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第ニ章:暴け真実、取り戻せ記憶
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旧校舎の地下で大量の墓石を見つけたあの日から一週間。案外簡単にいつもの調子を取り戻し、以前と変わらない学校生活を送っていた。
チーム・コンパスの皆は、相変わらず世界への秘密に思いを馳せているようだったが、今は記憶探しをメインに活動している。
俺も一生懸命その大切な記憶が何なのかを、この一週間考えていた。
だが、何も思い当たらない。進展はなしだ。
スマホの写真フォルダを遡ってみたが、特にめぼしいものはなし。学校で撮った写真だったり、飼っている犬の写真だったり……あとは、街を散歩した時に撮った写真しか入っていない。
自分にとって一番大切な記憶ってなんだ。真っ先に浮かんだのは、家族や友人のことだったが、別に家族や友人のことに関して何か記憶を失っているような気はしない。名前も分かるし、今まで一緒に何をしたかまで分かる。
もっとも、その大切な記憶は失われているのだから、確証はないのだが。そもそも、俺に何か忘れていることなどあるのだろうか。物心ついた時の記憶から現在に至るまで、朧気ではあるが思い出せる。どんなことをしてきたかも、それなりには記憶しているつもりだ。
しかし、そういろいろ記憶を辿っている最中に気が付いた。
俺は、ここに来た当初は記憶を失っていた。以前のことなど何一つ思い出せなかったはずだ。
それなのに、今は転校してくる前の生活が当たり前のように思い出せる。無駄に広い街の外れに住んでいて、父が街の中心部で働くことになったから引っ越した。それが理由で転校をした。街は本当に広いから、同じ街の中でも転勤は存在するし、引っ越しもしないと不便だ。
だが、それは本当に俺の記憶なのだろうか。なんとなく、自分の記憶ではないような気がした。他の人の記憶が植え付けられているみたいで気味が悪い。
そう思うようになってしまったのは、全てこの世界に疑問を抱いてしまったからなのだろうけど。単なる思い込みかもしれないが、こうなるまで何も疑問に思わなかったことが可笑しいと感じる。やはり、何か記憶を操作でもされているのではないだろうか。それこそ、世界の秘密に気づかせないように。
記憶を植え付けるだなんて、一体どういった手法なんだろう。一吹の言った通り、俺たちは実験体か何かにされているのだろうか。こんな洗脳じみた事が出来るのって、もはや人間じゃない気もするが……。
そんなことをぐるぐると考えながら、俺はまた図書室で本を漁っていた。こんな所に大切な記憶が眠っているとは思えないが、きっかけくらいは落ちているかもしれない。運が良ければ、生物室の鍵みたいに世界の秘密への手がかりが見つかるかもしれない。
そう思いながら、俺は適当に本を取って机に置いた。
その時、小声で俺を呼ぶ声が聞こえた。引き抜いたばかりの本をしまい、声が聞こえた入り口の方に行けば、何故かニヤニヤと笑う一吹がそこに居た。
「何かあったの?」
「ふっふっふ! これを見たまえ繋くん!」
一吹が得意げに差し出したのは、小さな鍵だった。鍵がどうかしたのかとまじまじとそれを見れば、プレートにとんでもない文字が書かれていた。
「こ、校長室……」
「すげぇだろ?」
「どうやって手に入れたの?」
「ちょっとな」
しーっと内緒のポーズをして、一吹は悪戯に微笑んだ。なるほど、つまりは勝手に忍び込んで鍵をくすねてきたわけだ。
「バレたら不味いんじゃない?」
「バレないように頑張るんだよ! なんたってオレらは最強のチーム・コンパスだからな!」
「まだそれ言うんだ……」
「このチーム名気に入らなかったか?」
「そういうわけじゃないけど、何か恥ずかしくない?」
「大丈夫だって! かっこいいから!」
一吹は眩しい笑顔で言った。
何が大丈夫なんだ。しかも自分でつけたくせにかっこいいと言ってしまうのか。彼は余程の自信家らしい。
「まぁそれは置いといて……、どうだ、校長室行ってみないか?」
鍵をちらつかせながら、一吹が悪い顔をする。この現場を教師の誰かに見られたら間違いなく反省文案件だろう。図書委員の顧問である教師がいないか慌てて確認し、俺は首肯した。
