平和は訪れない!!

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心を開かせる!!

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もう夜の7時になるだろうか
いや、勘だけど。多分7時だろう

「…………」

んー、この子の家族とか心配してるだろうな……一刻も早く家に返したいけど、家が分からないし、この子が喋らない以上、あの場に居させるわけにはいけない
もう夜だし、寒い。その上、危ない
周りの人からの目線もそんなに痛くない
なにせ中1と小学生だ、他人から見たら疲れた「妹」をおんぶしている兄、言わば兄妹にしか見えないのであろう

「ね、名前何?」
「………………」

やっぱりダメだ、何も喋ってくれない
まあ、そりゃ初見の人と会って、いきなり名前なんて言えないわな

「後でさ、ご飯食べたらさ、家送るよ」
「………………うん」
「だから、後で家の場所教えてくれない?そうじゃないと親も心配するだろうしね」
「…………うぅ……」
「わー!!ごめんごめん!!嫌だったら言わなくていいぞ!!ね!!」

泣きそうだったので、物凄い大声出してしまった
ここで泣いたら注目される
注目されるのは嫌いだ、避けたい

「………………ん」
「ん?どし……ってお、おおお、おい!!」

何かと思ったら、この子ったら、俺の髪の毛噛んでるじゃないか、やだなーー、この子こんな子なの???

「こら、髪の毛噛まないの!!」
「うぅ……」
「わー!!ごめん!!噛んでいいよ!!うん!!」
「……はむっ」

あー、もうこれ髪洗うのだるい……
……この子がこれで落ち着くんだったら、俺は別にされても構わないが、なんか、この子の教育が気になるな
これが俗に言う
お前の親の顔を見てみたい
という感情かな

「ほら、もうそろそろ着くからね。お腹空いてるだろ?何が食べたい?」
「………………」
「んー、喋ってもらわないと困るなぁ」
「ほむはいふ」
「うん、髪の毛噛んだまま喋らないでね」
「………………」
「だからって黙らないでね、もう何作ったらいいか分かんなくなっちゃう」
「……れろれろ」
「あぁ!!!!!!ダメだぞ!!」

舌使ってきたので、急いでおんぶやめて、下ろした
この子…………なんなの……怖いんだけど

「ふぇ…………」
「ふぇ、じゃないの!!いい、髪の毛を噛んじゃだめ!!あと舌でれろれろするのもだめ!!」
「うぅ……」
「くっ……!!そんな目してもダメなものはダメだ!!いいか、君はもう子供じゃないんだぞ」

いや、小学生だろうから子供だけどさ。雰囲気からして、たぶん俺の妹より年上なんだよな
だから、小6……かな?適当だけど

「うぅ……グスッ……う、うわああああああん!!」
「マジで泣き出した!!?」

おいおい冗談はよしてくれよお嬢ちゃん、マジ泣きはないぜ
あーあ、周りの視線が痛いなぁ

「そこの君、自分の妹なかせちゃだめでしょ!!」
「え、いやその」
「言い訳するの?」
「いや、そういう問題じゃな」
「このお兄ちゃんはひどいねー、ほら泣かない泣かない」

お!!ば!!さ!!ん!!
勝手に入ってきて、勝手な決めつけは良くないぞ!!
そして本当に周りからは兄妹って見られてんだな、すげー……
って、感心してる場合ちゃう!!この状況何とかしないと!!

「よしよし、偉い偉い」
「…………」
「あんた、自分の妹を大切にするのよ、いいかい?」
「……はい」
「じゃあねお嬢ちゃん」
「………………」
「あはは……すみません、この子こういうもので」

無言ですかそうですか
お礼くらい言ってもいいけどなぁ……
泣き止むの早いなぁ、それにしても
何秒やろ、16?かな?
早すぎるだろ
てかあのおばさんのせいで、周りから凄いひどい目で見られてる、もういや……この目が一番嫌い……殺してぇ……

「…………ん」
「ん?」
「……ん!!」
「えぇ……まだおんぶー、めんどくさ」
「うぅ……」
「あーー!!分かったよ!!するよ!!ほら!!」
「…………ふんっ……!!」
「いっ!!あはは、元気だね……」

やっぱ飛び込んでくるのか
痛いよ背中、背骨折れちゃう

やっと家の前まで帰ってきた
でも中に入る勇気がない

◤◢緊急事態発生◤◢
    葛藤警戒レベル2
    葛藤警戒レベル2

ダメだ、入れない……なんでだろ

「んーー!!」
「あーこら!足ジタバタしないの!!」
「んーーーー!!」
「あーー!!暴れない!!落ち着こ!ね!危ないから!」
「んーーーー!!!!」
「あ、ダメ、落ちるっ!!」
「きゃっ」

よりにも後ろに倒れるのかよ!せめて前にしろ
これだとこの子が下敷きに
いくら俺と一つしか年空いてないとはいえ、俺は男で相手は女の子。しかもこの子すごい細い
このままだと怪我負わしてしまう
この子の親になんて言えばいいのか分からなくなっちゃう!!

