森の愛し子〜治癒魔法で世界を救う〜

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【第二章】セレイム王国へ

コハクを愛でる会

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「……ところで、これは老人のただの興味なのだが。レイ殿は他に契約している者はいるのだろうか」
「はい」
「その者を見せてもらうことは可能だろうか?」
 セルビオスは、レイの契約獣に興味を示した。
「少し時間を頂けますか」
「ああ」
 レイはコハクに問いかける。
「(コハク、今の話聞こえてた?)」
「(うん、聞いてたよ)」
 召還陣の中にいる契約獣に、外の会話は聞こえているようだ。
 また彼女の場合、契約を結んだ相手とは声を出さなくても会話ができるらしい。
「(出てきてくれる?)」
「(その人、悪い人じゃない?)」
 コハクは、見た目に寄らず少し人見知りだ。
「(フェンの知り合いみたいだから大丈夫だと思う。それに何かあったらフェンが黙ってないわ)」
「(それもそうだね。いいよ。僕を外に出る)」
「(ありがとう。後でブラッシングしてあげる)」
「(やった~!レイのブラッシング好き!)」
「……お待たせしました。今呼びます」
「本当かい」
 レイの契約獣が見れると、前のめりになったセルビオス。
「おいで、コハク」
 その呼びかけに応えたコハクが、謁見の間に姿を見せた。

「ほう。これまた、黒ヒョウとは。なかなか、契約できるものは居ないぞ。レイ殿の契約獣は実に面白い者たちばかりだな」
 黒ヒョウが現れた事で怯えるものがいる中、セルビオスは目を輝かせている。
「この子は黒ヒョウだけど、危険ではないです。大きい猫だと思ってもらえると」
「そうか。猫か。私は、猫が好きでね。撫でさせてもらえるか?」
 彼は、とても楽しそうだ。
「はい、大丈夫です」
「ありがとう」
 セルビオスは座っていた王座からレイたちのいるところへ、コハクを怯えさせないようにゆっくりと歩いていく。
「レイ、怖い人?」
「大丈夫よ、怖くない」
 レイは、セルビオスを目にし少し怯えているコハクに寄り添う。
「……きれいな瞳だ」
 彼女たちのもとにたどり着いたセルビオスは第一声にコハクの瞳を褒めた。
「この子の名前は、その瞳の色から付けたんです」
「コハクといったかな?」
「はい。撫でる時は、まず手のひらを嗅がせてから、撫でてあげてください」
「こうか?」
「はい」
 レイの助言を受け、セルビオスはそっと手を伸ばす。
 コハクはその手を少し警戒しながら嗅ぐ。 
「コハクが手のひらにすり寄ってきたら、口周りを撫でてあげてください。そこを撫でられると喜びます」
「ほう」
「この人怖い匂いしない」
 危険な人物ではないと判断したコハクが、セルビオスの手にすり寄った。
「そうか、撫でさせてくれるのかい?ありがとう」
 彼は優しくコハクの口元を撫でる。セルビオスの表情は、とても穏やかだ。
 コハクも、撫でられて満更でもない様子。

 謁見の間は、ほのぼのとした空気に包まれた。
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