「行ってみよう」
「そう言ってくれると思ったぜ、繋」
「校長室なんて大事なものしかなさそうだからね」
ニカリと歯を見せて笑う一吹と拳を突き合わせた。そして、校長室へ向かうべく、二人で図書室を後にする。
現在時刻は午後四時半。放課後だ。ほとんどの生徒が部活動へ行っているし、教師も委員会や部活動の顧問で忙しい頃合いだろう。俺たちはそこを見計らって校長室に忍び寄った。
「一吹、校長室の鍵を盗んだのはいいけど、そもそも校長が中に居たら開いてるんじゃないの?」
「盗んだとは人聞きの悪い! 拝借しただけだ!」
「どっちも同じ気がするけど……」
「同じじゃない! ……校長が中に居たら、だったよな。聞いて驚け、今日は校長休みなんだってよ」
「……マジ?」
「マジだ」
なんともまぁ、都合の良いことだ。カミサマというやつは、どうやら今だけは俺たちの味方をしてくれるらしい。
「念のため確認はしたほうがいいよ」
「わかってる。だから今から確認するんだよ」
もはやコソ泥だ。体勢を低くして校長室の中を覗こうとしている姿を苦笑しながら見つめた。
生憎、この学校の扉にはめこまれているのはすりガラスだ。大抵の学校がそうだろう。覗いても何も見えなかったのか、一吹が今度は扉に耳をつけて中の音をチェックしていた。
「何も聞こえねぇな」
「本当に?」
「おう。扉も鍵がかかってるし、ガチで休みっぽいぜ」
グッと親指を立てる一吹の言葉に安堵する。今がチャンスだ。校長室など滅多に人が訪れることはないし、少しくらい長く調査をしても大丈夫だろう。
「よし、開けるぞ」
「おや、そこで何をしているのですか?」
一吹がポケットから鍵を取り出そうとしたその時だった。背後から年配の男性らしき声が聞こえた。二人揃って大げさなくらい肩を揺らす。冷や汗がどっと噴き出た。
「きょ、教頭先生……」と一吹が振り返って言った。そこには、怪訝そうな顔をした教頭が立っていた。
「南雲くん、校長先生に何かご用ですか?」
「へ? あ、いや……」
「校長先生は今日お休みのはずでしたけど。さっき山岸先生に聞いていませんでしたっけ?」
「いや~そうでしたっけ?」
「……南雲くん、まさか何か悪さをしようと?」
「ないないない! オレそんな悪いことしねぇって!」
「……ほう」
教頭の鋭い目が細められた。どう見ても俺たちを疑っている。
教頭は説教が長くて有名だ。ここでバレたら面倒だし、どう考えても担任にも報告がいくだろう。
ここは上手く誤魔化すしかない。
「教頭先生、俺たちはゴミ拾いをしていたんです」
「ほう、ゴミ拾いですか」
「たまたま通りかかった時に、お菓子の包み紙を見つけまして。何で落ちているんだろうなって思ってただけです」
俺は昼休みに食べたチョコレートの包み紙を見せながら言った。教頭はそれを手に取り、眉間に皺を刻む。
「……なるほど、ポイ捨てですか。だから私は菓子類の持ち込みを禁止しろとあれほど言っているのに」
「落とした人も気づかなかったかもしれませんし、仕方ないですよ」
そのゴミは俺のものだけど。
教頭は包み紙をくしゃりと潰すと、疑いの目を解いた。
「いい心がけです。またゴミを見つけたらよろしくお願いしますね」
「もちろんです」
綺麗好きな教頭は、廊下に落ちていたゴミが一つ減ったと勘違いしたまま、そう言って去っていった。
再び、廊下には静寂が舞い戻ってくる。緊張の糸が切れて、詰まりかけた息がしゅるしゅると口から零れていった。
「た、助かった~ありがとな、繋」
「どういたしまして。一吹ってば焦りすぎて怪しすぎるよ」
「だってすげぇタイミングでくるからさ。さすがにビビるって……」
それは分かる。教頭はいつだってそうだ。来て欲しくない時に限って現れるし、肝心な時に見当たらない。
「……じゃあ、仕切り直して行くか」
「次は誰も来ないよね?」
「フラグ立てんなよ」
「ごめんって」
苦い顔をして一吹は再び校長室の扉に向き直った。職員室から盗んだ――一吹は拝借しただけだと言っていたが――鍵を取り出し、鍵穴に差し込んだ。
カチャリと鍵が回り、校長室の扉が開いた。
「よっしゃ、開いたぞ!」
「早めに調べちゃおう。誰か来たら困るし」
