5 / 29
昔々あるところに!!
しおりを挟む
これは少し前の話である
亜沙 陽向との関係を切ると決意した日
一方的に縁を切る俺はホントにクズであるのはもう覚悟の上
亜沙陽向
苗字は「あさ」。苗字にしては珍しいものであるらしい。よく「朝」と間違えられる。俺の場合は逆に印象が強すぎて、脳に焼き付いてる
後ろは「ひなた」である。これは普通にいい名前と俺は思う
彼女曰く
『この名前お気入りなんだぁー、母さんが付けてくれたんだ 』
と嬉しそうにしていたのが脳から離れられない
あんな笑顔を見たのは初めてだ
中3の少し寒くなってきた秋のある日である
受験に迎えて、俺は精一杯頑張っていた。一応将来の夢は医者とかほざけていた年頃だったからだ
まあ、そのころから変態ですが
『医者になるにはまずこの市の一番レベルの高い高校にいけ』
と先生にも言われていた
もちろんその高校を目指していたが
もう一つの理由があった
亜沙陽向から離れるため
彼女といるとどうも調子が狂ってしまう。なんというのだろうか、ホントに彼女を見ただけで、悲しい感情が自然と湧いてくる
全ての感情が本能的ではなく、作り上げているみたいな、そんな感情をしている
何度か
『無理しなくてもいいぞ』
と心配はしていたが
『先輩ったら、そんなに私のこと心配ですかー?ますます好きになっちゃいます!!』
と抱きついてくる
その度に胸が痛む
彼女は学校ではとても有名であった
目立っている、可愛い、ギャップがいい、積極的
という、偏見をもった意見が多数らしい
可愛いなど、本当に偏見であると俺は思う。確かに客観的根拠ではあるが、その上偏った見方でもないし、非好意的な意見でもないが。でも、だからこそ、それは偏見である
彼女にとって、その可愛いは好意なのかどうかである
まあ、正直な話、最初にあった時は可愛いとはすごく思っていた
時に連れて、そんなもん思えなくなったし、キモイとも思い始めた
もうちょっと昔の話をしよう
彼女と会ったのは、中1
知り合うはずのない少女との出会い
まるで運命とも感じさせられる出会い。普通の人ならば勘違いするのは当たり前な出会い
赤い糸で繋がっていたかのような
いや、「黒い」糸
と表現した方が良いのかもしれない
ある意味、必然で蓋然な出会い
ある意味、必要で不用な出会い
ある意味、感動で悲感な出会い
ある意味、最高で最悪な出会い
今から話すのは、4年前の
出会いの日
【4年前のある日】
中1っていうのは大人になったと感じさせる響きである
素晴らしい響きだ!!
小6とかでも、自分は大人だ!!と感じていたが、まさか中1でも感じるとは
他の人に聞くと
『え、高校生にならないと大人とは言えないかなー』
と帰ってくる
自分だけがそういう感情になってるのかな
いつも通り登校して、いつも通りの日常を過ごしていた
小五の妹はホントに可愛い!!妹ってこんなに可愛い生き物だっけ!!と感じさせられる年
いやー、ホントに自慢な妹!!もうね、妹最高!!
「ただいまー」
「おかえり兄貴」
あー、ホント家に帰るとおかえりが帰ってくるのが素晴らしい!!
「妹ーー、もう学校ホントに嫌になるよ」
「あーー、兄貴くっつかないで」
「いいじゃん、妹に抱きつくと癒されるんだもん」
「もう兄貴ったら……」
まあ、他の人から見たらとても普通の兄妹には見えないでしょうね!!しかーーし、わたくしからすれば、これが普通!!妹最高!!
「あ、妹、母さんたちは?」
「ん?あー、さっき出かけたよ。私たちで飯食べといてって」
「おお!!今日は二人っきりか!!久しぶりの二人っきりだし、何して遊ぶ?」
「やっぱりマリカでしょ!!」
「だよなー!!よし、飯作ってるから、食ったらやろうぜ」
「うん、はやくしてねー。その間宿題してくる」
「おけおけ」
それにしても、両親とも出かけか
珍しいなぁ、いつもは家でいちゃいちゃしてるのに。ほんと俺の両親って、変態なんだわ……訳の分からん単語を発するわ
妹見てるのに、ちゃんと自主規制してほしいものだ!!
