森の愛し子〜治癒魔法で世界を救う〜

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【第二章】セレイム王国へ

学園に入学…?

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「コホン。褒美がいらぬというレイに代わって、私から良いだろうか。セルビス」
 空気を変えるように、フェンが話に入った。
「聞きはしよう」
「私とレイを、セレイム国立学園に入学させてくれないだろうか」
「何を言って!」
 突拍子もないことを言い出したフェン。そのあまりの突然さに、レイも珍しく声を張る。
 しかし、フェンには考えがあるようで、真剣な眼差しでレイを見つめる。
「レイ、お前が止めるのもよく分かる。森で暮らすのも良いが、もう少し、お前の世界を広げてみても良いのではないか?学園に通えば、多くの人間や、生き物、本にも出会える。森では出会えない生き物にも会えるかもしれぬぞ」
「それは、そうかもしれないけれど……」
「まぁ本音を言えば、私が少し退屈なのだ。セルビスがせっかく作ってくれた機会だ」
「だったら、貴方だけ通えばいいじゃない」
「それはつまらぬ。レイも通えば、お前は知識を蓄えられ、私は退屈しなくて済む。どうだ?いい案だろ?」
 ニヤリと口角を上げ、レイを見るフェン。まるで面白い悪戯を思いついた子供だ。
「って、貴方はどうやって通うのよ」
「私か?私なら心配いらぬ」
 フェンがそう言うと、彼の周りが眩い光に包まれた。
 その眩しさに、謁見の間にいた者はみな、思わず目を閉じる。
 しかし光はすぐに消え、目を開けるとフェンの姿は無く、代わりに彼がいた場所に、一人の青年が立っていた。
「……貴方は誰」
 突然現われた青年に、レイが冷たく問う。
「私が分からないのか、レイ。」
 青年は、彼女を知っている様子だ。
「その声。もしかして貴方、フェンなの?」
「正解だ」
 青年は悪戯に笑みを浮かべた。
 そう、現れたのは人間に姿を変えたフェンだった。

「貴方、人に化けれたの?」
 この様子だと彼が姿を変えられることを、レイは知らなかったようだ。
「ああ。言ってなかったか?」
 けろっとした顔のフェン。
「聞いてないわ」
 そんな彼にレイは冷めた視線を送った。少し怒っているようだ。
「悪い、悪い、そう怒るな。まあ、これであれば、私も学園に通えるだろう?」
 フェンは、セルビオスに視線を向けた。
「はは!それは、面白い!レイ殿どうだろう?君の言う願いはもちろん叶えよう。今回君が関わったことは、今回の件に関与した者以外には、口外せん。この国の学園に通ってみないかい?フェンリルが言っていたように、暗闇の森では見れない植物や、生き物にきっと出会える」
 フェンの人間化に驚いたセルビオスだったが、その姿を見てレイたちが入学することに乗り気になったようだ。

「学園は、全寮制だ。学費は特例として、二人とも免除しよう」
「太っ腹だな。セルビス」
「騎士たちを助けてくれたのだ、これくらいは当然だろう」
「あの!私が関わったことは」
「もちろん、約束は守る。入学に関しては、国王の推薦で選ばれた生徒、と通せば誰もそれ以上詮索出来ん。まあ、目立ちはするだろうが」
 一人楽しげなセルビオス。
「私、入学するとは……」

「王命、として強制入学にすることもできるんだがなぁ」
 彼は、顎に生やしている白ひげを撫でながら、悪戯をする子どものような顔でレイを見た。
「……分かりました。私とフェンを入学させて下さい」
 彼女はお手上げだという顔で、入学の件を受け入れた。
「そう来なくては」
 フェンはレイの横で嬉しそうに笑っている。
「(そういう顔をされると、何も言えないわ)」
 とことんフェンに弱いレイだった。

「レイ殿、学園は平民、貴族の身分は関係なく入れる。しかし、学園内で身分を振り翳す者がいるのも事実。……耐えられるか?」
 セルビオスは真剣な表情でレイに問う。
「私は身分を持たない身ですので、身分差を突かれたところで私には関係ありません」
 彼女は淡々と言い切った。
「そうか。では、頑張ってくれたまえ。何か困ったことがあれば、いつでも私に尋ねてくれて構わない」
 そんな彼女を見て、大丈夫だと確信したセルビオスは国王の顔から、また優しい顔になった。
「ありがとうございます」
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