの部屋か?」
「えっ! !?この部屋で寝てたんですかっ!?ガーベラさんっ!」
「え、ああ。そうだぞ? もう一週間はこの部屋にいるぞ」
ガーベラ! 間違ってるわけじゃないけど違うだろ!?お前が寝ていたのは次元の狭間だ! ここじゃないだろ!
俺の苦労が今ので全て水の泡じゃねえか
「違う! 誤解だ! レティシア!」
「へぇ……? どう誤解なのか私にわかるように説明してください」
「アポロン? 私達は何もやましい事などしていないぞ? 東条はこの部屋で私を縛り上げて、穴に入れたり出したりしてただけだ」
言い方! お前ちょっとはいい方考えろ
「ガーベラさんを縛り上げて穴に挿れたり出したりしてた!?」
「レティシア!?字が違う! 今絶対違う入れたって意味を使ったよね君!」
次元の狭間に人が入れる事を人に知られるのはまずいし、何とかごまかさないと!
「レ……レティシア? 俺の話を聞いてくれよ…………」
「……つーん…………知りませんっ!」
話しかけた俺にプイと顔を背けるレティシア
あっ!?ダメだ!?完全に拗ねたぞ!?し、仕方ない! 強硬手段だ!
「……レティシア? ちょっと、向こうで二人で話合いしよっか…………。レティシアはきっと誤解してると思うんだ……」
レティシアの肩を抱き寄せながら囁くように話しかける
「あっ……だっ。ダメですよっ! 司様ぁっ…………!」
ダメといいながら声のテンションが爆上がし、俺に肩を抱かれたまま脱衣所に連れ込まれるレティシア
脱衣所へレティシアを込み、一五分程「話し合い」をして納得させる
ガチャ……
「話し合い」が終わり脱衣所から出る
俺の腕を胸に挟み、顔を真っ赤にしながらニコニコ顔の超ご機嫌なレティシア
「うふふふふっ……! 司様ったら…………こんな明るいうちから……もぉっ! ふふふふ……っ……!」
ふう! よし! なんとかごまかせた!
「なんだ? アポロ……、いや、レティシアと東条はそういう関係なのか?」
「はいっ! 司様は私の神様ですっ。……ガーベラさんもですよね?」
「ああ、そうだ。私も東条に仕える事になった。また同僚だな、レティシア」
「ふふふっ! そうですねっ! また一緒ですねっ!」
いつのまに!?ドンドン関係性がクラスチェンジして行ってない!?
俺知らない内に神になってたの!?
≪一週間後には創造主になってそうですねー≫
こっわ!?宗教って怖っ!?
「……ああ。ガーベラ? 今まで着てた黒マント渡してくれ。こっちで処分する」
「ああ。頼む……」
ガーベラから黒マントを受け取り、マキナに渡す
≪次元の狭間にポイしておきまーす≫
マキナが言いながら次元の扉を出現させ次元の狭間に投げ入れる
≪……マスター? ソフィアさんや陛下にガーベラさんの事をどう説明するおつもりですか≫
「救世主拾ってきた」
≪そんな犬や猫みたいにはいかないと思いますよっ!?≫
じゃあ……「魔物の巣を討伐しに行ったら、救世主のガーベラが人質として捕まっていました。
魔物に暴行を受けた際に記憶を失ったらしく一部記憶がないようです。
救世主である以上貴重な戦力として期待できるため保護し連れてきました。
私が責任もってガーベラの面倒を見るのでどうかご協力願えませんか」これでどうだ?
