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3章
121 本心①
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そのまま2人は取り留めのない話を続けた。
ルトビア公爵家の領地で一緒に過ごしたこと、学園でのこと。
卒業パーティーの時の話は、ジェーンが少し寂しそうな表情を見せた。
この時もジェーンはジョッシュにエスコートをして貰うことが出来ず、ジェーンをエスコートしたのはレオナルドだった。
だけど卒業パーティー用のドレスを作った時は楽しかった。
ルトビア公爵邸にデザイナーを呼んで一緒にデザインを考えたのだ。
本当はその時アリシアのドレスも作っていた。
それまでレイヴンからドレスを贈られたことは一度もなく、卒業パーティーだからといってドレスが届くとは思ってもいなかったのだ。
だけどレイヴンからドレスが届けられた。
ドレスだけではなく、靴や装飾品、小物といったパーティーに出る為の必需品が一揃い届いた時は、アリシアだけではなく両親も驚いていた。
公爵家で注文をした後に届けられたドレスに困惑したものの、婚約者から贈られたドレスを無視することはできなかった。
卒業式で婚約者の色のドレスを着るのは一種の伝統のようになっている。
婚約者がいるのに違う色のドレスを着れば、2人は不仲なのだと言われるかもしれない。レイヴンはきっと体面を考えたのだ。
そう結論づけたアリシアは、婚約者の義務としてそのドレスを着ることにした。
卒業パーティーの当日、迎えに来たレイヴンの様子はいつもと変わらなかった。
見慣れた王太子の笑顔で手を差し伸べたレイヴンは、感情の籠らない声で「綺麗だ」「良く似合っている」と言っていた。
アリシアはそれに微笑んで礼を言う。
これまでもレイヴンにエスコートされる度にこのやり取りを繰り返していたので、特別なことは何も無かった。
だからアリシアは、レイヴン色のドレスを纏ったアリシアにレイヴンが感動していたなんて思わなかったのだ。
アリシアの表情が僅かに変わるのをジェーンは見ていた。
アリシアが何を思い出しているのか、聞かなくてもわかる。
レイヴンの気持ちを知っていたジェーンは2人が上手くいくことを願っていたけれど、あの頃はアリシアがこんな表情をするようになるとは想像もできなかった。
「アリシア様、良い表情をされるようになりましたね」
「っ!なにを…!」
思い出に浸っていたアリシアはハッとして顔を上げた。
そのアリシアを優しい笑顔のジェーンが見つめている。
「アリシア様が誰のことを考えているのか、私にはちゃんとわかっておりますわ」
「っ!!」
ジェーンの揶揄うような言葉に、レイヴンを思い出していたアリシアは顔を赤らめて黙り込んだ。
こんな表情も以前のアリシアからは想像できない。
ジェーンから見ても今のアリシアは幸せそうである。
レイヴンがアリシアの気持ちを解かした。
レイヴンの気持ちを信じることができるようになった今のアリシアなら、自分の気持ちを受け入れることも出来るはずだ。
「アリシア様はそろそろご自分の気持ちを認めた方がよろしいですわ」
「自分の気持ち…?」
「レイヴン殿下を愛しておられるのでしょう?」
「っ!!」
ジェーンの言葉にアリシアは目を見開いた。
ルトビア公爵家の領地で一緒に過ごしたこと、学園でのこと。
卒業パーティーの時の話は、ジェーンが少し寂しそうな表情を見せた。
この時もジェーンはジョッシュにエスコートをして貰うことが出来ず、ジェーンをエスコートしたのはレオナルドだった。
だけど卒業パーティー用のドレスを作った時は楽しかった。
ルトビア公爵邸にデザイナーを呼んで一緒にデザインを考えたのだ。
本当はその時アリシアのドレスも作っていた。
それまでレイヴンからドレスを贈られたことは一度もなく、卒業パーティーだからといってドレスが届くとは思ってもいなかったのだ。
だけどレイヴンからドレスが届けられた。
ドレスだけではなく、靴や装飾品、小物といったパーティーに出る為の必需品が一揃い届いた時は、アリシアだけではなく両親も驚いていた。
公爵家で注文をした後に届けられたドレスに困惑したものの、婚約者から贈られたドレスを無視することはできなかった。
卒業式で婚約者の色のドレスを着るのは一種の伝統のようになっている。
婚約者がいるのに違う色のドレスを着れば、2人は不仲なのだと言われるかもしれない。レイヴンはきっと体面を考えたのだ。
そう結論づけたアリシアは、婚約者の義務としてそのドレスを着ることにした。
卒業パーティーの当日、迎えに来たレイヴンの様子はいつもと変わらなかった。
見慣れた王太子の笑顔で手を差し伸べたレイヴンは、感情の籠らない声で「綺麗だ」「良く似合っている」と言っていた。
アリシアはそれに微笑んで礼を言う。
これまでもレイヴンにエスコートされる度にこのやり取りを繰り返していたので、特別なことは何も無かった。
だからアリシアは、レイヴン色のドレスを纏ったアリシアにレイヴンが感動していたなんて思わなかったのだ。
アリシアの表情が僅かに変わるのをジェーンは見ていた。
アリシアが何を思い出しているのか、聞かなくてもわかる。
レイヴンの気持ちを知っていたジェーンは2人が上手くいくことを願っていたけれど、あの頃はアリシアがこんな表情をするようになるとは想像もできなかった。
「アリシア様、良い表情をされるようになりましたね」
「っ!なにを…!」
思い出に浸っていたアリシアはハッとして顔を上げた。
そのアリシアを優しい笑顔のジェーンが見つめている。
「アリシア様が誰のことを考えているのか、私にはちゃんとわかっておりますわ」
「っ!!」
ジェーンの揶揄うような言葉に、レイヴンを思い出していたアリシアは顔を赤らめて黙り込んだ。
こんな表情も以前のアリシアからは想像できない。
ジェーンから見ても今のアリシアは幸せそうである。
レイヴンがアリシアの気持ちを解かした。
レイヴンの気持ちを信じることができるようになった今のアリシアなら、自分の気持ちを受け入れることも出来るはずだ。
「アリシア様はそろそろご自分の気持ちを認めた方がよろしいですわ」
「自分の気持ち…?」
「レイヴン殿下を愛しておられるのでしょう?」
「っ!!」
ジェーンの言葉にアリシアは目を見開いた。
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