大好きな人に番が現れたので潔くセフレ離れします

きるる

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レオダッド侯爵家 2

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「ほう…やはり私の息子だな。唯一無二を見つけるとそうなるのか。安心したよ」
「似なくていいところが似るのだな。イリエ、これからは日々羞恥との戦いになるぞ。経験者の私が言うのだから間違いない」
「え」
「家族での食事は流石に控えるけどね。二人だけの時は基本レリィは私の膝の上で食事をするんだよ」
「え」
「わかるか?二十年以上経った未だにだ。私の尊厳と食事手順を真っ向から潰す仕打ちだ。そしてそんな現状に慣れてしまった己に無の境地の思いだ」
「…え」
「ドレスじゃないから抱き心地良いしね」
「あれは好かん。あれを着る羞恥なら、こちらの羞恥を選ぶぞ」
「…」


昨夜の夢と思っていた出来事から今までのつれない態度とは真逆なフェリウスの態度にイリエは困惑し、更にはご両親の食事事情暴露に言葉も出なくなっていると、カルロが微笑みながら話しかけてきた。


「イリエさん。私達は君たちの馴れ初めをフェリウスから大まかだが聞いている」
「!」
「どんな始まりであれフェリウスがここまで誰か一人に執着したことも気に留めたことも心を寄せたこともない。巷では冷酷クズと言われずっと心配していたくらいなんだ。それをイリエさんが変えてくれた。逆に言うなら始まりがそれだったからこそ、なのかもしれないね」


人差し指を軽く口元に寄せながら話すカルロには、きっとセフレ関係だったということは知られてしまっているのだろう。


「そしてイリエさんが気にしているだろう身分だけど、基本獣人は唯一だと決めた相手には身分や年齢は一切関係ない。特に人族に対しては存在を重んじる習性もある。だからこそこの人だと決めた相手を私達は喜んで受け入れ迎えるんだよ」
「私なんか元戦奴隷だぞ。安心しろ」


レリエルがまたもやとんでもない爆弾発言を投下した。


「本当に愚かな国だったよね…滅ぼして心底良かったと思うよ。あの時のレリィ――」
「また脱線しております、旦那様」
「蛇、良いぞ。その調子だ」
「はいはい。――――イリエさん」
「っ、はい」


イリエはカルロに正面から向き直る。彼の眼差しはとても優しい。


「フェリウスと出逢ってくれて、勇気を出して向き合ってくれて本当に感謝する。これからは家族としてよろしくね」
「……はい!こちらこそよろしくお願いします!」


イリエは深く頭を下げた……フェリウスの膝の上からなので格好がつかないが。フェリウスは頭を下げたイリエの手を取って鼻を付けて嗅いでいる。


「うむ。イリエ、近いうちにお茶しような。美味いフィナンシェを用意しておく」
「はい!ガレットを買って持参します」
「良いな。それも好きだ」


フェリウスと想いが通じ合ったことはとても幸せだったが、今後関わっていくフェリウスの身分や家柄などを考えると一抹の不安を感じたことは確かだった。それがこんなにスムーズに進むとは思わなかったイリエは安堵と共に改めて少しずつ実感が湧いてきていた。

もう我慢せず想いを伝えて良いのだ。
好意を表に出して堂々として良いのだ。
フェリウスの傍にずっと居ても良いのだ。


そしてそこからイリエはそのままフェリウスの膝の上に乗ったまま食事を続けるという、レリエルも味わった羞恥に苛まれる。今までにないフェリウスの首を傾げながらの優しい表情に鼻血を出さないように鼻を押さえながらも、イリエは何とか差し出される食事をもぐもぐと食べ続けた。


「フェリウス。番縁の申請に行くのは良いんだけどイリエさんのご両親に承諾を得ないといけないよ」


そんな中、カルロから今後の話が持ち上がる。


「昨夜に朝一でイリエの実家に速達便を出すよう手配した」
「まあまあ迅速な行動だな、愚息」
「イリエからもこの後直接連絡してもらう予定。あとイリエは借りていた部屋を引き払ってるからここに住む。俺も直ぐに寮を解約する」


そしてあまりの早さで動く状況の変化にイリエは驚きを隠せない。それを見たフェリウスがイリエの耳元に口を近づける。


「俺がどうしても我慢できなかった。許してくれる?」
「っ…!」


甘く掠れた低音で囁かれ、びくっと反応したイリエを見たフェリウスはふわりと微笑んだ。昨夜からの大盤振る舞いなフェリウスの甘い表情に、イリエは今度は咄嗟に両手で鼻を押さえた。


「それさっきからやっているけど何で?」
「…は、な」
「うん?」
「…嬉しすぎて頭に血が上って鼻血が出そうに…なったら困ります」
「はは!可愛いんだけど!」


レリエルが快活に笑いながら両肘をテーブルにおいて組んだ手に顎を乗せた。フェリウスは嬉しかったのか髪に顔を埋めてすりすりしている。


「良いなぁ甘酸っぱいなぁ。しかもイリエとすぐに一緒に住めるなんて。我が息子でかした、今回だけ賞賛してやる」
「要らないし」
「甘酸っぱい時期は私達も在っただろうに」
「あれは殺伐と言うんだ、全く違うぞ」


話したことがなかった実家の居所は、宿にイリエを迎えに来てくれた時にララが餞別として教えてくれたそうだ。そんな会話をしながらフェリウスは食べ終わったら直ぐに番縁の申請に行くと言いイリエはその行動力に驚きつつもそれ以上に嬉しさが勝って喜んで頷いた。

食堂から去る際にレリエルから呼ばれたイリエは耳元で新たな衝撃的な話を聞いてしまう。


「因みにカルロは私を拉致したその夜に私を無理矢理手籠めにしてる。出逢いの内容など気にするな」


その言葉に驚愕しながらも、イリエはフェリウスに何故か片腕抱っこをされながら食堂を辞した。



その後実家に連絡を入れると両親は少し前に届いた侯爵家からの速達便にかなり驚いてはいたが、イリエの望むことが一番だからと何の反対もなく快諾してくれた。昔からイリエの思いが一番だと尊重してくれていた両親には感謝しかない。落ち着いたらフェリウスと一緒に会いに行きたいと思っている。





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