≪……いつもいつもよくそんなでっちあげるセリフをポンポン考えつきますねホント…………≫
任せろ、隠蔽と捏造は特技だぞ。……綺麗事だけでやっていけるのならそれが一番いいんだけどなー…………
≪まぁ、そうですね……。戦力的にアテに出来るのがイグニスさんとレイザーさんだけですもんね…………≫
前線で闘える人間も足りてない現状ではガーベラが戦力として入ってくれるとしたら願ってもない事だからな
レイザーさんはあの性格だから前線へ向かうだろうけど、隊長はどう考えても指令室から動けないだろうしな……
というか、隊長にはちゃんと人を指示してもらって、民間人の避難をしてもらわないと、この間みたいにグダグダになったらマジでヤバい
≪はい……。確かにガーベラさんが戦力として加わってくれれば大きいですね≫
それでも俺、マキナ、レイザーさん、ガーベラ……これでやっと東西南北が護れるようになっただけだからな。
どんだけ今まで危機的状況だったんだよって話だぜ
≪魔物襲撃時からくーちゃん一万羽に常時街を警備させてますが、民間人の被害を考えると理想は街から遠い場所で殲滅する事ですね≫
そうだな……。街の近くまで来ればくーちゃんが迎撃できるだろうけど、
それだと関係ない人も巻き込まれかねないよな……。
こないだのグダグダっぷりを見るに、万が一隊長が負傷でもして倒れたら民間人の避難すらグダりそうだしな……
早い所人員増やして警備強化が行きわたってほしいぜ……
≪そうですね……。戦うにしても民間人の避難を完了して貰う事が本当に最低条件ですね。
右往左往されていては下手に攻撃出来ませんし……≫
くーちゃんって街から何キロのところまで飛べるんだっけ
≪マスターの能力が上がったので今は街から半径二〇キロですね≫
……二〇キロ圏内に敵がいるって時点でもうかなり危機的状況だよな…………。
≪そうですね……文明がそこまで進歩してないのもありますが、最近まで国の運営陣にやる気が感じられませんでしたし…………。
魔物が襲っては来る事は滅多にないからって、監視塔壊されてもそのままにしてたのがこの国の危機意識のヤバさを物語ってるよな
≪ですねえ≫
あのさ、マキナの兵器を無効化するあの装置使われたらくーちゃんも動けなくなる?
≪はい≫
やっぱりか。……あの装置を街に張られたらマジでヤバいな
≪……ガーベラさんの件…………。また、マスターが泥を被る事になるんですね……≫
マキナが顔を哀しそうな顔になり顔を伏せ、口を開く
この汚いやり方を選んだのは俺だ。俺の責任だよ。なら、俺が泥を被るのは当然の事だろ
≪っ……≫
俺の言葉にマキナが口を横一文字に閉じる
……マキナ。俺さ? 皆から「救世主」って言われてる癖にどうすれば「世界を救う」って事になるのかわからなかったんだ
リリアさんやレティシア、ガーベラに起こった理不尽な出来事を考えると、
ただ魔物や敵を全部倒したら世界が平和になって「世界を救った」って事になるわけじゃなさそうだって思ってたんだ
≪はい……≫
……今やっとわかった気がするよ
≪わかった……ですか?≫
……見てみろよ。マキナ
≪……?≫
理不尽に傷つけられて泣いてたレティシアが……、憎しみで顔を歪めてたアルテミスがあんなに楽しそうに笑ってるぜ
≪……はい≫
楽しそうに笑いあうガーベラとレティシアを見ながら頬が緩み口角が上がる
きっと──────
「世界を救う」ってこういう事なんじゃねえかな────────────
──────────機械の神と救世主、第二章・完
自室
マキナ? ちょっと聞いていい?
≪はい?≫
マキナってさ、いろんな物作れるじゃん? 俺の手甲もそうだけど、くーちゃんもマキナが作ったんだろ?
≪はい≫
じゃあさ? ────────とか────────とか……こういう事はできる?
≪はい。可能ですが……何をするんですか?≫
おぉ! 出来るんだ? マキナはやっぱり凄いな! ……アルテミスの話を聞いてて思いついた事があってな?
≪アルテミスのさっきの話……?≫
二ィっと口角を上げる
≪あっ! マスターが悪い顔してるー! と言う事はー?≫
うん。そうだよ? 隠蔽して捏造するつもりだよ?
≪あははははっ! 出たぁ! マスターの得意技だっ≫
やってくれる? マキナちゃん
≪ふふっ。私がマスターのお願いを断った事あります?≫
いつもありがとう、マキナ
≪……お救いになるんですね? アルテミスさんも…………≫
……ああ。…………本人の返事次第だけどな、嫌だって言うかもしれないし……
≪そうですね……≫
何か必要な物ってある?
≪髪の毛が一本あれば……≫
髪の毛ね……
いつもアルテミスを座らせて食事を食べさせている椅子の周辺を探ると数本の長い髪の毛が見つかる
これでいいか?
≪はいっ≫
マキナに髪の毛を渡す
≪マスター……どうしてそこまでなさるんですか≫
……アレ見ちまったからな
≪……マスターは優しすぎますよ≫
アレ見たらさ……何とかしたいって思ったんだ
アルテミスを公の場に出せば間違いなく処刑されるだろう。……それじゃ余りにも救いが無さすぎるよ。
アルテミスの場合……同情できる部分が多分にあるからな…………
そういう連中を救えないのなら「救世主」なんて名乗れねーよ
あのアーレスって奴みたいに神器出してきたらもう問答無用でやるしかないけどな……
≪……できました≫
おぉ。さっすがマキナちゃん! 仕事が早い!
≪ふふふっ≫
マキナがアルテミスを次元の狭間から出し、椅子に座らせる
マキナ? 遮音と部屋の不可視化、それと部屋のロック頼む。それとアルテミスの脳を監視しておいくれ
≪はいっ≫
「……何か用か? 東条」
「ああ。いくつか話したい事があってな? お前元の世界に戻る方法知りたがってただろ?」
「まるで元の世界に戻る術を持ってる人を知っているような口ぶりだな」
「ああ、知ってる」
「ほっ! 本当か!?その人はどこに住んでいる! !?その人の名前は!?」
「お前の目の前にいる人物がそうだ」
「は……? お前…………が?」
「まぁ、正確にはマキナだけどな」
くるっとアルテミスがマキナの方へ顔を向ける
アルテミスの「この世界には救世主に関する本が存在しない」
つまり記録が残っていないという事を聞いた時、俺は以前マキナに聞いた事を思い出し、そこからある事を思いついた
あの人質救出に向かう際に聞いてみた事だった
────────────────────なーんて……まっさかねー…………! そんな事はいくらなんでもできな……
(次元の狭間経由で俺の元の世界に転移する)
そう、マキナは次元の扉を開き次元の狭間に入る事ができる。全ての空間に繋がっている次元の狭間だ
もしかしたらできるかもしれないと聞いてみた結果答えはYESだった。
元の世界に戻るためにも俺は強くならなくてはいけない
アルテミスの顔色が変わる
「ほ、本当か!?お前本当に元の世界へ戻る方法を知ってるのか!?」
≪知ってるというか。はい。できますね。ただ、今はできませんが≫
「今はできない……だと? どういうことだ…………!?」
「簡単に言うとな? 俺がまだ弱いから、神器であるマキナもパワーが出ないんだよ」
「……お前が弱い…………?」
「そ。でな? いつ破滅の王が街に攻めてくるかわからない状況じゃ修行もおちおちできやしないし。
俺自身もいつ殺されるか分かったもんじゃないだろ? 事実この間お前に殺されかけたわけだし」
「ああ……」
「だから、そういう意味でも世界が平和になってくれないと困るわけだ」
「そうか、そういう意味だったのか……」
「そういうことだ」
「しっ、しかし、その話が嘘か本当の事なのか証明が出来んだろう!?」
「そう言うと思ったよ。……マキナ?」
≪はいっ≫
ブォン……。アルテミスの前にモニターを出現させる
俺の高校の様子を映してくれるか
≪はい≫
「あ……ああぁ…………懐かしい……」
アルテミスが涙を流しながらモニターを眺めてる
≪こちらが現在の白石叶さんの様子です≫
教室の机に座り窓の外を見ている「白石 叶」の姿が映し出される
「かっ! 叶!?叶ぇっ!?っ! くっ……! 叶ぇっ…………!」
アルテミスがガタっと椅子を揺らし、ドッと上半身を机に体勢を崩しながら食い入るようにモニターを見る
「あぁ……あぁ、かなえ…………叶だ……! 間違いな……い……叶だ! ……叶が……いる……」
「これでわかってくれたかな。ついでだ、証拠に今日のニュースも映してやってくれ」
≪はいっ≫
プっ……と画面が切り替わりニュースが流れ始める
「あっ……叶…………!?……」
「────今日未明、高崎市で山火事があり……」
「一1月1四日火曜日の朝八時半になりました! 今日の天気は……」
「……これで確認しろ」
俺の携帯を開きモニターの横にへ並べてやる
「あぁ……確かに…………本当のようだな……」
「今日は甲子園球場で……」
「昨夜未明、京都市宮根川路上で男性の変死体が見つかり……」
「あぁ……あぁ…………あの世界だ……あの日常……だ……懐かしい……懐か……しい……」
