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第三章 起こり
猫のひたい
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ルウアは、おとといから飼い猫のメスが戻らないことを気にしていた。
その猫は、まだ目も開かない小さいときに、ルウアが拾ってきた猫だった。
フレアと一緒に可愛がったが、ルウアは特別に自分の弟のようにかわいがった。
メスのひたいには、十字の白い光の模様がかいてある。
昔から、猫のひたいには黄泉を導いたり、見えない世界の使者としての力があると言われていた。
そのひたいが、何か前兆を感じるとうずくというのだ。
ルウアは、メスが何かを察知したのでなければいいなと、思っていた。
猫でなくとも、ルウアは独特の感性によって、何かを感じ始めていた。
山の方が何かおかしい。匂うというのだろうか。
フレアは、毛糸の編み物をしながら、そんな弟の話を聞いても、どこかピンときていない様子で、何かを感じるけれども、些細なことでしょうと言っていた。
ルウアは、メスがいなくなった翌日から自分が何か所在無さ気な雰囲気を感じていた。
何かが騒いで仕方ないのだった。
自分の内側にある何かだが。それが山にやけに向かわせようとする。
自分がここにいることが落ち着かないという風だった。姉に話したら、きっと飛びたいだけでしょと、翼のことを咎められる。
メスがいなくなり、自分もここにいてはいけないような気持ちにさえなるのだった。
そんなとき、隣で飼っていた猫もいなくなったと聞かされた。
たまたまなのか、自分でもわからないが、何か大きなことが起こる前触れのような恐ろしさが、身の内側から競りあがってくる気配がした。
ルウアは、オババに相談することにした。
オババというのは、その界隈でいう生き字引のようなもので、どこの村にも一人はいるものだ。
オババは、若い頃は、オオゼに召しだされ、その後、里へ戻り普通の生活をしている者だった。
オオゼにいたため、見えない世界のことに、その界隈では誰よりも詳しく、わからないことがあるとオババに相談する人は少なくなかった。
昔は、何でもすごい力のあるツムギであるときいたこともあるが、年をかさねて真っ白な白髪で、くしゃくしゃな顔で笑うオババをみると、もうその力はなくなったかのように、ルウアは感じていた。
オババは、三軒先にある息子夫婦のいる家の離れに暮らしていた。
ルウアは、自分のひたいが猫のようにうずくのを感じていた。
夕闇が訪れようとしているのに、何かが始まる予感がして仕方ないのだった。
第四章へつづく
その猫は、まだ目も開かない小さいときに、ルウアが拾ってきた猫だった。
フレアと一緒に可愛がったが、ルウアは特別に自分の弟のようにかわいがった。
メスのひたいには、十字の白い光の模様がかいてある。
昔から、猫のひたいには黄泉を導いたり、見えない世界の使者としての力があると言われていた。
そのひたいが、何か前兆を感じるとうずくというのだ。
ルウアは、メスが何かを察知したのでなければいいなと、思っていた。
猫でなくとも、ルウアは独特の感性によって、何かを感じ始めていた。
山の方が何かおかしい。匂うというのだろうか。
フレアは、毛糸の編み物をしながら、そんな弟の話を聞いても、どこかピンときていない様子で、何かを感じるけれども、些細なことでしょうと言っていた。
ルウアは、メスがいなくなった翌日から自分が何か所在無さ気な雰囲気を感じていた。
何かが騒いで仕方ないのだった。
自分の内側にある何かだが。それが山にやけに向かわせようとする。
自分がここにいることが落ち着かないという風だった。姉に話したら、きっと飛びたいだけでしょと、翼のことを咎められる。
メスがいなくなり、自分もここにいてはいけないような気持ちにさえなるのだった。
そんなとき、隣で飼っていた猫もいなくなったと聞かされた。
たまたまなのか、自分でもわからないが、何か大きなことが起こる前触れのような恐ろしさが、身の内側から競りあがってくる気配がした。
ルウアは、オババに相談することにした。
オババというのは、その界隈でいう生き字引のようなもので、どこの村にも一人はいるものだ。
オババは、若い頃は、オオゼに召しだされ、その後、里へ戻り普通の生活をしている者だった。
オオゼにいたため、見えない世界のことに、その界隈では誰よりも詳しく、わからないことがあるとオババに相談する人は少なくなかった。
昔は、何でもすごい力のあるツムギであるときいたこともあるが、年をかさねて真っ白な白髪で、くしゃくしゃな顔で笑うオババをみると、もうその力はなくなったかのように、ルウアは感じていた。
オババは、三軒先にある息子夫婦のいる家の離れに暮らしていた。
ルウアは、自分のひたいが猫のようにうずくのを感じていた。
夕闇が訪れようとしているのに、何かが始まる予感がして仕方ないのだった。
第四章へつづく
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