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3章
11 歌劇②
馬車が劇場の正面で止まった。
居合わせた者たちが、馬車についた王家の紋章を見て囁き合う。
扉が開いてレイヴンが姿を見せるとざわめきが起きる。アリシアがレイヴンに手を取られて馬車から降りるとざわめきは更に広がった。
非公式の場に王太子夫妻が揃って姿を見せるのは初めてのことだ。
アリシアを見つめるレイヴンの顔は蕩けている。
アリシアも上気した顔でレイヴンを見上げている。
絵物語から出てきたような2人の姿に貴族たちはうっとりと見惚れていた。
アリシアは濃紺をベースにした上品なドレスを着ていて、胸元には大きなサファイアがついた首飾りをしている。
この日の為にレイヴンが贈ってくれたものだ。
部屋に迎えに来たレイヴンは綺麗に着飾ったアリシアを見て目を潤ませていた。
戸惑うアリシアに少し呆れたようなエレノアが、「殿下と出掛ける為に美しく装われた妃殿下に感動しておられるのです」と教えてくれる。
それを聞いたアリシアは、くすぐったさと同時に嬉しく思う気持ちが込み上げてくるのを感じた。
首飾りはレイヴンが自らの手で付けてくれた。
首元に触れる手を感じていつになく胸が高鳴る。
そんなアリシアをエレノアが暖かく見守っていた。
レイヴンの袖にはエメラルドのカフスボタンがついている。アリシアが贈ったものだ。
普段存分に甘やかされているアリシアは、感謝の気持ちを込めてこの初めての外出に記念となる贈り物をすることにしたのだ。
目を見開き、嬉しそうに笑うレイヴンを見たアリシアは、贈り物をして良かったと心から感じていた。
レイヴンにエスコートされてアリシアは劇場に足を踏み入れる。
定期的に公演を観ていた頃に比べて、劇場の規模は格段に小さくなっている。
それでも久しぶりの観劇にアリシアは高揚していた。
劇場の中でも2人に集まる視線は変わらない。
案内された席に着くと貴族たちが我先にと挨拶に訪れる。
これも必要な社交なので仕方がない。
レイヴンとアリシアは訪れる者たちの好奇に満ちた目を感じながら、にこやかな顔でこの時間を乗り切った。
幕が上がるとアリシアは吸い込まれるように舞台に集中している。
ストーリーに合わせて口元が綻んだり、きゅっと結ばれたりするのを見ていると、アリシアが舞台を楽しんでいるのがわかる。
舞台よりもアリシアが気になるレイヴンは、幕が上がってもアリシアの横顔ばかりを見ていた。
ハッとするような歌声がして、レイヴンは舞台へ視線を向けた。
歌っているのはロザリアだ。
確かにロザリアはプリマドンナではない。
それでも実力は衰えていないようで、ロザリアの歌で物語の世界へ強く引き込まれる。
プリマドンナのシャルロットもロザリアに比べれば見劣りするが、世間で言われているほど実力不足とも思わない。ロザリアと同じ場面に出ていても物語の世界を損なう程のバランスの悪さは感じない。
いつしかレイヴンも舞台に没頭していた。
ふと隣に視線を移したアリシアが、舞台に没頭するレイヴンを見てくすっと笑ったことにレイヴンは気がつかなかった。
帰りの馬車ではいつになく饒舌なアリシアが、見てきたばかりの舞台について楽しそうに話していた。
そんなアリシアを見ながらレイヴンは幸せな気持ちになる。
同じものを見て、一緒に楽しむことができる。
長い間レイヴンが望み続けていたことだ。
意見を求められてレイヴンも感じたことを話す。
アリシアはレイヴンの言葉を目を輝かせて聞いていた。
王宮へ戻った後も楽しい時間が終わることはなく、いつもと同じはずの閨でいつもより互いを近くに感じることができた。
居合わせた者たちが、馬車についた王家の紋章を見て囁き合う。
扉が開いてレイヴンが姿を見せるとざわめきが起きる。アリシアがレイヴンに手を取られて馬車から降りるとざわめきは更に広がった。
非公式の場に王太子夫妻が揃って姿を見せるのは初めてのことだ。
アリシアを見つめるレイヴンの顔は蕩けている。
アリシアも上気した顔でレイヴンを見上げている。
絵物語から出てきたような2人の姿に貴族たちはうっとりと見惚れていた。
アリシアは濃紺をベースにした上品なドレスを着ていて、胸元には大きなサファイアがついた首飾りをしている。
この日の為にレイヴンが贈ってくれたものだ。
部屋に迎えに来たレイヴンは綺麗に着飾ったアリシアを見て目を潤ませていた。
戸惑うアリシアに少し呆れたようなエレノアが、「殿下と出掛ける為に美しく装われた妃殿下に感動しておられるのです」と教えてくれる。
それを聞いたアリシアは、くすぐったさと同時に嬉しく思う気持ちが込み上げてくるのを感じた。
首飾りはレイヴンが自らの手で付けてくれた。
首元に触れる手を感じていつになく胸が高鳴る。
そんなアリシアをエレノアが暖かく見守っていた。
レイヴンの袖にはエメラルドのカフスボタンがついている。アリシアが贈ったものだ。
普段存分に甘やかされているアリシアは、感謝の気持ちを込めてこの初めての外出に記念となる贈り物をすることにしたのだ。
目を見開き、嬉しそうに笑うレイヴンを見たアリシアは、贈り物をして良かったと心から感じていた。
レイヴンにエスコートされてアリシアは劇場に足を踏み入れる。
定期的に公演を観ていた頃に比べて、劇場の規模は格段に小さくなっている。
それでも久しぶりの観劇にアリシアは高揚していた。
劇場の中でも2人に集まる視線は変わらない。
案内された席に着くと貴族たちが我先にと挨拶に訪れる。
これも必要な社交なので仕方がない。
レイヴンとアリシアは訪れる者たちの好奇に満ちた目を感じながら、にこやかな顔でこの時間を乗り切った。
幕が上がるとアリシアは吸い込まれるように舞台に集中している。
ストーリーに合わせて口元が綻んだり、きゅっと結ばれたりするのを見ていると、アリシアが舞台を楽しんでいるのがわかる。
舞台よりもアリシアが気になるレイヴンは、幕が上がってもアリシアの横顔ばかりを見ていた。
ハッとするような歌声がして、レイヴンは舞台へ視線を向けた。
歌っているのはロザリアだ。
確かにロザリアはプリマドンナではない。
それでも実力は衰えていないようで、ロザリアの歌で物語の世界へ強く引き込まれる。
プリマドンナのシャルロットもロザリアに比べれば見劣りするが、世間で言われているほど実力不足とも思わない。ロザリアと同じ場面に出ていても物語の世界を損なう程のバランスの悪さは感じない。
いつしかレイヴンも舞台に没頭していた。
ふと隣に視線を移したアリシアが、舞台に没頭するレイヴンを見てくすっと笑ったことにレイヴンは気がつかなかった。
帰りの馬車ではいつになく饒舌なアリシアが、見てきたばかりの舞台について楽しそうに話していた。
そんなアリシアを見ながらレイヴンは幸せな気持ちになる。
同じものを見て、一緒に楽しむことができる。
長い間レイヴンが望み続けていたことだ。
意見を求められてレイヴンも感じたことを話す。
アリシアはレイヴンの言葉を目を輝かせて聞いていた。
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