絆のトレーニングノート:始まりの春、強さの種

たまに何かを書く人

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第6章 挑戦と誓いの運動会

第四節 絆のノートに刻まれたもの

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運動会が終わった翌週。
校庭ではまだ赤白の旗が風に揺れ、教室には勝利の余韻が静かに漂っていた。

「ねぇねぇ、チーム・トレノってさ、マジで強すぎたよね」
「体力もすごいけど……4人が完璧に動いてたのがすごかった」
「リンちゃん、ほんとに一度も落ちなかったし!」

クラスのあちこちで、4人の話題が絶えなかった。

そんな中、担任の先生がふと思い出したように声をかけてきた。

「そういえば……“トレノ”って、どういう意味なんだ?」

ハルが少し照れたように笑う。

「“キズナ・トレーニングノート”の略です」
「最初は3人で書き始めたノートで、今は4人の記録になってます。目標とか練習内容とか、ちょっとした日記も」

先生は興味深そうに目を丸くした。

「へぇ……ちょっと見せてもらってもいいかな?」

さちは一瞬だけ戸惑ったが、すぐにうなずいた。

「……はい。先生なら、いいですよ」

放課後。
教室に残った先生と、4人の机に広げられた一冊のノート。

表紙には、大きく書かれたタイトル――

《絆のトレーニングノート》

ページをめくると、びっしりと書き込まれた日付、メニュー、目標、感想の数々が並んでいた。

『初めての腹筋30回、意外とキツかったけど、3人でやると乗り越えられる』
『ハルのアドバイスでフォーム改善。やっぱり仲間ってすごい』
『さちが今日、自分から「もう1セットいこう」って言ってくれた。泣きそうだった』
『リン加入! 柔軟性バケモン。でもすぐ仲間になった。すごく自然だった』
『勝ち負けじゃない、自分たちのベストを出したい』
『体力テストはB。でも、胸を張ってB。Aより誇らしい』

ページのすみには、時折かわいいイラストや笑顔のスタンプ、
「今日の名言」なんて欄も添えられていた。

先生は、そっとノートを閉じた。

「……すごいな」

ぽつりと漏れたその声に、4人が顔を上げた。

「正直……体の鍛え方もすごいと思ってたけど、それ以上に驚いたのは――」
「“心のつながり”だよ」

先生の目は、まっすぐ4人を見つめていた。

「このノートには、どんなトレーニング本よりも大切なことが詰まってる。支え合って、認め合って、前に進む。それってもう、スポーツを超えてるよ。……これは、君たちの人生の宝だ」

リンが、そっと言った。

「Thanks, sensei. It means a lot.」

ユキが小さくうなずきながら続けた。

「でも、このノートはまだ途中なんです。これからも、書き続けたいから」

「うん。もっと強くなるから。4人で」

「ねっ、“チーム・トレノ”!」

先生は笑ってうなずいた。

「その名前、先生も誇りに思うよ。堂々と、これからも胸を張って進みなさい。君たちが見せてくれた“絆”は、きっとたくさんの人の励みになる」

窓の外、夕焼けがやさしく教室を染めていた。

4人の間に流れる、静かな達成感。
そして、ページの余白に残された未来――

“絆のノート”は、これからも続いていく。

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