「だな。何かあるといいなぁ」
俺と一吹は、何か新たな情報があることを願って校長室に忍び込んだ。
チーム・コンパスの皆は、相変わらず世界への秘密に思いを馳せているようだったが、今は記憶探しをメインに活動している。
俺も一生懸命その大切な記憶が何なのかを、この一週間考えていた。
だが、何も思い当たらない。進展はなしだ。
スマホの写真フォルダを遡ってみたが、特にめぼしいものはなし。学校で撮った写真だったり、飼っている犬の写真だったり……あとは、街を散歩した時に撮った写真しか入っていない。
自分にとって一番大切な記憶ってなんだ。真っ先に浮かんだのは、家族や友人のことだったが、別に家族や友人のことに関して何か記憶を失っているような気はしない。名前も分かるし、今まで一緒に何をしたかまで分かる。
もっとも、その大切な記憶は失われているのだから、確証はないのだが。そもそも、俺に何か忘れていることなどあるのだろうか。物心ついた時の記憶から現在に至るまで、朧気ではあるが思い出せる。どんなことをしてきたかも、それなりには記憶しているつもりだ。
しかし、そういろいろ記憶を辿っている最中に気が付いた。
俺は、ここに来た当初は記憶を失っていた。以前のことなど何一つ思い出せなかったはずだ。
それなのに、今は転校してくる前の生活が当たり前のように思い出せる。無駄に広い街の外れに住んでいて、父が街の中心部で働くことになったから引っ越した。それが理由で転校をした。街は本当に広いから、同じ街の中でも転勤は存在するし、引っ越しもしないと不便だ。
だが、それは本当に俺の記憶なのだろうか。なんとなく、自分の記憶ではないような気がした。他の人の記憶が植え付けられているみたいで気味が悪い。
そう思うようになってしまったのは、全てこの世界に疑問を抱いてしまったからなのだろうけど。単なる思い込みかもしれないが、こうなるまで何も疑問に思わなかったことが可笑しいと感じる。やはり、何か記憶を操作でもされているのではないだろうか。それこそ、世界の秘密に気づかせないように。
記憶を植え付けるだなんて、一体どういった手法なんだろう。一吹の言った通り、俺たちは実験体か何かにされているのだろうか。こんな洗脳じみた事が出来るのって、もはや人間じゃない気もするが……。
そんなことをぐるぐると考えながら、俺はまた図書室で本を漁っていた。こんな所に大切な記憶が眠っているとは思えないが、きっかけくらいは落ちているかもしれない。運が良ければ、生物室の鍵みたいに世界の秘密への手がかりが見つかるかもしれない。
そう思いながら、俺は適当に本を取って机に置いた。
その時、小声で俺を呼ぶ声が聞こえた。引き抜いたばかりの本をしまい、声が聞こえた入り口の方に行けば、何故かニヤニヤと笑う一吹がそこに居た。
「何かあったの?」
「ふっふっふ! これを見たまえ繋くん!」
一吹が得意げに差し出したのは、小さな鍵だった。鍵がどうかしたのかとまじまじとそれを見れば、プレートにとんでもない文字が書かれていた。
「こ、校長室……」
「すげぇだろ?」
「どうやって手に入れたの?」
「ちょっとな」
しーっと内緒のポーズをして、一吹は悪戯に微笑んだ。なるほど、つまりは勝手に忍び込んで鍵をくすねてきたわけだ。
「バレたら不味いんじゃない?」
「バレないように頑張るんだよ! なんたってオレらは最強のチーム・コンパスだからな!」
「まだそれ言うんだ……」
「このチーム名気に入らなかったか?」
「そういうわけじゃないけど、何か恥ずかしくない?」
「大丈夫だって! かっこいいから!」
一吹は眩しい笑顔で言った。
何が大丈夫なんだ。しかも自分でつけたくせにかっこいいと言ってしまうのか。彼は余程の自信家らしい。
「まぁそれは置いといて……、どうだ、校長室行ってみないか?」
鍵をちらつかせながら、一吹が悪い顔をする。この現場を教師の誰かに見られたら間違いなく反省文案件だろう。図書委員の顧問である教師がいないか慌てて確認し、俺は首肯した。
「行ってみよう」
「そう言ってくれると思ったぜ、繋」
「校長室なんて大事なものしかなさそうだからね」
ニカリと歯を見せて笑う一吹と拳を突き合わせた。そして、校長室へ向かうべく、二人で図書室を後にする。