「さて、今日は…………いいや、野菜の炒めもんで」
適当に冷蔵庫から野菜を取り出し、切って炒めた
まあ、野菜もね、大切だからね
肉?もちろんあるよ!!羊肉だけどね
だから今日肉はないです
あるっていうのは、家にあるっていう意味ね
か、勘違いしないでよね!!別に面倒臭いから作らないとかじゃないんだからね!!
まさにその通りです
「妹できたぞーー」
「はーーい」
あー、ホント妹は癒される存在なんじゃぁ~
「今日肉ないの?」
「冷蔵庫に羊肉しかなかったんだわ」
「あー、なら仕方ないか。羊肉料理するの難しいしね」
「うむ!!」
しかし、なんだろうな。こんなシスコンな俺を嫌いにならない妹
もしかしたらこれは可能性あるかもしれない!!
あ、ダメだ、もう期待しちゃってるよ俺
「なあなあ、妹よ。久しぶりに2人で風呂入らない?」
「えぇー」
「ほら!!ね!いいじゃん!!スキンシップとして、ね!!」
「んーーー…………いいよ」
「っしゃあ!!!」
あ、思わずガッツポーズしてしまった
だが、妹はそんな俺を見て
「そんなに喜んでもなにもしないからねー」
とニヤニヤしながら言った
いや、もうマジで可愛い
妹いない奴らざまぁ!!ふはははは
「じゃ、時間短縮のために、片付け頼める?皿洗ったりさ」
「うん、いいよ」
「おけ、じゃ頼んだぞー」
その間に、今日の宿題を終わらす
最近の勉強簡単すぎてなんか詰まらない。なんて、天才ぶったことは言わないが、ホントに最近の勉強は簡単すぎる
日本はこれで大丈夫なのだろうか、心配になってくる
「うわ、今日英語やん」
もちろん答え写した
なんで答え写したって?
英語まったく分からないもの
英語なんて要らないんじゃね、将来に
どうせ自動通訳みたいな機械出来そうだし。そんな機械できたら、英語を習ったところでほぼ意味が無い
だから、最近は英語の勉強は果たしているのだろうかということについて考えているが
俺の考えでは、どうも「要らない」という結論になってしまう
英語が好きな人にとっては「要る」という結論に出るだろう。要するは、この考えは個人的なものであることが分かった
こんなの分かってどうするって正直俺も思うが
あれ、真面目に俺なんでこんな無意味なことしてんだ?
解せぬ
「兄貴ー、終わったよー」
10分が経ち、妹は俺を呼んだ
宿題であった英語、数学を終わらし、リビングへ向かう
「兄貴、このニュース見てみてよ……この人達可哀想…………」
妹が悲しげなことを言ってたので、思わず気になってテレビを見た
そこに移りこんだのは
燃え盛る炎の家である
未だに消火活動をしているらしい
「あれ、妹、あそこの周りの家……なんか見覚えなくね」
「ん?んーーー、ちょっとあるかも」
「確か…………東方面だから……ちょっと妹来て」
妹を誘い、窓を開け、ベランダへ行った
予想通り、ではないが
窓を開けた瞬間、救急車、消防車のサイレンが聞こえてくる
このサイレンの大きさであれば、そりゃ窓で隔たれて、こっちには聞こえないだろう
「意外とこの近くなんだな、やっぱり……」
「だね……大丈夫なのかな……」
リビングへ戻り、ニュースの続きを見た
密集地ではないため、ほかの家に炎を移る危険性はなく、もう炎が消えかけていた
「仕事早いなー」
そんな感心もしながら
「妹、やるぞー」
「うん」
「大丈夫だって、その家の人きっと無事だよ」
「ならいいね……」
「妹はホントに可愛いな。人の心配するなんて優しい奴め」
頭わしゃわしゃしてやった
妹は頭を撫でられたり、わしゃわしゃされたりすると拒絶反応が出る
その拒絶反応を利用した上での行動
「あーー!!!わしゃわしゃすんなー!!」
「おっと、ごめんごめん」
「もう!!ほら、やるよ!!」
ほら、この通り、元気になれる
魔法の力だね!!
