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番外編
思い出のチェリーパイ ※バレンタインデー企画 3章7話から削った話が元になっています
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「レイヴン様は桜桃がお好きですか?」
テーブルに置かれた桜桃へ目をやりながら、アリシアが問いかける。
レイヴンはアリシアが好きなものがわらないと言っていたが、アリシアもレイヴンが好きなものを知らないのだ。
これまで互いを知ろうとしてこなかった。
「うん。好きだよ」
「良かったですわ。これはルトビア公爵家の領地で採れたものなのです」
「そういえば公爵領に有名な産地があったね」
アリシアが頷く。
この季節になると公爵邸には領地から沢山の桜桃が届く。
公爵邸の調理人たちはそれでチェリーパイやケーキを焼いてれる。
ジャムや砂糖漬けも作る。
「公爵領の桜桃なのか。楽しみだな」
「あら、レイヴン様も毎年召し上がっておられますわ」
「え?」
「公爵領の桜桃は王宮にも納入されていますのもの。今年はまだ口にしていませんけれど」
それは桜桃の代わりに苺が出されているからだ。
本来ならレオナルドが持参しなくても今の季節なら桜桃が出されていた。
「じゃあ去年食べていたのは」
「公爵領の桜桃ですわ」
「それは――知らなかったな」
レイヴンは悔しく思う。
アリシアは桜桃へ柔らかい視線を向けていて、公爵領の作物に誇りをもっているのがわかる。
きっと去年もそんな顔を見せていたのだろう。
去年はほとんど一緒に過ごしていないので見ることができなかった。
「…公爵家が懐かしい?」
口に出した途端、馬鹿なことを訊いてしまったと後悔した。
生まれ育った家なのだから懐かしくないはずがない。
だけどどれだけ懐かしく思っていても王家に嫁いだアリシアは簡単に里帰りすることが出来ないのだ。
「そうですね。こんな時は懐かしく思いますわ」
後悔しているレイヴンには気がつかないようで、アリシアは変わらず柔らかく微笑んでいる。
そんな2人の前にエレノアが紅茶とチェリーパイを並べた。
「これは?」
「公爵家のチェリーパイですわ。それもお兄様が持ってきて下さいましたの」
公爵邸の料理長が作った、アリシアが子どもの頃から食べていたチェリーパイだ。
それを聞いたレイヴンの顔がパッと明るくなる。
「公爵家のチェリーパイが食べれるなんて…」
「そんな大袈裟なものではありませんわ」
アリシアにしてみれば、毎年この時期になると毎日の様に食べていたものだ。
正直飽きたと思ったこともある。
「大袈裟じゃないよ。公爵家の、アリシアの好きなものが食べれるなんて…」
アリシアは苦笑するが、喜んでいるのだからこれ以上水を差すことも無い。
レイヴンはフォークを手に取るとチェリーパイを口に運んだ。「美味しい…」と感激の声を上げている。
アリシアも同じ様にしてチェリーパイを口に運んだ。
それは食べ慣れた、懐かしい味だった。
「美味しいですわ」
自然と言葉が口に出て、顔が綻ぶ。
レイヴンも嬉しそうに笑っていた。
こうして公爵家のチェリーパイは、レイヴンにとっても思い出の味になった。
テーブルに置かれた桜桃へ目をやりながら、アリシアが問いかける。
レイヴンはアリシアが好きなものがわらないと言っていたが、アリシアもレイヴンが好きなものを知らないのだ。
これまで互いを知ろうとしてこなかった。
「うん。好きだよ」
「良かったですわ。これはルトビア公爵家の領地で採れたものなのです」
「そういえば公爵領に有名な産地があったね」
アリシアが頷く。
この季節になると公爵邸には領地から沢山の桜桃が届く。
公爵邸の調理人たちはそれでチェリーパイやケーキを焼いてれる。
ジャムや砂糖漬けも作る。
「公爵領の桜桃なのか。楽しみだな」
「あら、レイヴン様も毎年召し上がっておられますわ」
「え?」
「公爵領の桜桃は王宮にも納入されていますのもの。今年はまだ口にしていませんけれど」
それは桜桃の代わりに苺が出されているからだ。
本来ならレオナルドが持参しなくても今の季節なら桜桃が出されていた。
「じゃあ去年食べていたのは」
「公爵領の桜桃ですわ」
「それは――知らなかったな」
レイヴンは悔しく思う。
アリシアは桜桃へ柔らかい視線を向けていて、公爵領の作物に誇りをもっているのがわかる。
きっと去年もそんな顔を見せていたのだろう。
去年はほとんど一緒に過ごしていないので見ることができなかった。
「…公爵家が懐かしい?」
口に出した途端、馬鹿なことを訊いてしまったと後悔した。
生まれ育った家なのだから懐かしくないはずがない。
だけどどれだけ懐かしく思っていても王家に嫁いだアリシアは簡単に里帰りすることが出来ないのだ。
「そうですね。こんな時は懐かしく思いますわ」
後悔しているレイヴンには気がつかないようで、アリシアは変わらず柔らかく微笑んでいる。
そんな2人の前にエレノアが紅茶とチェリーパイを並べた。
「これは?」
「公爵家のチェリーパイですわ。それもお兄様が持ってきて下さいましたの」
公爵邸の料理長が作った、アリシアが子どもの頃から食べていたチェリーパイだ。
それを聞いたレイヴンの顔がパッと明るくなる。
「公爵家のチェリーパイが食べれるなんて…」
「そんな大袈裟なものではありませんわ」
アリシアにしてみれば、毎年この時期になると毎日の様に食べていたものだ。
正直飽きたと思ったこともある。
「大袈裟じゃないよ。公爵家の、アリシアの好きなものが食べれるなんて…」
アリシアは苦笑するが、喜んでいるのだからこれ以上水を差すことも無い。
レイヴンはフォークを手に取るとチェリーパイを口に運んだ。「美味しい…」と感激の声を上げている。
アリシアも同じ様にしてチェリーパイを口に運んだ。
それは食べ慣れた、懐かしい味だった。
「美味しいですわ」
自然と言葉が口に出て、顔が綻ぶ。
レイヴンも嬉しそうに笑っていた。
こうして公爵家のチェリーパイは、レイヴンにとっても思い出の味になった。
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