仕方ない!!もう最終手段だ、この子に少しでも衝撃を和らげるためだ!!許せ!!

地面に付く瞬間、ちょうどタイミングよくこの子の頭を抱え込んだ。おかげで俺が先に地面に叩きつけられて、衝撃を和らげることが出来た

「いったーー……やっぱ物理の法則はあってた」
「うぅ…………うっ……」
「あー、ごめんね、痛かっただろ?よしよし」

もう泣かすのもめんどくさいので、とりあえず適当に慰めた

「兄貴?なんか騒いでるけど、誰がいるの?」
「あ」

たぶん凄いうるさかったのだろう、家の中まで聞こえたらしい
それを気にして、妹が出てきたのであろう
しかしこの状態はまずい……

「あ……あにき…………何してんの」
「いや、これにはふかーーーい訳があってね、家の中に入って話そう、ね」

何せ、俺がこの子の頭抱えて
この子は俺に抱きついてる
誰から見ても普通じゃない光景

「そんな状態で言われてもね兄貴…………とりあえず抱くのやめたら?」
「いや、離れない」
「…………んー……」
「ほら……」
「……誰なのよこの子」
「知らん」
「警察に知らせた方が」
「いや、俺の人生終わるかもしれんからやめてくれ」
「そんなのはいいから兄貴、早く部屋入りなよ、そこでそんな気持ち悪い状態見せられても」
「う、うん、待ってね。さっきに入っといて」
「うん」

しかし、離れない
細い割には力あるなこの子、足まで絡んでくるよ、もう動けない、苦しい

「ね、ねー、苦しいから離して?」
「んーん!!」
「首振られても……苦しすぎて死にそうなんだが……」
「んー!!」
「…………あとでたーーっぷりしてあげるから!!ね!!」
「………………」

あ、簡単に離した
なんだ、簡単なことじゃん
後々クソだるいが

「さ、とりあえず中に入るぞ」
「………………」
「妹、この子リビングに連れてってあげて」
「はいよー、ほらこっちーー」
「んっ……」
「いや、あの」
「この子兄貴大好きみたいね」
「…………今日会ったばっか」

あー、裾掴まれたよ
普通の人なら萌えるシチュエーションかもしれんが、これはなんか困るなぁ

「はぁ、ほら行くぞ」

とりあえずリビングに連れてってやった

「どうするのよ兄貴……」
「どうすることも出来ん……」
「ご飯二人分しかないよ」
「俺抜けでいいよ。よし、作ってくるか」
「何作るの」
「この子の好きなもん」

とは言ってもまったく分からん
さっきなんか言ってたけど、髪の毛噛んだまま言ってたから聞き取れなかった

「ね、何が食べたい?」
「……オムライス……」
「お!やっと言ったか。オムライスね、おけ、任せろ。ここでゆっくりしといてね」
「……うん」
「妹、この子の世話頼む」
「はいよー」

やっと喋ってくれたよ!!僕感動したっ!!なんか我が娘が初めて喋った喜びを感じてるみたい!!適当だけど
うーむ、オムライスね、意外と子供だね
現実はすごい子供だが

「どうしよ……警察に言った方がいいのかな…………」

でも、勝手に警察に言っても……あの子が迷惑にするかもしれない。迷惑じゃなかったら警察に言うが……
まあ、その以前、あの子の親が警察に連絡してるだろ
それで捜索して、こっちが見つけたということで引き渡せば

「完璧だな」

でも、捜索には証人など、いる訳
つまりは街の人を訊きまくるということ…………
もしさっきのおばさんが……
人生が詰んでしまう!!!

