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賢者、『勇者』と認められる。
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そういえばと思い返せば、私自身は何度か冒険者ギルドに登録したことはあっても大きな討伐依頼を受けたことはほぼ無く、受けたものもせいぜい薬草取りや下水掃除や何かのお使いなど、レベルの低い少年でもできる仕事しかしたことがない。
「……よく冒険者さんになれましたねぇ」
「いやそれは……」
「そんな言い方、ないじゃないですかぁ~」
金が足りなくてレベルの高い冒険者への依頼が出せなかったという村長が私の方を呆れた顔で見るが、すかさずミウが援護射撃をしてくれた。
「賢者様が単独で依頼を受けることってあんまりないんですよ~。だいたい魔法の使い手って数が少ないからすぐにどこかのパーティーに誘われちゃうし、だいたい依頼内容の説明を受けるのはリーダーがほとんどだから、賢者様はあまり知らなくたって大丈夫なんです~!」
「ほほう…そうなんですねぇ」
そうなんですか。
「そうなんだ!へぇ~…知らなかったなぁ」
え?
感心したその声の方に顔を向ければ、我がパーティーのリーダーであるケヴィンと頼もしい前衛のデューンが、ミウを頼もしそうに見ている。
「……知らなかったって……まあいいや、あんたも限界知らずでてっぺんまで来ちゃった口だからねぇ。アタシは一応それなりに勉強してから冒険者ギルドに登録したけど」
「えっ?!い、いや確かにすぐにランクは上がったけど……えっ……う、うん、でも俺ちゃんと……」
そう言いながらもケヴィンの視線は頼りなげにラダから逸らされている。
うん、きっとこれは……知らないね。
私が拘束の術で押さえつけていた者たちは、間違いなく人間だったが、今回の件で判明したのは『何かに頼まれた』という曖昧なもの。
ではその『何か』を問い詰めると、スッと表情が消えて言葉が止まる。
「……どうやら記憶操作の魔術をかけられているか何かか……これはきちんとした魔術医に見せた方がいいと思います」
「え?け、賢者様ではその……この人…いや、この男たちから……いろいろ聞いていただくことは……?」
「う~ん……私は魔法医術はあまり得意ではないんです。記憶や精神的な操作などは場合によっては命に関わりますから、魔法医術を極めるには人間医術を修めてからでないと学べないんです。精神操作などが可能なのは……」
魔族。
魔王ではない、魔族が関わっている。
「……よく冒険者さんになれましたねぇ」
「いやそれは……」
「そんな言い方、ないじゃないですかぁ~」
金が足りなくてレベルの高い冒険者への依頼が出せなかったという村長が私の方を呆れた顔で見るが、すかさずミウが援護射撃をしてくれた。
「賢者様が単独で依頼を受けることってあんまりないんですよ~。だいたい魔法の使い手って数が少ないからすぐにどこかのパーティーに誘われちゃうし、だいたい依頼内容の説明を受けるのはリーダーがほとんどだから、賢者様はあまり知らなくたって大丈夫なんです~!」
「ほほう…そうなんですねぇ」
そうなんですか。
「そうなんだ!へぇ~…知らなかったなぁ」
え?
感心したその声の方に顔を向ければ、我がパーティーのリーダーであるケヴィンと頼もしい前衛のデューンが、ミウを頼もしそうに見ている。
「……知らなかったって……まあいいや、あんたも限界知らずでてっぺんまで来ちゃった口だからねぇ。アタシは一応それなりに勉強してから冒険者ギルドに登録したけど」
「えっ?!い、いや確かにすぐにランクは上がったけど……えっ……う、うん、でも俺ちゃんと……」
そう言いながらもケヴィンの視線は頼りなげにラダから逸らされている。
うん、きっとこれは……知らないね。
私が拘束の術で押さえつけていた者たちは、間違いなく人間だったが、今回の件で判明したのは『何かに頼まれた』という曖昧なもの。
ではその『何か』を問い詰めると、スッと表情が消えて言葉が止まる。
「……どうやら記憶操作の魔術をかけられているか何かか……これはきちんとした魔術医に見せた方がいいと思います」
「え?け、賢者様ではその……この人…いや、この男たちから……いろいろ聞いていただくことは……?」
「う~ん……私は魔法医術はあまり得意ではないんです。記憶や精神的な操作などは場合によっては命に関わりますから、魔法医術を極めるには人間医術を修めてからでないと学べないんです。精神操作などが可能なのは……」
魔族。
魔王ではない、魔族が関わっている。
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