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第19話 招かれざる再会
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エルシャルトの雪は、その日も静かに降り続けていた。
白銀の大地を覆い隠すほどの雪。だが屋敷の中では、灯火が穏やかに揺れ、暖かな光を保っていた。
リリアナは窓辺に座り、針仕事をしていた。細い糸の先に縫い針を通し、震える指で布に模様を描く。
「リリアナ様、今日はお加減はいかがです?」
エミリアが部屋に入り、温かいスープの皿を手にして微笑んだ。
「ええ。落ち着いた時間があると、心も休まりますね。」
「ここ数日は閣下もお忙しいのです。近衛を増やし、通達の文をいくつも書かれていて……」
「……王都が動いているのね。」
その一言に、エミリアは言葉を詰まらせた。
リリアナはそれ以上何も聞かず、小さくスプーンを動かす。
胸の奥には、いつ消えるとも知れぬ不安が巣を作っていた。
セドリックと王太子――二人に流れる因縁の気配を彼女は薄々感じ取っていた。
沈黙の中で過ごす平穏な時間が、壊れ物のように儚く思えてならない。
「お嬢様、少しでもお休みくださいね。」
エミリアの優しい言葉に頷きつつも、瞼を閉じることはできなかった。
***
同じころ、屋敷の門前では冷たい風が吹き荒れていた。
吹雪の中を進む馬車が二台。王家の旗を掲げ、その前後を軍騎兵が固めている。
重厚な黒い馬車。その扉が開くと、厚手のマントに身を包んだ男が姿を現した。
黄金の紋章が光る。
王太子アルベルト・フォン・グロリア。
「王命を受けて参上した。セドリック・エルシャルト公爵に面会を求む。」
門兵の声が緊張に満ちる。
その名を告げられただけで、空気が変わるのを誰もが感じた。
使者が走り、報が屋敷の奥まで届く。
***
「……奴が、来た?」
ロイの報告に、セドリックの瞳が鋭く光る。
「はい。王太子アルベルト殿下ご自身です。」
「直々に来たか。……愚か者め。」
低く呟くと、セドリックはインク壺の蓋を閉じ、椅子から立ち上がった。
「俺自ら出る。客人として迎えると言っておけ。」
「閣下、それは……!」
「心配するな。戦ではない。まだ、な。」
唇の端にわずかな笑みを浮かべると、外套を羽織り、戸口に向かった。
***
館の玄関ホールに、足音が二つ響いた。
扉が開き、雪風が吹き込む。
先に進むのはアルベルト。背後には近衛の護衛が二人。
しかし、その優雅な立ち姿からは王族らしい威厳ではなく、焦燥と執念の色が感じられた。
「久しいな、セドリック。」
「殿下と顔を合わせるのは五年ぶりだな。」
二人の視線が交わった瞬間、室内の温度が一気に下がったかのようだった。
アルベルトが皮肉めいた笑みを浮かべる。
「相変わらず冷たい地だ。……だが、噂ほど荒れてはいないようだ。」
「噂は風と同じだ。吹くままに放っておく。――それより、突然の訪問とは珍しいことだ。」
「お前と話がしたい。」
「いや、俺を訪ねに来たわけではないだろう。」
セドリックの声には確信が混じっていた。
その言葉に、アルベルトの表情がわずかに強ばる。
「……そうだ。彼女に会わせてほしい。」
部屋が静まり返る。
ロイが思わず息を呑んだ。
その“彼女”とは誰か、全員が理解していた。
次の瞬間、セドリックはわずかに首を振る。
「断る。」
「何だと?」
「彼女をここに連れてきたのは、お前に再び跪かせるためではない。」
「誤解するな。俺は……ただ話がしたいだけだ。」
「話すことなど、もうないはずだ。」
セドリックが背を向けようとした瞬間、アルベルトが声を荒げた。
「俺はあの女を愛していた!」
その言葉が、空気を裂く。
沈黙。燃える暖炉の音さえ消えたようだった。
セドリックはゆっくりと振り返る。
「愛していた、か。人前であの女を辱め、噂を流し、王命で追放した男の言葉とは思えんな。」
「俺は――俺は間違いを犯した。だからこそ、償いたい。」
「償い?」
セドリックの目に、鋭い光が宿る。
「償いなどと言えば聞こえはいいが、あの女にとっては地獄を思い出させるだけだ。
お前が来たことで、今また彼女の心が凍える。」
「そうかもしれない。だが会って、直接伝えなければならないことがある。」
「伝えることは二度とない。俺が代わりに伝えよう。」
セドリックは一歩、前へ出た。