「ダメだこれ、早くしないと俺の後に関わる!!」

詳しくはあの子の話を聞いてからだ。今はとりあえず早くオムライス作らないと
お腹空いてるだろうし




   【リビング】

「ね、あなた名前何?」
「……………………」

やっぱり喋らないね……どうしよかな
兄貴はどうやってこの子とコミュニケーション取ったのだろ……謎だァ

「ほら、私とあなた、ほぼ同じ年だし。何年生?」
「…………ろく」
「おお!!年上だぁ!!もうそろそろ中1だね」

信じられない!!年上だなんて。性格すごい子供っぽいなのに
身長は私と変わらないし、同い学年かと思った
まあ、でもこの子となら、なんか気楽に話せるかも

「テレビ見る?なんのテレビ好き?」
「……………………」

やっぱり喋らない…………もう困るよ、喋ってくださいよ先輩!!
あなたの口は飾りか!!ってツッコミたくなるよ……
トホホ……兄貴早くしてーー

「……ね、ねぇ……」

自ら喋ったああああああ!!!!

「ん?なに?」
「きょ、う……と……めていいかな」
「え」

聞き間違いかな、今日泊めてくれないに聞こえたんだけど

「ごめんね、聞き間違いしたかもしれないからもう1回言ってくれない?」
「今日……泊めていいかな…………」
「…………」

やっぱりだ。でもいきなりすぎるよ、母さん達にも言ってないし

「ご、ごめんなさい……嫌ですよね……」
「ち、違うよ!!ちょっと親に聞いてみるね」
「う、うん、ありがと……」
「いいよいいよ」

親に聞いてみることにした
でも家の親だから
どうせ
「いいわよ泊めても、今日は賑やかになるね!!」
になるだろうし……あはは

「あ、母さん?今日友達家に泊めたいらしいから、いいかな」
「いいわよ泊めても、今日は賑やかになるね!!」
「…………ありがと、じゃね」

ほら、まさに予言通り
素晴らしぃ!!話し方まで予言できるとは、さすが私ですね!!
拝めよ皆の者!!
すみません、調子乗りました

「泊めていいらしいよ」
「っ!あ、ありがとうございます……」
「いいよ、親大歓迎してるよ」
「……うん」

でもこの子の家の人心配してるだろうね、早く返さないとさすがにこの子の家の人が……
あとで話すか



   【台所】

「よし!こんなもんかな!!」

出来たーー!!オムライス!!
ふぅ、ちょっと本気なっちまったぜ。我ながら素晴らしい出来だ!!

「妹ー、飯の用意してー」
「はーーい」

これであの子も喜んでくれれば、こっちとしてはすごい嬉しい


【リビング】

「よし、それじゃあ食べて」
「兄貴どうするの」
「俺?俺はカップラーメンあるからいいよ。ほら早く、感想聞かせてな」
「………………」
「じゃあ、いただきます」
「……ぃ……きま……す」

最初は抵抗あったのだろうか、物凄く恐る恐る口にオムライスを運んでいたが
1口目のあと、食べる早さがもはや大食いの人並みである

「あはは、ゆっくり食べてねー」

とりあえず撫でてやった
そもそもこの子はなぜあの公園にいたのか分からない
家出なのか、それとも迷子なのか
どちらにせよ、家の人が心配する出来事。一刻も早く返したい
家出の場合、その原因は親にあるだろうから、その場合は親に直接話をしてみたい
この子を少しでも守るために

「兄貴、いつもよりうまい……」
「そうだろ?今日のは自信作なんだぜ」
「いつも手抜きなのに、なんで」
「おいおい、手抜きとか言うなよ、察して」
「あっ、なるほどな」
「そういうことや」

この子の笑顔を見てみたいからだ
料理で人の感情を見ることが出来る
涙や笑顔、その他に真顔、といった表情を見れる
料理は素晴らしいものだ

「どう?おいしい?」
「………………」

何も答えてなかったけど、首が縦に動いてたので、美味しかったというメッセージなのかな

「なら良かった、作った甲斐あったよ」

それから、2人が食べ終わるまでずっと見ていた。この2人、意外と雰囲気が似ていて、結構いい関係になれそうと感じ取れた時間
そんなことより
お腹空いた、家にカップラーメンなどなかったんだわ

「ごちそうさま、美味しかったよ兄貴」
「おうおう」
「ご……ぅ…ま」
「はいよ。よし、片付けしてくるから、2人でなんかやっててー」
「うん。ほらこっち来てー」
「……うん」