「これで信じてくれたか? これが俺が世界を平和にする理由の一つだ」
「ああ……ああ!」
「……アルテミス。セレスティア王に嵌められて、お前は本当に辛い目に遭ったと思う。…………正直、同情するよ……。
だけど、それで道を誤ったとは言え、お前は自分の意志で暗殺を請け負っていたんだろう?」
「……ああ。そうだ。私は…………自分の意志で人を殺める仕事をしていた……それは間違いな……い……」
アルテミスは声を震わせながら答える
「罪は罰を受けて贖わなきゃいけない。これは、わかるな?」
「……ああ」
「……俺が今から「救世主」としてお前に罰を与える」
「……っ!?」
アルテミスの顔色が悪くなる。恐らく殺されると思っているはずだ
「マキナにお前のやって来た事を見せてもらったよ。
……お前の罪は裁判にかけられて、死刑になっただけで済む様なそんな甘いものじゃないはずだ」
「……ああ、そうだな。私は自分の私利私欲のために人を殺したんだ。罪は…………重いはずだ」
アルテミスが観念したように、目を瞑り話す
「……アルテミス。お前はこの世界の荒み具合を誰よりも知っているはずだ。
あのセレスティア王のように、人を傷つける事を喜んでやる人間はいる。
今この瞬間も誰かが理不尽な暴力に傷つけられているかもしれない」
「……それは、よくわかっているさ…………私が一番知っている……!」
「アルテミス。罰を宣告する────「俺に協力し世界を平和にする事」をお前の罰とする」
「なっ……?」
アルテミスがハトが拍子抜けのようなマヌケな顔をする
「もう一度言うぞ。俺と一緒にこの世界を平和にするのに協力しろ。
この世界を平和にしたら俺がお前を赦してやる。そして……俺が元の世界へ帰る時に一緒に元の世界へ戻してやる」
「だから……お前は、今日から、今から…………生まれ変わって「救世主」をやり直せ」
「……生まれ変わって「救世主」をやり直す…………?」
アルテミスは何を言ってるんだこいつは、と言ったような表情になる
「そうだ。これからお前は「救世主」として多くの人を救え。お前が自分を赦せるくらい、お前がこの世界を赦せるくらい救って救って、救いまくれ……。
それで、世界を平和にできた時、それでも世間が世界がお前を赦さなくて、お前自身が自分を赦せなくても、俺(救世主)がお前を赦してやる」
「ああ……! ああ…………! わかった! 協力させてくれ……!」
「そうか。お前を自由にする以上、俺はお前の行動に全責任を持たなきゃいけない。だから、少し条件を付けるが構わないな?」
「ああ……! どんな条件なんだ…………!?言ってくれ、東条……!」
「まず、チャンスは一回だ。マキナがお前の脳を二四時間常時見張るようにする。
少しでも妙な事を考えればその瞬間にマキナがお前の脳を爆破して殺すが構わないな?
妨害のネックレスを付けた時のように一定時間妨害効果が発生した場合も自動で爆破されるようにしてあるからな?
あとマキナの監視ロボ一万羽と、この世界のどこまでも届く監視ロボにお前を常時監視させておくから逃げようなんて思うなよ。
俺がお前に殺されても爆発はするようにしてあるから妙な気は起こさない事だ」
「ああ、構わない! 私を信じられないのは当然だ。
私が何か良からぬことを考えた瞬間に殺してくれて構わない。元の世界に戻れるのなら私はお前に忠誠を誓う!」
「その言葉が聞きたかった。行動は常に俺かマキナと一緒に行動する事。トイレと風呂も今まで通りマキナと一緒だ。いいな?」
「ああ! わかった!」
「約束だぜ?」
「ああ、任せてくれ!」
ということだ、マキナ。頼む
≪はいっ≫
ピッ!
