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賢者、『勇者』と認められる。

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詳しく聞けばその死んだというのは村の者ではなく、たまたまこの村を通りすぎようとしていた冒険者で、特に今回の件を調査しにきたわけではなかったという。
だが魔物や魔獣の混合があっという間に冒険者たちに群がり、元より彼らより非力な村人が助けることは叶わずに、たちまち遺体を喰らい始めたのだと話してくれた。

その最中に響いたのが──
『喰らえ!そいつらを喰らえば、その能力 ちからがお前たちのモノになるぞ!お前らの・・・・魔王が許すぞ!』
人間にはわからない魔族の言葉ではなく、しっかりとそう聞きとれたのだとその場に居合わせてしまった村人が証言してくれたが、逆に彼らの方は見向きもされなかったらしい。
「……どういうことだろうか?」
「それは……」
その後は村人の中にも負傷した者はいたが殺されるまではいかず、これ以上犠牲者が出ないようにと冒険者ギルドに何度か調査と可能なら討伐依頼を出してはみた。
しかし貧しい村故に十分な報酬を用意できず、最悪村人が全滅でもしない限りは高ランクの冒険者や王宮から兵が派遣されることはないと冒険者ギルドの職員たちに鼻で嗤われてしまったと、村人たちは悔しそうに俯く。
王宮にあった冒険者ギルドの者たちが酷いのかと思っていたが、どうやらあそこに限った話ではないようで、ケヴィンたちがそれぞれ苦い顔をして納得したように頷いた。
「……だろうと思ったから、思わず引きうけちゃったんだよね」
「まあ私たちが『勇者パーティー』と認識されているって、そういう期待があるわけだし」
「なるほど……」
ケヴィンが頭を掻き、ラダが内情を小さな声で教えてくれる。
冒険者は気ままな生き方ができるものだとずっと憧れていたが、私の知らない義務とか人々からの期待というものがあると知った。


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