真実の愛のおつりたち

毒島醜女

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サーペン伯爵

妻は美しい女性だ。

私もロッティと同じく、一人の人間のみに愛を捧げることが出来ない性分だから理解出来る。
互いにそれが理解できると思っていた。現にいい遊び相手だったし。
故にわが友ロイド・グランパス辺境伯は私に彼女を委ねたんだろう。

しかし誤算があった。
グランパス家の人間が思うよりずっと、ロッティは愚かだった。

結婚初夜を終えたシーツを鑑定したところ、ベッドについていた血について驚くべき結果が出た。
その血は豚のものだった。
確かに互いにとっていい関係だった。居心地のよさも感じていた。だが私の正式な妻として、子袋となるのなら話は別だ。だからこそ私は相手の処女を奪うことはなかった。それは婚前のロッティも同じだ。
故にロイドには悪いが、きつめの処分を下した。

「ロッティ。君には豚の血が流れているのか?」

グランパス家の前で初夜のシーツの鑑定結果を見せると、ロッティ以外口を噤んでいた。
立ち会ってくれた弁護士と医師が彼女の世迷言を論破してくれるうちに、次第に彼女も何も言わなくなっていった。

「勘違いしないでくれ。私は他の男と関係を持ったことを責めているんじゃない。ただ君が産む子供は私の子でなくてはならない。だから処女は守って欲しかっただけなんだ」
「は、伯爵家のくせに……こんな真似していいとでも!?」
「自分の身分は重々承知しているさ。だが君は私の妻になるという契約をしたんだ。しっかりと務めは果たしてもらうよ」

そして私は一枚の誓約書を彼女に突き付けた。
それを見るとロッティは唇をわなわなと震わせる。

「強姦よ……こんな、監禁みたいな真似までして……」
「ロッティ。社交を我慢しなければならない君の心労は理解しているよ。君は『待て』が出来ない子だからね」
「あなたねっ!」
「まずは三ヶ月、メイドしかいない離れで様子を見る。私は一切君に触れない。もし子供が出来た場合はこちらで経営している孤児院にいれよう。親の因果で産まれた子だ。丁重に扱い育てる為心配はいらない。
その後は最低でも三人は産んでもらおうか。彼、または彼女たちのことは気にしなくていい。乳を飲ませたら後は信頼出来るナニーに任せるさ」

慰謝料も訴訟も無いことに彼女の両親らは安心していたが、ロッティは違った。

「何年、私にそんな生活をさせるつもり?」
「少なく見積もって、五年かな。そうしたら後は好きにすればいいさ」

そこで妻は息を飲んだ。
しばらくして、彼女はサインをかいた

その後ロッティは四人の子を産んだ。
男女の双子、男子、女子。
いいバランスだ。問題なく育っているし、
心配していた母子由来の病もなかった。

かくして役目を終えた彼女は街に繰り出し、家に寄り付かなくなった。
子供たちの精神衛生は考慮しているため、平気だ。

私も自由に楽しませてもらってるしな。

「ふむ……そんなことがあったのかい。つらかったね」
「ぐす……そうなんです……こんなことになるなら、婚約なんてしなきゃよかった」

行きつけの仮面舞踏会。
猫の仮面を纏う彼女はそう言って泣く。
女性とのやり取りをする傍ら、情報を集める。
その情報を私はあるお方に送っている。

最近、公国は水面下で混乱しており検閲が緩くなっているので文が送りやすくて助かる。

帰宅すると、意外な人物から文が届いた。

「旦那様」
「どうした?」
「グランパス辺境伯様から文が届いてます」

ロイド曰く、

『妹が婦人議会に興味を持った。コロンバイン夫人の動きにも警戒した方がいいぞ』

と暗号を通して私に警告してきた。
それについては私も薄々気づいていた。
だが婦人議会は私の専門ではない。あそこの女性には私のような人種は嫌われている。

「では……彼女にお伺いするか」

早速私はペンを取った。
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