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第七章 出立の儀
大岩
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暗い道を、進んでいた。
先頭がもつ松明の光を頼りに、若者たちが山を進んでいく。
初めて入る神域の山。
15歳より前には入ることを許されない山へ、進んでいく。
ルウアは、そのとき前から二列目の後ろから三番目だった。
先頭には、山ノ神のいる洞窟までを案内する村の男と、一番後ろは、俺たちの見張りだった。
ルウアは、山ノ門から入るときのことを思い出していた。
ツムギに言われたことで、一団の中からフレアが心配そうに自分をみていることに気づいていた。
しかし、自分が大岩を通り山の門を入ろうとしたとき、フレアが大声ではなった。
「あなただけの運命じゃないから」
ルウアは振り向かずにそのまま進んだ。フレアがどんな表情をしていたのか、見ずともわかった。
いつも微笑んでいておとなしいフレアには、似つかわしくない行動だった。
きっと、俺を心配してのことだろうが、あいつ無茶をしなければいいけど。
フレアのことを思い浮かべているうちに、いつのまにか、ごつごつした大岩の場所にいることをしった。
先頭を歩く村の男の後ろに二人並んで成人の儀の若者がいる。その後ろがルウアと、同級のキーラだった。
その後ろが、ダレンとキレアと続いていた。
大岩の巨石群に入った頃、二人並んで進むのは難しくなり、自然と一列の配置となったため、後方の男が松明を燃やした。
その光の中、8人の若者が大岩を上ったりくぐったりしながら進んでいく。
だんだんに歩く速度にも差がうまれ、先頭を歩くものから引き離されて歩いているものもいる。
後方にいるものは、先頭がいまどういうところを進んでいるのかは、夜の闇で見えない。遠くに明かりが見えても、人と岩とに挟まれて見えないのだった
どんなに歩くのについていけないものが出てこようと、先頭の男は黙ったまま後ろを振り返ることはない。
ルウアは、キーラを後ろにし、自分が前から四人目となって進んだ。
岩が突き出て危ないところは、キーラやその後に続く、ダレンやキレアたちにも教えてやった。
誰もが無言のまま歩き続けていた。男たちもいっさい何も語ろうとしない。
どのくらい歩くのだろうか。
誰もがそう思い始めていた。儀式は朝方であることは知っていたが、満月も雲に隠れて見えず、今が何時かはわからなかった。
山の門を出てから休みなく歩き続けている。この分でいくと、そろそろ夜明けまであとわずかな時間なのではないか。
大岩に足をとられ、疲労もたまり、根をあげそうになる身体を歯をくいしばって先頭についていく。
ときどき、持ってきていた水筒の水を飲むが、それももう空になってしまった。
早く到着してほしい、そう思ったとき、目の前の景色が違うことに気づいた。
今まで、大岩だと思っていたところは、夜空の漆黒も見えていた。しかし、今目の前にある場所は、空をみることができないほど大きな岩壁が立ちはだかっている。
先頭の光は、その大岩の中へゆっくり消えていっていた。
一列にならんだものたちがその中へと入っていく。ルウアは、その岩壁の湿った裂け目をくぐるとき、なんともいえない滑り気のあるいいがたい気持ちになった。
ここに山の神がいるのか。
入り口には、左右に松明がともされ、一団は神聖な神殿への細い道を歩いていった。
第八章につづく
先頭がもつ松明の光を頼りに、若者たちが山を進んでいく。
初めて入る神域の山。
15歳より前には入ることを許されない山へ、進んでいく。
ルウアは、そのとき前から二列目の後ろから三番目だった。
先頭には、山ノ神のいる洞窟までを案内する村の男と、一番後ろは、俺たちの見張りだった。
ルウアは、山ノ門から入るときのことを思い出していた。
ツムギに言われたことで、一団の中からフレアが心配そうに自分をみていることに気づいていた。
しかし、自分が大岩を通り山の門を入ろうとしたとき、フレアが大声ではなった。
「あなただけの運命じゃないから」
ルウアは振り向かずにそのまま進んだ。フレアがどんな表情をしていたのか、見ずともわかった。
いつも微笑んでいておとなしいフレアには、似つかわしくない行動だった。
きっと、俺を心配してのことだろうが、あいつ無茶をしなければいいけど。
フレアのことを思い浮かべているうちに、いつのまにか、ごつごつした大岩の場所にいることをしった。
先頭を歩く村の男の後ろに二人並んで成人の儀の若者がいる。その後ろがルウアと、同級のキーラだった。
その後ろが、ダレンとキレアと続いていた。
大岩の巨石群に入った頃、二人並んで進むのは難しくなり、自然と一列の配置となったため、後方の男が松明を燃やした。
その光の中、8人の若者が大岩を上ったりくぐったりしながら進んでいく。
だんだんに歩く速度にも差がうまれ、先頭を歩くものから引き離されて歩いているものもいる。
後方にいるものは、先頭がいまどういうところを進んでいるのかは、夜の闇で見えない。遠くに明かりが見えても、人と岩とに挟まれて見えないのだった
どんなに歩くのについていけないものが出てこようと、先頭の男は黙ったまま後ろを振り返ることはない。
ルウアは、キーラを後ろにし、自分が前から四人目となって進んだ。
岩が突き出て危ないところは、キーラやその後に続く、ダレンやキレアたちにも教えてやった。
誰もが無言のまま歩き続けていた。男たちもいっさい何も語ろうとしない。
どのくらい歩くのだろうか。
誰もがそう思い始めていた。儀式は朝方であることは知っていたが、満月も雲に隠れて見えず、今が何時かはわからなかった。
山の門を出てから休みなく歩き続けている。この分でいくと、そろそろ夜明けまであとわずかな時間なのではないか。
大岩に足をとられ、疲労もたまり、根をあげそうになる身体を歯をくいしばって先頭についていく。
ときどき、持ってきていた水筒の水を飲むが、それももう空になってしまった。
早く到着してほしい、そう思ったとき、目の前の景色が違うことに気づいた。
今まで、大岩だと思っていたところは、夜空の漆黒も見えていた。しかし、今目の前にある場所は、空をみることができないほど大きな岩壁が立ちはだかっている。
先頭の光は、その大岩の中へゆっくり消えていっていた。
一列にならんだものたちがその中へと入っていく。ルウアは、その岩壁の湿った裂け目をくぐるとき、なんともいえない滑り気のあるいいがたい気持ちになった。
ここに山の神がいるのか。
入り口には、左右に松明がともされ、一団は神聖な神殿への細い道を歩いていった。
第八章につづく
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