【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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第2部 4章

82 正妃と側妃③

 アリシアが学んだ一番のことは、側妃たちの関係だろう。
 アリシアはこれまで、国王の妃たちはマルグリットを頂点にして纏まっていると漠然と思っていた。
 だけどこうして内側へ入ってみると、そう簡単ではなさそうだ。

 競うように国王の傍へ座った側妃たちだが、1人だけその争いに加わらなかった側妃がいた。
 ユリアである。
 ユリアは国王からも側妃たちからも一歩離れた位置にいるようだ。
 
 2人の子どもを連れたユリアは、アリシアたちが座るテーブルへやって来た。

「ご一緒してもよろしいですか?」

 そう訊かれて断る理由はない。
 レイヴンが了承をして、ユリアたちと一緒のテーブルに座ることになった。

 この時アリシアと同じテーブルにいたのは、レイヴン、カナリー、アイビス、ノティスである。
 ジェイは他の弟妹に呼ばれて他のテーブルに座っているので一緒ではないが、いつもの応接間で過ごしているメンバーと変わらない。これでは交友関係が広がらないのでユリアたちが来てくれたのは有難かった。
 
 それにノティスのこともある。
 側妃の子どもたちはノティスを避けているが、このテーブルには初めからノティスがいた。レイヴンたちが他の弟妹と同じ様に接しているので、ユリアの子どもたちもノティスを無視することはできない。
 初めは戸惑っていた子どもたちも、話している内に自然と馴染んでいく。
 次に会った時はもっと自然に話せるだろう。

 和やかに過ごしていたアリシアたちだが、国王の元に集った側妃たちからは刺々しいやり取りが時折聞こえてきていた。特に第三妃と第五妃の間が酷い。

 第五妃は子爵令嬢だった第三妃より下の立場だというのが我慢できず、第三妃は後から輿入れしてきた第五妃に軽んじられているのが許せない。マルグリットは慣れた様子である程度は見逃しているが、度が過ぎれば窘めていた。
 
 側妃の序列は夫の意志によって変わる。レイヴンの側妃が輿入れした順になるのかはわからない。
 それでもこういったところを見てしまうと、あまり早い段階で身分の低い令嬢を娶るのは止めた方が良いと思えた。

「嫌なところを見せてごめんなさいね」

 ユリアの声が聞こえてアリシアはハッとした。
 いつの間にか側妃たちの諍いを食い入るように見ていたのだ。
 これでは他人ひとの醜聞に喜んで群がる貴婦人たちと変わりがない。

「こちらこそ申し訳ありません」

 赤くなって謝るアリシアに、ユリアはいつものようにふわりと笑う。

「悪い人たちではないのよ。だけどどうしても争ってしまうことがあるの。きっと自分が1番にはなれないと知っているからね」

「………………」

 呆然とするアリシアに、ユリアはもう一度ふわりと笑った。
 この話はもうおしまい、と言うようである。

 
「1番になれない」というのは、1番上の立場――正妃――になれない、ということなのか、1番愛される妃になれない、ということなのか。


 アリシアはもう1度側妃たちに視線を向ける。
 先程と同じ光景なのに、刺々しく言い争う2人が、「1番に愛されたい」と訴えているように見えた。



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