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3章
10 歌劇①
晩餐の後、アリシアとレイヴンはいつもの様にアリシアの部屋で過ごしていた。
レイヴンは当然の様にアリシアの隣に座り、2人の前には紅茶と桜桃が並んでいる。
レオナルドが桜桃を持ってきたあの日、アリシアは王宮に納入されている桜桃がルトビア公爵領で作られているものだと話した。
それ以来レイヴンにとって桜桃は特別なものになったようだ。
「レイヴン様、どうかなさいましたか?」
アリシアの隣に座るレイヴンがいつもと違い、なんだかソワソワしていて落ち着かない。会話を交わしていても上の空のようだ。
不思議に思ったアリシアが問い掛けると、レイヴンはビクッと体を震わせて躊躇いがちに口を開いた。
「…来週、歌劇を観に行こうよ」
「まあ、歌劇を?」
「…アリシアと出掛けたい」
俯きがちなレイヴンの頬が赤く染まっている。
これまで公務以外のことで一緒に出掛けたことはない。
アリシアは最近お茶会で話題になっていたフォルテーヌという歌劇団を思い出した。
1年ほど前に新しくプリマドンナとなったヨハンナの人気が高く、今王都で1番の人気を誇っている。
最近新しい公演が始まり、社交界でも流行りに敏感な貴婦人たちがいち早く公演を観て来たと自慢げに話していた。
アリシアも歌劇は嫌いではない。
また、王都での流行りを知っておくのも社交上必要な嗜みである。
だから結婚するまでは定期的に劇場へ足を運んでいた。
エスコート役はいつもレオナルドだ。
結婚してからも半年程はレオナルドにエスコートをしてもらい、公演を観に行っていた。
だけど、観劇は通常夫婦で行くものだ。
王太子妃となったアリシアは嫌でも注目を集めてしまう。
いつまでもレオナルドにエスコートされていたのでは、レイヴンとの夫婦仲を勘繰られておかしな噂になる。
開演前や休憩時間に挨拶に訪れる貴族たちの目が好奇なものに変わったと感じてからは行かなくなっていた。
だからフォルテーヌの公演もヨハンナも観たことがない。
「もちろん参りますわ。とても楽しみです」
アリシアが笑顔で答えると、レイヴンはホッとしたように肩の力を抜いた。
とても緊張していたようだ。
「良かった。グランヴァリエの公演を手配したんだ」
「グランヴァリエ…ですか?」
フォルテーヌの公演だと思っていたアリシアは驚いた。
グランヴァリエとは2年程前まで王都で1番人気があった劇団だ。
プリマドンナのロザリアの人気が高く、持て囃されていた。
だけどアリシアが劇場へ足を運ばなくなってから少ししてロザリアが公演に出なくなってしまった。
新しくプリマドンナとなったシャルロットはまだ力不足のようで、フォルテーヌに人気を奪われてしまったのだ。
「アリシアはグランヴァリエのロザリアが好きだと聞いたんだけど、違ったかな?」
「いえ、グランヴァリエの公演を好んでよく観ていました。ですがロザリアはもう公演に出ていないと聞いています」
「ああ、うん。この1年程ロザリアは出演していなかったみたいだね。だけど今回の公演から復帰したみたいだよ。プリマドンナではなくなっているけどね」
「まあ、ロザリアが復帰したのですか!」
そんな話は耳にしていない。
社交界でグランヴァリエはすっかり落ち目だと言われていて、公演があっても話題に上らなくなってしまった。
レイヴンはアリシアを誘う為に下調べをしたのだろう。
グランヴァリエは既に流行りとは言えない。
だけどレイヴンが初めてのデートの為に心を砕いてくれたのだと思うと自然と笑みが浮かんだ。
レイヴンは当然の様にアリシアの隣に座り、2人の前には紅茶と桜桃が並んでいる。
レオナルドが桜桃を持ってきたあの日、アリシアは王宮に納入されている桜桃がルトビア公爵領で作られているものだと話した。
それ以来レイヴンにとって桜桃は特別なものになったようだ。
「レイヴン様、どうかなさいましたか?」
アリシアの隣に座るレイヴンがいつもと違い、なんだかソワソワしていて落ち着かない。会話を交わしていても上の空のようだ。
不思議に思ったアリシアが問い掛けると、レイヴンはビクッと体を震わせて躊躇いがちに口を開いた。
「…来週、歌劇を観に行こうよ」
「まあ、歌劇を?」
「…アリシアと出掛けたい」
俯きがちなレイヴンの頬が赤く染まっている。
これまで公務以外のことで一緒に出掛けたことはない。
アリシアは最近お茶会で話題になっていたフォルテーヌという歌劇団を思い出した。
1年ほど前に新しくプリマドンナとなったヨハンナの人気が高く、今王都で1番の人気を誇っている。
最近新しい公演が始まり、社交界でも流行りに敏感な貴婦人たちがいち早く公演を観て来たと自慢げに話していた。
アリシアも歌劇は嫌いではない。
また、王都での流行りを知っておくのも社交上必要な嗜みである。
だから結婚するまでは定期的に劇場へ足を運んでいた。
エスコート役はいつもレオナルドだ。
結婚してからも半年程はレオナルドにエスコートをしてもらい、公演を観に行っていた。
だけど、観劇は通常夫婦で行くものだ。
王太子妃となったアリシアは嫌でも注目を集めてしまう。
いつまでもレオナルドにエスコートされていたのでは、レイヴンとの夫婦仲を勘繰られておかしな噂になる。
開演前や休憩時間に挨拶に訪れる貴族たちの目が好奇なものに変わったと感じてからは行かなくなっていた。
だからフォルテーヌの公演もヨハンナも観たことがない。
「もちろん参りますわ。とても楽しみです」
アリシアが笑顔で答えると、レイヴンはホッとしたように肩の力を抜いた。
とても緊張していたようだ。
「良かった。グランヴァリエの公演を手配したんだ」
「グランヴァリエ…ですか?」
フォルテーヌの公演だと思っていたアリシアは驚いた。
グランヴァリエとは2年程前まで王都で1番人気があった劇団だ。
プリマドンナのロザリアの人気が高く、持て囃されていた。
だけどアリシアが劇場へ足を運ばなくなってから少ししてロザリアが公演に出なくなってしまった。
新しくプリマドンナとなったシャルロットはまだ力不足のようで、フォルテーヌに人気を奪われてしまったのだ。
「アリシアはグランヴァリエのロザリアが好きだと聞いたんだけど、違ったかな?」
「いえ、グランヴァリエの公演を好んでよく観ていました。ですがロザリアはもう公演に出ていないと聞いています」
「ああ、うん。この1年程ロザリアは出演していなかったみたいだね。だけど今回の公演から復帰したみたいだよ。プリマドンナではなくなっているけどね」
「まあ、ロザリアが復帰したのですか!」
そんな話は耳にしていない。
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