【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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第2部 5章

14 友人②

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 カロリーナの話をアリシアは頷きながら聞いていた。
 女性の継承権が認められたのは大きなことだ。その分人々に与えた影響も大きい。
 家族間の不和も、爵位の継承を望まない女性がいることも想定されていた。
 カロリーナの話からは、議会で話をしたジェーンや、連日話し合いを重ねて法改正に関する対応策を練っていたレイヴンの気持ちが報われていると感じられて嬉しかった。



 イリーナとジョアニーは、どちらかというとあまり積極的には話し掛けてこなかった。
 だけど初めてのお茶会が終わった後、2人は人の数が減るのを待ってレイヴンとアリシアに頭を下げた。

「学生時代、殿下がジェーン様を想っておられるという噂を信じておりました。申し訳ございません」

「私も……。ですのでその後の噂を聞いた時も、もしやという気持ちがありました。申し訳ありませんでした」

 ジョアニーがいう「その後の噂」というのは、ジェーンが懐妊したとか、ジェーンがレイヴンの愛人だとかいうものだろう。
 学生時代、アリシアは噂を信じた令嬢たちから、「婚約者に愛されていない可哀想な令嬢」、「形だけの婚約者」と嫌味を言われたり嘲笑を受けることがあった。
 そんな言葉にアリシアが傷つくことはなかったけれど、誰に何を言われたのかは覚えている。この2人に何かを言われた覚えはなかった。
 それにアリシアへ悪意を向けた者たちは招待客から外されている。
 このお茶会に招かれた時点で、彼女たちの過去の振る舞いに無礼はなかったと認められているのだ。

 他の招待客の中にも噂を信じていた者はいるだろう。だけど彼女たちが表立って何かを口にすることはなかった。
 それなのに今更それを認めても不利益しかない。だから彼女たちは、その話題には触れずに何事もなかったように振舞っているのだ。
 そしてアリシアは、それが間違いだと思っていない。
 それなのに2人は頭を下げた。
 それだけ2人の中で蟠っていたのだろう。

 アリシアはレイヴンと顔を見合わせた。
 アリシアは何とも思っていないので、謝罪を受け入れるのは容易である。むしろ噂を気にしているのはレイヴンだ。

「……学生時代のことは、誤解されるようなことをしていた僕が悪かったんだ。しかもそれを軽く考えていたから、更に酷いことになってしまった」

 レイヴンの言葉に2人が驚いた顔を見せた。
 王族が自分の非を認めることはほとんどない。例えレイヴンが間違っていたとしても、それを認めてしまえば威光に傷をつけることになってしまう。
 慌てる2人に、レイヴンはふっと笑った。
 
「2人の謝罪を受け入れるよ。もう気にしなくて良い」

「ありがとうございます」

「寛大なお言葉、感謝致します」

 2人がホッとしたように頭を下げる。
 臣下としては、レイヴンが自分の非を認めるより謝罪を受け入れてくれた方が安心できるのだ。
 


 アリシアが3人を気にするようになったのはそれからである。
 カロリーナは、ジェーンを恨む気持ちがあったと言った。イリーナとジョアニーは、噂を信じていたと認めた。
 レイヴンやアリシアの機嫌を取ろうと耳障りの良いことしか言わない者たちの中で、3人の言葉は誠実に聞こえたのだ。

 





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3人のお友達の名前がどこから来たのか、気づいた方はいらっしゃるでしょうか。

イリーナ・スルツカヤ選手、ジョアニー・ロシェット選手、カロリーナ・コストナー選手でした( *´艸`)
このお話の中には、アシュリー・ワグナー選手、サラ・マイヤー選手、エミリー・ヒューズ選手からいただいたキャラもいますね…。
エミリーはあんな役回りでしたが、エミリー・ヒューズ選手、大好きでした!
 


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