2 / 248
賢者、転生する。
1
しおりを挟む
もういくつ名前を変え、生を受け、死を迎えたのか、定かではない。
始まりは違和感だった。
(……これ、見たことがある?)
それは景色だったり、匂いだったり、音だったり、書物だったり──
時には畑を耕す桑を握った時。
時には赤ん坊を沐浴させた時。
時には学園で木々を見上げていた時。
時には凍えそうな雪山で眠りにつこうという時。
時には戦士であり、百姓であり、薬師であり、教師であり、王族だった時もあった。
記憶は重なり、思い出す量もだんだんと増え、自分が何度も違う人生を生きてきたことを理解したのは何度目かの『魔王』との邂逅の時。
「……なんだ、お前、またいたのか」
「また?」
「自覚がないのか。前に『またな』と言ったくせに」
やけに人間臭い表情をする魔王と対峙したのは、仲間が次々と倒れ、最後の1人になった時だった。
「……?お前なんかに会うのは、これが初めてだが?」
「ああ……まったく、人間というのは面倒だ。簡単に死ぬし、簡単に生き返る。しかもその器に魂の記録を貯めておくことすらできんと見える。お前と会うのはこれで……4度目か?5度目か?初めはなぜか犬を庇って、俺の気を喰らってすぐに死んだ。人間の年齢でいえば5歳か?次は……確か女騎士で、守っていたはずの王女に『お前が犠牲になれ』とか言われて前に押し出された瞬間、俺の乗っていたドラゴンに喰われた。ついこの間はようやく『冒険者』とかいう自由の身になったくせに何の力も持たず、討伐軍に射られて死んでしまったなぁ……何度も俺の前に現れる奴なんて珍しいから、『魂』を覚えていたんだ」
「た…たましい……?おぼえて……?」
『魔王』と名乗るそいつは、おかしいことをほざく。
その時の私は『勇者』の露払いのような役目を負ったただの索敵者で、こんなところで魔王なんぞと出会うつもりはなかったのだ。
「まあ……今ここで死んでも、またきっと会うだろう。なぜかは知らんが、俺たちはこうやって出会う運命らしい。次はどんな人生で会えるか楽しみにしてるぞ!」
そう言われた瞬間、私は魔王にすんなりと斬られて絶命したのである。
始まりは違和感だった。
(……これ、見たことがある?)
それは景色だったり、匂いだったり、音だったり、書物だったり──
時には畑を耕す桑を握った時。
時には赤ん坊を沐浴させた時。
時には学園で木々を見上げていた時。
時には凍えそうな雪山で眠りにつこうという時。
時には戦士であり、百姓であり、薬師であり、教師であり、王族だった時もあった。
記憶は重なり、思い出す量もだんだんと増え、自分が何度も違う人生を生きてきたことを理解したのは何度目かの『魔王』との邂逅の時。
「……なんだ、お前、またいたのか」
「また?」
「自覚がないのか。前に『またな』と言ったくせに」
やけに人間臭い表情をする魔王と対峙したのは、仲間が次々と倒れ、最後の1人になった時だった。
「……?お前なんかに会うのは、これが初めてだが?」
「ああ……まったく、人間というのは面倒だ。簡単に死ぬし、簡単に生き返る。しかもその器に魂の記録を貯めておくことすらできんと見える。お前と会うのはこれで……4度目か?5度目か?初めはなぜか犬を庇って、俺の気を喰らってすぐに死んだ。人間の年齢でいえば5歳か?次は……確か女騎士で、守っていたはずの王女に『お前が犠牲になれ』とか言われて前に押し出された瞬間、俺の乗っていたドラゴンに喰われた。ついこの間はようやく『冒険者』とかいう自由の身になったくせに何の力も持たず、討伐軍に射られて死んでしまったなぁ……何度も俺の前に現れる奴なんて珍しいから、『魂』を覚えていたんだ」
「た…たましい……?おぼえて……?」
『魔王』と名乗るそいつは、おかしいことをほざく。
その時の私は『勇者』の露払いのような役目を負ったただの索敵者で、こんなところで魔王なんぞと出会うつもりはなかったのだ。
「まあ……今ここで死んでも、またきっと会うだろう。なぜかは知らんが、俺たちはこうやって出会う運命らしい。次はどんな人生で会えるか楽しみにしてるぞ!」
そう言われた瞬間、私は魔王にすんなりと斬られて絶命したのである。
0
あなたにおすすめの小説
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。
あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる