受難の若側妃

毒島醜女

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少年妃は麒麟と番う

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どこかの国で愚かな皇太子とその妃が国民に殺された。
彼らの首は公に晒され、駄肉塗れであった妃の肉に蝋燭を立てると三日三晩燃え続けるほどに脂だらけだったという。

「話を盛るのが好きだなぁ、人間って」
「誇りたいんだろう。自分達が屠ったのはそんな化け物なんだってな」

私の前でくつくつと笑う男。その姿は明らかにダリだ。
額に一本の黄金の角が生え、髪を降ろしている以外は。
あの時、王宮に再び訪れた時、ダリは確かに四つ足の空飛ぶ獣となった。その背に乗って国を出たのだから、嫌でも彼が人間ではないと理解出来てしまう。
そして今いるこの場所、質のいい閨であるが窓に映る景色はこの世のものではない。謂わば仙境と呼ばれるものだった。

「本当にお前……麒麟、なのか」
「ええ。そう呼ばれてますね。王を讃えてどうこう、なんてことは思ってもいませんけど。そこまで人間を必要としてないですし」
「じゃあ、なんで私の側に来たんだ。人間に化けて、周りを騙して側仕えなんかして」

こいつは、姿こそ瑞獣だがその実態は人の理がわからぬただの妖だ。
何故そんな者が私の側に来たのか意味がわからない。

「……最初は、好奇心っていう奴でした」

そうしてダリは語り始めた。
きっかけは私の両親の死だそうだ。
私の両親は茶会の席で親戚たちから謀殺され、彼らはそれを事故に見せかけた。偶然それを見たダリは「彼らをそこまでさせた子供がどんなものか見てみたい」と、親戚たちを洗脳し私の側に来たのだ。

「どんな魔性かと思いましたよ。そしたら頭が回るばかりで、不愛想で頑なで……だからか、つい揶揄いたくなったものですよ。そしたら可愛くて……」
「……お前は冗談の趣味が悪い」

私の髪に触れているその手付きが、どこか決して離すまいとした執着めいたものを感じる。

「今では好きですよ。あなたの事……あなたのお願いをなんでも叶えたいと思うくらいには」
「そう、なのか」

そう言って、こういう時に礼を言うべきだと気づく。
本当にこの男といると調子が狂う。人間ではないので、と言えば楽なのだがもうそれだけでは割り切れない仲になってしまっている。

「これから、何をすればいい?」
「己に聞いてどうするんです? あなたが決めて下さいよ」
「そう、言われても」

初めてなのだ。考えたことすらなかった。
私の頭にあったのはどのようにすれば最適解かという論理的なことばかりで、自分の望みなど頭に置いた事もない。それを引き出して、言葉にすることなどすぐに出来るわけがない。
そんな私の戸惑いに気づいたのか、ダリは口角を上げた。

「……なら、恋人から始めましょう」

そう言って、私の衣服に手をかけた。
王宮でいつも身に纏っていた、黒字に金の刺繍が施された旗袍。その留め具を、側仕えの時のような慣れた手つきで外す。
あまりにその動きが自然で、一歩退くのが遅くなった。

「は?」
「狂ってしまうような恋がしたいといったのはシリウ様でしょ? あなたいつも私のしたことで狂ってたんだから、私に恋をしたようなもんでしょ?」
「私がいつお前に――」
「甘ったるい声を出したと思ったら大声で怒鳴ったり、あれを狂ってると言わずに何と言います?」
「あれはっ、お、お前のせいだろうが!」

思わず声が上ずる。
本当にこいつは私が自分に恋をしているって思っているのか? そうでないと願いたい。ただ揶揄っているだけ。そのはずだと思いたかった。

「でも……流石に今のままじゃ酷だな……せめてもう少し待つか」

そう呟くと、ダリはつぅっと私の鳩尾に触れた。
長く、竹のような指に急所を触れられ、思わずぞっとした。

「何、してる?」
「己の魔羅がシリウ様の中に入ったらどれくらいかな、と」
「そんなに!? 嘘を吐くなよ!」

反射的に奴の腕を弾く。
それでももう片方の腕に捕らえられ、彼から離れる事は出来なかった。
いくら人じゃないからって、男性器がそんなに大きいわけがない。

「人の成長は早いんで、そんなに焦れることはありませんよ。あと二年か三年すれば受け入れられるでしょう。まあ、毎晩慣らせばもっと早いうちに入るかも知れないけど」

これもまた私をからかう為の妄言なのだろう。
だったら麒麟様の嘘を暴いてやろう。

「そんなご自慢のブツなら、さっさと出してみろよ」
「はい。最後までは無理でも、そのつもりでしたので」

ダリは何食わぬ顔で、下履きを外す。
それから私の前に自身のソレを取り出す。

言葉を失った。
私の上腕の、指の先から肘ほどの大きさの肉の棒が奴の下肢にぶら下がっている。
皮が捲れて亀頭は露わになり、艶やかに上を向いていた。雁首の尖りはまるで矢じりのようで、幹の部分にはいくつも血管が浮いていて、生物の体にあってよいものとはとても思えなかった。

「そこだけ、化け物のままでどうする?」
「これが人の状態ですよ」

そこまで言うと、ダリは私の衣を全て剥ぎ取って腕を引く。
自分が寝ていた寝台の上に押し倒すと、私の両足首を掴んだ。

「どういうわけかシリウ様は怖がってしまっているし、今日は擦るだけにしましょう、ね?」
「こす、る? って、ひ!?」
「あなたの可愛い小さなお尻に、己のを挟むんです。それでまぐわいの真似事をするわけです」

教師が年端も行かぬ子供に教えるようにして、露わになった私の尻の間に自分の男根の幹を押し当てた。
熱く、濡れている。幻ではない。本物だ。
閨教育の時に使った張り形とは違う、生身の、他人の男根。
とても入りきらないそれが自分の一番敏感な部分に触れていると自覚した瞬間、呼吸が荒くなって息が出来ない。
恐怖を抱き始め手を伸ばすが、それは空を切った。
上から下へと私の尻の間で熱が動いていく。その尖りで、浮かび上がる血管の凹凸で、私の秘所を嬲っていく。互いの粘膜が合わさり、ぐじゅ、ぐじゅとあられもない音を立てる。とても人間の体から出ているとは思えない、淫靡な音だ。

「あ、待って、ダリ、ぃ、いま、動いちゃ」
「大丈夫……なぁにも考えずに、己に任せて下さい」

ダリは一切の猶予を与えず腰を動かしていく。
私を押し倒して揺さぶっているその姿は、本当に私を抱いているようだ。
そんな錯覚を覚えると、そこから芋づる式に妙な思考がダリに引っ張られていく。全ての意識がダリに集中して、他の事を考える事が出来なくなってしまう。
強くなっていくダリの匂いを吸う度に頭がのぼせ、体が疼いていく。震えが止まらず声すらまともに上げられなくなってしまう。
ダリが片方の腕を私の胸に添えたのは、その時だ。

「ひッ、あぅ、ああぁっ」

ダリの熱く、大きく、優雅に伸びた指が私の乳首を挟んだ。
円を描くように触れたかと思えば、強くつねり、痛みを感じたところで手を離す。解放も束の間、今度は指先で先端を潰すように嗜虐的に弄ってきた。
その度に痺れて、頭がおかしくなる。

「あ、はぁ、きゃう!?」
「王宮で習いましたよね? 男でもここは気持ちよくなれる場所だって」
「はなせっ、やだ、やぁっ、ンンっ!」

あの愚かな王妃のようにキャンキャンと甲高い声が自分の喉から出ることに恥じる間もなく、ただダリの与える快楽に溺れるしかなかった。

「だり、だりっ」

思考の全てがずっと知らなかったものに染まり、恐怖しかなかった。
ただ、目の前の男の名前を呼ぶしか出来なかった。
霞む視界の中、ダリの笑顔だけが見える。
そのすぐ後に、私の左手に指を絡めた。
あの蜘蛛のような手が、得物を捕らえて喰らうかのように。

「ここにいますよ」

鼓膜にその声が聞こえ、甘く喉が鳴る。
ふと、金糸のようなダリの髪が頬に触れたと思うと、彼の唇が自分のものに触れた。

「ぁ……ふ……」

生まれて初めての口付けだった。
何処までも柔らかく、熱く、湿っていた。
初めて知るはずなのに、どこか懐かしい居心地の良さを感じてしまい、私は目を閉じる。

「――あぅ゛ッ」

その瞬間、意図せず私は達してしまった。
自分の中の熱が弾ける感覚の後、脳内が白く曇っていく。
ダリの手をきゅ、と握りながら私の意識は闇の中に落ちていった。



 ※



「あーあ……寝ちゃった……ったく……いきなり激し過ぎたか」

愛しのシリウ様との初夜は、失敗に終わった。
最後まですることはなかったとしても、相手に気絶されるなど、己の失態を呪った。

己の手を握りながら意識を手放している彼に向かって、行き場を無くした欲望に昂る男根を向ける。片手でそれを鎮めながら、先端から溢れる白濁液をシリウ様の体に飛ばす。
つるんとした滑らかな腹が、艶やかな李の様な乳首が、私の欲に染まる。
本当はその愛らしいお顔まで飛ばしてあげたかったが、どうやら濃すぎたせいで重量があったせいで飛ばなかったらしい。

「ご存じですか? 男でも孕める術は、元々仙界のものなんですよ?……丈夫な母親になる為に、今日から毎日頑張りましょうね。シリウ様」
シリウ様のお願いを叶えつつ、シリウ様にはしっかりと勤めてもらわねば。
明日から忙しくなるな。
泥の様な私の精液を、シリウ様の下腹部に塗りたくりながら私は願わずにいられなかった。ソコに早く、私の種を撒きたいと。
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