現在時刻は午後四時半。放課後だ。ほとんどの生徒が部活動へ行っているし、教師も委員会や部活動の顧問で忙しい頃合いだろう。俺たちはそこを見計らって校長室に忍び寄った。
「一吹、校長室の鍵を盗んだのはいいけど、そもそも校長が中に居たら開いてるんじゃないの?」
「盗んだとは人聞きの悪い! 拝借しただけだ!」
「どっちも同じ気がするけど……」
「同じじゃない! ……校長が中に居たら、だったよな。聞いて驚け、今日は校長休みなんだってよ」
「……マジ?」
「マジだ」
なんともまぁ、都合の良いことだ。カミサマというやつは、どうやら今だけは俺たちの味方をしてくれるらしい。
「念のため確認はしたほうがいいよ」
「わかってる。だから今から確認するんだよ」
もはやコソ泥だ。体勢を低くして校長室の中を覗こうとしている姿を苦笑しながら見つめた。
生憎、この学校の扉にはめこまれているのはすりガラスだ。大抵の学校がそうだろう。覗いても何も見えなかったのか、一吹が今度は扉に耳をつけて中の音をチェックしていた。
「何も聞こえねぇな」
「本当に?」
「おう。扉も鍵がかかってるし、ガチで休みっぽいぜ」
グッと親指を立てる一吹の言葉に安堵する。今がチャンスだ。校長室など滅多に人が訪れることはないし、少しくらい長く調査をしても大丈夫だろう。
「よし、開けるぞ」
「おや、そこで何をしているのですか?」
一吹がポケットから鍵を取り出そうとしたその時だった。背後から年配の男性らしき声が聞こえた。二人揃って大げさなくらい肩を揺らす。冷や汗がどっと噴き出た。
「きょ、教頭先生……」と一吹が振り返って言った。そこには、怪訝そうな顔をした教頭が立っていた。
「南雲くん、校長先生に何かご用ですか?」
「へ? あ、いや……」
「校長先生は今日お休みのはずでしたけど。さっき山岸先生に聞いていませんでしたっけ?」
「いや~そうでしたっけ?」
「……南雲くん、まさか何か悪さをしようと?」
「ないないない! オレそんな悪いことしねぇって!」
「……ほう」
教頭の鋭い目が細められた。どう見ても俺たちを疑っている。
教頭は説教が長くて有名だ。ここでバレたら面倒だし、どう考えても担任にも報告がいくだろう。
ここは上手く誤魔化すしかない。
「教頭先生、俺たちはゴミ拾いをしていたんです」
「ほう、ゴミ拾いですか」
「たまたま通りかかった時に、お菓子の包み紙を見つけまして。何で落ちているんだろうなって思ってただけです」
俺は昼休みに食べたチョコレートの包み紙を見せながら言った。教頭はそれを手に取り、眉間に皺を刻む。
「……なるほど、ポイ捨てですか。だから私は菓子類の持ち込みを禁止しろとあれほど言っているのに」
「落とした人も気づかなかったかもしれませんし、仕方ないですよ」
そのゴミは俺のものだけど。
教頭は包み紙をくしゃりと潰すと、疑いの目を解いた。
「いい心がけです。またゴミを見つけたらよろしくお願いしますね」
「もちろんです」
綺麗好きな教頭は、廊下に落ちていたゴミが一つ減ったと勘違いしたまま、そう言って去っていった。
再び、廊下には静寂が舞い戻ってくる。緊張の糸が切れて、詰まりかけた息がしゅるしゅると口から零れていった。
「た、助かった~ありがとな、繋」
「どういたしまして。一吹ってば焦りすぎて怪しすぎるよ」
「だってすげぇタイミングでくるからさ。さすがにビビるって……」
それは分かる。教頭はいつだってそうだ。来て欲しくない時に限って現れるし、肝心な時に見当たらない。
「……じゃあ、仕切り直して行くか」
「次は誰も来ないよね?」
「フラグ立てんなよ」
「ごめんって」
苦い顔をして一吹は再び校長室の扉に向き直った。職員室から盗んだ――一吹は拝借しただけだと言っていたが――鍵を取り出し、鍵穴に差し込んだ。
カチャリと鍵が回り、校長室の扉が開いた。
「よっしゃ、開いたぞ!」
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俺と一吹は、何か新たな情報があることを願って校長室に忍び込んだ。
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