「リリアナ・アーデルハイトは、この地で再び生きている。
王太子の愛ではなく、自分自身の意志で歩いている。
――お前の及ばぬ場所でな。」
その言葉に、アルベルトは凍りついたように動かない。
唇が震える。
「……彼女が、そのように言ったのか?」
「言葉にする必要はない。彼女の瞳を見れば分かる。」
アルベルトの喉が鳴った。
彼女が笑い、別の男のために息をしている――その映像が脳裏に浮かぶ。
自分が捨てたはずのものが、いま誰かの手で輝いている現実。
「……お前は、彼女を愛しているのか?」
「愚問だな。」
「答えろ!」
「俺の答えを聞いて何になる。愛という言葉を所有の印だと誤解するのはお前の悪い癖だ。」
セドリックの声音は低く、怒りではなく静かな断罪に満ちていた。
再び沈黙。
やがてアルベルトは深く息を吐き、視線を落とした。
「……俺は、あの夜の笑顔をまだ覚えている。」
「なら、それを最後の記憶として刻め。」
「それでは……終われぬ。」
アルベルトは握りしめた拳を緩め、声を絞り出した。
「リリアナに、ほんの少しだけでも顔を見せてくれ。
一言謝る。約束しよう、二度と近づかない。」
セドリックの睫毛が静かに揺れる。
しばらくの沈黙のあと、短く答えた。
「……お前の声が届く距離に、彼女はいない。」
それが、最後通告だった。
アルベルトは何も言えず、立ち尽くした。
外の雪音が、遠い警鐘のように響く。
やがて彼は背を向け、扉の方へ歩き出した。
「……セドリック、お前はいつも俺を突き放す。」
「違う。お前自身が、手放したんだ。」
その言葉は重く、痛みを伴って胸に沈む。
アルベルトが扉を開け、雪の光の中へ消えていった。
残された空間に、長い沈黙が戻る。
ロイが問いかけるように口を開きかけたが、セドリックは首を横に振った。
「誰にも、今は伝えるな。」
低い声でそう告げ、静かに拳を握りしめた。
――リリアナの耳に、この再会の気配が届く前に。
***
その夜。
リリアナは不思議な夢を見た。
遠い王都の光が雪に溶ける夢。
そして、その光の中で、誰かが呼んでいた。
――リリアナ。俺は、間違えていた。
彼の声。けれど、その声の先にはもう何もなかった。
目を覚ましたリリアナの頬に、冷たい涙が滑り落ちていた。
続く
白銀の大地を覆い隠すほどの雪。だが屋敷の中では、灯火が穏やかに揺れ、暖かな光を保っていた。
リリアナは窓辺に座り、針仕事をしていた。細い糸の先に縫い針を通し、震える指で布に模様を描く。
「リリアナ様、今日はお加減はいかがです?」
エミリアが部屋に入り、温かいスープの皿を手にして微笑んだ。
「ええ。落ち着いた時間があると、心も休まりますね。」
「ここ数日は閣下もお忙しいのです。近衛を増やし、通達の文をいくつも書かれていて……」
「……王都が動いているのね。」
その一言に、エミリアは言葉を詰まらせた。
リリアナはそれ以上何も聞かず、小さくスプーンを動かす。
胸の奥には、いつ消えるとも知れぬ不安が巣を作っていた。
セドリックと王太子――二人に流れる因縁の気配を彼女は薄々感じ取っていた。
沈黙の中で過ごす平穏な時間が、壊れ物のように儚く思えてならない。
「お嬢様、少しでもお休みくださいね。」
エミリアの優しい言葉に頷きつつも、瞼を閉じることはできなかった。
***
同じころ、屋敷の門前では冷たい風が吹き荒れていた。
吹雪の中を進む馬車が二台。王家の旗を掲げ、その前後を軍騎兵が固めている。
重厚な黒い馬車。その扉が開くと、厚手のマントに身を包んだ男が姿を現した。
黄金の紋章が光る。
王太子アルベルト・フォン・グロリア。
「王命を受けて参上した。セドリック・エルシャルト公爵に面会を求む。」
門兵の声が緊張に満ちる。
その名を告げられただけで、空気が変わるのを誰もが感じた。
使者が走り、報が屋敷の奥まで届く。
***
「……奴が、来た?」
ロイの報告に、セドリックの瞳が鋭く光る。
「はい。王太子アルベルト殿下ご自身です。」
「直々に来たか。……愚か者め。」
低く呟くと、セドリックはインク壺の蓋を閉じ、椅子から立ち上がった。
「俺自ら出る。客人として迎えると言っておけ。」
「閣下、それは……!」
「心配するな。戦ではない。まだ、な。」
唇の端にわずかな笑みを浮かべると、外套を羽織り、戸口に向かった。
***
館の玄関ホールに、足音が二つ響いた。
扉が開き、雪風が吹き込む。
先に進むのはアルベルト。背後には近衛の護衛が二人。
しかし、その優雅な立ち姿からは王族らしい威厳ではなく、焦燥と執念の色が感じられた。
「久しいな、セドリック。」
「殿下と顔を合わせるのは五年ぶりだな。」
二人の視線が交わった瞬間、室内の温度が一気に下がったかのようだった。
アルベルトが皮肉めいた笑みを浮かべる。
「相変わらず冷たい地だ。……だが、噂ほど荒れてはいないようだ。」
「噂は風と同じだ。吹くままに放っておく。――それより、突然の訪問とは珍しいことだ。」
「お前と話がしたい。」
「いや、俺を訪ねに来たわけではないだろう。」
セドリックの声には確信が混じっていた。
その言葉に、アルベルトの表情がわずかに強ばる。
「……そうだ。彼女に会わせてほしい。」
部屋が静まり返る。
ロイが思わず息を呑んだ。
その“彼女”とは誰か、全員が理解していた。
次の瞬間、セドリックはわずかに首を振る。
「断る。」
「何だと?」
「彼女をここに連れてきたのは、お前に再び跪かせるためではない。」
「誤解するな。俺は……ただ話がしたいだけだ。」
「話すことなど、もうないはずだ。」
セドリックが背を向けようとした瞬間、アルベルトが声を荒げた。
「俺はあの女を愛していた!」
その言葉が、空気を裂く。
沈黙。燃える暖炉の音さえ消えたようだった。
セドリックはゆっくりと振り返る。
「愛していた、か。人前であの女を辱め、噂を流し、王命で追放した男の言葉とは思えんな。」
「俺は――俺は間違いを犯した。だからこそ、償いたい。」
「償い?」
セドリックの目に、鋭い光が宿る。
「償いなどと言えば聞こえはいいが、あの女にとっては地獄を思い出させるだけだ。
お前が来たことで、今また彼女の心が凍える。」
「そうかもしれない。だが会って、直接伝えなければならないことがある。」
「伝えることは二度とない。俺が代わりに伝えよう。」
セドリックは一歩、前へ出た。
「リリアナ・アーデルハイトは、この地で再び生きている。
王太子の愛ではなく、自分自身の意志で歩いている。
――お前の及ばぬ場所でな。」
その言葉に、アルベルトは凍りついたように動かない。
唇が震える。
「……彼女が、そのように言ったのか?」
「言葉にする必要はない。彼女の瞳を見れば分かる。」
アルベルトの喉が鳴った。
彼女が笑い、別の男のために息をしている――その映像が脳裏に浮かぶ。
自分が捨てたはずのものが、いま誰かの手で輝いている現実。
「……お前は、彼女を愛しているのか?」
「愚問だな。」
「答えろ!」
「俺の答えを聞いて何になる。愛という言葉を所有の印だと誤解するのはお前の悪い癖だ。」
セドリックの声音は低く、怒りではなく静かな断罪に満ちていた。
再び沈黙。
やがてアルベルトは深く息を吐き、視線を落とした。
「……俺は、あの夜の笑顔をまだ覚えている。」
「なら、それを最後の記憶として刻め。」
「それでは……終われぬ。」
アルベルトは握りしめた拳を緩め、声を絞り出した。
「リリアナに、ほんの少しだけでも顔を見せてくれ。
一言謝る。約束しよう、二度と近づかない。」
セドリックの睫毛が静かに揺れる。
しばらくの沈黙のあと、短く答えた。
「……お前の声が届く距離に、彼女はいない。」
それが、最後通告だった。
アルベルトは何も言えず、立ち尽くした。
外の雪音が、遠い警鐘のように響く。
やがて彼は背を向け、扉の方へ歩き出した。
「……セドリック、お前はいつも俺を突き放す。」
「違う。お前自身が、手放したんだ。」
その言葉は重く、痛みを伴って胸に沈む。
アルベルトが扉を開け、雪の光の中へ消えていった。
残された空間に、長い沈黙が戻る。
ロイが問いかけるように口を開きかけたが、セドリックは首を横に振った。
「誰にも、今は伝えるな。」
低い声でそう告げ、静かに拳を握りしめた。
――リリアナの耳に、この再会の気配が届く前に。
***
その夜。
リリアナは不思議な夢を見た。
遠い王都の光が雪に溶ける夢。
そして、その光の中で、誰かが呼んでいた。
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彼の声。けれど、その声の先にはもう何もなかった。
目を覚ましたリリアナの頬に、冷たい涙が滑り落ちていた。
続く
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