平和は訪れない!!

はおそん

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1夜目!!

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人の心情は
推測できないもの

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

結局どこ探してもいなかった
時間は十二時を回り、探してくれていた人のほとんどが明日探すと言って帰宅をしていた
残りは俺を含めて四人で探している

「どこだよ……わかんねー」

妹が行きそうなところすべて探したが、どこにもいなかった
妹の思い出の場所なんて知らないし、何一つ手がかりがない
最終手段としては警察に頼むしかないが、それはしたくなかった

と、スマホがバイブ音と共に鳴り出す

「もしもし」
『知也お兄ちゃん!見つかりましたか!?』
「いや、まだだよ。そっちはなんか手がかりあった?」
『いえ……』
「はぁ……まぁいい、そんな心配する必要ない。そもそもあんな事で家出する妹の思考がわからん」
『…………』
「ふつうしないだろ……」
『彩奈ちゃんは…………』
「ん?妹がなに?」
『いえ、なんでもないです』
「そっか、引き続き頼むわ。あー、無理だったら家で休めよ、明日でも探せれるからな」
『はい、ありがとうございます…』
「じゃ、切るわ」

電話終了ボタンを押し、ポケットにしまう

「さて、もう探すのは無理なのかな……明日にするべきか」

しかし、妹はどこに泊まるのか……野宿になるのでは…

「それは……家族としてはなんか嫌だな…………くそ、父さん達いれば」

こういう時に限って両親は旅行とかマジふざけんな
しかも2ヶ月とか、長すぎやろ

「あー、考えろ考えろ、妹と縁のある場所」

昔妹と行ったところ……全部探したけど居なかったし
妹の思い出の場所…………あー、どこだ、分からねーよマジで。ちょっとでいいから手がかりくれ…………
範囲がデカすぎる
とても考えつかない。そもそも市内なのかどうかというのも不安である

「スマホに掛けても出ないしなー、電源切ってるし……」

でもスマホは持っていってるんだよな
ということは絶対に電源オンにしてるときあるということになる。こっちは妹のスマホのメールアドレスとか知ってるわけで…………

「居場所特定出来るんじゃね…………でもそんな技術俺にないわ、誰に頼めば」

とりあえず今日は諦めることにした
あの妹が当てなしで家出するわけが無い。金とかも持っていってるだろうし、ネカフェの24時間のとこにでも泊まってれば金はそんなに取られない

「とりあえずみんなに電話して、明日探してもらうか」

みんなに電話を掛け、家に帰るように言った
みんなには感謝している、こんな唐突なお願いを聞いてくれるなんて、普通はないだろう
持つべきものは友達ってことか、それも信頼できる友達

家の前まで付いて、鍵を開けようとしたとき

「お兄さん?」

知ってる声だ

「なんで帰ろうとしてるんですか?」

表情見なくてもわかる、声で華那ちゃんの心情を察した

「今日も家1人なので寂しいです、分かりますよね」

狂気しか感じなかった
どうせ断っても無駄ということは分かっている

「……うん、分かったから先に行け」

振り向いてだるい口調で喋った

「嫌です、一緒に」
「…………はぁ分かった分かった、ほらはよ行くぞ」

そういうと、華那ちゃんは腕を抱きついてきてくっついてくる

「…………あの、そろそろ離してくれないと……」
「嫌……」
「…………うん、意図は分かったからそんな怖い目で睨むな」
「…………」

ヤンデレなのは分かったが
それでもリアルのヤンデレは無理だ。どう接すればいいか分からないし、何をしたらセーフなのかも分からない。一番問題なのは、自由が縛られるということだ
自分の自由が縛られるというのは一番嫌いだ。なんで縛られないといけないとか、自由権は本当に保証されてるのか?という疑問が頭に浮かんできてしまう
確かにそんなことを考えるとキリがない。何にせよ自由なんてみんな縛られてるもの

