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番外編・処罰の後
23 処罰の後(13)
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エミリーはそれから数日鬱々として過ごした。
部屋に籠っていると朝夕を問わずアンジュの悲鳴が聞こえてくる。
世話をしに来た侍女や診察に来た医師を怒鳴りつけるデミオンの声も聞こえてくる。
それらの声が聞こえる度に、エミリーは体を震わせて縮こまっていた。
ただ、苛立つデミオンの声を聞いていると、侍女たちはほとんどデミオンの言うことを聞いていないようだ。
「今すぐ解雇してやる!!」と怒鳴る声が何度となく聞こえてきたが、既に名前だけの当主となったデミオンに人事権はない。
侍女たちはデミオンを適当に受け流し、必要最低限の世話をして部屋を出る。
デミオンは「足音を立てるな!」とか、「アンジュを怯えさせるな!」とか、そんなことばかり言うくせに、侍女にアンジュの世話をさせようとする。
元々デミオンとアンジュに悪感情しか持たない侍女たちの怒りは頂点に達しようとしていた。
エミリーには今でも母を案じる気持ちがある。
だけど変わり果てた母の姿を見るのが怖い。
父に憎しみの目を向けられ、怒鳴られるのも怖い。
そう思うと、結局アンジュのところへ行くことはできなかった。
気持ちは落ち込んでいても作業を止めることはできない。エミリーは詫び状と招待状の作成を続けている。
部屋の配置上どこへ行くにもアンジュがいる寝室の前を通らなければならないエミリーは、アンジュが帰って来てから使用人のところへ頭を下げに行くことができなくなっていた。
だけどそのころから手伝ってくれる使用人が出てきた。
1人、2人とエミリーの部屋を訪ねて来る。
喜び戸惑うエミリーに経験豊富な使用人たちは「急ぎませんと間に合いませんよ」と笑顔を見せた。
ただアンジュが戻って来たことで仕事が増えた使用人たちは、詫び状の作成に長い時間を取ることが出来ない。
割り当て分のリストを持ち出しては仕事の合間を見て少しずつ作成してくれていた。
そんな嬉しいことがありつつも、エミリーは精神的な限界を感じていた。1日中アンジュの悲鳴とデミオンの怒声が聞こえているのだ。
人の悲鳴を聞き続けるのは精神的に追い詰められてしまう。
この日エミリーはマーサへ1階の客間へ移りたいと切り出した。
「1階の客間…ですか?」
「ええ、そうよ。自分で掃除をするから、お願い。部屋を移りたいの」
1階にある部屋に客人を泊めたりしない。客人を泊めるのは2階にある立派な客間だ。
1階の客間というのは客人が連れて来た使用人が泊まる為の部屋である。
キャンベル侯爵邸に客人は来ない。だから使用人の部屋も必要がない。
そうした判断の元、人手が足りなくなってからは調度品に布をかぶせて扉に鍵が掛けられている。掃除もされていない。
そんな部屋へ自分で掃除をしてでも移りたいというのだからよほど辛いのだろう。
必死な顔で部屋を移りたいと懇願するエミリーにマーサの胸が痛む。
「わかりました。一緒に掃除を致しましょう」
「本当に?!ありがとう!!」
マーサが頷くと、エミリーの顔がパッと明るくなった。
だけど局エミリーが部屋を移ることはなかった。
この日、失禁を繰り返すアンジュと偉そうなデミオンにシーツを洗濯する侍女の怒りが爆発したのだ。
「偶には自分で洗濯しろ」と侍女に怒鳴りつけられたデミオンは、渋々シーツの洗濯を体験し、その大変さに人が少なくなった使用人棟の空き部屋へアンジュとひっそり移っていったのだった。
部屋に籠っていると朝夕を問わずアンジュの悲鳴が聞こえてくる。
世話をしに来た侍女や診察に来た医師を怒鳴りつけるデミオンの声も聞こえてくる。
それらの声が聞こえる度に、エミリーは体を震わせて縮こまっていた。
ただ、苛立つデミオンの声を聞いていると、侍女たちはほとんどデミオンの言うことを聞いていないようだ。
「今すぐ解雇してやる!!」と怒鳴る声が何度となく聞こえてきたが、既に名前だけの当主となったデミオンに人事権はない。
侍女たちはデミオンを適当に受け流し、必要最低限の世話をして部屋を出る。
デミオンは「足音を立てるな!」とか、「アンジュを怯えさせるな!」とか、そんなことばかり言うくせに、侍女にアンジュの世話をさせようとする。
元々デミオンとアンジュに悪感情しか持たない侍女たちの怒りは頂点に達しようとしていた。
エミリーには今でも母を案じる気持ちがある。
だけど変わり果てた母の姿を見るのが怖い。
父に憎しみの目を向けられ、怒鳴られるのも怖い。
そう思うと、結局アンジュのところへ行くことはできなかった。
気持ちは落ち込んでいても作業を止めることはできない。エミリーは詫び状と招待状の作成を続けている。
部屋の配置上どこへ行くにもアンジュがいる寝室の前を通らなければならないエミリーは、アンジュが帰って来てから使用人のところへ頭を下げに行くことができなくなっていた。
だけどそのころから手伝ってくれる使用人が出てきた。
1人、2人とエミリーの部屋を訪ねて来る。
喜び戸惑うエミリーに経験豊富な使用人たちは「急ぎませんと間に合いませんよ」と笑顔を見せた。
ただアンジュが戻って来たことで仕事が増えた使用人たちは、詫び状の作成に長い時間を取ることが出来ない。
割り当て分のリストを持ち出しては仕事の合間を見て少しずつ作成してくれていた。
そんな嬉しいことがありつつも、エミリーは精神的な限界を感じていた。1日中アンジュの悲鳴とデミオンの怒声が聞こえているのだ。
人の悲鳴を聞き続けるのは精神的に追い詰められてしまう。
この日エミリーはマーサへ1階の客間へ移りたいと切り出した。
「1階の客間…ですか?」
「ええ、そうよ。自分で掃除をするから、お願い。部屋を移りたいの」
1階にある部屋に客人を泊めたりしない。客人を泊めるのは2階にある立派な客間だ。
1階の客間というのは客人が連れて来た使用人が泊まる為の部屋である。
キャンベル侯爵邸に客人は来ない。だから使用人の部屋も必要がない。
そうした判断の元、人手が足りなくなってからは調度品に布をかぶせて扉に鍵が掛けられている。掃除もされていない。
そんな部屋へ自分で掃除をしてでも移りたいというのだからよほど辛いのだろう。
必死な顔で部屋を移りたいと懇願するエミリーにマーサの胸が痛む。
「わかりました。一緒に掃除を致しましょう」
「本当に?!ありがとう!!」
マーサが頷くと、エミリーの顔がパッと明るくなった。
だけど局エミリーが部屋を移ることはなかった。
この日、失禁を繰り返すアンジュと偉そうなデミオンにシーツを洗濯する侍女の怒りが爆発したのだ。
「偶には自分で洗濯しろ」と侍女に怒鳴りつけられたデミオンは、渋々シーツの洗濯を体験し、その大変さに人が少なくなった使用人棟の空き部屋へアンジュとひっそり移っていったのだった。
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