マキナがアルテミスの頭に向け手を赤に光らせる
≪これで脳に爆弾が着きました≫
マキナ? アルテミスの拘束を解いてやってくれ
≪はい。マスター≫
マキナがアルテミスのワイヤーを解き腕の拘束具も外す
「ふう……ずっと縛られていたから体が妙な感じだ…………」
アルテミスがプラプラと手や足を動かしながら体を見渡す
「そりゃな。マキナ?」
≪はいっ。アルテミスさん? マスターからのプレゼントですよ~≫
マキナがアルテミスの顔の傷や、全身の傷に緑色の光を当てる
「あ……? あぁ…………!?」
アルテミスが自分の顔をぺたぺたと触りながら感触を確かめる
アルテミスが元の美しい顔に戻る
「……」
俺は無言で机から鏡を持ってきて、アルテミスに鏡を見せる
「おぉ~。美人になったな。お前絶対そっちの方がいいよ」
「こ、これ……は、どういう…………事だ……魔法……か……?」
「そうだ。マキナのとっておきの魔法だ」
「治癒の神器を持つ者でも完全には火傷の痕は消せなかったのに……」
≪部屋に落ちてるアルテミスさんの毛髪から
毛髪のDNAを解析してアルテミスさんの皮膚を創り出し貼り付けました。
ですのでアルテミスさんの皮膚と言っても過言ではないです≫
「どうだ? 違和感とかないか? アルテミス」
「あ……あぁぁぁぁぁぁっ…………~~~~~~~~~~~っ!?」
両手で顔を伏せ、しゃがみ込み泣き出すアルテミス
「でだ、アルテミス。お前は救世主としても破滅の王の軍勢としても顔も名前も知られてる。
だから別人になってもらう必要がある。元の世界に戻るまでお前の顔を変えてももらう事になるが構わないな」
「ああ、構わない……! やってくれ!」
「よし。じゃあ、マキナ頼む」
≪はいっ。ついでに体型も変えておきます≫
ああ、頼む
マキナが再びアルテミスの顔に光を当てる
アルテミスの顔が変化し、元の顔とは違った顔付きになり、あどけなさを残す美女になる
俺と同じくらいの背丈でモデル顔負けの美貌とプロポーションを誇る一七~八歳くらいの黒髪ポニテの巨乳美女が誕生した
アルテミスに鏡を向けながら話しかける
「こ、これが。私……? 私なのか…………? これ……!?」
「そうだ、お前は今生まれ変わったんだ」
「私が、生まれ変わった……?」
「そうだ。お前は今生まれ変わったんだ。救世主をやり直すためにな」
「生まれ……っ! あっ…………あぁっ……! あああああああああああ~~~~~~~~~~っ」
アルテミスの激しい嗚咽と絶叫が俺の部屋に響く
「……っ! ああ…………! ありがとう……東……条……うっ、ぐすっ……う……うっ……」
再びアルテミスが顔を伏せ泣き出す
「……頑張れよ?」
アルテミスの背中にそっと手を置き声をかける
「ああ……! ああ! ありがとう…………!」
コンコン……!
「司様ー……? いらっしゃいますか?」
マキナ? レティシアが来たみたいだ。開けて来てやってくれ
≪はいっ≫
てててててっ
マキナがドアのところまで行きレティシアを迎え入れる
≪どうぞ、レティシアさん≫
「ありがとうございますっ、マキナ様」
「レティシア? 入っておいでよ」
「はいっ。おじゃまします。……えっ…………!?ええええっ!?」
部屋に入って来たレティシアが、アルテミスの姿に驚き身構える
うん、そりゃ身構えるよね……だっておもいっきり黒マントだし…………
「つ、司様ぁ‥…? これは、一体…………」
レティシアが後ずさりしながら俺に聞いてくる
「ああ、紹介するよ。元破滅の王の軍勢のア……」
「はっ……? はぃぃぃぃぃ!?やっぱり破滅の王の軍勢の人ですよね!?この人」
がばっと壁に張り付くレティシア
俺が言い終わる前にレティシアが「破滅の王の軍勢」というキーワードに、
超反応し壁に背を張り付かせアルテミスをガン見する
まあ、こうなる……よなあ、普通
≪でも、レティシアさんも似たようなものですしねぇ……。立場的には何も変わらないですけどねー…………≫
それ……レティシアに言っちゃダメだよ? 絶対泣くから…………
≪はぁい≫
「ああ、ちょうどいい、レティシア? ちょっとお願いがあるんだけどいいかな……」
「は、はい……。な、なんでしょう?」
アルテミスをガン見しつつ、壁沿いにすり足でレティシアが俺に近寄ってくる
「こいつに服を貸してやってくれないかな? とりあえず黒マントはまずいから……」
「は……はい…………。司様がそうおっしゃるのなら……」
「……そんなに怯えなくても大丈夫だよ?」
「あの……本当にどういう事なんですか? これ…………。司様……」
「アルテミス? お友達が来たぞ」
「え……アルテミス…………さん……?」
「っ……!?」
アルテミスが顔を上げる
「おっ……お前っ…………! ……アポロン!?アポロンか!」
「その声……!?アルテミスさん…………!?アルテミスさんですよね!?」
レティシアがアルテミスに抱きつく
ひしっ……! ふたりが抱き合い泣き出す
「ああ……! 私だ…………! アポロン! お前無事だったんだな……! 急に行方不明になったから死んだと思っていた……ぞ……!」
「はいっ! 司様に救ってもらったんです! 私が何かで操られておかしくなって……!」
「そうか……! 無事だったのか…………そうか……!」
「……もしかして、アルテミスさんも司様に救ってもらったんですか…………?」
「……ああ。そうだな…………、そうだ……。私も、間違いを犯し……て……、東条に救ってもらったんだ……」
「よっ! よかったですねっ……! よかったですねっ…………! やっぱりアルテミスさんも司様に救っていただいたんですねっ……」
「ああ……ああ…………! そうだ……! お前も、良かった……な……!」
「そうか……アポロン…………! 東条……! ありがと……う……! 本当にありがとう……!」
「礼を言うのはまだ早いだろ。元の世界戻ってからにしろよ。これからガンガン手伝ってもらうからな? 覚悟しとけよ」
「ああ……! もちろんだ…………!」
「後、他の人には内緒な? 元破滅の軍勢にいたってわかったら大騒ぎになるから。レティシアの事も伏せてやってくれよ?」
「ああ! わかった! 絶対に口外しない!」
「レティシアも伏せてやってくれよ?」
「はいっ……はいっ…………! 司様っ……ありがとうございます……っ……」
「……アルテミス?」
「なんだ……? 東条…………ぐすっ」
「そのままアルテミス呼びはまずいから、別の名前で呼びたいんだがいいか」
「ああ、問題ない」
「じゃあ、何か希望の名前あるか? 本名も……避けたほうがいいだろうな」
「……私は、今生まれ変わったんだろう? 東条がつけてくれないか? 東条は今の私の産みの親のようなものだ」
「そうだ。お前は生まれ変わったんだ。うーん……名前、かぁ…………。……じゃあ「ガーベラ・セイクリッド」ってのはどうだ」
「……ああ。よい名だ…………、……何か名前に意味があるのか?」
「「ガーベラ」は花の名前だ。花言葉は「希望」だ。
「「セイクリッド」は「神秘的な」とか「宗教的な」って意味で一般的には使われるけど、「侵される事のない」って意味もあるんだ」
「……侵される事のない希望。か。良い名だ」
「お前が二度と間違わないようにって願いを込めてある」
「ああ! 任せてくれ……! 私は二度と間違わない…………!」
「じゃあ、よろしくお願いします、セイクリッドさん」
「……なぜ急に敬称をつけて敬語になるんだ」
「だって俺より年上じゃないですか、セイクリッドさん。最年長だろうし。敬意を払おうかと思って」
「私は最年長じゃない! それに敬語はやめてくれ!」
「……そうか? 最年長じゃないのか」
「そうだ! 私は最年長じゃない! 私はまだ一九歳だ! それを言うならアポロんっ……! !?」
「……ガーベラさん…………?」
レティシアがガーベラの口を塞ぐ
「……痛い痛い痛い!?アポロンっ!?そんなにつねったら痛い!?」
ガーベラがバタバタと手を振ってもがく
「そういえばレティシアの年齢知らないな……」
「司様と同い年ですよっ」
「あっ、やっぱりそうだよな? 初めて会った時に俺と同い年くらいだと思ったんだよ」
「はいっ」
「えっ……? はたっ…………」
「……そうですよね? ガーベラさん…………?」
「……はい…………じゅうななさい……、ですよ……ね……」
「そうです。私十七歳です」
「ああ、そうだ、ガーベラ? レティシアはもう「アポロン」じゃない。レティシアと呼んでくれ」
「わかった。レティシアだな」
「よろしくですっ! ガーベラさんっ」
「ああっ。これからよろしく頼む! レティシア! 東条! マキナ!」
「とりあえずさ? レティシアの服をガーベラに何着か貸してやってくんないかな?」
「はいっ! 部屋から取ってきたほうがいいですよね? たぶん」
「ああ、頼めるかな? レティシア」
「はいっ」
「マキナ? レティシアについて行って何着か服を次元の狭間に収納して持って来てくれ」
≪はいっ≫
レティシアが自分の部屋に服を取りに部屋から出ていく
十数分後……
マキナとレティシアが部屋から帰ってくる
「おじゃましますっ、司様っ」
「……っ」
「お、おかえり。じゃあ、アルテミスを脱衣所で着替えさせてくれる? レティシア、マキナ」
≪「はいっ」≫
少し経ってからマキナ達が脱衣所から出てくる
レティシアの服を着たガーベラが恥ずかしそうにもじもじしながらレティシアの影に隠れる
「ほら、ガーベラさんっ」
レティシアに肩を掴まれグイと前に押し出されるガーベラ
薄いピンクのフリルのついたドレス風の服を着ているガーベラ
「おぉー、見違えた。可愛いくなったじゃん……アルテ…………ガーベラ」
「……っ、そ、そうか…………!?」
「ああ。それなら誰が見てもお前だってわかんねえはずだ」
「……ああ、ついでに。声でバレるかもしれないから。声も変えていいか?」
「ああ、頼む」
「マキナ? 頼む」
「はいっ。じゃあ、マスターの好きなアニメキャラの声にしますねっ」
「えっ!?」
マキナがガーベラの喉に光を当てる
≪完了しましたっ≫
「……ど、どうだ? えっ? これ私の声…………?」
「……へぇ、司様はこういう可愛い感じの声が好きなんですね…………」
「レティシアの声も可愛いから大丈夫だよ! 何張り切って声高くしてアニメ声作ってんの!」
「だって……」
レティシアが口を尖らせて拗ねる
≪今のガーベラさんは見た目も声も全てマスターのドストライクなはずですよ。レティシアさん≫
マキナちゃん!?火のついた暖炉に爆竹投げ入れるような事言うのやめよっか!?
「こういう清楚な感じの見た目が司様のタイプですか……そうですよね、ソフィアさんお綺麗ですもんね?」
「……あの、レティシア?」
「はい、わかってますよ。司様の一番はソフィア様で、その次が私ですよね? …………」
うっわ、レティシアがめっちゃ不機嫌だ……。これあの洞窟の時より威圧感あるんだけど…………!
「俺はレティシアも大好きだよ!?」
「……本当ですか?」
「うん! レティシア可愛いし優しいし!」
「……」
あっ! ちょっと頬が緩んだ! 今だ! このまま押し切ろう!
「そういえば東条? 私はどこで寝ればいいんだろう? やはりいつも通りこの部屋か?」
「えっ! !?この部屋で寝てたんですかっ!?ガーベラさんっ!」
「え、ああ。そうだぞ? もう一週間はこの部屋にいるぞ」
ガーベラ! 間違ってるわけじゃないけど違うだろ!?お前が寝ていたのは次元の狭間だ! ここじゃないだろ!
俺の苦労が今ので全て水の泡じゃねえか
「違う! 誤解だ! レティシア!」
「へぇ……? どう誤解なのか私にわかるように説明してください」
「アポロン? 私達は何もやましい事などしていないぞ? 東条はこの部屋で私を縛り上げて、穴に入れたり出したりしてただけだ」
言い方! お前ちょっとはいい方考えろ
「ガーベラさんを縛り上げて穴に挿れたり出したりしてた!?」
「レティシア!?字が違う! 今絶対違う入れたって意味を使ったよね君!」
次元の狭間に人が入れる事を人に知られるのはまずいし、何とかごまかさないと!
「レ……レティシア? 俺の話を聞いてくれよ…………」
「……つーん…………知りませんっ!」
話しかけた俺にプイと顔を背けるレティシア
あっ!?ダメだ!?完全に拗ねたぞ!?し、仕方ない! 強硬手段だ!
「……レティシア? ちょっと、向こうで二人で話合いしよっか…………。レティシアはきっと誤解してると思うんだ……」
レティシアの肩を抱き寄せながら囁くように話しかける
「あっ……だっ。ダメですよっ! 司様ぁっ…………!」
ダメといいながら声のテンションが爆上がし、俺に肩を抱かれたまま脱衣所に連れ込まれるレティシア
脱衣所へレティシアを込み、一五分程「話し合い」をして納得させる
ガチャ……
「話し合い」が終わり脱衣所から出る
俺の腕を胸に挟み、顔を真っ赤にしながらニコニコ顔の超ご機嫌なレティシア
「うふふふふっ……! 司様ったら…………こんな明るいうちから……もぉっ! ふふふふ……っ……!」
ふう! よし! なんとかごまかせた!
「なんだ? アポロ……、いや、レティシアと東条はそういう関係なのか?」
「はいっ! 司様は私の神様ですっ。……ガーベラさんもですよね?」
「ああ、そうだ。私も東条に仕える事になった。また同僚だな、レティシア」
「ふふふっ! そうですねっ! また一緒ですねっ!」
いつのまに!?ドンドン関係性がクラスチェンジして行ってない!?
俺知らない内に神になってたの!?
≪一週間後には創造主になってそうですねー≫
こっわ!?宗教って怖っ!?
「……ああ。ガーベラ? 今まで着てた黒マント渡してくれ。こっちで処分する」
「ああ。頼む……」
ガーベラから黒マントを受け取り、マキナに渡す
≪次元の狭間にポイしておきまーす≫
マキナが言いながら次元の扉を出現させ次元の狭間に投げ入れる
≪……マスター? ソフィアさんや陛下にガーベラさんの事をどう説明するおつもりですか≫
「救世主拾ってきた」
≪そんな犬や猫みたいにはいかないと思いますよっ!?≫
じゃあ……「魔物の巣を討伐しに行ったら、救世主のガーベラが人質として捕まっていました。
魔物に暴行を受けた際に記憶を失ったらしく一部記憶がないようです。
救世主である以上貴重な戦力として期待できるため保護し連れてきました。
私が責任もってガーベラの面倒を見るのでどうかご協力願えませんか」これでどうだ?
≪……いつもいつもよくそんなでっちあげるセリフをポンポン考えつきますねホント…………≫
任せろ、隠蔽と捏造は特技だぞ。……綺麗事だけでやっていけるのならそれが一番いいんだけどなー…………
≪まぁ、そうですね……。戦力的にアテに出来るのがイグニスさんとレイザーさんだけですもんね…………≫
前線で闘える人間も足りてない現状ではガーベラが戦力として入ってくれるとしたら願ってもない事だからな
レイザーさんはあの性格だから前線へ向かうだろうけど、隊長はどう考えても指令室から動けないだろうしな……
というか、隊長にはちゃんと人を指示してもらって、民間人の避難をしてもらわないと、この間みたいにグダグダになったらマジでヤバい
≪はい……。確かにガーベラさんが戦力として加わってくれれば大きいですね≫
それでも俺、マキナ、レイザーさん、ガーベラ……これでやっと東西南北が護れるようになっただけだからな。
どんだけ今まで危機的状況だったんだよって話だぜ
≪魔物襲撃時からくーちゃん一万羽に常時街を警備させてますが、民間人の被害を考えると理想は街から遠い場所で殲滅する事ですね≫
そうだな……。街の近くまで来ればくーちゃんが迎撃できるだろうけど、
それだと関係ない人も巻き込まれかねないよな……。
こないだのグダグダっぷりを見るに、万が一隊長が負傷でもして倒れたら民間人の避難すらグダりそうだしな……
早い所人員増やして警備強化が行きわたってほしいぜ……
≪そうですね……。戦うにしても民間人の避難を完了して貰う事が本当に最低条件ですね。
右往左往されていては下手に攻撃出来ませんし……≫
くーちゃんって街から何キロのところまで飛べるんだっけ
≪マスターの能力が上がったので今は街から半径二〇キロですね≫
……二〇キロ圏内に敵がいるって時点でもうかなり危機的状況だよな…………。
≪そうですね……文明がそこまで進歩してないのもありますが、最近まで国の運営陣にやる気が感じられませんでしたし…………。
魔物が襲っては来る事は滅多にないからって、監視塔壊されてもそのままにしてたのがこの国の危機意識のヤバさを物語ってるよな
≪ですねえ≫
あのさ、マキナの兵器を無効化するあの装置使われたらくーちゃんも動けなくなる?
≪はい≫
やっぱりか。……あの装置を街に張られたらマジでヤバいな
≪……ガーベラさんの件…………。また、マスターが泥を被る事になるんですね……≫
マキナが顔を哀しそうな顔になり顔を伏せ、口を開く
この汚いやり方を選んだのは俺だ。俺の責任だよ。なら、俺が泥を被るのは当然の事だろ
≪っ……≫
俺の言葉にマキナが口を横一文字に閉じる
……マキナ。俺さ? 皆から「救世主」って言われてる癖にどうすれば「世界を救う」って事になるのかわからなかったんだ
リリアさんやレティシア、ガーベラに起こった理不尽な出来事を考えると、
ただ魔物や敵を全部倒したら世界が平和になって「世界を救った」って事になるわけじゃなさそうだって思ってたんだ
≪はい……≫
……今やっとわかった気がするよ
≪わかった……ですか?≫
……見てみろよ。マキナ
≪……?≫
理不尽に傷つけられて泣いてたレティシアが……、憎しみで顔を歪めてたアルテミスがあんなに楽しそうに笑ってるぜ
≪……はい≫
楽しそうに笑いあうガーベラとレティシアを見ながら頬が緩み口角が上がる
きっと──────
「世界を救う」ってこういう事なんじゃねえかな────────────
──────────機械の神と救世主、第二章・完
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