「先に風呂入っといて」
「一緒に」
「は!?おま、馬鹿か、無理だからな、先に行け!」
「ちっ」
「おい」
「…………ふん」
「……ほら行った行った」

素直に行ってくれた
さすがにまだ早いのは分かってくれたのだろう

俺は思った、ヤンデレならばそいつをずっと愛すれば良いのでは?自分に被害は来ないし、相手も幸せ
いや、よく考えると自分に被害は来ないなんて無理だ
一種の依存状態。相手とずっといると、嫉妬心はもっと強くなるもの。そいつをずっと愛すると、それはそいつの嫉妬心が高まるだけである
いわゆる一種の自殺手段
嫉妬させないようにすれば?なんて考えるかも知れないが、それは無理だろう
好きな人が異性と話していれば自然と嫉妬してしまう人は多々いる
それと同じで、嫉妬心が高まると、家族、俺の場合は妹か母さんだ。その人たちと話してるだけで嫉妬される
もうちょっと言うと、2次元の女の子を見ている(鑑賞)、ちょっと気持ち悪いな……
まあ、それはそれとして。2次元の女子を見るだけで嫉妬されかねない
特にヤンデレ女子の場合。嫉妬すると何するか分からない、何されるかわからない。調教も監禁もされかねないのではないだろうか
最悪の場合、行けない方向に走ってしまうかもしれない。それは重度のヤンデレ女子の場合である

今は華那ちゃんのヤンデレの度数が知りたい。どれ位嫉妬心が高いのか、どこまでなセーフなのか知りたい

「ならば……試してみるというのも…………」

ちょっと危険かもしれないが、知るためにはそうするしかなかった。聞き出そうとしても絶対嘘しか言わないのはわかってる。華那ちゃんの性格だもの

「ならば…………女性と話してみるとか」

女性と話すとは言っても、知り合いではない
知り合いの場合はもう結果分かっている
全く赤の他人と話した場合、華那ちゃんの反応はどうなのか知りたい
この場合、嫉妬するのはヤンデレ女子の特長。嫉妬しないのは普通の人と見てもいいのではないだろうか
逆に見てもいいかもしれない。嫉妬するのは普通の人で、嫉妬しないのは重度のヤンデレの女子。嫉妬しないんじゃなくて、既に怒っていると言った方が適切かもしれない

「お兄さん、上がりました」
「おうおうおうおう、タオル1枚か。誘惑かな?お?お?お?」
「ちっ」
「効かないからな、はい子供は寝ろ」
「…………」

トタトタっと部屋に戻っていった
ちょっときつめな言葉発してみたが、意外と素直な感情が返ってきた
これからも当たりをきつくしょうと思った。
Sに目覚めてまう!!



「ひぇぇ、生き返るー!」

妹をずっと探していたから、足がやばいほど疲れてるし、痛い

「すごい走ったなぁ……何キロくらい走ったんだろ…………」

推定では30キロメートルは知ってるだろう
ずっと走りっぱなしだったし、休憩もほとんどしていない

「久しぶりに運動したわ…………妹のやつどこだぁ」

 最初は心配していたが、なんか遊びという感情も強い
妹を探すゲーム
そう考えると、気が楽になる

「もう答え合わせしてぇ…………」

やっぱりスマホの電源つける瞬間を予想して、居場所特定するしかないのか…………
それはなんかせこいなぁ
自分の力で見つけたい。出来ればのことだが

「無理だろうなぁ…………あー、やばい、クラクラしてきた、上がろ」

風呂は長すぎると頭クラクラしてしまう体制である


風呂を上がって、寝る準備をした
一応明日は金曜日
妹は百パーセント学校に行かないだろうから、休みを取らなければいけない
俺はまだインフルエンザ(仮病)の途中だからいけない
ほかの人、華那ちゃん達はあるだろう

「なんかラッキー」

華那ちゃんに付きまとわれないだけマシ
前まで華那ちゃんに付きまとわされても最高だよなぁ?と思ってたが、一瞬で考え変わったわ
人間って凄いなぁ


で、寝るところだが……どうせ決まってる……

「あ、お兄さん、さすがです」

やっぱり。
華那ちゃんの部屋に入るのは久しぶりだ
なんかいい匂い、やべ、ダメだ落ち着け

「ほら、お兄さん、早く横に」
「…………床で寝てい」
「ダメです」

即答ですかそうですかありがとうございます

「…………じゃあ失礼する」
「怯えなくても大丈夫です、襲ったりしません」
「その言葉発すると余計に怯えてしまうのが事実なんだよなぁ」
「あーはは、なに馬鹿な事考えてるのですか、ほら、早くしてください」
「いやだなぁ」
「ほらー、はやくー」
「いやだなぁ」
「はよしろや」
「うぃっす」


やっぱり女には敵わない

強すぎる
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