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ゲーム、創作小説、公式小説、if、アフター、ビフォー物──様々に広がった媒体の中、ルエナ断罪後に辺境地で娼婦のように扱われる小説が、シーナとリオン──詩音と凛音がのめり込んだ『フォーチュン・ワールド~運命の人を探して~』というコンテンツの中にある。
もっともそれを隅々まで知っているのは凛音のほうで、詩音はゲームと本作小説、そしてコミカライズまでで手が止まり、その先は自分が気に入りのキャラクターをハッピーエンドにするという二次制作へと進化した。
シーナの前世である『詩音』の時から、その『お気に入り』は当然のことながら『ルエナ・リル・ディーファン公爵令嬢』だった。
だから彼女が婚約破棄されたところからの逆転ハッピーエンドや、闇落ち後に押し付けられた攻略対象との仲がだんだんと改善するハッピーエンドや、荒唐無稽ところでは辺境地の廃村や重罪者厚生施設という名の奴隷強制労働からの脱出→冒険者となって隣国で女傑英雄として活躍し、オリジナルキャラクターである隣国の王子との恋愛ハッピーエンド物も創作した。
もっともその二次制作の同人誌は、ルエナに過ぎた二次元愛を注ぐ凛音からは大不評で、いっそのこと自分と同じ名前の『リオン』もヒロインに振られて王太子の座を引いて冒険者になり、艱難辛苦を舐めた後にルエナ嬢の危機一髪に駆け付け、今度こそ運命の出会いを演出しろと要求してみたこともある。
そのお望みのままに作った本は即売会では売れたものの、ネット委託販売では事前購入者からの評価が芳しくなかったためか、いまだ在庫が残っているはずだ──そのはずだ。もうその売り上げを受け取るべき人間は存在しないけれど。
だが今リオンとシーナが話している『イストフ編』であるが、これはかなりR18的な話で、ルエナに興味を示さないイストフに代わって前侯爵当主やその兄が、さらに別の男も引き連れて複数プレイで公爵令嬢を甚振るSMチックな扱いをされるものだ。
その中で出てくる台詞──「妻のエリーは幼すぎて、女としての魅力がまるでない。しかし、こんなに男好きのする身体を持つ女の前後の純潔を奪えるなど、男冥利に尽きるというもの!ワァーハッハッハッハッハッハッ!!」などとイストフの兄が叫びつつ、確かにルエナの純潔を親子で奪うという鬼畜内容で、一応は目を通した凛音が本を叩きつけた上で、詩音の目に触れないようにと隠してしまった問題作である。
その『エリー』というのが、おそらく、間違いなく、確実にイストフ兄の現婚約者であり、イストフの早すぎる初恋相手のこのエルネスティーヌ・フェリース・イェン伯爵令嬢なのだろう。
しかし『幼い』という一言だけで年齢までは明かされていなかったが、まさか本当にこんな少女だったとは──
「……待って?」
「うん?」
「ねぇ……待って?」
「あ?うん?だから、何?」
「……あの鬼畜小説はルエナ様が辺境侯爵家の地に追放されて半年ぐらい……だよね……?」
「あ~……うん。たぶん。あの後、アレは短編どころか連載物みたいになって、ありとあらゆる凌辱を受け……」
まさか続編というか続きの話があるとは思わなかったが、世の中には悪役令嬢が男の慰み物になるという話が受けていたらしい。
しかもそれすらも凛音が読破していたと知り、シーナはジトッと据えた目で睨みつけた。
もっともそれを隅々まで知っているのは凛音のほうで、詩音はゲームと本作小説、そしてコミカライズまでで手が止まり、その先は自分が気に入りのキャラクターをハッピーエンドにするという二次制作へと進化した。
シーナの前世である『詩音』の時から、その『お気に入り』は当然のことながら『ルエナ・リル・ディーファン公爵令嬢』だった。
だから彼女が婚約破棄されたところからの逆転ハッピーエンドや、闇落ち後に押し付けられた攻略対象との仲がだんだんと改善するハッピーエンドや、荒唐無稽ところでは辺境地の廃村や重罪者厚生施設という名の奴隷強制労働からの脱出→冒険者となって隣国で女傑英雄として活躍し、オリジナルキャラクターである隣国の王子との恋愛ハッピーエンド物も創作した。
もっともその二次制作の同人誌は、ルエナに過ぎた二次元愛を注ぐ凛音からは大不評で、いっそのこと自分と同じ名前の『リオン』もヒロインに振られて王太子の座を引いて冒険者になり、艱難辛苦を舐めた後にルエナ嬢の危機一髪に駆け付け、今度こそ運命の出会いを演出しろと要求してみたこともある。
そのお望みのままに作った本は即売会では売れたものの、ネット委託販売では事前購入者からの評価が芳しくなかったためか、いまだ在庫が残っているはずだ──そのはずだ。もうその売り上げを受け取るべき人間は存在しないけれど。
だが今リオンとシーナが話している『イストフ編』であるが、これはかなりR18的な話で、ルエナに興味を示さないイストフに代わって前侯爵当主やその兄が、さらに別の男も引き連れて複数プレイで公爵令嬢を甚振るSMチックな扱いをされるものだ。
その中で出てくる台詞──「妻のエリーは幼すぎて、女としての魅力がまるでない。しかし、こんなに男好きのする身体を持つ女の前後の純潔を奪えるなど、男冥利に尽きるというもの!ワァーハッハッハッハッハッハッ!!」などとイストフの兄が叫びつつ、確かにルエナの純潔を親子で奪うという鬼畜内容で、一応は目を通した凛音が本を叩きつけた上で、詩音の目に触れないようにと隠してしまった問題作である。
その『エリー』というのが、おそらく、間違いなく、確実にイストフ兄の現婚約者であり、イストフの早すぎる初恋相手のこのエルネスティーヌ・フェリース・イェン伯爵令嬢なのだろう。
しかし『幼い』という一言だけで年齢までは明かされていなかったが、まさか本当にこんな少女だったとは──
「……待って?」
「うん?」
「ねぇ……待って?」
「あ?うん?だから、何?」
「……あの鬼畜小説はルエナ様が辺境侯爵家の地に追放されて半年ぐらい……だよね……?」
「あ~……うん。たぶん。あの後、アレは短編どころか連載物みたいになって、ありとあらゆる凌辱を受け……」
まさか続編というか続きの話があるとは思わなかったが、世の中には悪役令嬢が男の慰み物になるという話が受けていたらしい。
しかもそれすらも凛音が読破していたと知り、シーナはジトッと据えた目で睨みつけた。
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