18 / 25
成長期の二人
勘違いはそのままで
しおりを挟む「初日だというのに、奥様になんて報告をすればいいのかしら」
「そのまま報告したら如何ですか?」
「まぁ!ラニエル様は事の重大さがわかっていらっしゃらないのですわ!」
子供が幼児にマジで怒ってるの図。中々シュールだな。そして年齢的には結構差があるのに、わたしの身長が高い分、みんなそんなに変わらない年齢に見える。
そんなに慌てる事なのか、手首を合わせるなんて。
「お嬢様はまだお勉強がまだかと存じますが、今、ラニエル様がやられた行動の意味は深い意味があるのです!」
(おいおい、さっきの変な行動に意味があるというのか、さすが異世界だな)
「求愛行動ですよ!」
「きゅっ!」
「このマロニエルでは昔の民族の名残で先ほどの行動が求愛としていまだに使われているのです」
「さっきのが!?」
(ださ!この国のプロポーズがダサい!マジか!)
「マジか!」
「マジです」
(おい、何またいい顔してんだよラニエルめ)
「あとで覚えておいてくださいね」
「ラティこそ、ちゃんと覚えててくださいね」
「え?何でわたしが?」
「だってラティには覚えていてもらって証言してもらわないといけませんから」
「え?なにを?」
「そんな事よりも、お二人とも!!」
幼児二人で不毛な言い合いをしていると、割って入るは幼女の使用人の少女。絵図らは変わらずにシュールなままである。
それから散々注意されまくったわたしはその日のハムリングのことなんか忘れて帰路につかされてしまった。本当ならばそれが当たり前なんだけれど、わたしの日常としてはハムハムすることであって、普通の令嬢が「御機嫌よう」などと言っている挨拶などではない。だけど今は確かに仕方ないのかもしれないけれど、物足りないものは仕方ないじゃないか。
「お嬢様先程、ラニエル様とおっしゃっていたマジとはなんですか?」
「(あーそっか)マジとは本当に?うそ!という感情を混ぜ合わせた最近の言葉ですわ」
(あながち嘘ではないし、そんな感じで使ってきたから別にいいよね)
「最近ではいろんな言葉が流行っているのですね、ですが」
(ですが…いい予感はしなしぞ)
「ご令嬢が使うお言葉として正しいものには感じません。今後は公の場では先程のようにお使いになるのはお控えくださいね」
「日常ではいいのかしら?」
「だってお嬢様はきちんと公の場と私情はお分けになっておられますから、普段までそのように堅苦しくしている必要はないかと存じます。それが奥様の意向でもございます」
「ママ様は意外と寛容よね」
「物凄く寛容でございますよ」
(物凄くって…そこまで強調しなくても…確かに他の家ではそんなこと許すことは無いんだろうとは思うけどさ)
わたしの日常にカインが入ってきて1日目。難なくすぎてる時間に見えるけれども、カインがいい子だということはわかった。でもわたしの中での欲求不満が爆発するのでは無いだろうかと、そう予感せずにはいられない日になってしまった。
「そういえば、ママ様とパパ様はたくさんくっついていますけれど、あれは別にいいのですか」
「あれも実はあまり好ましくは思われていません。でも実際は止めることが出来るものもいませんので」
「マジか」
「はい、マジです」
(あら、カインったら順応が早いわ、これなら…)
「いつか認めてもらえるかも?」
「あ、先程のように接近しすぎなのは認めるわけにはいきませんからね」
「心が読めるの!?」
「いいえ、なんとなくお嬢様がそのように言いたそうだと、お顔がお話になっておられましたよ」
「読心術かと思ったわ」
「ラニエル様はきちんとお嬢様をご覧になってらっしゃるのですね。確かに表情が豊かでらっしゃいます」
「そんなに顔に出てるの?」
カインはニッコリとただわたしに笑いかけただけで、そのまま前を向いて進んでしまった。わたしはどうやら顔に出やすい性格のようです。取り敢えず今後の目標はお嬢様らしくなることと、バレずにハムハムすることを目指す!バレなきゃいいでしょ!
新しい目標を胸にわたしはカインを追いかけるのでした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる