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肌ぴちぴち 3
「なんだよーコーネインだって気になっていただろ?」
「…聞くなら総帥から直接聞いている」
「またまた。双方から聞いた方が楽しいって」
「スーランさん、カトラリー持ってください。手は駄目ですよ」
「はいはい」
既にぽかぽか陽気で温まり始めお昼寝タイムに突入したい感満載のスーランだが、食事をさせるべくキリウがカトラリーを持たせてきたので空腹感は辛うじてあるスーランは渋々ランチプレートを突き始める。
リグリアーノ達は既に食事を終えたらしくコーヒーだけ置かれており、口は悪いが所作が完璧なリグリアーノは一口飲んでからスーランににこりと微笑みかけるその顔だけは本当に王子さまである。
「今日も調整で時間忘れていたの?」
「いや、時間通り終わる予定だったけど途中で余計な話が耳に入ってきたから集中力がちょっと途切れて時間が押した」
「へえ。誰だよ俺との時間潰したの」
「目の前にいる一角獣」
スーランはやっと刺さったフルーツトマトをぱくりと口に入れる。そして何気無しにリグリアーノを見ると胡散臭そうじゃない無邪気な笑顔で見ている。この顔は意外に嫌いではない。
「あんたみたいなのは俺にとって貴重なわけ」
「ふーん」
「それとあんたの能力な」
「ふーん」
「いつ研究成果教えてくれるんだよ」
「外道なこと止めてからならくれてやる」
「何のこと?」
「人体実験」
「お前そんなことまだやってるのか」
コーネインも眉を寄せながらリグリアーノを見る。
「人聞き悪いな。昔は奴隷とか罪人バンバン使っていたけど、それでも他国のであって自国のは殆どいないよ。今は奴隷でも了承得て、ちゃんと報酬渡しているし衣食住も確保してやっている。まともな奴にはそれなりの仕事も斡旋してやってるよ」
「エリックのとこ?」
「そこもだけど他もある」
「エリック…のところか」
「エリックという方は?」
出て来た名前を唯一知らなかったキリウが尋ねるが、コーネインが首を横に振る。
「キリウはまだ十八歳か。時が来たら総帥から聞くだろう。それまで待て」
「えー何だろう気になるんですけど」
不貞腐れたような表情になったキリウだが、それ以上探ろうとする気はなさそうだ。
「それに最近では侵入してきた隣国の罪人が多いよ。自国でも良いけど良くも悪くも良い国だから人数少なくて」
「それは何より」
「でも被験者が少ないのはなー研究が進まない」
「お前の研究気質もここまで来ると異常だな」
「でもスーラン程じゃないけどそこそこ貢献はしてるじゃん」
リグリアーノは防御魔術師ではあるが、元々研究体質だ。防御魔術を編み出すだけでなくスーランがメインでやっている薬や種族に関しての研究などなかなかに幅は広い。今は薬関係にご執心のようだ。
「そう言えば媚薬どうだった?使えた?」
「…媚薬だと?」
「うん。国王陛下に一回分だけお願いして頼んだ」
「何故」
「逃さない為に」
「誰を」
「総帥」
「ふはっ」
「ぷっ」
コーネインが目を丸くし、他の二人は噴き出した。
「媚薬関連は俺の方が強いよね」
「そっち方面あまり興味ないけどね。でもあれは使えた」
「役に立った?お礼は研究成果で良いよ」
「男性避妊薬を王宮と同列で一番最初に卸したでしょ。それでチャラ」
「えー」
スーランはなかなか食事が進まないなと思いながらもつんつん逃げるフルーツトマトを追う。
「総帥に媚薬…」
「想像したらわくわくしますよね」
「キリウ、リグリアーノと同じ思考であることを危ういと感じろ」
「限度は理解しているつもりです。そこまではいきませんよ」
「ちょっと、人を狂人呼ばわりするのやめてくれるー」
リグリアーノが長い足を組み替える姿は遠目から見ればそれはそれは麗しい王子様に見えるのだが、話している内容が中々にゲスい。
「盛られたら腹立って怒りそうなものだが」
「腹に向かって勃ちはしました、しっかりと」
「意味合いが違うと思うのだが」
「「ぶふっ」」
コーネインもリグリアーノ経由でよく話すので、スーラン発言には耐性がある。しかも至って真面目に返すのが余計に面白いのでリグリアーノはこの二人の組み合わせを楽しみにしている節があった。
「ねえねえ、それでさ。バウデンとは恙無く出来たの?」
「魔力最高峰。肌ぴちぴち」
「ぶはふっ」
思わずリグリアーノは大笑いしたいのを場所を思い出して突っ伏して耐えたが、肩が震えるのは我慢出来なかったようだ。
「あー本当にあんたのそういうとこ良いわ」
「キリウ、このトマトが曲者だよ」
「はいはい、フォーク貸してください」
王子様の言葉をおざなりにスーランはフルーツトマト捕獲の苦戦にキリウに助けを求めていた。
そんな賑やかな光景だがそれは一つの声によって静寂に変わった。
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