おお、2人いつの間コミュニケーション取れるようになった。すごいな俺の妹
あの子も少しずつ心を開いてくれている。このままいけば名前とか聞き出せる

「あ、2人とも、先に風呂入って」
「はーーい」

風呂入ってから会議ということで
その間何か作って食べる




【風呂場】

「服どうする?」
「………………」

相変わらずだなぁ、喋ってくれてもいいじゃん

「兄貴の着る?」
「……うん」

物凄い勢いで首を縦に振った
どれだけうちの兄貴が好きなんだこの子……兄貴も何の催眠術をこの子にかけた……

「じゃあ待ってて、取ってくる」

兄貴の部屋に行って、ちょっとデカめの服を着させた
ズボンも兄貴のもの
仕方ないことなのよ、私服少ないし

「ほら、風呂入ろ?流しあいっこだぁー」
「………………」

んー、そこノってくれないと、テンションが高いこっちが馬鹿みたい

「じゃあ背中洗うよぉ」
「……うん」

うわぁ、この子の肌……めっちゃすべすべやん
やば、なんか抱きつきたくなった
だ、ダメだ私!!落ち着けぇー

「肌すべすべだね」
「………………」

どうすれば喋ってくれるのさ
さすがに喋ってくれないと、こっちが持たないよ

そのまま、私も背中を洗ってもらい、風呂へ入った
この子背中洗うのうまいよ、すっごい、手つきが……その…………なんというか…………

「ね、なんて呼べばいい?」
「………………」
「んー、分からないよ喋ってくれないと。ほら、もう友達でしょ」
「とも……たち……?」
「うん、私達は友達だよっ!」
「…………」
「ほら、黙らないでよ、なんて呼べばいい?」
「………………なた」
「ん?なんて?聞こえなかった」
「……ひなた」
「ひなたちゃんかー、可愛い名前だね。私は彩奈、よろしくね!」
「うん…………よろ……く」
「よそ、もう上がろか」
「うん」

少しさっきよりかはコミュニケーション取れた気がする
ひなた……うん、いい名前だ




【リビング】

神の速さで作って食べてきた俺はテレビを見ていた
ちょっと表現悪かったかな
物凄い速さと言った方がわかり易かったのかもしれん

「んー、迷子のニュースないし、失踪のニュースもない…………」

参った、これじゃあ迷子じゃないってことか

「兄貴ー、上がったよー」
「おう、ん?あの子は?」
「なんか出てこないんだよ」
「えぇ……」

どうしたのだろ?と気になり、風呂場へ向かった

「どうしたの?」

そこに居たのはまるで別人だった
髪の毛は結んだ髪を解いたせいか、元の髪の状態にもどり、ロング
顔がまるでりんごのように赤くなってる

「だ、大丈夫!?」

そのあと服装見て確信した
そりゃ、顔赤くなるかな

「…………おい妹、俺の服」
「いいじゃん、私服ないし」
「……この子が嫌だったらどうするの」
「この子は兄貴の服が良かったのよ」
「そんな馬鹿な」
「聞いてみるね。ねー、ひなたちゃん、兄貴の服がいいよね」
「……うん」
「ほら!!うんって言ったよ」
「まじかよぉ」

服が大きいせいか、上も下もぷかぷかだった
可愛い、この子やばい
ロリコンの人は見たら死んでまうかもしれん
俺はロリコンじゃないから大丈夫だぜ!!

「じゃあこっち来て」
「……うん」

リビングへ連れて、みんなで話し合いを始めた

「まずは名前から。名前何か教えてくれる?俺はかささともや、漢字で書くと、こんな漢字」

紙の上に「笠沙知也」と書いた
先に自己紹介することによって、この子も少し気を許すだろう

「…………ぁ……ひ…た」
「ん??」

聞こえないぞぉーー

「ほらひなたちゃん、頑張れ!」
「……ぁさ…ひな…た」
「あさひなたちゃん?いい名前だね。でもどんな漢字だろ、ここに書ける?」

紙とペンを渡した
そして紙に汚い字だったけど「亜沙陽向」と書いた

「亜沙陽向……いい名前だね。じゃあ陽向ちゃんでいい?」
「……うん」
「よろしくね陽向ちゃん」
「………………」

さて、聞き込み調査開始
まずはなんで公園にいたか
そしてそのあとどこに住んでるのか
色々個人情報教えてもらうことになるが、それは仕方の無いことである

「よし、聞いていいかな陽向ちゃん。なんであそこの公園にいたの?」
「………………」
「陽向ちゃん、じゃあ住所どこなの?」

妹が代わりに言ってくれた

「………………」

しかし相変わらずの無言である
そりゃ当たり前だ。人の前で個人情報なんてそんなに簡単に言えるわけない

「親は何してるの?」
「もしかして家出?」
「何か親にされた?」

聞いても聞いても、ずっと無言だった
もう諦めかけて、警察に連絡を取ろうと思ったが

「うぅ…………」

亜沙陽向は

「うっ、うわああああああん!!」


泣き出した
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