兄にいらないと言われたので勝手に幸せになります

毒島醜女

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どうして ????side

※小動物への残酷な行為をした描写があります



「はあ! はあ! やった、なんとか逃げられた!
てかなんなのこの展開! 勝手にハードモードになるなっての!?」

足の痛みなんて気にすることなく裸足のまま牢獄を掛けていく。
溜めて置いた力で看守の女を気絶させたのは幸運だった。

「バグもいいとこじゃない……ちょっと改良しただけで原作レイプしてないでしょ? なんでこんな目に合うの……っ?」

あまりにひどいクソ使用に舌打ちをつく。
どうしよう。どこでリセットすればいいのかしら。
兎に角ここにいるだけじゃ詰むだけだ。このまま外に出よう。

「え」

そして外へ向かう扉に手を伸ばした瞬間、熱いものが私の体を貫いた。
自分の腹を見ると、鉄の槍が私の中央を突き刺している。
ああ、そっか。リセットするならコレが一番手っ取り早いや。

「……は、ははは……」

うわ、なんか痛くて寒くなって来た。
早くこのクソゲーを終わらせてやり直させてよ。
お願いよ。早くやり直して、みんなを夢中にさせないと。そうだ。ハードモードクリアしたらアンタレスもハーレムに入れられるかな?



 *



『異世界に行く方法』

私はそれをずっと探していた。

つまんない家族。つまんない学校。つまんない国。
馬鹿みたいに真面目に生きたって、ぶっさいくで臭い男と結婚させられて親の面倒見ないといけないし、仕事でこき使われ続けるんだ。

エレベーターを使う、都市伝説になっているのは何度かやって見たが効果はなくって。
ネットでも色々調べて、ちょっと危ないけどダークウェブにある話も見てみた。
いわゆる悪魔信仰? みたいな人がいっぱいいて、そこの人たちが言うにはやっぱり生贄が必要だって。

『自分の血を捧げたら、効果覿面! うちのクソ姑がくたばったわ!』
『セクハラしてくるムカつく先輩いたから近所の鳩使って儀式したら病院いって未だに帰ってこない』
『鼠捕まえて手順踏んでぶっ殺したら夫と別れられた! しかも向こうの有責で』

彼ら彼女らは仕切りに儀式の成功を謳っていた。
生贄による儀式、だなんてオカルトじゃんと思ったけどそういうの見ていくうちにだんだん「いけるんじゃないの?」って思えてきた。

誰もが私を崇め奉り、尽くしてくれる世界。
そんな私が理想とする世界へ行くための生贄は、たくさん用意しないと。

近所に猫の溜まり場があって良かった。それに私の町は田舎で、犬を外飼いにしてる老害もまだ沢山いるし。
正直動物なんてうざったくて大嫌いだった。馬鹿で努力もしない、人間サマに生かされているだけの存在のくせに人間以上に愛され保護されているんだもの。
だから、私にその命捧げてくれてもいいでしょ?

お陰で、私はこの世界に来れた。
もう二十は殺したあたりかな? トラックに轢かれた。
そしたら自分が一番やりこんだ乙女ゲームの主人公になったんだもの。ようやく努力が実ったわ。

ナルシスト王子、ドS眼鏡、筋肉馬鹿サイコパス、生意気オスガキ。
癖が強すぎる攻略対象は私を魅了した。
そんな世界に来れたんだ。それも主人公として!
どうせ原作の世界に来たんだから、ちょっとくらい私好みに弄ってもいいでしょ? 主人公は修道院でババアに虐められたんだから女性恐怖にしたほうがストーリー上あってるもんね? 誰にでも優しい女の子しかヒロインにしてるのは日本が遅れてるせいだもん。
つか私こそ原作よりいい名作に出来ちゃうんじゃね? よーし、頑張っちゃお♡

そんな感じでちょっと弱々しい姿を見せたらみーんなすぐに私のものになっちゃった!
あれこれ五月蠅い小姑キャラのサブリナ追い出すのだってみんな味方してくれたし。

毎日、毎晩、イケメンに囲まれて幸せに過ごしている。
モブのみんなもちょっと笑えば「聖女様」って持ち上げてくれるし。

これかもそんな幸せが続くと思ってた。
なのに、なのに……!!

サブリナのやつが隠しキャラで完璧すぎて公式のオキラのアンタレスと一緒にいるなんて。別にくれてやってもいいよ? 正直私だって好きじゃないもん。でも腕くんで私の前に来るとか何? 追放された癖に。

他のみんなも、攻略対象以外は守ってくれない雑魚だし……
私はたった一人でババアだらけの監獄に入れられるし……

でも、そんなバグだらけの世界とはもうおさらば!
次はもっとうまくやるもん。
そうだ。今度は邪魔になるものは早めに殺そう。サブリナは確実に殺っておくかぁ。ああ、クロエとかいう王子様気取りのイタい女とデイヴィッドの毒姉も殺ろ。妹の方? 空気だしいいや。
帝国とも早めに同盟組むことにするか……なんか事故起こしてアンタレス怪我させて恩を売れば行けるよね?
よぉし。これでOKよね。やっぱちょろいわ~。
早くニューゲームしないかなぁ。



 *



「……目覚めました」

目が覚めると、そこは修道院じゃなかった。
真っ白で穴の開いた、あのクソださい学校によく似た無機質な天井があった。
寝ている私の脇に立っていた女は、前の世界のナース服を纏い、私を取り囲むカーテンと明けた。

目が霞んで、くすんでるように見える。
なんなの、これ。

「加藤さん、加藤愛里さんですね」

さっきのナースと入れ違いで出てきたおっさんが胸元にあった手帳を開きながらそういった。
それはまさに前の世界の警察手帳だった。

なに、なんでこんなことになってるの? なんで前の世界にいる夢を見てるの?

「話はあとで結構。あなたには小動物の殺害による容疑があります。くれぐれも正直に証言してください」

禿げ頭のおっさんが出ていくと、甲高い声を上げて汚い顔した夫婦がやって来て何かを吠えている。
大きな猿かと思ったけど、違った。私の前世の両親だ。

なに、なによ! なんでこんな悪夢見なきゃいけないの?
まるで元の世界に戻されたみたいじゃない!

早く覚めて! あの世界に戻してよ……!

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