結局12時まで遊んでしまい
一緒に風呂入って、妹を先に寝かした
「…………外に出たのはいいが、ホントに静かだなぁ」
俺はこの静かさが好きだった
都会では珍しくない光景、夜と昼の差がすごいという
それにしても寒い、戻ろ
「…………今頃母さん達何してんだろ…………ラブホとか言ってたけど…これ以上兄弟要らないんだけど」
先ほど父さんから
『今日はもう帰らないから、明日には帰るから、ごめんなー』
と、軽々朝飯作るの忘れんなよというメッセージを入れて、電話を一方的に切った
「自由すぎるだろ……」
そんなこんなで、俺も眠りについた
目が覚め、朝立ちの朝
あまり雨が好きではないので、何とも言えないだるさに陥た
リビングに出て、台所へ行き、朝食を作る
妹を起こし、いつもの朝を過ごしていた
「そういや、昨日のニュースどうなったんだろ」
「見てみるか」
妹が気になってるので、テレビをつけた
昨日のチャンネルを変えてないので、いきなりニュースが流れてきた
昨日のニュースである
『昨夜ここ、東方面で火災が起こりました。火災が起きたのはこの民家で、見てください、もはや家の原型が見えません。これでどんな勢いな炎だったか想像がつくでしょう』
ホントに酷いものであった
「うわぁ…………もう炭やん」
『先ほど情報が入ってきました。亡くなった方の情報です。夫の西本拓海さんと妻の西本奈那海さんがお亡くなりになりました。重症が2名、長女と次女と思われる人物で、今も病院で緊急手術をしているとのことです。以上現場からお伝えしました』
そのままスタジオに戻った
さぞ辛かろう……あの姉妹……
「怖いね……火事って」
「ホントに、怖いね……火事って」
一家の幸せを奪う火事
我が家も気を付けなくっちゃ!!
そのまま、月日が過ぎて、寒くなる時期となった
冬が降るある日
「知也、は、はよ帰ろうぜ寒いんだよ」
「先に帰ってくれ、ちょっと先生に呼ばれた」
「マジかよ、まあ寒いし、先に帰るわ」
「おう、すまんな」
先生に呼ばれ、職員室へ行った
叱られるとかそういうのではなく、家族の話についてであった
なんだって、いつも両親が仕事で疲れて、家事ほとんどが俺がやってる
というのを心配してくれた
この先生はいい先生だ、尊敬する先生である
こんな担任を持った俺は幸せもん
「じゃ、もう遅いから帰っていいぞ」
「はい、ありがとうございます、心配してくれて」
「いいってもんよ、生徒を心配するのは教師にしては普通だ」
「では、さようなら」
「おう、気をつけろよ」
もう夜暗かった
午後6時、夏であればまだ明るいが、なにせ冬である
子供1人で外に歩くのが危ないと言われる暗さ
そう、子供1人で外に歩くのは危ない
……………………
公園のブランコが勝手に動いてる!!!ぎぃゃぁぁぁぁぁぁ!!!
あ、なんや、人乗ってるやん
夜だから見えんかった
んーーー、よく見ると……小学生かな
「ちょっと君ー、もう夜だよ、家に帰らないの?」
「………………」
「あれ、外国人かな。ねー、大丈夫?」
「………………」
「まさか……え、英語いるのか……」
くそ!!こんなところで英語いるのかよ!!マジかよ!
「どぅ、違うわ……キャンユースピークイングリッシュ?」
「………………」
「………………」
なーんだ!!ただの無視だったのか!!
悲しくなるぞ!!
あ、ロシア人とかの可能性もあるなぁ…………んー、どしよ
「うっ…………グスッ……」
「ふぁっ!?!?」
あ!!か!!ん!!ここで泣いたら俺が悪いみたいになっちゃう!!やばい、泣き止ませないと!!
「ど、どしたの!?ほら、泣かないで泣かないで!!どこか痛い??!!もしかしてお兄さんが怖いのかな??!!大丈夫だよ、何もしないって!!ね!!だから泣き止」
「うわあああああああああん!!」
オワタ
これはダメだ、どうしようも出来ない…………
一旦……家に連れて帰ろかな
ダメだ、泣いてるし、このまま家に連れて帰るなんて俺には出来ない!!本能的に
誰かに見られたら絶対に誤解されるし、絶対ポリスメンが来てしまう!!こんばんはポリスメン!!
それを避けるためにはまず泣き止ませないと
「ねー、大丈夫?ほらほら、痛いの痛いの飛んでいけー」
とりあえず頭を撫でてやった
「うぅぅぅ」
「大丈夫だよー、僕がいるからねー……大丈夫大丈夫」
この子は何かあったに違いない……火事のニュースと同じように家族を亡くしたのかもしれない…………
そんなことを思いながら、頭を撫で続けた
「お腹すいたりしない?」
「………う、ん」
僅かではあったが、うんと言った
「そっか……じゃさ、家来ない?お兄さんがいいもの作ってあげるよ」
あかん!!誘い方なんか変だ!!
ダメだこれでは、誤解される!
「うん……」
ほら誤解され……あ、大丈夫なのな本当に……
「じゃあ、ほら、おんぶするから」
背中を向けて、おんぶの姿勢を取った瞬間、その子は勢いよくしがみついてきた
「おっと、ははっ、元気だな」
「…………」
あんなに勢いよくしがみつくとは、元気で何より
ちょっと背中痛いかも
でも、それだけでは元気と言えるのだろうか……
とても分からなかった、表情からなにも伺い取れないし、何もわからない
ただ
この子
軽すぎた
亜沙 陽向との関係を切ると決意した日
一方的に縁を切る俺はホントにクズであるのはもう覚悟の上
亜沙陽向
苗字は「あさ」。苗字にしては珍しいものであるらしい。よく「朝」と間違えられる。俺の場合は逆に印象が強すぎて、脳に焼き付いてる
後ろは「ひなた」である。これは普通にいい名前と俺は思う
彼女曰く
『この名前お気入りなんだぁー、母さんが付けてくれたんだ 』
と嬉しそうにしていたのが脳から離れられない
あんな笑顔を見たのは初めてだ
中3の少し寒くなってきた秋のある日である
受験に迎えて、俺は精一杯頑張っていた。一応将来の夢は医者とかほざけていた年頃だったからだ
まあ、そのころから変態ですが
『医者になるにはまずこの市の一番レベルの高い高校にいけ』
と先生にも言われていた
もちろんその高校を目指していたが
もう一つの理由があった
亜沙陽向から離れるため
彼女といるとどうも調子が狂ってしまう。なんというのだろうか、ホントに彼女を見ただけで、悲しい感情が自然と湧いてくる
全ての感情が本能的ではなく、作り上げているみたいな、そんな感情をしている
何度か
『無理しなくてもいいぞ』
と心配はしていたが
『先輩ったら、そんなに私のこと心配ですかー?ますます好きになっちゃいます!!』
と抱きついてくる
その度に胸が痛む
彼女は学校ではとても有名であった
目立っている、可愛い、ギャップがいい、積極的
という、偏見をもった意見が多数らしい
可愛いなど、本当に偏見であると俺は思う。確かに客観的根拠ではあるが、その上偏った見方でもないし、非好意的な意見でもないが。でも、だからこそ、それは偏見である
彼女にとって、その可愛いは好意なのかどうかである
まあ、正直な話、最初にあった時は可愛いとはすごく思っていた
時に連れて、そんなもん思えなくなったし、キモイとも思い始めた
もうちょっと昔の話をしよう
彼女と会ったのは、中1
知り合うはずのない少女との出会い
まるで運命とも感じさせられる出会い。普通の人ならば勘違いするのは当たり前な出会い
赤い糸で繋がっていたかのような
いや、「黒い」糸
と表現した方が良いのかもしれない
ある意味、必然で蓋然な出会い
ある意味、必要で不用な出会い
ある意味、感動で悲感な出会い
ある意味、最高で最悪な出会い
今から話すのは、4年前の
出会いの日
【4年前のある日】
中1っていうのは大人になったと感じさせる響きである
素晴らしい響きだ!!
小6とかでも、自分は大人だ!!と感じていたが、まさか中1でも感じるとは
他の人に聞くと
『え、高校生にならないと大人とは言えないかなー』
と帰ってくる
自分だけがそういう感情になってるのかな
いつも通り登校して、いつも通りの日常を過ごしていた
小五の妹はホントに可愛い!!妹ってこんなに可愛い生き物だっけ!!と感じさせられる年
いやー、ホントに自慢な妹!!もうね、妹最高!!
「ただいまー」
「おかえり兄貴」
あー、ホント家に帰るとおかえりが帰ってくるのが素晴らしい!!
「妹ーー、もう学校ホントに嫌になるよ」
「あーー、兄貴くっつかないで」
「いいじゃん、妹に抱きつくと癒されるんだもん」
「もう兄貴ったら……」
まあ、他の人から見たらとても普通の兄妹には見えないでしょうね!!しかーーし、わたくしからすれば、これが普通!!妹最高!!
「あ、妹、母さんたちは?」
「ん?あー、さっき出かけたよ。私たちで飯食べといてって」
「おお!!今日は二人っきりか!!久しぶりの二人っきりだし、何して遊ぶ?」
「やっぱりマリカでしょ!!」
「だよなー!!よし、飯作ってるから、食ったらやろうぜ」
「うん、はやくしてねー。その間宿題してくる」
「おけおけ」
それにしても、両親とも出かけか
珍しいなぁ、いつもは家でいちゃいちゃしてるのに。ほんと俺の両親って、変態なんだわ……訳の分からん単語を発するわ
妹見てるのに、ちゃんと自主規制してほしいものだ!!
「さて、今日は…………いいや、野菜の炒めもんで」
適当に冷蔵庫から野菜を取り出し、切って炒めた
まあ、野菜もね、大切だからね
肉?もちろんあるよ!!羊肉だけどね
だから今日肉はないです
あるっていうのは、家にあるっていう意味ね
か、勘違いしないでよね!!別に面倒臭いから作らないとかじゃないんだからね!!
まさにその通りです
「妹できたぞーー」
「はーーい」
あー、ホント妹は癒される存在なんじゃぁ~
「今日肉ないの?」
「冷蔵庫に羊肉しかなかったんだわ」
「あー、なら仕方ないか。羊肉料理するの難しいしね」
「うむ!!」
しかし、なんだろうな。こんなシスコンな俺を嫌いにならない妹
もしかしたらこれは可能性あるかもしれない!!
あ、ダメだ、もう期待しちゃってるよ俺
「なあなあ、妹よ。久しぶりに2人で風呂入らない?」
「えぇー」
「ほら!!ね!いいじゃん!!スキンシップとして、ね!!」
「んーーー…………いいよ」
「っしゃあ!!!」
あ、思わずガッツポーズしてしまった
だが、妹はそんな俺を見て
「そんなに喜んでもなにもしないからねー」
とニヤニヤしながら言った
いや、もうマジで可愛い
妹いない奴らざまぁ!!ふはははは
「じゃ、時間短縮のために、片付け頼める?皿洗ったりさ」
「うん、いいよ」
「おけ、じゃ頼んだぞー」
その間に、今日の宿題を終わらす
最近の勉強簡単すぎてなんか詰まらない。なんて、天才ぶったことは言わないが、ホントに最近の勉強は簡単すぎる
日本はこれで大丈夫なのだろうか、心配になってくる
「うわ、今日英語やん」
もちろん答え写した
なんで答え写したって?
英語まったく分からないもの
英語なんて要らないんじゃね、将来に
どうせ自動通訳みたいな機械出来そうだし。そんな機械できたら、英語を習ったところでほぼ意味が無い
だから、最近は英語の勉強は果たしているのだろうかということについて考えているが
俺の考えでは、どうも「要らない」という結論になってしまう
英語が好きな人にとっては「要る」という結論に出るだろう。要するは、この考えは個人的なものであることが分かった
こんなの分かってどうするって正直俺も思うが
あれ、真面目に俺なんでこんな無意味なことしてんだ?
解せぬ
「兄貴ー、終わったよー」
10分が経ち、妹は俺を呼んだ
宿題であった英語、数学を終わらし、リビングへ向かう
「兄貴、このニュース見てみてよ……この人達可哀想…………」
妹が悲しげなことを言ってたので、思わず気になってテレビを見た
そこに移りこんだのは
燃え盛る炎の家である
未だに消火活動をしているらしい
「あれ、妹、あそこの周りの家……なんか見覚えなくね」
「ん?んーーー、ちょっとあるかも」
「確か…………東方面だから……ちょっと妹来て」
妹を誘い、窓を開け、ベランダへ行った
予想通り、ではないが
窓を開けた瞬間、救急車、消防車のサイレンが聞こえてくる
このサイレンの大きさであれば、そりゃ窓で隔たれて、こっちには聞こえないだろう
「意外とこの近くなんだな、やっぱり……」
「だね……大丈夫なのかな……」
リビングへ戻り、ニュースの続きを見た
密集地ではないため、ほかの家に炎を移る危険性はなく、もう炎が消えかけていた
「仕事早いなー」
そんな感心もしながら
「妹、やるぞー」
「うん」
「大丈夫だって、その家の人きっと無事だよ」
「ならいいね……」
「妹はホントに可愛いな。人の心配するなんて優しい奴め」
頭わしゃわしゃしてやった
妹は頭を撫でられたり、わしゃわしゃされたりすると拒絶反応が出る
その拒絶反応を利用した上での行動
「あーー!!!わしゃわしゃすんなー!!」
「おっと、ごめんごめん」
「もう!!ほら、やるよ!!」
ほら、この通り、元気になれる
魔法の力だね!!
結局12時まで遊んでしまい
一緒に風呂入って、妹を先に寝かした
「…………外に出たのはいいが、ホントに静かだなぁ」
俺はこの静かさが好きだった
都会では珍しくない光景、夜と昼の差がすごいという
それにしても寒い、戻ろ
「…………今頃母さん達何してんだろ…………ラブホとか言ってたけど…これ以上兄弟要らないんだけど」
先ほど父さんから
『今日はもう帰らないから、明日には帰るから、ごめんなー』
と、軽々朝飯作るの忘れんなよというメッセージを入れて、電話を一方的に切った
「自由すぎるだろ……」
そんなこんなで、俺も眠りについた
目が覚め、朝立ちの朝
あまり雨が好きではないので、何とも言えないだるさに陥た
リビングに出て、台所へ行き、朝食を作る
妹を起こし、いつもの朝を過ごしていた
「そういや、昨日のニュースどうなったんだろ」
「見てみるか」
妹が気になってるので、テレビをつけた
昨日のチャンネルを変えてないので、いきなりニュースが流れてきた
昨日のニュースである
『昨夜ここ、東方面で火災が起こりました。火災が起きたのはこの民家で、見てください、もはや家の原型が見えません。これでどんな勢いな炎だったか想像がつくでしょう』
ホントに酷いものであった
「うわぁ…………もう炭やん」
『先ほど情報が入ってきました。亡くなった方の情報です。夫の西本拓海さんと妻の西本奈那海さんがお亡くなりになりました。重症が2名、長女と次女と思われる人物で、今も病院で緊急手術をしているとのことです。以上現場からお伝えしました』
そのままスタジオに戻った
さぞ辛かろう……あの姉妹……
「怖いね……火事って」
「ホントに、怖いね……火事って」
一家の幸せを奪う火事
我が家も気を付けなくっちゃ!!
そのまま、月日が過ぎて、寒くなる時期となった
冬が降るある日
「知也、は、はよ帰ろうぜ寒いんだよ」
「先に帰ってくれ、ちょっと先生に呼ばれた」
「マジかよ、まあ寒いし、先に帰るわ」
「おう、すまんな」
先生に呼ばれ、職員室へ行った
叱られるとかそういうのではなく、家族の話についてであった
なんだって、いつも両親が仕事で疲れて、家事ほとんどが俺がやってる
というのを心配してくれた
この先生はいい先生だ、尊敬する先生である
こんな担任を持った俺は幸せもん
「じゃ、もう遅いから帰っていいぞ」
「はい、ありがとうございます、心配してくれて」
「いいってもんよ、生徒を心配するのは教師にしては普通だ」
「では、さようなら」
「おう、気をつけろよ」
もう夜暗かった
午後6時、夏であればまだ明るいが、なにせ冬である
子供1人で外に歩くのが危ないと言われる暗さ
そう、子供1人で外に歩くのは危ない
……………………
公園のブランコが勝手に動いてる!!!ぎぃゃぁぁぁぁぁぁ!!!
あ、なんや、人乗ってるやん
夜だから見えんかった
んーーー、よく見ると……小学生かな
「ちょっと君ー、もう夜だよ、家に帰らないの?」
「………………」
「あれ、外国人かな。ねー、大丈夫?」
「………………」
「まさか……え、英語いるのか……」
くそ!!こんなところで英語いるのかよ!!マジかよ!
「どぅ、違うわ……キャンユースピークイングリッシュ?」
「………………」
「………………」
なーんだ!!ただの無視だったのか!!
悲しくなるぞ!!
あ、ロシア人とかの可能性もあるなぁ…………んー、どしよ
「うっ…………グスッ……」
「ふぁっ!?!?」
あ!!か!!ん!!ここで泣いたら俺が悪いみたいになっちゃう!!やばい、泣き止ませないと!!
「ど、どしたの!?ほら、泣かないで泣かないで!!どこか痛い??!!もしかしてお兄さんが怖いのかな??!!大丈夫だよ、何もしないって!!ね!!だから泣き止」
「うわあああああああああん!!」
オワタ
これはダメだ、どうしようも出来ない…………
一旦……家に連れて帰ろかな
ダメだ、泣いてるし、このまま家に連れて帰るなんて俺には出来ない!!本能的に
誰かに見られたら絶対に誤解されるし、絶対ポリスメンが来てしまう!!こんばんはポリスメン!!
それを避けるためにはまず泣き止ませないと
「ねー、大丈夫?ほらほら、痛いの痛いの飛んでいけー」
とりあえず頭を撫でてやった
「うぅぅぅ」
「大丈夫だよー、僕がいるからねー……大丈夫大丈夫」
この子は何かあったに違いない……火事のニュースと同じように家族を亡くしたのかもしれない…………
そんなことを思いながら、頭を撫で続けた
「お腹すいたりしない?」
「………う、ん」
僅かではあったが、うんと言った
「そっか……じゃさ、家来ない?お兄さんがいいもの作ってあげるよ」
あかん!!誘い方なんか変だ!!
ダメだこれでは、誤解される!
「うん……」
ほら誤解され……あ、大丈夫なのな本当に……
「じゃあ、ほら、おんぶするから」
背中を向けて、おんぶの姿勢を取った瞬間、その子は勢いよくしがみついてきた
「おっと、ははっ、元気だな」
「…………」
あんなに勢いよくしがみつくとは、元気で何より
ちょっと背中痛いかも
でも、それだけでは元気と言えるのだろうか……
とても分からなかった、表情からなにも伺い取れないし、何もわからない
ただ
この子
軽すぎた
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる