45 / 248
賢者、王都に旅立つ。
12
しおりを挟む
そうして同行者が増えてしまった私たちは一晩森の中で野営した後、相変わらず小型ウルフたちの群れを探しつつ王都の方角へと森を進んだ。
「ちょっと聞きたいんだけど、いいかな?ウル」
《はい、何でしょうか?パトご主人》
「答えにくいかもしれないけど……ウルの群れはどこにいるのかな?」
どういう理屈か初めはたどたどしい念話をしていたウルは、一晩経つと立派に会話が成り立つほどに精神が成長していた。
それは言葉遣いだけでなく思考力もそのようで、獣そのものだった『食べる!寝る!排泄する!』という単純な言葉や行動が、わざわざ近くを離れる許可を得たいと訴えてきたり、少し離れても戻っ来ると謝罪をするというふうに変わるのを見て、私とミウはお互いに顔を合わせる。
「……これはやはり『テイムした人間に影響を受ける』っていう証拠になる……のかな……?」
「そうだとしても……魔術協会にもテイム能力のある者もいるって聞いてますけど……父も母も『魔物や魔獣って賢い!』なんて言ったことないですよ……?」
その会話はそれとして、今ウルは首を項垂れて少し考えていたが、ようやく口を開く──ではなく、念話を発してきた。
《それが……どこにいるのか、わからないんです》
「わからない?」
《はい。ウルはリーダーである父と母に独立するようにと噛みつかれて、群れから少し離れていたんです。独立するにはまだウルは弱かったから》
「そうか……でも、すごく痩せていたじゃないか?」
《はい。ウルは日を数えることができませんでしたが、群れがまだいる時にウルがひとりで寝る前……アキ?アキというのですか?葉っぱが枯れて全部木から落ちて、木の実がたくさん。ウルが目を覚ましたら、木の実はなくて葉っぱがまた木にくっついてました》
「……ということは、ひょっとしたらほぼ半年近く眠り込んでいた……?それではさすがに魔獣でも腹ペコになるよね……」
「うっ……ウルゥ~~!!まだお腹空いてないっ?!私のおやつもあげるよ?!何が食べたいっ?!」
まだガリガリ状態のウルに抱きつき、ミウがどこに隠していたのかおやつまでマジックバッグから取り出してみせる。
《あ…いえ、そ、それはミウ様のご飯……た、食べたいですけど……食べちゃったら、ミウ様がお腹ペコペコに……》
ダラダラと涎を垂らして、主に肉類を見つめながらも健気にウルは『自主的待て』を言い出した。
さすがにそんなにたくさん食べさせてお腹を壊してしまうのも本末転倒と思うから、とりあえず私の分から加工したミンチ肉を一食分出してことを収めよう。
「ちょっと聞きたいんだけど、いいかな?ウル」
《はい、何でしょうか?パトご主人》
「答えにくいかもしれないけど……ウルの群れはどこにいるのかな?」
どういう理屈か初めはたどたどしい念話をしていたウルは、一晩経つと立派に会話が成り立つほどに精神が成長していた。
それは言葉遣いだけでなく思考力もそのようで、獣そのものだった『食べる!寝る!排泄する!』という単純な言葉や行動が、わざわざ近くを離れる許可を得たいと訴えてきたり、少し離れても戻っ来ると謝罪をするというふうに変わるのを見て、私とミウはお互いに顔を合わせる。
「……これはやはり『テイムした人間に影響を受ける』っていう証拠になる……のかな……?」
「そうだとしても……魔術協会にもテイム能力のある者もいるって聞いてますけど……父も母も『魔物や魔獣って賢い!』なんて言ったことないですよ……?」
その会話はそれとして、今ウルは首を項垂れて少し考えていたが、ようやく口を開く──ではなく、念話を発してきた。
《それが……どこにいるのか、わからないんです》
「わからない?」
《はい。ウルはリーダーである父と母に独立するようにと噛みつかれて、群れから少し離れていたんです。独立するにはまだウルは弱かったから》
「そうか……でも、すごく痩せていたじゃないか?」
《はい。ウルは日を数えることができませんでしたが、群れがまだいる時にウルがひとりで寝る前……アキ?アキというのですか?葉っぱが枯れて全部木から落ちて、木の実がたくさん。ウルが目を覚ましたら、木の実はなくて葉っぱがまた木にくっついてました》
「……ということは、ひょっとしたらほぼ半年近く眠り込んでいた……?それではさすがに魔獣でも腹ペコになるよね……」
「うっ……ウルゥ~~!!まだお腹空いてないっ?!私のおやつもあげるよ?!何が食べたいっ?!」
まだガリガリ状態のウルに抱きつき、ミウがどこに隠していたのかおやつまでマジックバッグから取り出してみせる。
《あ…いえ、そ、それはミウ様のご飯……た、食べたいですけど……食べちゃったら、ミウ様がお腹ペコペコに……》
ダラダラと涎を垂らして、主に肉類を見つめながらも健気にウルは『自主的待て』を言い出した。
さすがにそんなにたくさん食べさせてお腹を壊してしまうのも本末転倒と思うから、とりあえず私の分から加工したミンチ肉を一食分出してことを収めよう。
0
あなたにおすすめの小説
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。
あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
才能に打ち砕かれた日から、僕の最強は始まった
雷覇
ファンタジー
ワノクニ、蒼神流・蒼月道場。
天城蒼真は幼き頃から剣を学び、努力を重ねてきた。
だがある日、異世界から来た「勇者」瀬名隼人との出会いが、すべてを変える。
鍛錬も経験もない隼人は、生まれながらの天才。
一目見ただけで蒼真と幼馴染の朱音の剣筋を見切り、打ち破った。
朱音は琴音の命で、隼人の旅に同行することを決意する。
悔しさを抱えた蒼真は、道場を後にする。
目指すは“修羅の山”――魔族が封印され、誰も生きて戻らぬ死地へと旅立つ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる