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第一章:チーム・コンパスの秘密調査
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「……って感じかなぁ」
約一年前に転校してきた日の記憶を辿りながら話せば、一吹は興味深そうに頷いた。その後に何故か俺の肩をバシバシと叩き、大きな声で言う。
「いいよなぁ、お前最初に出会ったのがこころなのかよ!」
「そうだけど……一吹は違うの?」
「違ぇよ! ちくしょう、羨ましい……」
一吹はわざとらしく泣き真似をして、屋上のフェンスに寄り掛かった。
「ちなみに、誰に会ったか聞いてもいい?」
「いいけど、何も面白くねぇぞ」と一吹は口を尖らせた。
「気になるからさ、教えてよ」
「……担任」
「すごい面白いじゃん」
ジト目でそう告げた一吹に思わず吹き出した。俺は夕凪に案内をして貰ったけれど、一吹は初っ端から担任に遭遇したわけだ。美人と初老の男性とでは、さすがに天と地の差がある気がする(なんて言ったら先生に怒られそうだけど)。
「目覚めたらさ、何か廊下で寝てるし……どこだ此処ってキョロキョロしてたらいきなり担任に声かけられて、遅刻ですよなんて言われたんだぜ?」
一吹は拗ねたような顔で言った。
……廊下で寝てたのってお前だったのか。
「まぁ、穏やかだから別に良くない?」
「どこが! 繋も知ってるだろ? あの先生、笑顔で怒るタイプだからさ……めちゃくちゃ怖かったぞ、あの時」
「うん、なんとなく想像はできる」
担任の山岸先生は、聖人かと思うほど穏やかで優しさに満ち溢れた先生だけれど、怒ると怖い。静かに威圧してくる。笑顔を崩さないまま、短い言葉で淡々と説教をするタイプだ。クラスメイトは皆、先生の恐ろしさを知っているから、怒らせないように頑張っている。もっとも、あの先生が本気で怒ることは滅多にないのだが。
「あの時さ、いきなり廊下で寝てるし知らない人から担任だと言われてその後に遅刻だって叱られて……何がなんだか分からなかったな。だけど、そういや今日は寝坊して急いで学校に来たんだっけって思ったら、混乱も自然と落ち着いてさ、一瞬だけ知らない場所と人たちって思ったけど、よくよく考えたら俺はこの学校に入学したんだっけって思い出したんだよな」
「……そうなの?」
「おう。今思い出したけど、俺はこの学校に入学してない。転校なんて手続きもした覚えないし……やっぱおかしいよな」
俺は頷いた。
やはりこの学校には何かしら秘密がありそうだ。俺は流されやすい人間だから、一吹が疑問を抱いたことによって、この学校や世界には大きな秘密が隠されているのではないかと、段々と思い始めてしまっている。その先入観が引き起こした一種の妄想かもしれないが、思い返すと可笑しな点ばかりだ。
「二人して何の話をしているの?」
不意に声をかけられ、二人してビクリと肩を揺らした。ぼけっと空を見ながら会話をしていたせいか、屋上の扉が開いたことに気が付かなかった。
「よっす、こころ」
「こんにちは。今日も元気そうね」
「おうよ! ちっと面白い話してたからな」
長い髪を揺らしながら近づいてくる夕凪は、相変わらず出会った時みたいに綺麗なままだ。変わったことといえば、右腕に生徒会の腕章をつけるようになったことくらいだ。蝶のヘアピンも、長い睫毛も、左目の下にある泣き黒子も変化なし。
だが、どこか一線を引いたような、遠い存在だと思っていた感覚は消えた。今や普通の友人として、こうして休み時間に会話をする仲だ。
「面白い話ね……。私も混ぜてくれない?」
「いいよ。夕凪も興味あるんだね」
「面白いって言われたら尚更気になるわよ。隣、失礼するわ」
「どうぞ」
俺は広げていた荷物を片付け、スペースを開ける。夕凪は、スカートが皺にならないように丁寧に座った。
「それで、何の話をしていたの?」
「此処に来た時の話だよ。一吹が聞きたいって言ったから」
「出会った時? 屋上で繋くんが寝ていたアレね」
「それは忘れて……」
「ふふ、忘れないわよ」
夕凪は悪戯に笑う。頼むからみっともない俺のことは忘れてくれと心の中で願うが、彼女は記憶力が良さそうだし絶対に忘れないだろうな。
「なぁ、こころ。お前はこの世界で生きてる理由とか世界の秘密だとか興味ないか?」
「え、いきなり本題に入るの……?」
「仲間増やしたいからな」
キラリと効果音でもつきそうなほど、一吹はキメ顔で言う。そんな漠然とした言い方で、夕凪の好奇心をくすぐれるだろうか。
「それはまた随分と規模の大きい話ね。どうしてそんなことに興味を持ったの?」
「そりゃ、この世界が変だと感じたからさ」
「具体的に」
「青空しか見れないとか、街の外に出たらいつの間にか家に帰ってきちまうとか……転校のこととか?」
どこか真面目な雰囲気を醸し出した夕凪に、指を一つずつ折り曲げながら一吹が答える。それを聞いた夕凪は、顎に手を当てて難しそうな顔をした。
「なるほど。確かに気になることばかりよね」
「だろ⁉やっぱこころも変だと思うよな⁉」
「変……とはまた違うけれど、気にはなるわ」
「じゃあさ、こころもオレたちと一緒に世界の秘密を探りに行かねぇ?」
「……いいわね。楽しそうじゃない」
その返事に俺は目を丸くする。
夕凪は、こういう類の話は興味ないとばかり思っていた。まさか、即答するだなんて。
彼女もそれなりに、この世界について疑問を抱いたことがあったのだろうか。出会った時は、それが世界の常識だなんてことをよく言っていたのに。
俺は未だに、彼女のことがよく分からなかった。
「繋くんも、気になっているの?」
「……まぁ、それなりに。恥ずかしい話、今まで感じていた世界への違和感を、ついさっき思い出したんだけどね」
「今まで忘れていたの?」
「不思議なことにね」
「でもまぁ、よくある話よ。この学校には面白いことが転がっているから、些細な疑問なんてあっという間に消えてしまうもの」
夕凪は大きな目を少しだけ細めた。
そういうものなのだろうか。これほどスケールの大きい疑問ならば、そう簡単に忘れることはないはずなのだが……。
「ところで一吹くん。世界の秘密って、何かしら検討はついているの? さっきあげた事柄には、全て何か不思議な力が働いているだとか思っているのよね?」
「もちろん!」
「そうだったのか……一吹はその世界の秘密とやらが、どんなものだと思っているの?」
「この世界が檻みたいなもので、オレたちみんなを閉じ込めてデスゲームをさせるとか!」
「……マジか」
「あとは、この世界を監視してる秘密結社があって、オレたちはソイツ等の実験体とかね!」
「……」
思わずズッコケそうになる。隣の夕凪の表情を窺うが、同じように複雑そうな表情で笑っていた。
それは漫画の読みすぎだろう。
そうツッコみたくもなるが、もしも本当にそうならば面白い。自分がその立場には置かれたくないが、その展開を想像する分にはワクワクする。
「可能性は無きにしも非ずってところね。調査をしてみる価値はあるんじゃないかしら」
「だよな! よし、じゃあ早速行くか!」
「もう行くの?」
「当たり前だろ! 繋は行かねぇの?」
「いや、一応気にはなるから着いていくけど……」
「じゃあ決まりな。今日はこれから調査だ! そうと決まれば、あずと雅も誘いに行くか!」
一吹は天高く手を伸ばすと、やる気に満ち溢れた声で俺を見る。このハイテンションな男に巻き込まれるのが、もう二人ほど増えるらしい。果たしてあの二人はこの些細な好奇心から生まれた調査目的に興味を持ってくれるだろうか。
「さぁさぁ、今日は授業はサボりだ!」
「そうなるわね。早めに移動しないと、二人を引き止められないわよ?」
「そうだったな。じゃ、走れー!」
校舎内への扉をビシッと指さすと、一吹は陽気に駆け出した。風のように去っていく彼の後を、俺達も追う。
「夕凪、君は生徒会なのに授業サボってもいいの?」
校内にこだます昼休み終了の鐘を聞きながら問う。
「生徒会だからってサボっちゃいけないなんてルールないでしょう?」
「いや、そもそも授業サボること自体が本来はいけないことなんだけど……まぁ、確かにそんなルールはない」
「でしょう? それに、たまにはこうして楽しいことだけをするのも悪くないじゃない」
夕凪はどことなくこの状況を楽しんでいるようだった。彼女はいわば優等生。授業をサボることなど言語道断だと思っていたが、そうでもないらしい。意外と子供っぽいのだろうか。夕凪の印象が、少しだけ変わった気がする。
「……って感じかなぁ」
約一年前に転校してきた日の記憶を辿りながら話せば、一吹は興味深そうに頷いた。その後に何故か俺の肩をバシバシと叩き、大きな声で言う。
「いいよなぁ、お前最初に出会ったのがこころなのかよ!」
「そうだけど……一吹は違うの?」
「違ぇよ! ちくしょう、羨ましい……」
一吹はわざとらしく泣き真似をして、屋上のフェンスに寄り掛かった。
「ちなみに、誰に会ったか聞いてもいい?」
「いいけど、何も面白くねぇぞ」と一吹は口を尖らせた。
「気になるからさ、教えてよ」
「……担任」
「すごい面白いじゃん」
ジト目でそう告げた一吹に思わず吹き出した。俺は夕凪に案内をして貰ったけれど、一吹は初っ端から担任に遭遇したわけだ。美人と初老の男性とでは、さすがに天と地の差がある気がする(なんて言ったら先生に怒られそうだけど)。
「目覚めたらさ、何か廊下で寝てるし……どこだ此処ってキョロキョロしてたらいきなり担任に声かけられて、遅刻ですよなんて言われたんだぜ?」
一吹は拗ねたような顔で言った。
……廊下で寝てたのってお前だったのか。
「まぁ、穏やかだから別に良くない?」
「どこが! 繋も知ってるだろ? あの先生、笑顔で怒るタイプだからさ……めちゃくちゃ怖かったぞ、あの時」
「うん、なんとなく想像はできる」
担任の山岸先生は、聖人かと思うほど穏やかで優しさに満ち溢れた先生だけれど、怒ると怖い。静かに威圧してくる。笑顔を崩さないまま、短い言葉で淡々と説教をするタイプだ。クラスメイトは皆、先生の恐ろしさを知っているから、怒らせないように頑張っている。もっとも、あの先生が本気で怒ることは滅多にないのだが。
「あの時さ、いきなり廊下で寝てるし知らない人から担任だと言われてその後に遅刻だって叱られて……何がなんだか分からなかったな。だけど、そういや今日は寝坊して急いで学校に来たんだっけって思ったら、混乱も自然と落ち着いてさ、一瞬だけ知らない場所と人たちって思ったけど、よくよく考えたら俺はこの学校に入学したんだっけって思い出したんだよな」
「……そうなの?」
「おう。今思い出したけど、俺はこの学校に入学してない。転校なんて手続きもした覚えないし……やっぱおかしいよな」
俺は頷いた。
やはりこの学校には何かしら秘密がありそうだ。俺は流されやすい人間だから、一吹が疑問を抱いたことによって、この学校や世界には大きな秘密が隠されているのではないかと、段々と思い始めてしまっている。その先入観が引き起こした一種の妄想かもしれないが、思い返すと可笑しな点ばかりだ。
「二人して何の話をしているの?」
不意に声をかけられ、二人してビクリと肩を揺らした。ぼけっと空を見ながら会話をしていたせいか、屋上の扉が開いたことに気が付かなかった。
「よっす、こころ」
「こんにちは。今日も元気そうね」
「おうよ! ちっと面白い話してたからな」
長い髪を揺らしながら近づいてくる夕凪は、相変わらず出会った時みたいに綺麗なままだ。変わったことといえば、右腕に生徒会の腕章をつけるようになったことくらいだ。蝶のヘアピンも、長い睫毛も、左目の下にある泣き黒子も変化なし。
だが、どこか一線を引いたような、遠い存在だと思っていた感覚は消えた。今や普通の友人として、こうして休み時間に会話をする仲だ。
「面白い話ね……。私も混ぜてくれない?」
「いいよ。夕凪も興味あるんだね」
「面白いって言われたら尚更気になるわよ。隣、失礼するわ」
「どうぞ」
俺は広げていた荷物を片付け、スペースを開ける。夕凪は、スカートが皺にならないように丁寧に座った。
「それで、何の話をしていたの?」
「此処に来た時の話だよ。一吹が聞きたいって言ったから」
「出会った時? 屋上で繋くんが寝ていたアレね」
「それは忘れて……」
「ふふ、忘れないわよ」
夕凪は悪戯に笑う。頼むからみっともない俺のことは忘れてくれと心の中で願うが、彼女は記憶力が良さそうだし絶対に忘れないだろうな。
「なぁ、こころ。お前はこの世界で生きてる理由とか世界の秘密だとか興味ないか?」
「え、いきなり本題に入るの……?」
「仲間増やしたいからな」
キラリと効果音でもつきそうなほど、一吹はキメ顔で言う。そんな漠然とした言い方で、夕凪の好奇心をくすぐれるだろうか。
「それはまた随分と規模の大きい話ね。どうしてそんなことに興味を持ったの?」
「そりゃ、この世界が変だと感じたからさ」
「具体的に」
「青空しか見れないとか、街の外に出たらいつの間にか家に帰ってきちまうとか……転校のこととか?」
どこか真面目な雰囲気を醸し出した夕凪に、指を一つずつ折り曲げながら一吹が答える。それを聞いた夕凪は、顎に手を当てて難しそうな顔をした。
「なるほど。確かに気になることばかりよね」
「だろ⁉やっぱこころも変だと思うよな⁉」
「変……とはまた違うけれど、気にはなるわ」
「じゃあさ、こころもオレたちと一緒に世界の秘密を探りに行かねぇ?」
「……いいわね。楽しそうじゃない」
その返事に俺は目を丸くする。
夕凪は、こういう類の話は興味ないとばかり思っていた。まさか、即答するだなんて。
彼女もそれなりに、この世界について疑問を抱いたことがあったのだろうか。出会った時は、それが世界の常識だなんてことをよく言っていたのに。
俺は未だに、彼女のことがよく分からなかった。
「繋くんも、気になっているの?」
「……まぁ、それなりに。恥ずかしい話、今まで感じていた世界への違和感を、ついさっき思い出したんだけどね」
「今まで忘れていたの?」
「不思議なことにね」
「でもまぁ、よくある話よ。この学校には面白いことが転がっているから、些細な疑問なんてあっという間に消えてしまうもの」
夕凪は大きな目を少しだけ細めた。
そういうものなのだろうか。これほどスケールの大きい疑問ならば、そう簡単に忘れることはないはずなのだが……。
「ところで一吹くん。世界の秘密って、何かしら検討はついているの? さっきあげた事柄には、全て何か不思議な力が働いているだとか思っているのよね?」
「もちろん!」
「そうだったのか……一吹はその世界の秘密とやらが、どんなものだと思っているの?」
「この世界が檻みたいなもので、オレたちみんなを閉じ込めてデスゲームをさせるとか!」
「……マジか」
「あとは、この世界を監視してる秘密結社があって、オレたちはソイツ等の実験体とかね!」
「……」
思わずズッコケそうになる。隣の夕凪の表情を窺うが、同じように複雑そうな表情で笑っていた。
それは漫画の読みすぎだろう。
そうツッコみたくもなるが、もしも本当にそうならば面白い。自分がその立場には置かれたくないが、その展開を想像する分にはワクワクする。
「可能性は無きにしも非ずってところね。調査をしてみる価値はあるんじゃないかしら」
「だよな! よし、じゃあ早速行くか!」
「もう行くの?」
「当たり前だろ! 繋は行かねぇの?」
「いや、一応気にはなるから着いていくけど……」
「じゃあ決まりな。今日はこれから調査だ! そうと決まれば、あずと雅も誘いに行くか!」
一吹は天高く手を伸ばすと、やる気に満ち溢れた声で俺を見る。このハイテンションな男に巻き込まれるのが、もう二人ほど増えるらしい。果たしてあの二人はこの些細な好奇心から生まれた調査目的に興味を持ってくれるだろうか。
「さぁさぁ、今日は授業はサボりだ!」
「そうなるわね。早めに移動しないと、二人を引き止められないわよ?」
「そうだったな。じゃ、走れー!」
校舎内への扉をビシッと指さすと、一吹は陽気に駆け出した。風のように去っていく彼の後を、俺達も追う。
「夕凪、君は生徒会なのに授業サボってもいいの?」
校内にこだます昼休み終了の鐘を聞きながら問う。
「生徒会だからってサボっちゃいけないなんてルールないでしょう?」
「いや、そもそも授業サボること自体が本来はいけないことなんだけど……まぁ、確かにそんなルールはない」
「でしょう? それに、たまにはこうして楽しいことだけをするのも悪くないじゃない」
夕凪はどことなくこの状況を楽しんでいるようだった。彼女はいわば優等生。授業をサボることなど言語道断だと思っていたが、そうでもないらしい。意外と子供っぽいのだろうか。夕凪の印象が、少しだけ変わった気がする。
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