嫁入り

永久福

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プロローグ

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 この結婚は、間違いだったのだろうか。

 目の前の夫――凌平を見て、そう思う。彼は、いつからこんな表情をするようになっただろうか。

 紋付き羽織袴を着て、目をらんらんと輝かせている。まるで、腹をすかせた獣のように私を見つめている。

 思わずふいと顔を背けようとしたが、私の頭にある綿帽子が邪魔をした。

「さあ、ご挨拶しましょう」

 すっと襖が開いて、その中から義母がにこやかに言う。

 一歩進む度、帯が私のお腹を締め付ける。そのままひねり上げて、私を殺してしまうのではないだろうか。

 そう思う理由は、それだけではない。

 私たちが歩くその先には、異様な光景が広がっているからだ。何度見ても、背筋に冷たいものが走る。

 畳の上を凌平と二人で、進んでいく。

 あれの横で、義父がにっこりと微笑んでいる。

「さあ、新しい大江家の嫁です」

 凌平が、一礼してあれに声をかける。

 あれ――しめ縄に囲まれた岩は、もちろん何も答えなかった。

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