詩集「支離滅裂」

相良武有

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第一章 二十歳の詩集

③娼婦

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坊や初めてなのね・・・

 女は優しかった

 柔らかくて親切な女の誘いに

 少年は段々と陶酔境に浸って行った

私のような境遇の女がねぇ

無私の同情と優しい愛情を持ってねぇ

与えてあげられる快楽がねぇ

何故許されないのでしょうね

私はねぇ

そう言う無償の手解きをねぇ

積極的に考えているのよ

優しくて綺麗な女ならねぇ

寧ろそう言うことをねぇ

自分の義務と考えられるでしょうしね

それこそ坊やたちにねぇ

最悪の破局を避けさせてあげる為のねぇ

最も純粋で手っ取り早い方法と言うものよ

私はねぇ

私の肉体によってねぇ

多くの若い坊やたちにね

男らしさの土台を作ってあげてねぇ

後腐れの無い安心感を与えてあげたいのよ

我が身を犠牲にしてねぇ

坊やたちを当惑させないようにしてあげること

恐らくこれは一つの美徳でしょう


でもねぇ

私、あまり己惚れる訳にも行かないの

坊やたちがねぇ

男色という哀しい方便に歪められたりねぇ

自分で自分を満足させたりするのはねぇ

大変痛ましいでしょう

でもね、その痛ましさにはねぇ

私の心をそそるものが有るの

坊やたちをそんな悪癖から守ってあげること

その手段ならねぇ

幸い私にも沢山有るのよね


私はねぇ

坊やたちがねぇ

代償として支払ってくれるものをね

喜んで受け取っているのよ

だってねぇ

もし私がお金を受け取らなければねぇ

坊やたちは残酷なまでに自尊心を痛めるでしょう

私が商売女でないことを見て取ってねぇ

慈悲心なんて不躾だと思うでしょう

こういう場合ねぇ

お金とは匿名のものなのよね

私は規則に従っているだけのことなのよね

何と言う偽りの無邪気さでしょうねぇ

何と言うエゴイズムでしょうねぇ


坊やたちはねぇ

女を辱めることを義務とすべきよね

成熟し切ってねぇ

下り坂に在るね

私のような境遇の女はねぇ

坊やたちの快楽にねぇ

何かを齎さないものでもないと思うのよ

解かる?

 少年は頷いた

 にっこり微笑んだ女は

 指でスカートの縁を少しずつたくし上げた

 妄想を掻き立てられた少年は

 再び女に飛び掛かって行った







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