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第一章 アーウェン幼少期
伯爵は素晴らしい料理人を手に入れる ③
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泣いたり怯えたりして疲れて眠ってしまった子供たちには持ち歩きながら食べれるというガブス風ラップサンドという物を作ってくれるということで、ラウドたち大人は皆、異国感溢れる特産のお茶や香辛料の効いた羊肉のサンドイッチなどを食べながら今後のことについて打ち合わせた。
給仕をする女店員は給料の高さと休日が多いなどの高待遇を目当てに勤めているということで、先ほどの態度から見ても、とうてい店主家族のことを快く思っていないようである。
もしかしたら、市長の手の者かもしれないと勘繰り、ラウドは単純にこの後に店裏に建てられた店主宅で警護と荷造りを手伝う者たちを残すことを、店員が去った後に告げた。
「ダン、パウスト、ニガラ…とりあえずは三人は警護を。ドリーナは奥様の侍女任務を一時離れ、パージェ殿とリム殿の手伝いを。深夜に馬車を一台向かわせる。明日は店休日ということで、仕入れを行う業者が来るらしいが、それらの物をすべて積み込むまでこちらの庭を借りて待機。終わり次第、我らを待たずに出発し、次休憩予定地にて落ち合う」
「はっ!!」
「ロフェナは宿に戻り次第、二十歳から二十二歳ぐらいの者を見繕い、クレファー殿の友人を装い、荷造りを手伝った上で徒歩で出発」
「亜空間収納能力を持つ者を手配してよろしいでしょうか?」
「……店主殿の話では、あまり物に執着しない性質であり、自分で荷造りせずとも頓着しないかもとは言っていたが……いいだろう。人選は一任する」
「かしこまりました」
優雅にお茶を飲むだけだったヴィーシャムは、ある程度話が纏まったところでラリティスに申し付けて、一度奥に引っ込んだ店主の妻であるパージェを呼ぶようにと言付けた。
「あっ!はいはい!お、奥様!いかがいたしましたか?」
飛ぶように近付いたその顔は少し引き攣っていたが、女店員に聞かれてもいい大きさの声で、ヴィーシャムは明るく話しかけながら立ち上がる。
「とても美味しゅうございましたわ。先ほどお願いしていた物だけでなく、少し気になった物が増えたので、持って帰れるか教えていただけるかしら?」
「え?あ……あのっ……?」
キョトンとするのも無理はない──ヴィーシャムに『お願いされた物』などないのだから。
それでもヴィーシャムが店の扉付近の土産物に向かうのに否やはなく、むしろ商売が成り立ちそうだと察すると、嬉しそうな顔で着いてきた。
だが十分他の者たちから離れると、ヴィーシャムは布を手に取りながら声を潜める。
「先ほどの荷造りですけど……一部、こちらのお土産物と一緒に包んで、後から寄越す者に持たせていただけるかしら?私たちのお使いとわかるように数人置いていきます。それらが身元を保証した者だけに荷を預けてほしいの」
「お…奥様……」
ゴクリと唾を飲み込むと、ようやく本当にこの地を離れるということに実感が湧いたのか、パージェの目から迷いが消えた。
給仕をする女店員は給料の高さと休日が多いなどの高待遇を目当てに勤めているということで、先ほどの態度から見ても、とうてい店主家族のことを快く思っていないようである。
もしかしたら、市長の手の者かもしれないと勘繰り、ラウドは単純にこの後に店裏に建てられた店主宅で警護と荷造りを手伝う者たちを残すことを、店員が去った後に告げた。
「ダン、パウスト、ニガラ…とりあえずは三人は警護を。ドリーナは奥様の侍女任務を一時離れ、パージェ殿とリム殿の手伝いを。深夜に馬車を一台向かわせる。明日は店休日ということで、仕入れを行う業者が来るらしいが、それらの物をすべて積み込むまでこちらの庭を借りて待機。終わり次第、我らを待たずに出発し、次休憩予定地にて落ち合う」
「はっ!!」
「ロフェナは宿に戻り次第、二十歳から二十二歳ぐらいの者を見繕い、クレファー殿の友人を装い、荷造りを手伝った上で徒歩で出発」
「亜空間収納能力を持つ者を手配してよろしいでしょうか?」
「……店主殿の話では、あまり物に執着しない性質であり、自分で荷造りせずとも頓着しないかもとは言っていたが……いいだろう。人選は一任する」
「かしこまりました」
優雅にお茶を飲むだけだったヴィーシャムは、ある程度話が纏まったところでラリティスに申し付けて、一度奥に引っ込んだ店主の妻であるパージェを呼ぶようにと言付けた。
「あっ!はいはい!お、奥様!いかがいたしましたか?」
飛ぶように近付いたその顔は少し引き攣っていたが、女店員に聞かれてもいい大きさの声で、ヴィーシャムは明るく話しかけながら立ち上がる。
「とても美味しゅうございましたわ。先ほどお願いしていた物だけでなく、少し気になった物が増えたので、持って帰れるか教えていただけるかしら?」
「え?あ……あのっ……?」
キョトンとするのも無理はない──ヴィーシャムに『お願いされた物』などないのだから。
それでもヴィーシャムが店の扉付近の土産物に向かうのに否やはなく、むしろ商売が成り立ちそうだと察すると、嬉しそうな顔で着いてきた。
だが十分他の者たちから離れると、ヴィーシャムは布を手に取りながら声を潜める。
「先ほどの荷造りですけど……一部、こちらのお土産物と一緒に包んで、後から寄越す者に持たせていただけるかしら?私たちのお使いとわかるように数人置いていきます。それらが身元を保証した者だけに荷を預けてほしいの」
「お…奥様……」
ゴクリと唾を飲み込むと、ようやく本当にこの地を離れるということに実感が湧いたのか、パージェの目から迷いが消えた。
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